このすば カズマが冷静で少し大人な対応ができていたら。   作:如月空

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結成!爆裂コンビ!

昼過ぎに、めぐみんと合流した俺はそのまま昼食を取り、

掲示板の前で依頼を探していた。

 

「ジャイアントトード25匹討伐で50万か…随分美味しい依頼だな。」

 

そんな俺の言葉にめぐみんは慌てて――

 

「今は丁度、繁殖期らしいですので下手をすればもっといますよ!?流石にやめませんか……?」

 

「んー、なぁ、めぐみん。めぐみんの爆裂魔法の射程と効果範囲はどんなもんなんだ?」

 

そんな俺の質問に

 

「え?えーと…正確には計測してませんけど…射程は100…200メートル近くはあると思います。

効果範囲の方は20メートル以上はあります。」

 

「んー?一気には無理かー?まぁとりあえず、やるだけやってみようぜ?

やばかったら、テレポートで戻るからさ。」

 

めぐみんは目を丸くさせ

 

「カズマ!貴方!テレポートが使えるんですか!?」

 

「ん?ああ。後は一応上級魔法も使えるぞ?…っていっても制御がまだまだだけど。

一応…カースドライトニングは使えたし。」

 

「ふぁああ…アレ?カズマは冒険者ではなかったですか?」

 

「ああ、冒険者だぞ?でも自己紹介の時に言っただろ?…あらゆるスキルを操るって」

 

「そうでした!あの時はあまりのかっこよさに見とれてしまっ……」

 

突然、めぐみんは顔を俯かせ。耳まで真っ赤になってしまった。

 

「お、おお。その、ありがとな…」

 

そんなめぐみんの反応に、こっちまで顔を赤くしてしまう。

年頃の女の子から、好意を向けられたことがなかった俺は、簡単に意識してしまった。

 

「あー、とりあえずやってみようぜ?」

 

 

――――――……

 

 

 

 

 

 

今回の蛙討伐クエストは昨日とは別の場所だった。

そこへ向かう道中、俺はシミュレートした作戦をめぐみんに伝えていた。

 

「…よく、そんな作戦を思いつきますね。貴方ならではのやり方でしょうけど…

確かに上手くいけば一挙に討伐できそうですね。」

 

「まぁ、まだ頭の中での話だからなぁ……

やってみないことには…まだ、どうなるかは分からないんだけどな。」

 

「…そろそろ目的地点か。…めぐみん手を握っていいか?」

 

俺が突然そんなことをいうと、

 

「!!!なんですか!?急にセクハラですか!?」

 

と、顔と目を真っ赤にして、いきなりセクハラ発言してきやがった。

 

「なんでそうなるんだよ!ちげーよ!」

 

いきなりセクハラ認定されたので俺もちょっと声を荒げてしまった。

 

「……目的地が近いから潜伏スキルを使おうと思ったんだよ…

手を握るのが嫌なら俺の腕でもいいから掴んでてくれるとありがたいんだけど?」

 

そう言うと、めぐみんは慌てて―――

 

「す、すみません。いきなりだったので驚いてしまって………後、別に嫌ではないですから、その…手を握っていてくれませんか?」

 

急にしおらしくなり、もじもじしているめぐみんの態度と言葉に俺はキュンキュンしながら

自分でもわかるくらい、真っ赤になりながらめぐみんの手を取り、潜伏スキルを発動させる。

 

「…じゃあ、いくか…」

 

俺の言葉にめぐみんは頷き、顔を真っ赤にしたまま二人で進んでいった。

……えっと、俺ロリコンじゃなかったはずだよな?

 

 

―――――――――……

 

 

うへぇ、なんだよあの大群…

千里眼で確認した俺は、そんな感想を持っていた。

周辺を確認すると、小高い高台を発見した。

 

「…めぐみん、巣を一望できそうな高台を見つけた。とりあえずそこに移動するぞ。」

 

めぐみんが小さく頷き、俺もそれに返すように頷く。

俺達は巣を大回りするように高台まで移動した

 

「――――…」

 

めぐみんが息を呑み、少し震えながら腕に抱きついてくる。

俺は平常心を装い、カードを操作してテレポートの場所登録をする。

 

「…めぐみん、準備にはどれくらいかかる?」

 

「……はい、30秒ほどいただければ…」

 

