このすば カズマが冷静で少し大人な対応ができていたら。   作:如月空

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喪失

『カズマ…この私の怒り(爆裂魔法)はどこにぶつけたら良いのでしょう!?』

 

『悪くはないですね。爆裂散歩といったところでしょうか。』

 

 

 

『あたしも付いていっていい?暇なんだよねー!』

 

『模擬戦相手くらいにならなるぞ?』

 

『カズマカズマ、それでしたら魔法の練習をするのも良いですよ。

 魔力のコントロールなども教えますよ。』

 

『エクスプロージョン!』

 

『おお、すっげーな!よくわからないけど。』

 

『ライトニング!』『ライトニング!』

 

『どうですか?変わるものでしょう?』

 

『どわっちぃ!!ちょ、カ、カズマ今のは酷いぞ!』

 

『やかましい!!思いっきり頭ぶったたたきやがって!!』

 

 

 

『『ばっくれつ!ばっくれつ!らんらんらーん♪

ばっくれつ!ばっくれつ!らんらんらーん♪』』

 

『ん?カズマは何をやっているんだ?』

 

『カズマ、何か用なの?』

 

『お二人で何かをするのですか?めぐみんが爆裂魔法撃つだけですよね?』

 

『フフ、驚くといいです!カズマ始めますよ!』

 

『おう!』

 

『『エクスプロージョン!!』』

.

 

 

 

 

『めぐみん、俺はお前のことが好きだ!』

 

『…カズマ…あの、そういうことなので帰りましょう!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…。」

 

俺とめぐみんは無言のまま、立ち尽くす。

コロナタイトの爆発で、此処はすっかり変わり果ててしまった…。

 

草原に穏やかな風が吹き抜け、透き通った湖はキラキラとした水面から魚が跳ねる。

 

そんな風景は見る影もなく、焼き爛れて剥き出しになった地肌と泥塗れの湖…

丸焦げになって横倒しにされた木々。

 

乾いた冷風が通り抜け一層寂しさを増していた。

 

俺は湖に足を運び、しゃがみ込む。

 

「…『ピュリフィケーション』…『ピュリフィケーション』…『ピュリフィケーション』…」

 

「カズマ……。」

 

「…『ピュリフィケーション』…『ピュリフィケーション』…『ピュリフィケーション』…」

 

「カズマ、もう止めて下さい。」

 

後ろからめぐみんが、優しく抱きしめてくる。

めぐみんの優しさに俺は、溢れてくる感情を止められなかった。

 

「う、うぅ…、めぐみん、めぐみん!」

 

俺は涙を堪える事が出来ず、めぐみんの胸の中で泣いてしまった。

 

「大丈夫ですよ、自然と言うのは強いのです。きっと来年には…元…に…。」

 

めぐみんも涙を流しながら……それでも俺を励ます為に笑顔を絶やさずに…

 

「湖の…浄化は、あアクアに、…頼みましょう?…きっと、引き受けて、…くれます、よ。」

 

優しい声で俺に語りかけ、強く抱きしめてくる。

ああ…、自分が情けなくなる。

めぐみんだって、泣いているというのに、俺を気遣って…

俺が何時までも泣いているわけにはいかない。

 

「めぐみん、ありがとな…、やっぱりお前は俺の最高の”相棒”だよ。」

 

顔を上げて、めぐみんを真っ直ぐに見据える。

めぐみんは涙で顔をくしゃくしゃにしていたが、それはきっと俺も同じだろう。

 

「…何当たり前な事を、…言っているんですか…。

私達はこれからも何があろうとずっと相棒同士ですよ。」

 

めぐみんはそう言って、俺に笑顔を見せてくれた。

 

暫く二人で抱き合い、俺達が落ち着く頃にはそれなりの時間が経過していた。

 

気持ちが幾分か軽くなった俺は、改めて湖畔を見回した。

 

「…だけど、残念だな。…此処は俺達の思い出の地なのに。」

 

「そう、ですね。…でも、カズマ。それ(思い出)はこれからも作れるんですよ。」

 

「分かってるよ…。だけど…」

 

「…実は後悔している事が、あるんです。」

 

「ん?」

 

「カズマは以前、此処で告白をしてくれました。ですが私が応えたのは宿に戻ってからでした。」

 

あの時か、何だよ、やっぱり後悔してたんじゃないか。

 

「カズマ、提案があります!」

 

