このすば カズマが冷静で少し大人な対応ができていたら。   作:如月空

39 / 74
緊急会議

「先程は、何やらお楽しみの様でしたが、何か弁明はありますか?」

 

アクアからドレインタッチで魔力を貰い、何とか地上に降りてきた所でめぐみんに阻まれた。

 

「いや、アレは不可抗力なんだよ!?アンナがやばかったから咄嗟に全魔力を送ったんだ。

そしたら、一瞬気を失っちまってさ、アクアが抱き止めてくれたんだよ。」

 

確かにラッキースケベな状態だったが、あくまでも不可抗力だ!!俺は悪くねえ!!

 

「私が気にしているのは、其処ではありませんよ。

ふらついたカズマを、アクアが抱き止めたと言うのは、

私も見ていましたから……問題はその後です。」

 

「い、いや、すぐ退こうと思ったんだけどさ!体力もごっそりなくなってて、動けなかったんだよ!!」

 

よし!これで完全論破だ!!

 

普段から魔力切れで倒れているめぐみんには、俺が言っている事を理解出来る筈だ!!

そう!仕方の無い状態だったのだ!!

 

「やはりカズマとは論点がずれている様です。良いですか、カズマ?

私は何も、カズマがアクアの胸に顔を埋めていた事を、怒っている訳ではありせんよ?」

 

「あれ?絶対この事だと思ってたのに…。」

 

「私はそんな事を気にするような、小さい女じゃないのです!!」

 

…小さいだろ?色々と…

 

「言いたい事があるのなら、はっきり聞こうじゃないかっ!!」

 

「いや、その…色々とごめんなさい!!」

 

めぐみんの迫力に気圧され、つい謝ってしまった。

 

「はあ、もう良いです。スケベ男(カズマ)のやる事を一々気にしていたら此方の身が持ちません。」

 

めぐみんは思いっきり溜息を吐く、そして屋根を上を見上げた。

 

「それで、アンナは無事だったんですか?」

 

「え?ああ。アクアの話だと、何とか持ち直したってさ。

見つけた時は吃驚したぜ、なんせ消えかかっていたんだからな。」

 

「…それにしても、腑に落ちない点が多いですね。」

 

「そうだろうな。」

 

「カズマは心当たりがあるのですね。」

 

「まだ、確証があるわけじゃねーけどな。兎に角、皆をリビングに集めてくれ。」

 

「分かりました。ちょむすけ!行きますよ!!」

 

 

 

―――――――――――…

 

 

 

 

 

 

 

 

アクアを除くメンバー全員がリビングに揃う。

 

「で?話って何だよ?」

 

「悪い、アクアが戻るまでもう少し待ってくれ。」

 

「…仕方ねーな!」

 

ダストは舌打ちをしながら椅子に倒れこむ。

 

それっきり誰もが口を閉ざし、アクアが戻るのを待った。

 

「おまたせ!!」

 

アクアが勢いよく扉を開けて入ってきた。

そして、そのまま俺の隣の席に座る。

 

「アクア、アンナの様子は如何ですか?」

 

「一応私の部屋で休ませているけど、もう平気よ!」

 

「それで、アンナは何か覚えていたか?」

 

「ええ!あの子から侵入者のイメージ映像を見せて貰ったわ!」

 

「マジか!?」

 

「マジよ!!カズマ、紙とペンを用意してもらえる?」

 

「ああ、作業部屋に少し残っていたから、取ってくる!!」

 

アンナの奴、優秀すぎるだろ!

この事件が片付いたら、高い果実酒でも大量に買って、供えてやろう。

 

作業部屋に残っていた紙とペンを全て持ち出してリビングに戻る。

 

「ほら、これでいいか?」

 

「何かヨレヨレねえ、まあ、この際贅沢は言ってられないわね。」

 

文句を言いつつ、アクアは二枚の紙に、手早く侵入者の絵を描いていく。

 

一人は無表情ながらも、顔の整ったローブ姿の青年。

 

そして、もう一枚の紙に描かれた人物を見た瞬間、三貴族が声をあげた。

 

「「「アルダープ!?」」」

 

…こいつがアルダープか。

犯人は思った通りだが、幽霊の証言じゃ裁判には勝てないよな。

だがそれよりも、今は気になる事がある。

 

「…もう一人の男は誰だ?」

 

そう言って、俺はダクネス達を見る。

 

「知らない男だ…。すまないカズマ。力に慣れなくて…。」

 

「いや、気にするな。クレアは見覚えあるか?」

 

「私も見覚えがありませんね。…レインは如何だ?」

 

「いえ、私はあの方とは基本的に接点がないので…。」

 

この三人が知らないと言う事は、少なくても表舞台には出てこない奴だろうな。

アルダーブの裏の側近か、もしくは懐刀といった所か?

