このすば カズマが冷静で少し大人な対応ができていたら。 作:如月空
正確には二章と三章の合間ぐらいの話です。
閑話、アクアの受難。
≪アクア視点≫
私がこの地に光臨してから、初の年の瀬…
そろそろ半年ぐらい経つのね。
そして、数々の難敵を葬ってきた私達は、国から正式に功績を認められ、
私達は、各自に三億エリスという大金を得た。
そう!三億エリスよ!三億エリス!!
これだけあれば、少しぐらい贅沢しても問題ない筈なのに、私のお金の殆どはカズマが管理している。
カズマは私に『お前に全部持たせると、直ぐに使い切りそうだ…。』とか言ってた!!納得いかない!!!
だから私は、カズマに対して抵抗を続けていたのだけれど…、
めぐみんを筆頭に、ゆんゆんやダクネスまでもが、カズマに全額預けてしまった。
結局、4対1という状況になってしまい、渋々私もカズマに預ける事になった。
そして今、私は窮地に陥っている…。
「金が足りねえたぁ!どういう了見だ!姉ちゃんよぉ!!」
「て、手持ちが足りないだけだって言ってるでしょ!?」
此処まで負けが込むなんて思わなかった…。
ゆんゆんと別行動していて良かった…、危うく巻き込むところだったわね。
「姉ちゃん、嘘はいけねぇな。持ってないなら稼いで来て貰うだけだ。」
そう言って、男が私の腕を乱暴に掴む。
「ちょっと!何するのよ!?放して!!」
驚いた私は、男の腕を振り払った。
「うわ!!がふっ!!」
腕を振り払っただけなのに、男が盛大に吹っ飛び、頭でも打ったのか目を回していた。
「て、てめえ!?」
「やる気か!?」
何よ、こいつらただの見掛け倒しじゃない…。
だけど、このままというのも不味いわね…。
「お金ならカズマに預けてあるの!だから少し待ってくれないかしら?」
出費は痛いけど、100万エリスぐらいだし、カズマもそこまでは怒らないでしょ。
私がそのまま立ち去ろうとすると、男達が行く手を阻んだ。
「ちょっと!お金を持ってくるって言っているでしょ!?邪魔しないで頂戴!!」
「カズマだかカスマだか知らねえが、信用できねえな!
こうなったら直接、その野郎からふんだくってやる!」
―――――――――――――…
≪カズマ視点≫
そろそろ年末かぁ…。
ん?クリスマスイベントはどうしたのかって?
そんなアニバーサリーに頼らなくても、俺とめぐみんはずっと一緒だったぜ?
誰に聞かせるわけでもない、そんな脳内での自慢はさておき…
「年越し蕎麦を作りてえな…、蕎麦粉ってないのかな?」
湯船に浸かりながら、ぼそりと呟く。
「カズマカズマ、ソバコとは何ですか?」
「ん?ああ、小麦粉みたいなもんだ、ただ原材料が違うんだよ。」
めぐみんの反応を見る限り、知らないっぽいな。
「それで何か料理を作ろうと思ったのですね。」
「蕎麦を作ろうと思ってたけど、材料が無いからなぁ。」
「小麦粉みたいな物なら、それで代用は出来ないのですか?」
代用っつうか、小麦粉も蕎麦に含まれているわけで…、
だから作れないことは無いだろうけど、風味は出ないだろうな。
「いや、所詮雰囲気作りみたいなモンだし、それでも問題はないか。」
海老天とか乗っけておけば、それっぽくなるだろう。
「そうと決まれば、早速作ってみるか!」
「カズマの国の料理、楽しみです。」
「じゃあ、そろそろ上がるか、めぐみんはまだ入ってるのか?」
「いえ、私も上がりますよ。カズマの横で、一緒に料理をしたいですからね!」
そう言ってめぐみんは、屈託の無い笑顔を俺に向ける。
「お?じゃあ、頼むぜ?相棒!」
「ふふ、任せてください!!」
この時、俺達は幸せ気分に浸っていた。
だが、この気分をぶち壊す不届きな奴らが来る事を、俺達は知らなかった。
