このすば カズマが冷静で少し大人な対応ができていたら。   作:如月空

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最近暑すぎて全然集中が出来ません。
今回も誤字脱字多いだろうなぁ。


お祝い

「ほう?景気良さそうだな、カズマのパーティーは。」

 

「ねえ、カズマー。あたし達にも何か奢ってよー。」

 

キールのダンジョンから戻ってきた俺達は、財宝の換金を手早く済ませて、

久々にギルドで肉パーティーを開いていた。

其処に現れたのは、珍しく不機嫌そうな顔で嫌味っぽい物言いをしたテイラーと、

捨てられた子犬のような目をしたリーンだった。

 

「ん…、まあ飯を奢るぐらいはいいけどさ。二人共、如何かしたのかよ?」

 

テイラーはアクセルでは珍しい、品行方正な常識人だ。

不景気の理由に関しては心当たりが在る…

というか俺達と同じでベルディアの賞金が出てないからだろうが、

テイラーが不機嫌になっている理由は見当がつかない。

 

「…すまん、当たるつもりは無かったんだが…ダストの奴がまた問題を起こしてな。」

 

テイラーは溜息交じりに理由を話し始める。

ダストがまた警察の厄介になっているらしい。

その時に運悪く一緒にいたキースまでもが、

事件の参考人として警察に呼ばれているんだそうだ。

 

「あーもう、ホント最悪だよね!!ダストの奴!!

今日は皆にお祝いして貰おうと思ってたのにさ。」

 

「ん?お祝いって何の?」

 

俺が聞き返すとリーンは得意げな顔をして話し始める。

 

「ふふふ、あたしも遂にアークウィザードなったんだよー!」

 

「おおー!そいつは目出度いな!」

 

俺達の話が盛り上がっていると、肉をがっついていためぐみんが俺の元にやってくる。

 

「カズマ?早く戻らないとカズマの分まで皆に食べられますよ。」

 

「いや、別にいいけど。俺はもう十分に食ったし。」

 

何処ぞの野菜人程ではないけど、めぐみんもあいつらも本当によく食べる。

それであのスタイルが維持が出来ているんだから、本当に謎だよ。

アクアなんて、仕事無い時は家でゴロゴロしているっていうのに。

やっぱり、皆は胸に栄養がいっているのだろうか。

 

そんな事を考えていると、ふとめぐみんと目が合った。

…こいつは何処に栄養が消えているんだろう?

 

「リーン、テイラーこんにちわです。それとカズマ、今何か失礼な事を考えてませんでしたか?」

 

「何にも、俺は今のめぐみんに満足しているぞ?」

 

ふにふにと手に馴染むような、あの感触が心地よくて、キスしてる時につい触ってしまう。

めぐみんの感度が良いのか、触っているとめぐみんが甘い声を漏らして激しいキスをしてくる。

当然その後、俺はめぐみんに怒られるわけだが……。

 

「う、うぅ…そ、そうですか。…所で何の話で盛り上がっていたんです?」

 

めぐみんの疑問に応える様にリーンがめぐみんに近づく。

 

「めぐみんめぐみん、あたしもとうとうアークウィザードになったんだよー!」

 

「ほう!それはおめでとうございます!!では早速、名乗り上げの練習をしましょうか!!」

 

「いや、待て待て!流石に其れは可笑しい!」

 

めぐみんが唐突にアホな事を言い出したので、俺は思わず突っ込みを入れてしまった。

 

つーか、俺達だけなら兎も角、リーンまで巻き込むなよ。

 

「何を言うのです!?決め台詞があるからこそ、その後の格好良さが引き立つのです!

それに魔力コントロールの際に自分を高めておくと、魔力の変換効率が上昇するのですよ!」

 

確かに、前にもそんな話も聞いたけどさ、其れでテンションあげられる奴は限られてると思うぞ?