 

「カズマ、もう一つ気になる事があるのよ。」

 

「ん?この件に関わる事でか?」

 

「ええ、単刀直入に言うけど、この屋敷から…。」

 

「ちょっと!何これ!?誰か居る!!」

 

アクアの言葉を遮るように、玄関から声が響く。

 

「この声はクリスか?」

 

「その様だ、カズマ、迎え入れても良いか?」

 

「ああ、元より呼ぶつもりだったからな。」

 

「ん、分かった。呼んで来よう。」

 

さて、クリスには口止めはされていたが、この状況じゃ閉口は出来ない。

神器の件は兎も角、他の事に関しては話すべきだ。

その為にはクリスを何とか説得しねえとな。

 

「サトウ殿、そのクリスと言う者は?」

 

「ダクネスの親友で、俺にとっても友人の一人だよ。」

 

「そうですか…。」

 

「ねえ!ダクネス!この惨状は何?一体何があったの!?」

 

「リビングにカズマ達がいる、そこで聞いてくれ。」

 

「よう、クリス!調子はどうだ?」

 

リビングの扉を開けたクリスと目が合ったので、俺はクリスに声を掛ける。

 

「あ!カズマ君!この惨状は何なの!?」

 

そう言いながらクリスが俺の元に駆け寄って来る。

 

「俺達の留守中に屋敷が襲撃されたんだよ。んで犯人はこいつらだ。」

 

俺はテーブルの上にある、似顔絵をクリスに見せるとクリスは驚愕した。

 

「…アルダープじゃない!?如何いう事?痕跡が残っていたの?」

 

「目撃者がいたんでね。消されかけていたけど、今は何とか持ち直したんだ。」

 

「そっか、その人は助かったんだね。それにしても精巧な絵だね。」

 

「ふふん!私に掛かれば当然よ!!」

 

「あ、アクア…さんが描いたんだ。」

 

クリスが感心するように絵を眺めていた。

 

「とりあえず、話を進めよう。クリスも良いか?」

 

「うーん、…わかったよ。」

 

「で、アクア、さっき言いかけていた事は何だ?」

 

「あ、うん。帰ってきた時の事なんだけど、

屋敷の中から強烈な悪魔の臭いがしたのよね。」

 

「悪魔!!??」

 

椅子に座ろうとしていたクリスが、悪魔と聞いて急に立ち上がる。

 

「もしかして、この絵の男!?」

 

「え、ええ。多分そうよ?私の結界を破壊してるし、間違いはないと思うのだけど。

…ただ、そうなると強力な悪魔である可能性が高いわ、ね…。」

 

クリスがどんどんアクアに詰め寄る、その圧に負けたアクアは涙目で身を引いていた。

 

「悪魔は滅ぼさなきゃ!!すぐにでもアルダープの屋敷に行こう!!」

 

俺達は誰一人として、クリスのテンションに付いて行けず、呆然と成り行きを見守っていた。

 

「い、いや!ちょっと待てよ!クリス!!手順を踏まないとこっちがお尋ね者だぞ!?」

 

「何言ってるんだよ!カズマ君!!悪魔だよ!?悪魔はすぐに滅ぼさなきゃ!!

私の世界であいつらの好きにはさせないよ!!」

 

「私の世界って、お前な…。」

 

「…あ!…今のは違うの!ちょっとした言葉のアヤだから!!」

 

「とりあえず、話を進めたい。だから一々興奮するのはやめてくれ!」

 

「うっ!分かったよ。」

 

クリスはもう少し冷静な奴だと思っていたから、少し意外だ。

まさか、ここまで憎悪を撒き散らすとは…。

 

先ずは情報を整理しよう。

 

「今回の事件は、アルダープが犯人という事で間違いはないだろう。

ただ、厄介なのは奴が貴族だと言う点と、アクアの結界を破壊しちまうような化け物を飼っている事だ。」

 

「私とダスティネス卿の連名で、王都に報告すれば調査団を派遣する事が出来るとは思いますが。」

 

「…無理だね、今までの事件を考えれば、何かしらの手段を使って罪を逃れようとするんじゃないかな?」

 

「…クリスとやら、随分詳しいのですね。」

 

「職業柄というか、そこは深く追求しないでくれるとありがたいかな。」

 

「クレアすまん、悪い事をしているわけじゃないから見逃して貰えるか?」

 

「…サトウ殿がそう仰るのでしたら仕方ありませんね。」

 

やっぱり、全部話して協力してもらった方が良いんじゃないか?