「お帰り、む?ゆんゆん一人なのか?」
俺達が料理をしている間に、ゆんゆんが戻って来た様だ。
「おや?ゆんゆんが戻った様ですね。」
「アクアは一緒じゃないのかな?」
料理の下ごしらえが済んだので、一旦俺達も厨房から出る。
「おかりー!ゆんゆん!アクアは如何したんだ?」
「アクアさんは少し用事があるからって、別行動していたんですけど…、まだ帰って来てないんですね?」
心配そうな顔で、そう呟く。
「そんなに心配する必要も無いんじゃないか?アクアだって子供じゃないんだし腹が減ったら戻って来るだろ?」
そもそも、この街でアクアに絡む様な奴はいないしな。
特にチンピラ連中なんかは、アクアを神聖化してるし、大方誰かと酒でも飲んでるんだろう。
「そう、ですよね。」
ゆんゆんは心配性過ぎるんだよな。
まぁ、二人はお互いに過保護だから仕方ないけど。
「ゆんゆん、とりあえずお風呂にでも入ってきたら如何です?」
「うん、そうするね。あ!アクアさんが戻ったら教えてね!」
「はいはい、分かりましたよ。まったく、アクアアクアって煩いですね。」
「う、それはめぐみんも言えないでしょ!」
「そうだな、そして其れはカズマも同じく言えないだろうな。」
え?何で飛び火してんの?俺何も言ってないじゃん。
「い、良いから!早くお風呂に行って下さい!!シッシッ!!」
「ま、待って!めぐみん!!私、着替え持って来てないよ!?」
ゆんゆんを追い払う様に、めぐみんは風呂へと追い立てる。
相変わらずめぐみんの奴、ゆんゆんに対してぞんざいだよな。
まあ、幼馴染なんて、そんなもんなのかな?
何時ものドタバタを眺めていたら、扉がノックされた。
「た、ただまー…。」
お、戻ってきたか。
「おかりー、アクア。ゆんゆんが風呂に行くから、お前もそのまま入って来いよ。」
「あ、お風呂はまだ良いかな?」
ん?どうしたん……何だ?後ろの連中は?
「おう、コラ!!お前がカズマってんのか?」
アクアを押しやる様にチンピラ風の男が前に出てくる。
ん?俺の事を知らない?
街を歩けば、ガキ共にまで『ロリコンだー!』と後ろ指を差されるこの俺を?
……なんでロリコン呼ばわりされてるんだろうな。
「おうコラ!聞いてんのか!?兄ちゃん!!」
「アクア、こいつらは何だ?」
「てめえ!無視かよ!?この女はな!!俺達に借金をしたんだよ!!一千万程な!!」
はぁ?何をしたんだか知らないけど、一千万って如何いう事だ?
「ちょっと!負けた金額は100万だったでしょ!?いい加減な事言わないでよ!!」
「慰謝料込みだよ!それに態々俺達をここまで来させたんだからな!!」
「それだって!あんた達が勝手についてきただけじゃない!?
それに、後ろの男にはヒールも掛けたんだから、怪我なんてしてないでしょ!!」
ふーん、博打か。アクアは後でお仕置きだな。
それにしても100万も負けるなんて、不運な奴だな。ん?
『おい、この屋敷かなり豪華だぞ!?』
『相当金持っているんじゃねーか?』
『カモからそのまま100万貰うより、儲けられそうだぜ!』
カモ…ねぇ…。
アクアと男がまだ言い争っている間にめぐみんに伝える。
『成程、どうします?』
『問題はねえよ、奴らの土俵でやってやるさ。』
『悪い顔してますね…、ですがそういうカズマも嫌いではないです!』
話が纏まり、未だに口論を続けている二人の間に割って入る。
「アクア、少し黙っとけ。」
「う…。」
「お話は大体分かりました。ただ、一千万等と言う馬鹿げた金は払えません。
こいつの負け分の100万を払うので、大人しく帰っていただけませんか?」
「あぁ?ふざけんなよ!それで納得するわけねーだろ!?」
うん、まあそうなるよな。
思った通りだ。