「何だ?」

 

めぐみんが何を言うのか、大体察しはついている。

 

「あの時の告白を、今此処でやり直してくれませんか!?」

 

やっぱりな…

 

俺は立ち上がり、めぐみんを真っ直ぐに見据える。

すると、めぐみんも立ち上がり、佇まいを直した。

 

俺もあの時は、めぐみんの顔をちゃんと見て言えなかったからな、やり直すのは十分アリか。

そう思い、俺は息を大きく吸い込む。

 

「めぐみん!俺はお前の事が好きだ!!」

 

背負っていたあの時とは違い、今回はめぐみんの目を見ながら高らかに宣言する事が出来た。

 

「…!!?」

 

この後、めぐみんは俺に返事を返すのだろう。

そう思って見ていたら、めぐみんはプルプルと震えだした。

 

「か、カズマ!ずるいですよ!!以前のと違うじゃないですかっ!?

急に男らしくならないで下さい!!その、か、カッコ良かったですけど…調子が狂ってしまいます!!」

 

慌てて顔を真っ赤にしているめぐみんを見ていたら、嗜虐心がくすぐられた。

 

「台詞は変えていない筈だぞ?さあ、めぐみん!返事をはよう!」

 

ニヤニヤしながら返事を待っていると、めぐみんが当然の如く怒り出した。

 

「こういう時にからかうのは無しですよ!カズマのそういう所が嫌いです!!」

 

「お前だって俺をよくからかってたじゃねえか、それにあの日はこんな感じで始まらなかったか?」

 

確か朝からめぐみんをからかってたら、機嫌損ねたんでデートに行ったんだよな。

懐かしいな…たった数ヶ月前の出来事なのに、随分昔の様に感じる。

 

「…確かにそうでしたね。ではデートに行くのですか?」

 

不機嫌そうにめぐみんが聞いてくる。

 

「其れも悪くは無いけど、流石に時間がねえよ。」

 

皆は、祝勝会を開くために一足先にアクセルに帰った。

 

今回の主役は、デストロイヤーを真っ二つに割っためぐみんだ。

つまり、俺達が帰らないと、祝勝会を始められない。

あまり遅れるとアクアやダストあたりがごねだすだろう。

 

「むぅ、ならもう一度やり直しです!今度はふざけないで下さいね。」

 

…おかしいな、確かに途中から調子には乗ったけど、最初は真面目にやった筈なんだが。

 

俺は先程の様にめぐみんを真っ直ぐに見据え、めぐみんの目を見ながら高らかに宣言をする。

 

「めぐみん!俺は!お前の事が好きだ!!」

 

これで三度目なんだが…、恥ずかしいというより、芝居をしている様な気分になってくる。

まぁ、ある意味は芝居か。過去の自分を演じるという意味では。

 

「…私もカズマが大好きですよ。」

 

あの時は不意討ちでキスをされたっけ、今回はしないつもりか?

なら…

 

「か、カズマ!?」

 

「今度は俺からだ。」

 

俺はめぐみん抱き寄せ、口を吸う。

 

「…ふぅ…れろ…ちゅ…んん」

 

思い出の作り直しか、やっぱり悪くはないかもな。

 

皆が待っている事を忘れ、俺達は夢中になって口付けを交わし続けた。

 

 

 

―――――――――――…

 

 

 

 

 

 

 

 

「やべえ!皆絶対怒ってるぞ!!」

 

「カズマの所為ですよ!!私は途中で思い出したというのに、放してくれなかったんですから!!」

 

祝勝会の事を思い出し、慌ててアクセルに戻ってきた。

そして今はギルドに向かって走っている。

 

「あー、アクアやダストが煩いだろうなぁ…。」

 

「いっそ、先に始めてくれていればいいのですが、ダクネスが許さないでしょうねぇ。」

 

「あいつのクソ真面目な所は美点だと思うけど、融通が利かな過ぎなんだよな。」

 

「ですね、あ!ギルドが見えてきましたよ!」

 

俺達は慌ててギルドに入る。

 

「いらっしゃいませー!…あ!カズマさん達が戻ってきましたー!!」

 

顔馴染みのウェイトレスのお姉さんが、俺達に気づいてギルド側に声を掛けた。

すると、ルナさんがちょむすけを抱いて俺達の元へ駆け寄ってくる。

 

「ルナお姉さん、ちょむすけの面倒を見てもらって、ありがとうございます。」

 

急な遠征となった為、めぐみんはちょむすけをギルドに預けていた。

 

「ええ、それは良いのですが…お二人とも、早く屋敷に戻ってください!」

 

「「え!?」」

 

祝勝会ってギルドでやるんじゃなかったのか?