「わかった。俺が下りたら合図を送るから詠唱を始めてくれ。その間にかき集める。」

 

「わかりました……カズマその、本当に気をつけてくださいね?」

 

未だ腕に抱きついたままのめぐみんは上目遣いで心配そうに話す。

そんなめぐみんの姿で俺は内心ドキドキしっぱなしになり……

それが切欠で、俺の中から恐怖心が消えてゆき、覚悟が決まった。

 

「じゃあ、行ってくるから、めぐみんもしっかり頼むぞ?」

 

「任せて下さい!」

 

そんなめぐみんの言葉に俺はニィっと笑ってみせると、めぐみんも笑顔を見せてくれた。

やる気は十分になった!

 

――――……

 

めぐみんから離れた俺は潜伏で移動し、支援を掛ける。

めぐみんに合図を送り、敵のど真ん中に突っ込む

 

「『フォルスファイア』」「『デコイ!』」

 

近くにいた蛙が一斉にこちらに突っ込んでくる…

その光景に、正直ちびりそうになりながらも俺は巣を旋回するように走り回る。

敵がある程度固まった所で―――

 

「『テレポート!』」

 

転移スキルでめぐみんの側に移動する。

 

「いけ!めぐみん!!」

 

俺の言葉に目を輝かせながら

 

「カズマ…感謝しますよ!」

 

めぐみんの周りから、魔力の奔流が見える。

七色の輝きが杖に収束していき――――

 

「『黒より黒く闇より暗き漆黒に我が深紅の混淆を望みたもう。

覚醒のとき来たれり。無謬の境界に落ちし理。無行の歪みとなりて現出せよ!

踊れ踊れ踊れ、我が力の奔流に望むは崩壊なり。並ぶ者なき崩壊なり。

万象等しく灰塵に帰し、深淵より来たれ!これが人類最大の威力の攻撃手段、

これこそが究極の攻撃魔法、『エクスプロージョン!!』」

 

暴虐、理不尽、これこそが破壊の象徴とも言える大魔法が――

巨大蛙の群れを飲み込んだ―――――

そして、同時にとなりにいた少女が崩れ落ち――

 

「めぐみん!っと…」

 

倒れる前に抱きかかえることに成功した。

めぐみんに肩を貸して、二人で蛙がいた場所を見る。

あれだけ居た蛙が、すべて飲み込まれていた。

あるものは消滅し、あるものは爆風に飲まれ…そこに動くものはなかった…

爆裂魔法は最強最大の攻撃魔法だ。

直撃しなくても余波だけで十二分にダメージを与えてくれたようだ。

 

「すげーな……!」

 

敵感知スキルに3匹程反応する。恐らく先程の轟音で他の魔物が寄ってきたのだろう。

俺は千里眼で確認すると

 

「どうやら蛙のお替りらしい。一旦下ろすぞ?」

 

俺はめぐみんに確認を取りながら地面に下ろし、新たな敵に向かう。

 

「…気をつけてくださいね?」

 

「もちろん!」

 

そう言って、俺は危なげもなくライトニングを使って蛙3匹を打ち倒した。

 

めぐみんがまだ動けないので

おんぶをすることになった。

美少女をおんぶって役得すぎない?

いや、俺はロリコンでは……自信なくなってきたんだが…

っていうか、めぐみん、俺に気を許しすぎじゃない…?

 

「めぐみん?苦しくはないか?」

 

「はい、大丈夫です。」

 

「じゃあ、テレポートするぞ?」

 

俺がそういうと、きゅっと強めに抱きついてきた。

しゅ、集中集中…これ結構、制御が難しいんだから…

 

「『テレポート!』」

 

――――――――――――………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はめぐみんを背負いながら、街を歩く。

 

「それにしても、まさかあの数を全部倒すとは思わなかったよ」

 

「フフフ、当然です!我が爆裂魔法は最強ですから!!

……と言いたいところですが殆どカズマのおかげですよ。」

 

「んー?俺は走り回ってただけだぞ?」

 

「…それだけでも危険な行為なのに、スキルを二重に使って囮をしてくれたじゃないですか…

カズマが上手くまとめてくれたので、これだけの戦果を得たんですよ。」

 

そう、めぐみんがいうように爆裂魔法の一撃だけで34匹という数を討伐していた。

10数匹が消滅し、余波と爆風で残りを倒したということだ。

 

「でも、上手くいってよかったよ。いやーこの方法は使えるな!

