このすば カズマが冷静で少し大人な対応ができていたら。   作:如月空

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決断

≪クリス視点≫

 

 

 

「おっかしいなあ、何で後一歩の所で何時も痕跡が消えるんだろ?」

 

神器の回収の為に調査をしていたのだけど、最後の大詰めで手がかりを失ってしまった。

 

「この屋敷には絶対に何かしらの神器がある筈なんだけど…」

 

私は屋敷を見上げる。

 

此処にはこの町の領主が住んでいる。

強欲な貴族で、名はアレクセイ・バーネス・アルダープ。

貴族としては中堅だが、何かと黒い噂が絶えない男だ。

彼はあらゆる事件で容疑者として召喚されてきたけど、どの事件でも証拠不十分となったり、

証人が失踪してしまったりして、挙句は訴え自体が引き下げられたなんて事もある。

 

「やっぱり、そう言う神器を保有しているのかな?」

 

そう考えれば辻褄が合うけど、流石のアクア先輩でも犯罪の痕跡を消せる神器なんて用意するとは思えない。

 

「考えていても仕方ないか。…ここは一旦出直そう。」

 

闇夜に紛れて、私はその場を後にした。

 

 

 

――――――――……

 

 

 

 

 

 

 

ベルディアが討伐されてから一週間が経っていた。

 

「はあ…何時になったら、ベルディアの報奨金が出るんだよ。」

 

「困りましたね、ここ数日で皆も結構散財をしてしまいましたし、早めに出てくれると良いのですが。」

 

「それにしても、この状況は異常だと思うよ。幹部の報酬は王都で用意されるから、此処まで遅れる事はない筈なんだけどね。」

 

カズマ君とめぐみん、それとミツルギ君が報奨金について話をしていた。

報奨金が出ない理由には心当たりがある。

原因はあの男、アクセルの領主であるアルダープが、王都から来た使者にしっかりと調査するように命令したからだ。

 

「あ、クリス!お前は何か情報掴んでないか?」

 

此方に気が付いたカズマ君は、私に情報がないか聞いてきた。

この件は、教えるべきか悩む。相手は曲がりなりにも貴族だ。

 

でも、カズマ君か…。様々なスキルを上位職と同等に扱える特典持ちで頭も回る人。

彼をスカウト出来れば、私の仕事も捗ると思うんだよね…。

 

「おーい?クリス聞いているか?」

 

考え事に耽っていると、カズマ君が私の顔を覗き込んでいた。

ちょ!近!?

 

「あわわ!カ、カズマ君、顔近いよ!!」

 

「あ、悪い!…で話は聞いていたか?」

 

カズマ君は少し離れてから、再び問いかけてきた。

うーん、言うにしても此処じゃ誰が聞いているか分からないんだよね……よし!

 

「カズマ君は知ってるかな?、盗賊というのは簡単に情報を明かす事はないんだよ。」

 

「成程、対価が必要だと言う事か。」

 

「確かに対価は必要だけどね、今回はそれだけじゃないよ。」

 

そう言って、カズマ君に近づいて

 

「あまり人に聞かれたくない内容だから、話すのなら二人になれる場所で話すよ。勿論、条件もあるけどね。」

 

カズマ君の耳元に顔を近づけて、小声で話した。

 

「な!?」

 

私の提案に声を上げたのはカズマ君ではなく、遠くで此方の様子を見ていためぐみんだった。

え?なんかめぐみんが怖いんだけど…。私、すっごく睨まれてるんだけど!?

 

私がうろたえていると、ズカズカとめぐみんがやってくる。

 

「クリス、少しカズマに近すぎませんか?」

 

めぐみんは眉をヒクヒクさせて、私に迫って来た。

あー!あの噂は本当だったんだ!?めぐみんはカズマ君の彼女なんだね…。

 

「えっとね、めぐみん。多分キミは誤解していると思うよ?