 

訳も分からず、とりあえずお礼だけを言って、その場を後にした。

 

「一体何なんだ?急に会場が変更になったのか?」

 

「とりあえず、戻ってみれば分かるのではないですか?」

 

それもそっか。

 

「じゃあ、戻るぞ。ちょむすけは俺が抱いて行くよ。」

 

「お願いします。」

 

ちょむすけを抱きかかえ、俺達は屋敷に向かって走っていった。

 

 

―――――――…

 

 

 

 

「あれ?何か屋敷の前に人が集まっているぞ?」

 

もしかして、デストロイヤーの破壊を聞きつけて、集まってきた俺達のファンか何かか?

そう思うと、悪い気はしないな!

 

だが、そんな連中ではないと言う事を、すぐに知る事になる。

 

「あ!二人とも!戻ってきたのね!!」

 

珍しくアクアが俺達を出迎えた。

 

「何だよ、宴会なら先に始めていれば良かっただろ?」

 

「それどころじゃないわよ!!カズマ!大変なのよ!!」

 

アクアはそう言って、俺達の手を引く。

 

「ちょ!如何したんですか、アクア!?」

 

俺達は訳の分からぬまま、アクアに引かれて屋敷の前までやってくる。

そこで全てを察する、アクアが慌てていた訳も、人が集まっている理由も…

 

「なんじゃこりゃー!!?」

 

きっと俺は、相当混乱していただろう、おそらく湖畔にいた時よりも…。

 

「私達の屋敷が…!?」

 

俺達の屋敷は酷い有様だった。

 

玄関の扉は破壊されていて、窓も割られていた。

この様な状態では、中も相当酷い状況だという事は、容易に想像が出来る。

 

「な、何で?」

 

正直訳が分からない、何でうちがこんな状況になっているのか。

泥棒でも入ったのか?いや、そもそも屋敷を空ける時はアクアが結界を張っている。

俺達が在宅中なら兎も角、防犯用の結界が張ってある時は中庭にすら入れない筈だ。

 

「荷物を置きに戻ったらこの有様だ。今は屋敷の中を警察が調べているが犯人の痕跡が見つかるかどうか。」

 

ダクネスは苦い表情をしながら話す。

これだけの有様で何にも痕跡がないのかよ…。

 

「それと、目撃情報もなかったみたいなんです、

これだけあちこちが壊されているのに、

近所の人は破壊音すら聞いていないらしいです。」

 

「ちょっと待て!それは流石におかしくねーか?」

 

この郊外もそれなりに人が住んでいる。

それなのに目撃者どころか、何も聞いてないなんて事があるのか?

さっきの野次馬連中はかなりの人数がいた、

全員が近所の人間ではないにしろ、態々此処まで足を運ぶ連中だ、

住んでいる所は遠くないだろう。

 

「サトウ殿、めぐみん殿、戻られましたか。」

 

屋敷の中から険しい顔をしたクレアとレインが出てきた。

 

「すみません、カズマさん!この町の警察と連携して調査をしたのですが、

犯人の足取りはおろか、痕跡すら見つけられませんでした。」

 

「そ、うですか…。」

 

そんな事があるわけがない!これだけの惨事で何も証拠が出ないなん…て…

 

…そんな話を以前、クリスから聞いた筈だ。

 

俺が考え込んでいると、レインが思い出したように口を開く。

 

「あ、カズマさん。部屋の扉に魔法を掛けたりしましたか?」

 

「ん?ああ、作業部屋にロックの魔法を掛けてましたね。」

 

悪戯で中に入られたら困るので、それなりの魔力を使った術式で魔法を掛けていた筈だ。

まさか、其処も入られたのか!?