「では、私が一千万をお掛けします。一勝負しませんか?」
男達は俺の言葉に驚いた様だが、ヒソヒソと相談を始める。
『ど、どうする?』
『カモを追いかけてきたら、とんでもない物が釣れたぞ!?』
『も、問題はねえ!何時も通りにすり替えをやれば勝てる筈だ。』
何だ、ただのすり替えか。
「わ、分かった!!勝負をしてやろう!!」
「本当によろしいのですね?」
「ああ!男に二言はねえ!!」
サマ使う奴に言われてもな…。
「では此方にどうぞ。」
めぐみんにサマの内容を伝え、男達を勝負の席に案内する。
「ちょっと…このテーブル広くないか?」
「何か問題でも?」
「あ、いや…。」
男達が再び相談を始める。
『どうするんだ?これじゃあ、すり替えなんて出来ねえぞ?』
『い、いや!マークを見ればカードは解かるんだ!負けそうなら全部降りちまえばいいんだよ!』
『そ、そうだよな。負けることはないよな!!』
ご丁寧にマーク入りかよ。
『ダクネス。』
『ん?…何!?……分かった。』
ダクネスに伝言を伝え、勝負の最中に出てもらう事にした。
「始めないんですか?それとも止めておきますか?」
「お、男に二言はねえって言っただろうが!!舐めてんじゃねーぞ!!」
「では、はじめましょう。」
「お、おう!!」
「勝負を公平に期する為に、お互いにカードを切るという事で宜しいですか?」
「かまわねえ!!」
勝負が始まる…。
俺は配られたカードを順次、手で隠していく。
「お、おい!何の真似だ!?」
「何か問題でも?」
男達がそれを咎める様に言うが、反論一つで黙らせる。
俺はカードを手で隠したまま、中身を確認する。
ジョーカーが入ってのAのファイブカード。
そうそう負ける手ではないが、男達の表情は確認しておく。
「レイズ!」
「く、ぐ…ドロップ!」
大金が掛かった勝負では、男達も中々勝負に出る事が出来ず、そのまま1時間程経過した。
「レイズ!!」
「ど、ドロップだ!」
「またですか?いい加減勝負に出たら如何です?カズマは毎回勝負に出てるというのに、情けない連中ですね。」
「な!?何だと!?」
一見、子供にしか見えないめぐみんに煽られて、男達は激昂する。
『毎回、勝負手が入るわけがねえ!9のフォーカード!これならいける筈だ!』
…俺がやってるこれも十分イカサマだよな。ってか俺相手の内容聞いちゃったぞ。
まぁ、毎回レイズだし、最高役だからどうでもいいんだけど。
「レイズ!」
「勝負だ!」
男は宣言通り、9のフォーカード
「「「はあ!?」」」
開かれた俺の手はロイヤルストレートフラッシュだった。
「今回が最高役でしたよ。勝負は私の勝ちですね。」
およそ30回程の勝負だったが、最高役は本当に今回だけだった。
「な、あ、ああ…。」
男達が後ずさる…。
「さて、アクアの負け金を引いて、残りの900万を払って頂きましょうか。」
「ふ、ふっざけんな!!」
激昂した男達がナイフを片手に襲い掛かって来た。
「いででで!!!!!」
だけど、ただのチンピラが冒険者に敵うわけも無く、
俺、めぐみん、ゆんゆんで簡単に取り押さえる事が出来た。
「カズマ!警察を連れてきたぞ!!」
「ナイスタイミングだ!ダクネス!!」
先手を打って、ダクネスに警察を呼びに行って貰っていたので後処理は楽だった。
「ご協力ありがとう御座います!!サトウカズマ殿!!」
「いえいえ、そちらもお疲れ様です。」
「「「サトウカズマ!?」」」
ん?
何故か解からないが、急に男達が怯え始めた。
「サトウカズマ…まさか!あの!?」
「アクセルの鬼畜男!?」
「鬼畜王のキチマ!?」
おい!何か呼び名が増えてるじゃねーかっ!?
俺の悪名を捏造してるのは一体誰なんだよ!?