私はカズマ君の事なんか、何とも思ってないからね!!」

 

はっきりと伝えたけど、めぐみんはまだ私を怪しむような目で見てくる。

 

「…本当ですね?」

 

「本当だよ、エリス様に誓うよ!」

 

私が強く言い切ると、やっとめぐみんが離れてくれた。

めぐみんって意外に嫉妬深いんだね…。

 

「此処はクリスを信じましょう。…所で何故カズマは、凹んでいるのですか?」

 

「…いや、こうもはっきりと何とも思ってないとか言われるとな…」

 

「あー、ごめんね?カズマ君。…それでさっきの話なんだけど、如何する?」

 

「分かった、俺も一つ気になる事があるし、とりあえず移動しようぜ。」

 

「了解だよ!…あ、めぐみんカズマ君を借りていくからね。」

 

借りていくと言うと、めぐみんは不機嫌そうに頬を膨らませる。

 

「私も一緒に行きたいのですが…」

 

うーん、仕事の件もあるし、あまり広めるのも良くないんだよね。

アルダープの件はカズマ君が話すかもしれないけど。

 

「ごめんね、めぐみん。これは盗賊の情報だからさ。教える相手は最低限にしたいんだよね。」

 

「むぅ…そう言われてしまうと…残念ですけど、引くしかありませんね。」

 

なんとかめぐみんが諦めてくれたので、私はカズマ君と移動することにした。

 

 

 

 

―――――――――…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達はカズマ君のテレポートで湖畔に移動した…やっぱ、カズマ君って便利だね。

これは本格的に勧誘したくなって来たよ。

 

「人に聞かれたくないような話だったな、もしかして領主絡みか?」

 

「へー、良く分かったねー、その通りだよ。」

 

私はカズマ君を感心しながら、アルダープの情報を教えた。

 

 

 

「ホントクソだな!何で、そいつを捕まえられないんだ!?」

 

「説明した通りだよ。信じられないだろうけど、証拠が何も残らないんだよ。」

 

私の言葉で表情を暗くしてしまうカズマ君…だったけど、何やら思案し始めていた。

 

「……もしかしたら、そういう可能性も?…いや、そんな強力な物があるなら知られている筈だ…。」

 

「カズマ君、何か気になった事でもあるの?」

 

「あ、いや…無いとは思うんだけどさ、魔道具とかにそういうのが無いかなと…」

 

「魔道具は流石に無いと思うよ?此処まで人に影響を与えるなんて、それこそ神器ぐらいだよ。」

 

カズマ君は驚いた顔をして、また顔を俯かせて思案に入った。

 

「…神器か、ミツルギのグラムみたいなトンデモアイテムなら、可能性はあるって事か。

…ちょっと待てよ?この仮説が本当だったら、俺達にはどうにも出来ないんじゃないのか!?」

 

ちょっと、ずるいけど今が勧誘時かな?

 

「…そうでもないよ、カズマ君が私に協力してくれれば、状況が変わるかもしれないよ。」

 

「クリスに協力って言っても……俺に何をやらせるつもりだよ?」

 

カズマ君は怪しむような目つきで私を見てくる。

其れはそうだよね。なら、もう少し詳しく話してあげようか。

 

「アルダープの屋敷へ侵入したいんだよね。とは言っても直ぐにと言うわけじゃないけど。」

 

「はあ!?俺に犯罪の片棒担げっていうのかよ!?」

 

「そういう事になっちゃうね。でも、此れはとっても重要な事なんだよ。」

 

「…クリス、お前の目的は一体何なんだ?」

 

うん、こうなるよね。じゃあ、危ない事は誤魔化しながら説明しようか!

 

「ふふふ、こう見えても私はエリス様にお仕えしているんだよ。それで任務を請け負っていてね。」

 

私が説明をし始めたら、徐々にカズマ君の私を見る目が変わってくる。

 

「…なあ、クリス。嘘付くんならマトモな嘘付けよ。かわいそうな子に見えてくるじゃねーか。」

 

カズマ君は私を可哀想な子を見る目で見てくる。

 

「ちょ!本当の事だってば!!その証拠にキミが転生者だって言う事も知っているんだからね!」

 

私の言葉にカズマ君は一瞬驚きながらも平静を装う。

 

「…何処でそんな話を聞いたんだ?根も葉もない噂じゃないのか?」

 

「信じてよ…。アクアさんが水の女神だって言うのも知っているし、君を転生させたのもアクアさんだという事も知っているんだよ。」

 

先輩の事まで話すと流石に信じてくれたのか、カズマ君は頭を掻きながら空を見上げた。

 

「…クリスの事を信じた所で、俺に何の得があるって言うんだ?