 

「…解呪(ブレイクスペル)魔法を掛けられていたんですか?」

 

「いえ、魔力で無理やり術式を破壊した様です、中も酷い有様でした。」

 

「!?」

 

「あ、カズマ!待ってください!!」

 

俺は扉の前にいたクレア達を押し退け、作業場に走った。

 

そして無言で部屋に入ると、隠しておいた指輪を探す。

 

「…ない!?嘘だろ!?…こんな事って!!?」

 

「さ、サトウ殿!急に如何されたのですか!?」

 

俺の行動に驚いて、その場に居た仲間達もクレア達と共に追いかけてくる。

 

「カズマ…?如何したんですか…。顔色が悪いですよ。」

 

「無いんだよ…俺達の銘が入っている…指輪が…」

 

「ちょっと!もしかして、それって二人の結婚指輪!?」

 

アクアが食い気味に聞いてくるが、今はそれどころじゃない。

 

「か、カズマ…私達の指輪というのは…。本当ですか?」

 

ショックが大きすぎて俺は、めぐみんの声すら耳に届かなかった。

 

「めぐみん、ごめんね、私は知ってたんだ。

カズマさんが結婚指輪を買っている所を、偶然見ちゃったの。」

 

「そ、そうなのですか。…カズマ。」

 

一日に2度も耐え難いショックを受けて、俺は放心していた。

 

皆もそんな俺に、如何声を掛ければいいのか分からないのか、誰もが口を閉ざしていた。

 

そんな中、静寂を破るように大勢の足音が聞こえてくる。

 

「あ!こんな所にいたのかよ!」

 

「カズマ達も戻って来ていた様だな。」

 

「クレア様、僕達も手分けして周辺住民に聞き込みを行いましたが、

やはり目撃者も何かを聞いたという人も居ませんでした。」

 

…………。

 

痕跡が無い?証拠も出ない?誰も見てない?誰も聞いてない?

 

放心状態だった俺は、沸々と怒りが沸き、唐突に立ち上がる。

 

「か、カズマ!?如何したんですか!?」

 

「皆に話がある。クレア、関係ない奴らを帰らせろ。」

 

「お、おい!カズマ!失礼だぞ!!」

 

ダクネスが俺を咎める。

 

「い、いえ、それはいいのですが…誰を残すのですか?」

 

クレアの言葉に、俺は息を一つ吐いて答える。

 

「”ベルディア”討伐メンバーとウィズ、クレア、レインだ。」

 

「わ、分かりました!」

 

俺の言い方が悪かったのか、クレアの表情が青くなる。

そしてクレアは、警察や外にいる野次馬連中を帰らせる為に動いた。

 

「それとダクネス!クリスを呼んで来てくれるか?」

 

「く、クリスか。すまない、この時間は何処に居るのかが分からなくてな。」

 

クリスを呼ぶのは無理か、仕方ない。あいつには後で謝るとしよう。

 

「あの、実はもう一つ報告したい事が…。」

 

「…どうぞ?」

 

成るべく怖がらせない様に出来る限り落ち着いたトーンで話す。

 

「先程はカズマさんが急に此方に来てしまったので言えなかったのですが、

どうも、この屋敷内で何者かが追い回されていたようです。」

 

ん?如何いう……!!?

 

「アクア!!アンナは無事か!?」

 

「え?…あっ!?」

 

「あの時の幽霊少女!?そうか!あの子なら犯人を見ているかもしれないね!!」

 

たとえ見ていなくても、この状態じゃ安否が気になる。

 

「ねえ、ウィズ、貴方はアンナの居場所は分からない?

さっきから気配が小さくて、私には感じ取れないのよ。」

 

「すみません、アクア様!私も同じです!彼女の気配が小さすぎて…。」

 

「兎に角探すわよ!!ダクネス!貴方はアンナが見えるわね?めぐみんを連れて探して頂戴!!」

 

「ああ、分かった!めぐみん行くぞ!」

 

「分かりました。ちょむすけ、貴方もアンナを探してください!」

 

めぐみんがちょむすけを放すとダダーっと何処かに走り去ってしまった。

 

「じゃあ、ゆんゆん行くわよ!ウィズ貴方は二階を探しなさい!!」

 

慌ててアンナを探すアクア達を呆然と見ていたリーンが口を開く。

 

「ねえ、カズマ幽霊少女って?」

 

「一体何の事だ、カズマ。」

 

「この屋敷には少女の幽霊が棲み付いているんだ、テイラー達も探すのを手伝ってくれ!」

 

「…だが、幽霊となると見えないんじゃないか?」

 

「アンナが近くに居れば、違和感か悪寒が走るさ!其れを感じたらアクアか俺を呼んでくれ!!」

 

「わ、分かった!行くぞ!皆!!」

 