イカサマグループは怯えた表情のまま、警察に連行されていった。
「ったく…、おいアクア。博打をするなとは言わねえけど、身内相手だけにしておけよ。」
「う…、ごめんなさい…。」
アクアはしゅんとなって、反省を言葉にした。
「分かればいいよ、そうだ!蕎麦作ったんだけど、評価してくれよ!」
「え?何で、お蕎麦?」
「そろそろ年末だろ?」
「あ!年越し蕎麦ね!!流石カズマ!分かってるじゃない!!」
途端に何時もの調子を取り戻したアクアに、俺達は声を出して笑う。
「ちょっとー!皆して何で笑うのよ!?」
「悪い悪い、じゃ、持って来てやるから待ってろよ。」
「うん!!」
――――――――…
「本当にアクアは子供ですよね。普段を見ているととても女神には見えませんよ。」
「そうだな、でも最初に会った時なんて、もっと酷かったんだぜ?」
「今でも十分アレな気がしますが、そんなにですか?」
「ああ、そうだよっと!アレなんかどうだ?」
「ゴブリンの集団ですか。ギルドへ報告しないといけませんね。」
「そうだな、街からかなり離れてるけど、ここもアクセルの管轄らしいからな。」
「じゃあ、カズマ!行きますよー!!」
「おう!」
「『エクスプロージョン!!』」
冬山の麓にめぐみんの爆裂魔法が放たれる。
来年もきっと、俺達はこんな感じで続いていくんだろう。
「カズマカズマ!」
「はいはい、カズマです。」
「今日は何点ですか!?」
めぐみんは無邪気な笑顔で聞いてくる。
「150点!」
同時刻:王都
男の元に来客が現れる。
「き、貴様は!?何で!?」
「迎えに来たよ。」
「ま、待て!?き、貴様!何をす!!?」
その言葉を最後に男達は忽然と姿を消してしまった。
――――――――…
翌日
「あれ?そこのカタナは刀身が短くないですか?」
俺達は今、作業部屋にいる。正確には元作業部屋だが。
屋敷の修繕ついでに、鍛冶場を作って貰い、其処を新しい作業場にしたわけだ。
「ああ、これは小太刀っていうんだ。武器屋に下ろす予定の新作だよ。」
「コダチですか…。ふむ、何かこう感じるものがありますね…。」
小太刀の造詣がめぐみんの琴線に触れたらしい。
今のめぐみんは、新作の玩具に目を輝かせる子供の様だった。
まぁ、本当に赤く輝いているんだけど。
「なんなら持ってみるか?」
「え!?良いのですか!?」
「構わねえよ、武器屋に下ろす小太刀は選定済みだし、それは試し打ちだからな。」
俺がそう言うと、めぐみんはウキウキとした様子で小太刀を手に取った。
「お、おお!…ほう……てい!」
「って、おい!振り回すなら、中庭に出ろよ!」
めぐみんが、楽しそうに小太刀を振り回し始めたので、流石に注意をしたんだが。
「嫌ですよ!外は寒いじゃないですかっ!!」
「なら、大人しくしてろっつの!!」
「むー。」
めぐみんは不貞腐れるように頬を膨らませていた。
「まったく…、あ!そうだ。」
不貞腐れためぐみんが、簡単にご機嫌になりそうな案が浮かんだ。
「鏡の前でポーズを取ってみたら如何だ?」
「むう、確かに良いかも知れませんが…。」
そう良いながらも、めぐみんは決めポーズを取り始める。
「違う違う。此れは二本持つんだ。」
俺は右手の小太刀を逆手に持ち、左手は順手で持ってポーズを決めた。
「おお!!?カッコイイです!!!私にもやらせてください!!!」
予想以上の食いつきに、俺は苦笑いを浮かべながら小太刀を手渡した。
「ふわあああ!!此れは良いです!!良いですよ!!カズマ!!!」
子供の様にはしゃぐめぐみんを、和みながら眺めていたら、突然扉を叩く音が聞こえてきた。
「ん?来客か?悪い、ちょっと行って来るわ。」
折角、めぐみんと二人っきりだって言うのに、一体誰だよ。
慌しい様子で、ドアが叩かれ続けていたので、俺は扉の向こうの人物に声を掛ける。
「はいはい、今出ますよ!」
扉を開けると、クレアとレインが慌てた様子で尋ねてきていた。
「何だクレアか。如何したんだよ?」
「あ、アルダープが!!」
豚領主が?
「アルダープが姿を消した!!」
「!?」
クレア達をリビングに通し、俺達は詳しい事情を聞く事にした。
「アルダープは死刑が確定していて、刑の執行日まで地下牢に入れられていると聞いていたのですが?」
「俺もそう聞いてる、一体如何いう事なんだ?」
あの豚領主が脱獄したというのなら、それは穏やかではない。
何もかもを失った奴だが、何をしでかすかわからない。
バルターに注意を促す手紙を送っておくべきか?