さっきの話じゃ、そんなに長く俺達の金を抑えられるわけないし、俺達は待てばいいだけじゃないか?」

 

「そう上手くいくと思ってるの?キミも薄々感づいているんじゃない?」

 

「はあ…確かに最悪を想定すれば、何かしらの力を使って俺達の金は横取りされるかもしれないが…」

 

「それで終わると思う?」

 

カズマ君は頭をガリガリと掻きながら、俯き気味で話す。

 

「思えねーよ!だからって如何するんだ?…侵入するまではいい、その後は?」

 

カズマ君は目線だけを、此方に送ってくる。

 

「正直まだ決まってないね。だから、暫くは私一人で探ってみるよ。」

 

「その結果次第か?…分かったよ。…俺だってめぐみん達を護りたいからな。」

 

カズマ君は覚悟を決めたように頷いていた。

 

「あ、それとこの話は、絶対に秘密だよ!勿論キミのパートナーにもね。」

 

「分かっているよ、話したらあいつは止めて来そうだしな。

あーあ、戻ったら何て言おう…ちゃんとフォローしてくれよな。」

 

「うん、それは勿論!私も爆裂魔法なんて撃ち込まれたくないしね!」

 

「流石にそんな事はしないだろ。…しないよな?」

 

フォローするなら最後まで信じてあげようよ。キミの彼女でしょ。

 

「じゃじゃあ、戻るとしようぜ!」

 

私がジト目で見ていたら、カズマ君は慌てて戻る準備を始めた。

 

 

 

 

――――――――――……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪カズマ視点≫

 

 

 

「カズマ、お帰りなさいです。」

 

俺達がギルドに戻るとめぐみんが出迎えてくれた。

 

「ただいま、めぐみん。…あれ?ミツルギ達は?それにアクア達もいないな。」

 

「ミツルギは親方さんの所に行きました。アクア達は商店街の仕事を手伝うみたいです。」

 

皆はバイトに行ったか。高額のクエストもないし、仕方ないよな。

 

「へー、あのせん…アクアさんがねー」

 

何だ?何か言い掛けなかったか?あのせん?

 

「それよりもカズマは何か分かったのですか?クリスから話を聞いてきたのでしょう?」

 

「うーん、詳しい事は言えないけど、クリスが動いてくれるってさ。」

 

「それでね、めぐみん。カズマ君は今回の対価で私の手伝いをしてもらう事になったから、

そこだけは承諾して欲しいんだけど…良いかな?」

 

「そうですか。その時は、くれぐれもカズマの事をお願いします。

それから、カズマにセクハラをされた時は私に報告して下さい。」

 

しないっつうの!…俺ってそんなに信用無いの!?

 

「あ、うん。分かったよ。なんかごめんね?めぐみん。」

 

「別に謝る必要なんてありませんよ、貴方がカズマにその気が無いのであれば…」

 

「う、うん!これっぽっちもないから!!じゃ、早速動くから!二人ともまたね!!」

 

めぐみんの目力に怯えたのか、クリスはそそくさとギルドから出て行った。

っていうか、めぐみんこええよ!

 

「さて、カズマ。さっきまでの話は本当ですね?」

 

「ああ、話せない事はあるけど別にやましい事ではないし、クリスの手伝いもただ仕事を手伝うだけだぞ。」

 

「……私が気にしているのは、貴方が何か無茶な事をするんじゃないかと思ったんですよ。」

 

…めぐみん、俺の事見抜き過ぎだろ!?

下手言うと、仕事内容まで伝わってしまいそうだ。何とか話題を変えないと。

 

「そんな事、頼まれたってしたくねーよ!ベルディアの時だって本当は嫌だったんだからな!」

 

本当に最近厄介事が多いなぁ。

俺は冒険者人生を楽しみながら、めぐみんや仲間達とのんびり暮らしていたいだけなのに。

 

「アクアもそうですけど、カズマも何かと厄介事に巻き込まれやすいのですから、気をつけて下さいね。」

 

「俺、幸運のパラメーター高いんだけどな…。はあ、凹んでいても仕方ねえか、

クエストの更新がないかチェックしてから帰ろうぜ。」

 

「そうですね。」

 

二人揃って掲示板に移動して、依頼を確認する。

ゴブリンやらコボルドといった、低級のクエストが残っていたが、

俺達は、これらのクエストを優先的に受ける事は出来ない。

ベルディアが討伐された影響か、冒険者に憧れる若者が増えて町には駆け出しが溢れているからだ。

 

「一撃熊クエストがあれば、サクっと稼げるんだけどなぁ。」

 