俺としては、これからも一緒にやっていきいんだけど……その…めぐみんはどうだ?」

 

「……聞くまでもないですよ…私を認めてくれた人は貴方しかいないんですから…」

 

そう言いながらめぐみんは強く優しく腕に力をいれる……

 

ああ、ダメだ・・・これで意識しないなんてできない…流石に10歳そこそこの女の子相手なんて…

そんなことを思っていたら、めぐみんは先程と違い乱暴に腕に力を入れて絞めてくる。

 

「今失礼なこと考えていませんでしたか?」

 

めぐみんが静かなトーンで話してくる。

 

「い、いや?特に考えてなかったぞ?」

 

やばい、もしかして俺が意識しているのを気づいちまったのか?

なんて思いながらめぐみんの方を向くと

ギリギリギリと余計に締められた。

 

「い、痛いってめぐみん、何をそんなに怒ってるんだよ」

 

めぐみんは赤い瞳を輝かせながら

 

「…もしかしてカズマは、私のこと子供だと思ってませんか?」

 

……いや、どう見たって子供だろ?もしかして12歳くらいなのか?

それくらいの年なら多感で背伸びしたいって年頃だと聞くし

それで怒ってるのか?

 

「えっと、その…思っているけど?」

 

「はぁ……」

 

思いっきりため息をつかれてしまった。

 

「…一応言っておきますけど、カズマと私はさほど年が離れてるとは思えませんよ?」

 

「え?いや、俺16なんだが?だいぶ離れているんじゃ?」

 

「……私は今は13歳ですが、冬に入ればすぐに14歳になるのでカズマとは言う程は離れてないですよ?

それに14歳といえば、もう大人で結婚もできる年なんですし、その…子ども扱いはやめていただけませんか?」

 

……驚愕の事実だった。めぐみんが冬には14歳?しかも結婚ができる年!?

今になって一気に緊張してきた、そして今の状況がすごい恥ずかしい。

俺としては、2歳年下まではストライクゾーンなので……

し、しかもめぐみんは絶世の美少女で…

 

「あ、ああ、そそろそろめぐみん!歩けないか?流石にこのままギルドに連れて行くのは恥ずかしいんだけど?」

 

「いいえ、まだ無理ですね。」

 

えー、さっきあんなに締め付けてきたじゃないか。十分体力戻ってんだろ?

俺が抗議をしようとすると―――

 

「あと1時間くらいはこうしててくださいね♪」

 

言いながらめぐみんは優しく抱きしめてくる。

 

「しょ、しょうがねえなぁ!」

 

もういいや、冷やかされても………冷やかしてきた連中には後日仕返しすれば。

そんなことを考えながらギルドに向かった。

 

―――――――……

 

 

 

めぐみんを背負いっぱなしでカウンターに並ぶ。

めぐみんは嬉しそうに抱きついている。もちろんギルド中から好奇の視線が送られている。

 

「次の方どうぞー。あ、サトウさんお疲れ様です。」

 

「討伐報告にきました。確認をお願いします。」

 

俺は自分のカードと一緒にめぐみんのカードを提出する。

お姉さんも背中のめぐみんが気になるのか微笑ましい笑顔をむけてくる。

 

「はい、サトウさんの討伐数は3匹と…めぐみんさんは…!!!?なんですか!?34匹って!!」

 

驚きの声を上げるお姉さんに、背中のめぐみんはドヤ顔をしながら

 

「これが私の実力なのです!そして爆裂魔法だからこそ!成し遂げられる戦果なんです!!」

 

さっきまで俺のおかげだとか言ってためぐみんが、調子のいいことを言い出しているが

なんか微笑ましく思ったので、そうだと頷き――

 

「本当にすごかったんですよー!めぐみんの魔法は!」

 

未だに驚きを隠せないお姉さんだったが、話をしているうちに落ち着いていき

 

「…えっと、まずは報酬なんですが…基本報酬の50万エリスはすぐに用意ができますが

買取の方は回収が終わってから後日でよろしいですか?