うちのメンバーでも、めぐみんとアクアくらいだろうし…。…まぁ、俺も上がらないことはないけどさ。

 

「うーん、名乗り上げかー。確かにベルディアと戦った時は、めぐみん達がカッコ良く見えたんだよねぇ。」

 

「お、おい!リーン!?」

 

予想外の反応にテイラーは困惑しながら、リーンの名を呼ぶ。

 

「ふふふ、そうでしょう!そうでしょう!!」

 

二人が名乗りの話で盛り上がると、テイラーは俺に何とかしてくれと目で訴えてくる。

…悪いなテイラー。こうなっためぐみんは俺でも止められないんだよ。

 

「そうです!テイラーと共に名乗り上げすれば更に格好良くなるかも知れません!!」

 

「!?…いや、めぐみん。テイラーまで巻き込むなよ。」

 

「何を言うのです!テイラーが敵を一身に集め、リーンが纏めて敵を殲滅する!正に私達の様ではないですか!?」

 

「待て待て!テイラーはテレポートを使えねえし!どちらかと言うと、それはダクネスとゆんゆんだから!」

 

ぽんこつ化しためぐみんは本当にめんどくせえ!

普段は頼れる相棒なのに、こういう話になるとマジで手に負えない。

 

乗り気のリーンは兎も角、テイラーに飛び火したのは不味い。

何とか話題を変えなくては…

 

「あ、そうだ!リーン!お祝いなら明日ウチでやらないか?

テイラーもどうだ?ダストはアレだけど、キースも戻ってくるんだろ?」

 

クリスやミツルギ達も誘えば人数的にも様になるだろう。

 

「お、おお!それは助かる。俺もリーンを祝ってやりたいからな。」

 

「え!?いいの!?やったー!ご飯はカズマが作ってくれるんだよね?」

 

「ああ、それくらいはするぞ。友達なんだからこういう時くらいは遠慮しなくてもいいぞ。」

 

「ふむ、それなら私も料理を手伝いましょう。」

 

お?めぐみんの気を逸らす事に成功したか?

 

「ではリーン。先程の件は明日詰めましょう!」

 

「そうだね!どうせならカッコイイのにしたいな!」

 

ダメでした。

 

その後、名乗りはリーンだけという事で何とか話は纏まった。

リーン一人なら、流石に羞恥心が勝っておいそれとやることはないだろう。

……ないよな?

 

 

 

――――――――――…

 

 

 

 

 

 

 

「カズマ、此方はもうすぐ完成しますよ。」

 

「こっちも後は揚げ物だけだ、そっちのが出来たら先に持って行ってくれ。」

 

「分かりました。」

 

昨日の約束通り、リーンの転職祝いをする為に俺とめぐみんは朝から色んな料理を作っていた。

パーティー会場の準備はアクアとゆんゆんに任せて、不器用を自負しているダクネスにはクリスの迎えを頼んだ。

 

「ふう、流石に12人分は時間掛かったな。」

 

以前やった鍋はあっという間に完食だったからなぁ。

 

ただでさえめぐみん達が大食いだし、今日は其処に酒も入るので、

俺達が用意した料理は、大半が酒の肴となるのは目に見えている。

それで朝から大量に作る事になったワケだが、折角の祝いで野暮を言うべきではないだろう。

 

「カズマさん、料理運ぶの手伝います!」

 

「ん?そっちの準備は終わったのか?」

 

「はい!終わりました!今はアクアさんもめぐみんの手伝いをしています。」

 

「お、そうか。じゃあ、其処の料理を持って行ってくれ。」

 

「分かりました!えっと、此れですね…。」

 

ゆんゆんに出来上がった料理を持っていっている間に、揚げ物の盛り付けに入る。

 

先ずは鶏唐と軟骨そして蛸唐だ。下味は醤油ベースのシンプルなものだが、酒の肴としては十分だろう。ただ、量が量なだけに飽きられる可能性も十分あるので、色々と添えてみる。

俺達の世界でも賛否両論のあるレモンから、マヨ、唐辛子、和辛子、洋辛子にケチャップと取り揃える。

 

次にポテトフライ。酒の肴として相性が良く、作るのに手間取らないのも利点だ。

 

そしてこっちがメインのロースかつとコロッケ、んでメンチカツとエビフライだ。

タルタルソースは簡単に出来たんだが、如何せんとんかつソースに手間取った。

犬のマークが入っているあのソースのレシピを、うろ覚えの記憶の中で、

料理スキルをフルに使ってなんとか作ってみたが、あの味に近い感じにはなった筈だ。

 

うーん、もうちょっと魚貝類も欲しいよなぁ。

…お、そうだ!折角テレポートが使えるんだし、

港町を登録して其処に買出しに行けば安く手に入るんじゃないか?