一撃熊は驚異的なモンスターではあるが、俺にとっては相性が良い相手だ。

此方から不意討ちを仕掛け易く、一方的に弓で射殺出来ると言うのが大きい。

 

「ない物ねだりしても、仕方ないですよ……あ!カズマ、見てください!デストロイヤーですよ!!」

 

「ん?何だ、デストロイヤーって?」

 

「カズマは知らないんですか!?大きくてわしゃわしゃ動くアレですよ!!子供達に人気があるんですよー!!」

 

成程、めぐみんを見ていればそれは分かる気がするな。文字通り目を輝かせて、喜んでいるし。

 

「えーと、何々?デストロイヤーの進路調査?」

 

デストロイヤーの進行方向を調査する仕事か。近寄るのは危険なので、遠くから観測し速やかに最寄のギルドに報告すると書いてあるな。

 

「何か、この依頼を見ていると俺向きな気がするな。」

 

「あー、確かにそうですね!カズマなら千里眼で目標を確認出来ますし、テレポートもありますからね。」

 

「問題となりそうなのは道中と観測している時に無防備になることくらいか?」

 

「それならアクア達と一緒に行く方がいいですね。ゆんゆんもテレポートを覚えましたし、五人同時でも撤退が可能ですから。」

 

塩漬けではあるけど、報酬も100万と安くは無い。

何よりも、めぐみんがあんなにはしゃぐと言うのが気になる。

俺もデストロイヤーってのが見てみたくなった。

 

「危険も少なそうだし、明日は此れを受けてみるのもいいか。帰ったら皆と相談だな!」

 

「ですね!…では少し早いですが、今日は帰りましょうか!」

 

「そうだな。じゃ、帰りに食材とかの買出しも行って、今日は早めにのんびりしようぜ。」

 

「あ、カズマ。先日の約束がまだ果たされていませんよ。」

 

「約束?…何だっけ?」

 

「むう…一緒に部屋で飲むと言う約束したじゃないですかー。今日こそ果たしてもらいますよ!」

 

ああ、そういえばそんな約束もしてたな。

 

「じゃあ、めぐみんの為に甘い酒でも買って帰るか」

 

「おお!流石はカズマです!!」

 

すっかり機嫌が良くなっためぐみんとギルドを出る。さて、色々買って帰らないとな。

 

 

 

 

―――――――――――…

 

 

 

 

 

 

 

「明日はダンジョンに行きましょう!!」

 

夕食を食べていると、突然アクアがそう宣言してきた。

 

「はあ?いきなり何言ってるんだよ。」

 

ダンジョンなんかに行ったら、めぐみんが何も出来なくなっちまうだろうが!

…いや、そうでもないか。めぐみんは指揮が執れるし、俺の代わりに全体を見て貰えばいいのか。

 

「アクアは何処か行きたいダンジョンがあるのですか?」

 

めぐみんが聞くと、アクアは得意げに語りだす。

 

「よく聞いてくれたわね!私が行こうと思っているのはキールのダンジョンって所よ!」

 

「キールのダンジョンですか?駆け出し冒険者が練習の為に潜るダンジョンだと聞いていますが。」

 

俺もそう聞いている。一度は練習で潜ろうとは思っているけど、今はデストロイヤーっていうのが気になる。

 

「そうね、でもそのダンジョンを作ったキールと言う人物は

その昔、稀代の天才と謳われたアークウィザードなのよ。」

 

「魔術師キールの物語ですか、有名な御伽噺ですね。」

 

「それは前にめぐみんから聞いたな。」

 

確か、色恋に興味を示さず、魔法研究に没頭していた男がとある貴族令嬢に一目惚れをしたが、

身分違いから恋は実らず、一度は忘れようとして魔法の研究や修行に没頭し続けて…

その後、キールは王国一番のアークウィザードになり、持てる魔術を惜しみなく使って国に貢献したとか。そして、そんな彼の功績を称えて『どんな望みでも一つ叶えてやる』

とキールが国王に言われて、それがどんな願いだったのかは分からないという話だ。

 

「まあ、キールが望む事なんて分かりきっているだろうけど。」

 

「ふむ、カズマはキールが何を望んだのか分かるのか?」

 

「如何考えたって、その貴族令嬢だろ?」

 

「そうね、私もそう思うわ!それでね最初の話に戻るんだけど、

キールが何故ダンジョンを作ったのか、それは語られていないのよ。」

 