その、何体の残っているのかもわからないので…」

 

「んーと、俺はそれでいいですけど…めぐみんはどうだ?」

 

「私もそれで問題ありません。それよりカズマお腹が減りました。」

 

「え?さっき昼飯食ったばっかだろ?」

 

今朝もだけど昼飯も、その小さい体のどこに入るんだってくらい食っていた。

 

「…また、失礼なこと考えてませんか?」

 

いいながら、めぐみんは俺の体を締め上げる。

コイツさっきより力が強くなってやがる…

 

「いやいや、なんも考えてないってば!…ごめんなさい」

 

瞳を真っ赤にしているめぐみんに、俺は思わず謝ってしまった。

 

「私が小さいのはちょっと栄養が足りてないだけなんですから!

今に見ていてください!!魔王を打ち滅ぼすまでの大魔法使いになった

暁には、私は背が高く豊満な胸になっていますから!!!」

 

そんな魔王討伐より無謀な夢物語を語った。

俺達がそんなやりとりをしていると、お姉さんが戻ってきて

 

「サトウさん、めぐみんさんお待たせしました。報酬の50万エリスです!お確かめください。」

 

「……はい、確かに。」

 

「サトウさん、めぐみんさんまたお願いしますね!」

 

お姉さんからお金を受け取った後、めぐみんに報酬の半分を渡し、

背中にいる腹ペコ娘を酒場の椅子に座らせ適当に注文をする。

 

「カズマカズマ、今日はこの後どうするんですか?」

 

「んーそうだなー。昨日は宿を取れなくて馬小屋だったし、まず部屋の確保かな?

そういや、めぐみんはどこ泊まってんだ?」

 

「私は一応、宿の部屋を取っています……ですがその、宿の人の好意でツケをしてもらっていて

その、10万エリス程ですが…後実家にもそろそろ仕送りをしないといけないので…」

 

「仕送りなんてしてるのか!えらいなめぐみんは…」

 

「いえ、その、実家が貧しくて…幼い妹もいますし…」

 

家族か…俺の家族どうしてんだろうな?……!

 

「あ、そうなるとめぐみんはあまり手元に金残らないんじゃないか?」

 

「…そうですね、そのカズマは宿に泊まるんですよね?」

 

どうしよう、この場合はめぐみんの部屋代も俺が出すべきか…

俺が宿とって年下の仲間に馬小屋っていうのはちょっと気が引ける。

 

「あー、めぐみんの分も俺が出そうか?奢りがいやなら貸付ってことでどうだ?」

 

めぐみんは暫く考え―――

 

「…その、二人部屋を借りるっていうのはどうでしょう?

別々に部屋を取るよりは格段に安くなりますし…節約にもなります。」

 

顔と瞳を真っ赤にさせながら、俯き気味にそんなことを口走る。

 

「え……っと…?」

 

めぐみんの提案に混乱し、俺の顔がどんどん熱くなっていく。

そんな俺の反応にめぐみんは慌てて

 

「そ、そのカズマが!よければですよ?」

 

めぐみんの様子に、未だ顔が熱くなっている俺はふと視線に気づく…

……料理を運んできたウェイトレスのお姉さんが、困っているようにこちらを見ていた。

 

「あ、すみません!その、適当に置いていっちゃって下さい!」

 

「ご、ごゆっくり、どうぞー?」

 

お姉さんは手早く料理をテーブルに並べ、そそくさっと離れていった。

周りを見るとこちらを好奇の目で見てくる奴が多い。

ぐ、こんな羞恥いらねえんだが……

 

「…その、めぐみん?めぐみんは俺なんかと一緒の部屋で平気なのか?」

 

「だ、大丈夫ですよ!私も、もう少しで大人の仲間入りなんですから!」

 

そんな、わけのわからん理論を並べられても……

てか、大人だから男女同室がOKなんてことはねーだろ。

逆に小さい子供同士だったら、何も問題ないけどさ。

コレはあれか?大人として見ろってことか?

……って、何妄想してんだ!?俺は!?

 

「えっと、節約になるのはいいんだけど、俺男だからな?

何があっても知らねーぞ?本当にいいんだな?」

 

といっても本当に手を出したりはしないが……多分。

 

「その…カズマは、へ、優しそうですし心配はしてません……

……さっきおんぶしてもらっていた時は、お尻に手があたっていましたけど。」

 

「ごめんなさい」

 

俺はまたおもわず謝ってしまった。

 

 

――――――……

 

 

 

 

食事を終え、結局二人部屋を取った俺達は

二人で商店街を歩いていた。

 

「カズマカズマ。」

 

「はいはい、カズマです。」

 

「カズマは何か買うんですか?」

 

めぐみんの問いに俺は

 

「んー戦闘用っていうかクエスト用の服が欲しくてな。後は日用品かな?」

 

「なるほど、装備を整えるんですか…そういえばカズマは杖は使わないんですか?