まぁ、女神の使徒だなんて、信じてもらえるかわからねえけど。

 

「話を戻そう。クリスが言った通り、俺も正規の手段では無理だと思っている。」

 

「では、如何すると言うのです?」

 

さて、如何する?神器の話を出してもいいが、物が物だけにあまり広めるのは不味いんだよな。

今回の事件に神器が関わっているのなら、噂が広まり模倣犯が現れる可能性もある。

ここは、別の切り口から攻めるべきか。

 

「…その前に聞きたい、アクアの言う通りローブの男が悪魔だったとしよう、

それなら、アルダープは悪魔を使役している事になるが、これは許される行為なのか?」

 

「そんな事が許される訳が無いだろう!?」

 

「本来、民を護る筈の貴族が、私利私欲で悪魔を使役して、

民を傷つけているとなれば、此れは国家に対する反逆と同意です。

白日の下に晒されれば、アルダープは極刑になるでしょうね。」

 

「レインの言うとおりです。ですが、如何なさるつもりです?」

 

「…アクア、分かる範囲で良いから答えろ。その悪魔は以前戦ったホーストより上か?」

 

「…そうねぇ、魔力の残滓からしておそらく…。」

 

クソ!思っていた以上に強敵じゃねえか!?

ホーストクラスであれば、今の俺なら何とか耐えられると思ったんだが…。

 

「…当てが外れたようですね。カズマは如何するつもりだったのです?」

 

「ホーストぐらいの強さであれば、俺が奴の屋敷に潜入して引っ張り出そうと思ってたんだが。」

 

「成程、使役している姿を、白日の下に晒すと言う訳ですか。

危険ではありますが、それなら確実でしょうね。」

 

「ああ、それを権力者である三人が目撃する事によって、言い逃れの出来ない状況にしたかったんだよ。」

 

最悪テレポートで逃げる事は出来るだろうが、その場合、ただ此方がお尋ね者になるだけだ。

 

「…サトウ君ちょっと良いかな?」

 

「ん?何だ?ミツルギ。」

 

「ここには戦力が揃っている。それもアクセル一、

いや、連携や実績を省みれば王国一と言ってもいい。

僕達がすぐに参戦するのなら、戦えるんじゃないかな?」

 

「ちょっと待てよ!優男!!

何で俺達までそんな危険を冒さないといけねえんだよ!!」

 

「サトウ君が、態々僕達を残した理由だよ。

この分だと、ベルディアの報酬はアルダープが握っているんじゃないかな?」

 

「ぐっ!」

 

「サトウ君、どうかな?」

 

「それは…下手したら全員揃って、お尋ね者だぞ?」

 

「そんな事は私達がさせませんよ。件の悪魔が出てこなくても、

私のシンフォニア家とダスティネス家、双方の力を持って無実を証明しましょう。」

 

「…良いのかよ?家名に傷がつく事になるぞ。それにダクネスも良いのか?」

 

「私の事なら、気にするな。そもそも私には過ぎた家名だ。

それに家の者も、奴を嫌っている者が多い。

何せ、私が幼少期の頃から、結婚を迫っていた様だからな。」

 

…は?幼少期ってどんだけヤバイ趣味してるんだよ!?

いや、俺もあまり人の事いえねえような気がするけど、

流石に幼少期はないわー。

 

ガタ!!!!

 

俺達がドン引きしていると、急にクリスが立ち上がった。

 

「ど、どうしたんだよ?クリス?」

 

「思い出したよ!そうだよ!私はその件で来たんだったよ!!」

 

『はぁ!?』

 

「如何いう事だ、クリス?また、アルダープの奴が私に結婚を迫ってきたのか?」

 

「あ、いや、アルダープじゃないよ。それならダクネスのお父さんが断ってるでしょ。」

 

「そうだろうな。なら、相手は一体誰なんだ?」

 

「お見合いの相手は、彼の息子のバルターだよ。ただ、何かしら裏がありそうなんだよね。」

 

アルダープの息子か、親が親だし碌な野郎じゃねえんだろうな。

 

そんな事を考えていたら、クレアとレインの表情が明るくなる。

 

「ほう!バルター殿か!彼なら良いではないですか!」

 

「バルター様が相手でしたら、私が嫁ぎたいぐらいですよ。」

 

ん?…あれ?何か予想してた反応と違うんだけど…!?

 

「私は、あの様な男は願い下げだ!」

 

あれ?如何いう事だ?

クレア達の反応を見る限り、アルダープの息子は好印象っぽいんだが…?

 

俺が困惑していると、クリスが俺の横に来る。

 

「えっとね、バルターって人は品行方正で正義感が強く、領民や配下に好かれている好青年で、

その上、非常に努力家でもあって、最年少で騎士に叙勲されたような人なんだよ。」

 

「は?何だ其れ?ただの完璧人間じゃないか?