「もしかしてアクアは何か思い当たるのですか?」

 

「ええ、あるわよ!キールはその貴族令嬢を望んだけれど、其れは叶わなかった。

だからキールは貴族令嬢を浚って、愛の逃避行をしたんじゃないかと思うの!」

 

ふと気が付くと、アクアの熱弁を聞きながらゆんゆんが何度も頷いていた。

…この話はもしかして、ゆんゆんの入れ知恵か?さっきからアクアが得意げに話す様子を見て満足気に笑っているし。

 

「…えっと、そうだとしてもダンジョンに行く理由がわからないのですが。」

 

めぐみんがそう聞くと、アクアは急にオドオドとしだす。

 

「え?ああ!ええっとね!」

 

「逃避行をしたのなら、当然財産は持ち出しているでしょ?」

 

アクアが言い淀んでいると、ゆんゆんが助け舟を出す様に話を続けた。

 

「そ、そう!だから、ダンジョンにはキールの遺産が隠されているんじゃないかと思うのよ!」

 

「確かに、そう言った物が発見されたという記録はなかったが…」

 

「だから、行って見る価値はあると思うの!カズマどう?行って見ない??」

 

昔からここに住んでいるダクネスが知らないと言うのなら残っている可能性は高いが、

それはアクアのもとい、ゆんゆんの仮説が合っている場合だ。

 

「うーん、如何するかな。」

 

「何よ、カズマは信じてくれないの?」

 

俺が考え込んでいると、アクアは不服そうに頬を膨らませる。

 

「いや、行くのは構わないんだけどさ。明日は受けたいクエストがあるんだよ。」

 

「む?確か私達が受けられるようなクエストはなかったと思うが、何か見つけたのか?」

 

「ああ、塩漬けのクエストだけど出来そうなのがあったからな。」

 

ダクネスの問いに俺が答えていると、隣のめぐみんがはしゃぎだした。

 

「デストロイヤーですよ!デストロイヤー!明日はそれを見に行くんです!!」

 

「うん、間違っていないけどクエスト内容は進路調査だからな。」

 

「ああ、あれを受けるのか。確かにカズマが居れば問題なくクエストをこなせるな。」

 

「何だ、クエスト見つけてたんだ…折角褒めてもらおうと思ってたのに…」

 

アクアが小さな声でぼそぼそと呟いていた。

俺に褒めてもらうつもりでゆんゆんと一緒に探してきたのか。

 

「まあ、調査自体はそんなに掛からないだろうし、終わってからダンジョンに向かえばいいんじゃないか?

あそこは結構遠いし、確か寝泊り出来る小屋もあるんだろ?」

 

「はい、ありますよ。えっとカズマさんダンジョンに行ってくれるんですよね?」

 

「別に構わないよ、折角”二人”が見つけてきたんだろ?無碍にはしないって。」

 

俺は心配そうに問いかけてきたゆんゆんが安心出来る様に答えた。

 

「え…っとカズマ気づいていたの?」

 

「ん、二人で見つけてきたんだろ?遺産があるかはまだわからないけど褒めて欲しいなら褒めてやるぞ?」

 

「う、別にいいわよ!」

 

そう言ってアクアはそっぽを向く。

遺産が在ったら、二人の頭を撫でるくらいはしてやるか。

 

「じゃあ、決まりですね。明日は久しぶりに忙しくなりそうです!」

 

デストロイヤーを見れるのが楽しみなのか、めぐみんは嬉しそうにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

食事が終わり風呂を済ませた後、俺達は部屋に戻ってきていた。

 

「明日は早いし、今日は程ほどにしておこうぜ。」

 

約束通り、めぐみんと飲む事になった。

 

「そうですね。でもカズマ、また付き合ってくださいね。」

 

「ああ、部屋でなら構わないよ。それと今度飲む時は何か美味い物でも作るよ。」

 

「それは、今から楽しみですね!…では乾杯!」

 

「乾杯!」

 

俺はめぐみんと一献を交わす。

案の定最初の一杯でダウンしためぐみんを介抱して、俺達は一緒に寝る。

明日は忙しくなるなぁ…それとクリスの奴、何か掴めていればいいんだけど。

そんな事を考えながら、俺は眠りについた。

 

 




最近カズめぐ成分が足りない気がする。
もう少し増やして行きたいなぁ。

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