 

…というか、これって商売になるんじゃねーか?

リーンがテレポートを覚えてくれれば、スタッフとして雇えるしな。

テレポート使い三人なら、冬でも物流で稼げるかもしれない。

 

「カズマ、ダクネスが皆を連れて帰ってきましたよ。」

 

「おっと、なら急いで運んじまわないとな。」

 

めぐみんと二人で大量の揚げ物を運び出す。

台車が欲しくなるなぁ、鍛冶スキルで作れないかな?

冬になったら暇も増えるだろうし、色々試してみるかな。

 

 

 

―――――――――…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『リーン!上級職への転職おめでとう!!』

 

「さあ、皆!今日は飲むわよー!カンパーイ!!」

 

祝辞の言葉を送った後、アクアが乾杯の音頭を取った。

 

「ふわぁ!この揚げ物美味しい!」

 

「こっちの海老の揚げ物も美味しいわよ!」

 

「いやいや、この揚げハンバーグが一番だろ!」

 

俺の作った料理は、思った以上に好評だった。

此処まで喜ばれると作った甲斐というものがある。

美味そうに食って貰えるだけで、こんなに満たされるなんてな。

 

「ロースカツに、メンチ、コロッケ、エビフライにポテトフライ…

今となっては懐かしい料理ばかりだよ…また食べられるのはサトウ君のお陰だね。」

 

「あっちの料理で何か食いたいものはあるか?レシピが分かれば作ってみるぞ?」

 

「うーん、食べたいのはカレーだけどレシピか…。僕は料理をしたことないから分からないな。」

 

成程、カレーか…俺も食いたくなってきたな。

でもカレーのレシピは分からないな、香辛料をふんだんに使っているというのは聞いたことあるけど。

そもそも、この世界にカレーに使われる香辛料があるかわからないんだよな。

何故か醤油はあったけども。

 

「あのぉ、カレーですよね?他の町では見たことないですけど、紅魔の里でなら食べられますよ。」

 

「え!?カレーがあるの!?」

 

俺が悩んでいると、ゆんゆんから意外な情報が出てきたので、思わず聞き返してしまった。

 

「ミツルギが言うのは、あの辛くてご飯に掛ける茶色の料理ですよね?」

 

「う、うん!そうだよ。紅魔の里にはあるのかい!?」

 

「はい!紅魔の里にある定食屋さんで食べる事が出来ますよ!」

 

「お、おお!」

 

ゆんゆんの言葉でミツルギは感動しているようだ。

 

それにしても、紅魔の里か…。

正直めぐみんの両親には、まだ会いたくないんだよな。

何れは、挨拶をしに行かないといけないとは思っているんだけど、

既にめぐみんとしちゃっている事もあって会いづらいんだよな。

 

せめて経済的に落ち着いて、安定した収入を得るかもしくは貯蓄を作るかして、

其れを武器に両親を説得出来ればと思ってるんだけど…

 

「ねえ、カズマー!とんかつソースはもうないの?」

 

未来の事を考えていると、アクアが急に俺に声をかけてきた。

 

「え…っと、十分用意してあった筈なんだが?」

 

また作るのが面倒なので、とんかつソースはかなり作ってあるけど…

 

仕方が無いので、厨房にソースを取りに行きアクアに渡す。

 

「ありがとね、カズマ。」

 

俺からソースを受け取ったアクアは、ロースカツにソースを掛け始める。

 

「…ちょっ!掛けすぎだろ!!」

 

何となく見ていたら、アクアはロースカツがソースに染まるまで掛け捲っていた。

 

「え?此れぐらい普通でしょ?」

 

「あ、あのアクア様?そんなに掛けてしまってはお体に悪いですよ…。」

 

何時もは常に、アクアの行動を肯定しているミツルギですら、アクアに苦言していた。

 

「もう!二人して煩いわね!」

 

「あ、あのアクアさん!カズマさん達がこうまで言うのですから、

聞いておいた方がいいんじゃないですか?」

 

「う、ゆんゆんまで…。もう、分かったわよ。」

 

ゆんゆんにまで言われたのが堪えたのか、ようやくアクアはソースを手放した。

 

「うーん、でもアクアさんの気持ちもアタシは分かるなぁ。

だってこのソース、すごく美味しいんだもん!」

 

アクアが手放したソースを掛けながら、嬉しそうにリーンは呟いた。

 

某犬ソースに模した此れは大好評だな。

レシピとか売れたりしないだろうか?