ああ、あのアルダープの息子だし、容姿に問題があるのか?」

 

「とんでもない!?アルダープとは似ても似つかない程の美青年だよ。

噂じゃ、親子としてのつながりはないって話だし。」

 

…えっと…

 

「それなら、何でダクネスはあんなに嫌っているんだ?」

 

「……。」

 

そう問いかけると、クリスは顔を逸らした。

 

本当に如何言う事だよ?

 

「大体だな!バルターの奴は貴族として足りない所が多すぎる!!

何だ?領民に慕われる貴族?ハッ!貴族なら貴族らしく卑しい笑みでも浮かべていろ!」

 

「お前が何なんだよ!!?」

 

ダクネスのあまりな言い分に、思わず俺は突っ込みを入れてしまった。

 

っというか、アレか…ダクネスの特殊性癖の所為か。

 

見ればクレアやレイン、そして他の連中もドン引きしていた。

 

「…ゴホン!それで今後の方針なんだけど…。」

 

「え!?サトウ殿、ダスティネス卿の事は宜しいのですか!?」

 

「知るか!!そんな事よりアルダープだ!……ちょっと待てよ?」

 

「如何したんですか?カズマ。」

 

「あ、いや…何でこのタイミングで、縁談っていうか見合いの話が挙がったんだ?」

 

「そう言われればそうですね。今回の襲撃がアルダープだとしたら、

このタイミングで話を持ちかけるのは可笑しいですよね?

自分は疑われないとでも思っているのでしょうか?」

 

その可能性もなくは無さそうだが…

 

「一旦話を戻そう。先ずは悪魔を引っ張り出すという作戦だが、かなり危険が伴う。」

 

俺は皆に視線を送る。

 

「良いぞカズマ、こうなったら俺達も最後まで付き合うぞ。」

 

「僕達は勿論参加するよ。言い出したのは僕だしね。」

 

ダストは嫌そうな顔をしていたが、他の連中は覚悟を決めたみたいだ。

 

「私達も勿論協力致しますよ。予測通りであれば、アルダープは国家の反逆者になりますから。」

 

正直、権力者の後ろ盾はありがたい。

後は実行者として…

 

「クリス、奴の屋敷に潜入するつもりなんだが、手伝ってもらえるか?」

 

「え…?うん、いいけど。」

 

これでクリスも合法…ではないが、後ろ盾有りで潜入が出来る。

 

「ウィズはどうする?」

 

「…話を聞いてしまった以上、選択肢はないと思いますが…?」

 

「あー、すまん。よくよく考えたらウィズは関係なかったんだよな。」

 

まずったな、つい残しちまったけど、ウィズとアルダープは因縁がないんだった。

 

「あの、クレア様!大丈夫ですよね!?お店とか潰されてしまったら、私本当に困るんです!!」

 

「え、ええ。ウィズ殿。我々が総力を持って事に当たりますので!!」

 

「…後はダクネスの件か。クリス見合いは何時なんだ?」

 

「明日だよ、明日のお昼。」

 

「えらく急だな、まあ早いに越した事はないか。」

 

今夜中に色々準備が必要か。

 

「ダクネス、悪いが見合いには行ってくれ。」

 

「むう、何だカズマは、私に嫁げとでも言うのか?」

 

「断りたいなら断っても良いさ、ただ、あちらの真意を探りたい。」

 

「むう、仕方ない…。」

 

「ミツルギやテイラー達は一度帰って、体力の回復に努めてくれ。明日は夕方頃に集合だ。」

 

「ああ。」「分かったよ。」

 

「ダスティネス卿、私達は其方に泊まっても宜しいですか?」

 

「ああ、構わない。大した持て成しは出来ないが。」

 

「それは結構ですよ、本来であれば此方で持て成す筈だったんですから。」

 

クレア達はダクネスの所か、下手な場所に泊まるよりは安心できるな。

 

「クリス、今晩は付き合え。下見に行くぞ!」

 

「うん、分かった。」

 

「めぐみん達は三人で行動しててくれ。」

 

「分かりました、カズマ…あまり無茶しないで下さいよ?」

 

「分かってるよ、今日は無理するつもりはないぞ。」

 

明日はすることになるだろうけどな。

 

「じゃあ、今夜は解散だ。こうなった以上は各自、周辺には気をつけてくれ。」

 

俺達の平穏は、何時になったら取り戻せるんだ?

 

 




次から次へと新たな問題が出てきて、大混乱なカズマさん達。
平穏は何時やってくるのかという所で、次回に続きます。

構想は全部終わってるのに、文章に起こせない自分がもどかしい…。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。