「うへえ、今度は幽霊かよ!?」

 

「お、襲ってはこねえよな!?」

 

テイラー達も屋敷内を探し始める。

 

「フィオ!クレメア!僕達も手分けして探そう!!」

 

「え、ええ。」

 

「わ、分かったわ。」

 

あの時の事で、アンナがトラウマになっているだろう二人も、ミツルギの指示で探し始める。

 

「か、カズマさん。これは一体?」

 

一人理解が追いついていないレインが俺に問いかける。

 

「目撃証人が出るかもしれないんだ!レインも探してくれ!!」

 

「え、ええ!わ、分かりました。」

 

多少狼狽しながらレインも協力をしてくれた。

 

クソ!次から次へと問題が起こりやがって!!

 

色々あったが俺にとっては、アンナはもう一緒に住む家族みたいなものだ。

アンナ!無事で居てくれよ!!

 

 

――――――…

 

 

 

 

 

 

アレから30分程過ぎた、戻ってきたクレアにも捜索を頼んで、

屋敷中を探し続けていたが、未だにアンナは見つからない。

 

「ね、ねえカズマ、アンナが消えちゃってたらどうしよう…。」

 

アクアは泣きそうな顔で心配していた。

 

うちのパーティーはダクネスが多少酒を飲むぐらいで、俺達はそれ程飲まない。

そもそも、めぐみんやゆんゆんは酒に弱く。直ぐ潰れるのでアクアの相手が出来ない。

唯一アクアと飲めるのがアンナだけなので、女神と幽霊という立場ではあるが、二人は仲が良かった。

 

「もう探す所が無いぞ?一体アンナは何処へ行ったんだ?」

 

一体何処に行ったんだ?

俺がアンナの墓を見つめていると、上から猫の鳴き声が聞こえてきた。

 

「ん?ちょむすけか?」

 

見上げると、ちょむすけが屋根の上で何かに向かって鳴いていた。

 

「…まさか!?」

 

「え?如何したのよ、カズマ?」

 

俺は身体強化魔法をフルに使ってアクアに叫んだ。

 

「アクア、フル支援を掛けろ!屋根の上にいるかもしれねえ!!」

 

「!?分かったわ!!」

 

アクアのフル支援を受けて、二人で屋根まで駆け上がる。

ちょむすけの傍へいくと、今にも消えてしまいそうなアンナが居た。

 

「「アンナ!?」」

 

俺達は慌ててアンナに駆け寄った。

 

「ど、どうしよう!?カズマ!!このままじゃアンナが消えちゃう!!」

 

どうしようって言ったって…

 

「あ!」

 

俺はアンナの胸元に手を置く。そしてありったけの魔力を込めた。

 

「『ドレインタッチ!!!』」

 

俺はアンナにありったけの魔力を注ぎ込む。

 

「戻って来い、アンナ!!消えるんなら、ちゃんと満足してから成仏しろ!!」

 

こんな所で魂滅(しょうめつ)なんて許さねえぞ!!

 

ドレインタッチで根こそぎ力を送った俺は、視界が暗転してその場に倒れこむ。

 

「ちょ!カズマ!!」

 

……

 

気が付くと俺はアクアの胸の中に居た。

 

「あ、カズマ気が付いたのね。アンタ無茶しすぎよ、屋根から落ちそうになったのよ。」

 

そうか、アクアが助けてくれたのか。

 

「あ、あんなは?」

 

体力を使い果たしたからか、喋るのが億劫だ。

 

「アンナは持ち直したわ。カズマ、アンタのお陰ね!」

 

良かった。アンナは無事だったか。

…さて、この状況を如何しよう?これめぐみんに見られたらヤバくね?

直ぐに離れるべきなんだが、体力を使い果たした俺は、動く事が出来ない。

別に、頬に当たっている柔らかい物の感触が心地良いからと、動きたくないと言う訳ではない。

…しかし、めぐみんには無いこの感触は…

 

「ねえ、カズマさん。アンタ今すっごい下衆い顔しているわよ。」

 

「い、いや、そんなこと、ねーだろ?」

 

「ちなみに言っておくけど、めぐみんが下から見ているからね。」

 

!?

 

アクアの台詞を聞いて俺は固まってしまった。

 




デストロイヤー討伐を終えたカズマ達ですが、
新たな事件が起こったようです。

まあ犯人はバレバレでしょうけどね。
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