杖のあるなしでは、制御の負担や威力効果がかなり変わりますよ。」

 

杖か…たしかにあったほうがいいだけどめぐみんのを見ていると

大分かさばりそうなんだよな…。

 

「んー、何かよさそうなのがあったらかな?とりあえずは服だ。…ここだな?」

 

俺達は冒険者の服や鎧が売っている店に入る。

中に入ったら二人で散策して良さそうな物を探していた。

 

「んーむ?どういうのがいいんだろうな…とりあえず重い金属鎧は論外だし。

ローブはローブで見た目的に、かなり頼りなく見えるんだよな。

とりあえずは、このジャージのように動きやすく、それでいて性能がいいのを選びたいんだが…」

 

すると、めぐみんが1セット持ってやってきた。

 

「カズマカズマ。これがかっこいいと思います!」

 

と。黒いローブとマントを持ってきた

たしかにカッコイイし、これにしようかと思ったけど…

めぐみんに確認を取ってみる。

 

「確かにかっこいいな。でも性能はどうなんだ?結構高いし…」

 

「…性能面なら、カズマの側にある…その緑の奴がいいですね。」

 

言われて、それを見てみる…結構良さげに見える。値段も安い。

俺はそれを手に取り、色合いを揃えた短めのマントも手に取る。

それらをもって試着室に往き、着替える。

 

「…どうだ?似合うか?」

 

俺は照れ交じりにめぐみんに聞いてみる。

 

「はい、とっても似合っていますよ。その…かっこいいですよ?」

 

「そ、そうか?んじゃこれにするよ。」

 

俺はそのまま会計を済ませて店を出た。

 

「次はどこに行きますか?」

 

「次は生活雑貨かな?めぐみん店知ってる?」

 

そうですね、と言って案内してくれる。

店に入ると、俺は石鹸や洗剤、タオルなどの生活用品を何点か手に取る。

 

「めぐみん、お前は必要なものはあるか?まとめて買うぞ?」

 

俺の言葉に申し訳なさそうに

 

「…では、これとこれをお願いします。」

 

めぐみんの生活用品もまとめて購入して、俺達は店を出る。

さて、後は…そういや風呂ってあるのかな?

 

「なあ、めぐみん…風呂って何処かないか?」

 

「お風呂ですか?大浴場ならあちらの大きな建物がそうですけど…

もう、行きますか?」

 

時間はまだ夕方前だが…

暫く考えてから――

 

「いや、もう行っちまおうぜ?混んでたらゆっくりできないからな。」

 

俺達は二人で大浴場に向かった。大きな建物に入ると広めのロビーがあり、

その先は男女別に分かれているようだ…非常に残念だが…混浴はないらしい……

俺はめぐみんに風呂代を渡して男湯に向かった。

中は広めの銭湯という感じで、早い時間だからか閑散としている。

 

「ゆっくりと出来そうだな…」

 

俺は体と頭を手早く洗うと、湯船に肩まで浸かる。

殆ど貸しきり状態になっている空間を堪能して、じっくり30分ほど入浴していた。

おかげで風呂から上がる頃には、軽くのぼせていた。

 

「…ゆっくり浸かりすぎたな…めぐみんを待たせちまったな。」

 

脱衣所を出て、ロビーへ向かうと

…暇そうに足をプラプラさせながら待っているめぐみんを発見した。

 

「あ、カズマ…遅かったですね、待ちくたびれましたよ。」

 

「わりぃ、ちょっとゆっくりしすぎたわ…」

 

「そうですね、そこの売店で飲み物を買っていただければ許してあげますよ。」

 

めぐみんが指差した方向を見ると、そこには銭湯ご用達とも言える飲み物が売っていた。

 

「おお、コーヒー牛乳なんてあったのか!他に…フルーツ牛乳か?めぐみんは何にする?」

 