「わ、分からない…、アルダープを閉じ込めていた地下牢は、地上に出られる階段が一つだけで…」
「当然警備も厳重です。常に30人体制で見張りが付いていました。」
そんなにいるのか…すると、そこに紛れ込まれたのか?
「警備の人間に不審な点は?」
「そこは真っ先に疑いましたよ!ですが、首尾よく牢から抜け出せたとしても見つからずに抜けることなんて出来ませんよ!!」
…そうとは言えないな。俺みたいな奴が居れば突破は可能だろう。
だけど、俺のは特典ありきの話だ。普通の冒険者じゃ、其処までに至れない。
それなら複数犯は?盗賊とアークウィザードのコンビなら可能じゃないか?
……いや、ないな。
クリスの話じゃ、スキルを組み合わせるなんて考えるのは俺ぐらいらしいし。
後、考えられる事は…。
「テレポート、もしくはスクロールか?」
「其れもあり得ません。アルダープはスクロールなんて持っていませんでしたし、
外部から協力者が居たとしても、二重扉に阻まれるでしょう。」
「直接牢の中に転送した可能性は?」
「カズマさんはご存知だと思いますが、テレポートには登録が必須です。
そして、牢の中には死刑が決まっている囚人しか入れません。」
成程、直接というのは無理か…。
「なら、一体どうやって?」
「分かりません!ですが、アルダープが逃げ出した以上、カズマ殿も気を付けて頂きたい。」
「ああ、…一つだけ聞いておきたい。」
「何でしょう?」
「もし、アルダープがちょっかい掛けて来たとしたら…その時の生死は?」
「不問で構いません。」
「分かった。」
その後、クレア達は緊急で対策を練るという事で王都に戻っていった。
「…カズマ、アルダープを見つけたら殺すんですか…?」
めぐみんは不安そうな目で俺を見る。
そうか、めぐみんには、あの時の夢を見られていたんだよな。
「心配するなよ。もう、あんな状態にはならないから。」
あの悪夢の様に、自分を見失う事はしたくはない。
さっきの確認は、あくまで事故死を考えただけだ。
能動的に殺そうなんて、思っちゃいけない…いけないんだ!
俺はそう心に決め、拳を握った。
だが、俺の決意とは裏腹にアクアから意外な言葉が出た。
「アルダープが地下牢から消えた…ねぇ。マクスウェルの仕業じゃないかしら?」
「あん?なんでマクスウェルなんだ?奴は死んだんだろ?」
「大悪魔っていうのはしつこいのよ!それこそゴキブリみたいに生命力が強い連中なの!!」
「で、ですが!そうなると、再び襲って来るかも知れないですよ!?」
「あ、アクアさん!どうしたら良いんですか!?」
マクスウェルと再戦なんて、冗談じゃない!?
あの時は、数によるごり押しと奴の力の浪費を繰り返してやっと倒せたんだ!!
「これは、王都に報告して大討伐部隊の編成を上告すべきか?」
俺達の反応にアクアは平然として
「問題ないと思うわよ?マクスウェルは地獄に還ったでしょうし。」
「え?いや、でも…、お前さっきマクスウェルの仕業だって!?」
「だから、地獄から攫ったんじゃないかしら?代償を受け取るために。」
あ…、そうか!その可能性もあるのか!?
クリスが言っていたもんな!代償は契約者が払わないといけないって!!
「アクアの話の通りなら、アルダープは今頃…。」
「地獄じゃない?生身のままで。」
うわぁ…、生きたまま地獄送りか…。考えただけでぞっとするな。
「アクア、今話した内容は確かか?」
「多分ね、何分昔勉強した事だから、確証は持てないけど…。」
「そうか、だが、この情報は有用だ。王都に連絡を取らないとな。」
普段、残念なところが多いダクネスでも、こういう時ぐらいは貴族らしい顔つきになる。
アクアの予想通りなら良いんだが…、当分は警戒しておくか。
こうして俺達は、不安の種を抱えたまま、年越しを迎える事になってしまった。
ようやく、三章に入れます。
新キャラがめちゃくちゃ増えるんですよね…。
頑張って動かして行きたいと思います!
初の試みです。アクアの受難で登場した小太刀の二振りですが、名前を付けたいと思っています。募集期間は明日のこの時間までという、短い時間なのですがよろしければお願いします。
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めぐみんセンスの名前で御願いします。
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通常名はカズマ命名になります。
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子烏丸子狐丸等