 

多少のトラブルはあったけど、その後は特に問題もなく宴会が進む。

酒好きのメンバーはすっかり出来上がって、アクアの宴会芸を楽しんでいる。

そんな中、少し離れた場所でクリスが皆を眺めながら一人で飲んでいる事に気が付いた。

 

「如何したクリス?皆と飲まないのか?」

 

「あ、カズマ君。うん、ちょっと感慨深くてね…」

 

「ん?どういう意味だ?」

 

「私とダクネスが長い付き合いなのは知っているよね?

ほら、あの子は性格がちょっと特殊でしょ?それに結構人見知りな所もあってさ、

カズマ君達と出会う前は、私ぐらいしか付き合いがなかったんだよね。

だから、あんな風に笑っているあの子を見ていると何だか嬉しくなってきてね。」

 

ああ、ダクネスもぼっち体質だったのか。うちのメンバーはそんなのばっかだな。

アクアとゆんゆんは言わずもがな、俺も元引き篭もりだし、

めぐみんも爆裂魔法使いって事で浮いていたらしいからな。

 

「それはそれとして、ダクネスの性格はちょっとどころじゃないと思うんだが?

初めてアレな所見た時は、正直ドン引きだったぞ…。」

 

「あ、ははは…その、あの子は悪い子ではないんだけどね。」

 

「其れは知っているよ、ただあの特殊性癖は如何にかならんのか?

せめて、人前ではやめて欲しいんだけどな…。」

 

「う、うーん…私も何度も注意したり怒ったりしてるんだけどね…。」

 

「それすらもあいつにはご褒美だからなぁ…。」

 

「はあ…そうなんだよね…。」

 

俺達はため息を吐き合って、二人で揃ってダクネスを見る。

友人達に囲まれながら、幸せそうに微笑んでいる姿が映る。

何時もああなら、俺達も苦労しないんだけどなぁ…。

 

あ、忘れないうちにもう一つを聞いておかないとな。

 

「所でクリス、話は変わるんだがあの件はどうなっている?」

 

「流石にまだ進展は無いよ、今は過去を洗っている最中だからもう少し待っててよ。」

 

「ああ、わかった。まあ、今日は楽しんでいってくれ。」

 

クリスにそう伝えて、俺は宴会の席に戻る。

 

昼過ぎから始まった宴会は夜遅くまで続き、友人達は全員宛がわれた客室に泊まっていく。

俺とめぐみんは途中で料理の追加を作りに行ったりして、滅茶苦茶忙しい一日だった。

 

 

 

 

―――――――――…

 

 

 

 

 

「ふう、今日は疲れましたね…」

 

「そうだな。…でも、これはやるんだな。」

 

俺達は日課を済ませる為、何時もの湖畔に来ていた。

周辺は粗方吹き飛ばしてしまったので大分移動することにはなるが、

町から移動するよりは時間が掛からないだろう。

 

「当然じゃないですか!私は一日一回撃たないと死んでしまうんですよ!?」

 

「サラっと嘘を吐くなよ…。」

 

冗談めいた事を笑顔で語るめぐみんに、俺の軽い小突きが入る。

 

「痛いじゃないですか…。所でカズマ、クリスと二人で話をしていましたが何の話ですか?」

 

「ん、例の件の進捗と後、ダクネスの話だな。」

 

「ダクネスの?」

 

「ああ、あいつらって親友同士らしいからな。でダクネスはあんなんだろ?