ふむ、とめぐみんは暫く悩みフルーツ牛乳を手に取った。

俺はコーヒーにしようかと思ったが、めぐみんが手に取ったのを見て、同じものに変える。

 

「2本で400エリスね。」

 

売店の店員さんにお金を払い、その場で飲み干す。

 

「…美味いな!」

 

風呂上りの一杯に俺達は満足して風呂屋を出た。

外に出ると、日が沈みかけて夜の帳が訪れてくる頃だった。

 

「…んー正直あまり腹減ってないんだけど、夕飯どうする?」

 

「そうですねー…一旦ギルドに戻ってのんびりするのはどうです?」

 

「まぁ…まだ宿に戻るには早いし、それもいいか。」

 

腹が減ったら何か頼めばいいんだし…

俺達はのんびりとギルドに歩いていった。

 

 

 

 

 

――――――……

 

 

 

 

 

 

 

「サトウさん、少しよろしいでしょうか?」

 

ギルドでしばらくのんびりした後に、軽く食事をしていたら受付のお姉さんがやってきた。

 

「ん?っと、どうしましたか?」

 

「それが、ギルドの方で蛙の回収をしようとしたんですが…」

 

お姉さんの話によると、蛙の回収へ向かう為にギルド職員が現地に向かったそうだが…

その場に大量に発生している蛙を見て、慌てて逃げ帰ってきたんそうだ。

その為、回収が遅れるか、最悪買取できない可能性もあると伝えてきた。

 

「そ、そうなんですか?えっと、そういうことなら仕方ないですよ。」

 

追加報酬が出ないのは辛いが、無茶も通せないしな。

 

「そう言っていただけると助かります。」

 

そう言って、お姉さんは戻っていった。

蛙の大量発生か、何か異変でもあったのかな?

……帰り際に爆裂魔法の轟音で寄ってきた奴らがいたよな…

そして、そいつらは倒したけど俺達はテレポートで戻ったわけで…

 

「……もしかして、原因俺達か?」

 

「…え?……!」

 

俺の呟きが隣にいためぐみんに聞こえたらしい。

そして、俺が何を考えているのかも理解しているようだ。

 

「今日は魔力も残っていません、明日まで様子を見ませんか?」

 

「そうだな!じゃ、食ったら帰ろうぜ!」

 

食事をさっさと終わらせ会計を済ませ、そそくさとギルドから立ち去った。

宿に近づくにつれて緊張してくる…

年の近い少女、それも極上の美少女と部屋で二人きり…

何も起きないのはわかってはいるが、期待と気恥ずかしさで一杯になる。

宿に着き、部屋に入る。荷物を置き、それぞれのベッドに腰掛ける。

さっきから、めぐみんがチラチラっとこっちを見ている。

その表情は赤くなっていて、何処か困っている様子だった。

自分から、同室でもいいと言っていたのに今更緊張しているのかと思っていると

 

「…その、カズマ?着替えたいので…」

 

「ん、ああ。お構いなく」

 

そんな、俺の返答にめぐみんは目を輝かせながら

 

「構いますよ!部屋から一旦出てください!!」

 

めぐみんに怒られ、部屋から追い出されてしまった。

よく考えたら、男の前で着替えられるわけないよな。

何がお構いなくだ、アホか俺…

 

「…いいですよ、入ってきてください。」

 

中に入ると可愛らしいピンクのパジャマをきためぐみんがいた。

顔を見ると、まだどこか不機嫌なようだ。

 

「あーさっきは悪かったな、ちょっと考え事していてな…」

 

「もう、いいですよ。」

 

どこか呆れが入っているものの、怒ってはなさそうだ。

しばらく、二人の間で沈黙が訪れる。やばい、女の子と部屋でふたりっきりとか

高難易度ってレベルじゃねーぞ!?こういう時は、何を話せばいいんだろ?

気まずくなり視線をあちこちに向けているとふと、冒険者カードが目に入った。

それを手に取り、話題を探す……スキルの話すればいいんじゃね?