それで上手くやれているか心配だったみたいだぞ?」

 

嘘をついても仕方ないので、正直に話すとめぐみんは納得いったような顔をした。

 

「成程そうですか。…カズマはダクネスの事如何思っていますか?」

 

不安気味にめぐみんは俺に問いかけてきた。

 

「ん、俺か?そうだなぁ、面倒は結構あるけど…まぁ、友達で仲間かな?何でそんな事を聞くんだ?」

 

「…カズマがしょっちゅうエッチな目でダクネスを見るからですよ…。」

 

「あ…あー、その、男の本能って奴なので許してもらえると助かります。」

 

ジト目で見てきためぐみんの視線が怖くなったので、思わず敬語になってしまった。

 

「仕方ないですね、本当にいやらしいんですから、カズマは…。」

 

ダクネスの体がエロ過ぎるのが原因だって、俺は決して悪くねえぞ!

いくら貧乳の良さに気が付いた俺でも、あの揺れを目の当たりにしたら見ちゃうって!!

 

「…お?アレなんかいいんじゃないか?」

 

30分程の距離を移動した所に、標的になりそうな物が転がっていた。

 

「ふむ、今日はもう遅いですし、アレにしておきましょうか。」

 

そろそろ、テレポートの登録位置を変えておくべきか?

とはいっても、今日はもう暗いし安全確認もしないといけないから後日だな。

 

「ではいきます!!『エクスプロージョン!!』」

 

何かの残骸らしき物が纏めて消し飛ぶ。

めぐみんも高レベルになってきた事で、出会った頃の爆裂魔法と比べると桁違いになってきている。

 

「ふむ、暗闇を掻き消すような力強い閃光と、肌寒さに震える体を包み込むような熱風。

そして、静寂を打ち壊すような爆音と骨身にまで届く衝撃…今日のは98点だな!」

 

「ふふ、今日はいい点数が貰えました。…貰えましたが、ドサクサに紛れて胸を揉むのはやめてもらえませんか?」

 

「おっと、抱きかかえた時に良い感触だったんでつい。」

 

「この男は…反省してませんね!」

 

「してるって、でもめぐみんもあまり動じなくなったよな。」

 

これはこれで寂しいものがある。

今でも怒られはするけど、大げさに騒いでいた頃が懐かしい。

 

「カズマの所為ですよ、どんどん遠慮がなくなっていくんですから。

後、動けないときは本当に止めて下さい。…あの時の夢を思い出してしまうので…。」

 

そう言いながらめぐみんは太股を微かに動かす。

…あー、そういう事か。

あの時は夢の中って事で遠慮なしに無茶したからな。

 

そろそろ現実での2回目をしたい所だけど、近々めぐみんの誕生日があるんだよな。

デートしてプレゼントして2回目って方がスマートだよな?うん!

 

…でも、思い出したら無性にしたくなってきたな…。

めぐみんと寝てると溜まる一方だし、ここらで提案を持ち掛けてみるか?

いや、しかし…

 

「…カズマ、何か良からぬ事を考えていませんか?」

 

「…あのさ、今日は宿に泊まらないか?」

 

うん、本能には逆らえないね。

うわあ、めぐみんの目が冷たくなってきた。

 

「もしかして、しようとか考えています?」

 

「あー、半分正解というかなんと言うか…。」

 

めぐみんの声がドスの聞いたものに変わって、俺は思わず言い淀んでしまった。

 

「半分…え?あの、カズマ。もしかして夢の中でとか考えていますか?」

 

「…えっと、ダメかな?」

 

「う、夢ですか…。」

 

やっぱりダメかなと思っていると、徐々に体力が戻ってきているめぐみんが、太股を動かしてモジモジとしだす。

 

あれ?後もう一押しじゃね?めぐみんの体はあからさまに反応してるよな?

 

「皆、かなり深酒しているし、早朝に帰ればバレないだろう?」

 

ミツルギは飲んでなかった気がするけど、あいつは余計な事を言わないだろう。

というか、言ったらライトニングバインドで縛ってやる!!

 

「う、うう…。」

 

「夢のシチュエーションは全部めぐみんが選んでいいから。」

 

「!…言いましたね!なら今夜は私にたっぷり付き合ってもらいますよ!!」

 

全部と言ってしまったのは失言だったか…?

…ちゃんと出来る時間はあるんだろうな?

 

 

 

 

――――――――――…

 

 

 

 

 

「このお店がそうですか。」

 

「ああ、あの頼むから騒いだりしないでくれよ?」

 

宿を確保した後、めぐみんと共にサキュバスのお店に来ていた。

 

「分かっていますよ、私を何だと思っているんですか!カズマは!」

 

性格を含めて爆裂娘かな。

 

めぐみんを連れ立って、サキュバスのお店に入る。

 

「いらっしゃいませー!…あら?」

 

店内にざわめきが起こる、そりゃ女の子連れて入れば当然だけど。

横に居るめぐみんは、サキュバスお姉さんの際どい衣装を見た後、俺を睨みつけていた。

 

「あ、今日は二人なんだけど、夢をつなげて欲しくて。」

 

「あ、はい。そういう事でしたら…ご指名はございますか?」

 

「えっと、この間担当してくれた子でお願い出来ますか?」

 

「分かりました、では席にご案内します。」

 

お姉さんがお尻を振りながら、席に案内してくれる。

 

「…あんまり睨むなよ、めぐみん。皆が怖がっているぞ。」

 

「大丈夫ですよ、カズマを睨んでいるだけなので。」

 

それもやめろください!

 

暫くすると、あの時のロリっ子サキュバスが俺達の前に現れた。

 

「い、いらっしゃいませです!その、今日はお二人でと言うお話でしたけど。」

 

「ああ、頼めるか?えっと…名前は?」

 

「あ、申し遅れました!私はロリーサと言います!」

 

ロリサキュバスだからロリーサなのか?

まぁ、こういう所なら本名である必要もないか。

日本でも源氏名なんてものがあるって話だからな。

 

「カズマが今日は私に全部任せると言っているので、ロリーサお願い出来ますか?」

 

「はい!任せてください!それでは此方のアンケートにご記入ください!」

 

めぐみんはロリーサから、アンケート用紙を受け取ってカリカリと書き始める。

どんな事を書いているのか気になったので、めぐみんにばれない様に覗き込む。

 

『自分の状態:めぐみん、5年後のスタイル抜群な自分。カズマ、そのまま』

 

「!!?」

 

アンケートを盗み見していたら、思わず噴出しそうになった。

どんだけスタイルを気にしているんだよ、めぐみんの奴。

でも5年後っつったら、めぐみんの方が年上になるのか。

…なんだか楽しみになってきたな!

 

「出来ました、では此れでお願いしますよ、ロリーサ。」

 

「はい、お預かりします、どちらに向かえば良いでしょうか?」

 

「以前、私達が出会ったあの宿を確保してあります。なので、其方でお願いします。」

 

「分かりました!ありがとうございます!」

 

あ、しまった!肝心のシチュエーション確認出来てねえじゃん!

 

5時間コースの料金を二人分支払って店を出る。

めぐみんを見るとやたら上機嫌だった。

 

「な、なあ、めぐみん?アンケートには何て書いたんだ?」

 

「秘密ですよ。後のお楽しみって奴です。」

 

うう、クソ!

無理やり聞き出して、へそでも曲げられたら夢サービス自体が無しになりそうだし、ここは我慢するしか無いのか?

 

久々に大浴場に行って汗を流した後、宿で借りた小部屋のベッドに二人して潜る。

 

「今日は疲れた、専業の料理人は大変なんだな。」

 

「ふふ、そうですね。」

 

めぐみんは俺の上に跨り、そのままキスをしてくる。

 

「う…ふ、ん…れろ…」

 

ベッドが狭いので仕方の無い状況だけど、これは反応せざるを得ない。

 

「では、おやすみなさいカズマ。」

 

めぐみんは俺に乗ったまま、胸元に顔を預けてすやすやと寝息を立て始める。

…何時も思うけど、本当にこいつ寝つきが良いよな。

こっちは一旦鎮めないと眠れそうに…いや、鎮める必要なくね?