 

「なぁ、めぐみん。ちょっと相談があるんだけど…」

 

「ん?どうしましたか?」

 

冒険者カードをめぐみんに見せながら

 

「話したと思うんだけどさ、俺色んなスキルを習得してはいるんだけどさ

全然使いこなせていないんだよ。」

 

「習得はしているんですよね?なら問題なく使えるのでは?」

 

「あー多分、発動だけならするかもしれないんだけどさ。

これからのクエストで何を使っていけば有利になるのかっていうのを相談したくてな。」

 

「カズマは魔力が高いですし、攻撃は魔法主体ではないのですか?」

 

「一応はそのつもりだったけど、他にも色々と出来たほうが便利かなって思ってさ。」

 

「ちょっと、カードを見せてもらってもいいですか?」

 

俺はカードを手渡し、めぐみんはそれを確認する。

 

「……!!!?…は?はぁ!!カ、カズマ!!あなた爆裂魔法まで習得しているんですか!?」

 

めぐみんは驚愕して身をプルプルと震わせている。

 

「あー、流石にそれを使う気にはならねーぞ?二人して倒れたら終わるだろ、俺達。」

 

その言葉にめぐみんは項垂れる。そしてまたスキルを確認している。

 

「…あのう、カズマ?ドレインタッチなんてどこで覚えたんですか…?」

 

「あー…うん。めぐみんには正直に言っとくけど、その…頭おかしいとかいうなよ?」

 

「失礼ですね!そんなこというわけないでしょう!!」

 

怒るめぐみんに

 

「天界で女神にスキル貰ったんだよ。」

 

めぐみんは一瞬固まって、そしてかわいそうな子を見る目でこちらを見てくる

 

「カズマ…大丈夫ですよ?私は貴方を信じますから…本当のことを言ってください。」

 

こいつ、ちっとも信じてねーし!

 

「俺の異常な程の習得スキルを見れば納得して貰えると思ったんだけどな。」

 

「う、それを言われると確かにそうだとも思えるんですが…」

 

「まぁ、この話は今度にしようぜ?…それでなんかよさそうなのないか?」

 

めぐみんは納得いかないようだったが、改めてステータス等と比較しながら考えてくれる。

 

「んー、そうですね。カズマのステータスなら基本的に向いているのは魔法なんですが…

この異常に高い幸運値を利用するのも手ですね。」

 

「幸運高いと使えるスキル?あーそういえばあったな。」

 

天界でカタログ読んでたときにそんな記載があった。その時は魔法ばかり目がいっていたけど。

 

「ええ、スティールや狙撃は幸運依存です。他は敵を足止めできるバインドスキルなんかもお勧めですね。」

 

「めぐみんはアークウィザードなのによく知っているな、相談してみてよかったよ。」

 

そんなこと言うと、めぐみんはニコニコしながら

 

「明日はクエスト前に弓でも買いに行きますか?カズマの能力なら蛙くらい一発だと思いますよ?」

 

「マジか…じゃあ、明日買いにいってみよう。」

 

「そうですね…あ、カズマ。スティールはどうします?」

 

スティールか。

 

「確かに武器持ちを相手にしないとは限らないし、無力化できるなら有用だよな。」

 

「ですです。何なら試しにやってみますか?」

 

めぐみんは杖や帽子、財布や小物を手に取る。

 

「杖を取れれば成功ですよ。さ、やってみてください!」

 

めぐみんは楽しそうに言ってくる。

 

「よし!一発で引き当ててやるからな!!」

 

そんな楽しげなめぐみんに手をかざし――

 

「『スティール!』」

 

…俺の手に肌触りのよい黒い布が収まっていた。

 

「――!!」

 

めぐみんは、真っ赤になり…こちらを睨みながら手を出す

 

「そ、その…スースーするので返してください。」

 

めぐみんの様子で何をしたのか理解した俺は

 

「ご、ごめん!!」

 

慌てて、めぐみんに返した

 

「う、うぐ…」

 

目を赤く輝かせたままパンツを受け取っためぐみんは、そのまま扉を指差す。

 

「あ、ああ!」

 

俺は慌てて外に出た。

…やばい、流石に嫌われちゃったかな…

俺が凹んでいると中から

 

「もう、いいですよ。」

 

と、聞こえてきたので謝りながら中に入った。

 

「やっていいと言ったのは私ですし、その…もう忘れませんか?」

 

「そ、そうだな…」

 

多分、一生忘れられなそうだけど

その後、俺達は明日の予定を決めて就寝した。

甘酸っぱい展開なんてなかった…

 

 

 




とりあえず、書き溜め分がなくなったので次回は少し遅くなりそうです。
1週間くらいを目処にがんばりますね。
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