 

めぐみんが起きないように細心の注意を払って、俺のがめぐみんに当たる様にしておく。

当てた瞬間、めぐみんが小さな嬌声をあげたが、起きては来なかった。

 

よし、此れで準備は出来た。あとは此れが出来るかだけど…

 

『スリープ』

 

自分に向けて睡眠魔法を掛けてみる、

予想通り自分への魔法は効果が薄くまどろむまでに時間が掛かったが、

熟睡するわけにもいかないので、此れは此れで良い結果だとは思う。

徐々に瞼が重くなって行き、俺の意識は落ちていった。

 

 

 

――――――――――…

 

 

 

 

 

 

「ここは?…ん、あれはベルディアの城か?」

 

「やっと来ましたか、カズマ遅いですよ。」

 

後ろからめぐみんに声を掛けられる。

 

「悪い、中々寝付けな………」

 

俺が振り向くと、まだあどけなさは残っているものの、

はっきりと女を感じさせる色気を纏った美少女が立っていた。

その美少女は腰辺りまで綺麗な黒髪を伸ばしており、胸もそこそこあった。

 

ええ!?もしかして此れがめぐみん!?

5年後の姿だったよな!?こ、こんなに綺麗になっちゃうのかよ!?

 

「ふふ、如何しましたかカズマ。もしかして見惚れてしまいましたか?」

 

目の前の美少女の声はめぐみんそのものだった。

というか、ヤバイヤバイ!!ここまで変身するなんて予想外すぎる!!

まともに声も出せなくなるくらい緊張しちゃってんだけどー!!

 

「ふむ、予想以上の効果だったようですけど、此れでは埒が明きませんね。」

 

そう言って、めぐみんは俺に近づいて………唇を重ねてきた。

 

「!!?」

 

目の前には、想像を絶するほど綺麗になっためぐみんの顔。

俺は暫く固まっていたが、唇と舌の感触から次第に冷静を取り戻していく。

 

「ぷはっ…マジでめぐみんかよ…。」

 

「私でなければ誰だというのですか。」

 

「え?めぐみんの姉?」

 

「私の姉妹は年の離れた妹だけですよ。それよりカズマ早く始めましょう!」

 

「お、おう!」

 

俺が服を脱ぎだすと、めぐみんは杖で俺の頭を叩いてきた。

 

「本当にアホですね!この男は!?」

 

「え?いや、だって今始めようって、言ったじゃねえか!」

 

大人の色気を漂わせているめぐみんを早く抱きたくて、俺は半ばキレ気味に反論する。

 

「ち、違いますよ!私が言ったのは、あの城を破壊しましょうって事です!!」

 

ベルディアの城を?…あー前回より爆裂欲求が高まってるのか。

そういや、前にも撃ちたがっていた事があったな。

 

「カズマが全部私に任せると言ったのですからね。ちゃんと付き合ってもらいますよ!」

 

「あー、分かったよ!付き合うよ!」

 

「そんなに不機嫌にならないでくださいよ、その、カズマが私としたいっていう事自体は嬉しいと思っているのですから。」

 

そう言ってめぐみんは、太股辺りをモジモジとさせる。

 

お!もしかして寝る前のアレは効果ありか?

それなら、ここはめぐみんに従っておくか。

 

「よし!じゃあ、さっさと破壊し尽くしてしまおうぜ!」

 

 

 

何十何百という、爆裂魔法がベルディアの城に突き刺さる。

というか、思ったんだけどあの城は現実のよりあからさまにでかいよな!

一時間程二人で撃ち続けてるって言うのにまだ半壊もしてないんだけど!

 

「どれだけでかい城を注文したんだよ!制限時間内に壊せるか不安になってきたぞ!」

 

「何を弱気な事を言っているのですか、カズマ!私としたいと言うのであれば、この程度の障害は乗り切ってくださいよ!」

 

「ぐっ!上等だ!!見てろよ、めぐみん!!」

 

連発を一度止めて、魔力を練り直す。

 

「中々良い魔力の練り込みです!さあ、見させてもらいますよ!カズマ!!」

 

俺は大きく深呼吸をして、魔力を解き放つ。

 

「『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』

 『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』

 『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』

 『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』」

 

嘗てめぐみんが夢の中でやっていた事を今度は俺がやってみた。

俺が担当していた区域は連射で粗方吹き飛んでいた。

 

「おお、カズマもやりますね。私も負けていられません!!」

 

めぐみんも一度連発を止めて、魔力を練り直す。

すると、空気だけではなく大地までもが震えだした。

 

「では行きますよー!!」

 

「『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』

 『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』

 『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』

 『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』

 『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』

 『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』

 『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』

 『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』『エクスプロージョン!!』」

 

一発一発が俺の放った爆裂魔法の10倍の威力に近く、

めぐみんの放った極大爆裂魔法は城周辺を一気に飲み込む。

 

爆炎が収まるとベルディアの巨大城は跡形も無く消え去っていた。

 

「ふう!気持ちよかったです!!カズマ、また此れをやりましょうね!」

 

「…めぐみんだけ気持ち良くなっているのはずるいよな。」

 

「ちょ!か、カズマ。ちょっと待ってください!するのならせめて部屋に行ってからで!!」

 

めぐみんがそう叫ぶと、視界が暗転して一瞬で俺達の部屋になった。

 

「本当に便利だな。さて、めぐみん?」

 

「え、ええ!?た、確かにカズマは私の望み通りに行動してくれましたけど!!急すぎですよ!ロリーサ!!」

 

めぐみんをベッドに押し倒して、キスしようとしたところで俺は固まってしまった。

 

「…?如何したんですか?カズマ。」

 

めぐみんは足元をモジモジとさせながら、俺の顔を覗き込んでくる。

 

「…何か、いつものめぐみんと違うから…なんつうか背徳感みたいなものが。」

 

めぐみん本人であることは分かっているんだけど、何か浮気しているような気分になるな。

 

「ふふ、カズマは本当にヘタレなんですね。」

 

「ヘタレじゃねえ!純情と言ってくれ!!」

 

「ふふ、そうかもしれないですね。でも、良いんですか?時間がなくなってしまいますよ?」

 

う、時間切れで出来ないっていうのも最悪だ。

このめぐみんに合うには後5年…最低でも3年以上は待たないとダメだろうからな。

このチャンスは不意にしたくないな。けど……あーもう!!

 

「ふう、私の方も体が大人になっている所為か、体の火照りが止まらないんですよ。」

 

それ、現実で当ててるからだと思うぞ?

 

「まったく、カズマの所為で私もすっかり変わってしまいましたよ。

ロリーサ聞こえますか?前回の私の様にカズマを動けなくしてください!」

 

ちょ!何言っちゃってんの!?めぐみん!?

 

「うぷ!」

 

体から急激に力が抜けて行き、めぐみんの胸に顔を埋めてしまった。

何時ものめぐみんとはサイズが違い、程よい弾力とハリで俺の心は幸せに満ちてくる。

やばい、これがバブみを感じるという奴か?このままめぐみんのおっぱいに挟まれていたいんだが。

 

「…だらしない顔をしていますね、カズマ。私はこうしていても良いのですがしなくても良いんですか?」

 

「其れは其れ、此れは此れと言う奴だ。っつっても、俺動けないんだけど?」

 

「今日は私が動きますよ。ええ、カズマが限界だって言っても、泣き叫ぼうともやめません!!

これは前回の仕返しという奴です!するのなら覚悟して置いてくださいね?」

 

ただのご褒美だと思います。

 

「ほう、仕返しとは随分大きく出たな。やれるものならやってみろよ!」

 

俺はめぐみんを挑発するように言い放つ。仕返しだとか言っているけど、

どうせめぐみんの方が先に力尽きるだろうし問題はない!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間後、俺は無様にもめぐみんに謝っていた。

めぐみんはロリーサの協力でサキュバス並の精力を持っていた。

そういえば、全部あいつ任せだったんだ。

俺が挑発する事を見越して、予め手を打つぐらいはしていたんだろうな。

 

快楽も通り過ぎると、苦痛に変わると言う事を身を持って知った俺は、

これからはめぐみんに、もう少し優しくしてやろうと心の中で誓っていた。

 

…それはそれとして、絶対にやり返してやるからな!!

 




今回は此処までです。
5年後めぐみんはwebみんを想像してください。

最近は一気に暑くなったので皆さんも健康には気をつけて下さい。

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