このすば カズマが冷静で少し大人な対応ができていたら。   作:如月空

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すみません!まだ本編に入れてません!!



閑話、年末年始。

12月31日

 

港町

 

 

「カズマさん、お魚の仕入れが終わりました!」

 

「こっちも終わったよー!カズマ、確認御願い。」

 

「あいよ。………よし!この店で頼まれた物は全部だな!次に行くぞ!」

 

「ゆんゆん、リーン。伝票を此方に渡してください。」

 

俺達(アークウィザード組)は今、仕入れの為に港町に訪れている。

元々は、新鮮な食材を安く手に入れる為に、来ようと思っていたんだが、

年末年始は何処も色々と入用だという事で、ついでの仕事として引き受けてきた。

 

「これが、ギルドの分…此方の伝票は商会…。」

 

めぐみんには経理を担当してもらっている。

ギルドだけではなく、商会や商店街の皆さんにも色々と頼まれたので量が半端ない。

 

「それにしても便利だよねー!コレ!!」

 

「ふふん!カズマに感謝すると良いです!!」

 

「何で、めぐみんが得意げなのよ…。」

 

三人が話しているのは、俺達が今押している車輪付きの小型コンテナの事だ。

テレポートによる運送は以前から考えていた事だが、一度に運べる荷物の量には限界がある。

そこで考えたのが、このコンテナについている大型のキャスターローラーだ。

大型な分製作コストは高くついたが、その分安定性が高いのでこうして野外でも使えるという訳だ。

 

「次はこのお店ですね、量が多いので三人で行って来て下さい。私は荷物番をしていますから。」

 

「あいよ。」

 

店に入り、注文の品を取り揃えていると、霜降り赤蟹が出荷されて来た。

 

「お!?霜降り赤蟹じゃないか!?コレは絶対に買いだろ!?」

 

年末なんだし、少しぐらいは贅沢しないとな!

そういえば、めぐみんがロリーサにお礼をしたんだっけ。

俺は助けられた当人なんだし、俺も何かした方が良いよな?

 

「ん?カズマ、霜降り赤蟹を買うの?一匹三万エリスもするよ?」

 

近くに居たリーンが傍に寄って来る。

 

「アクセルで買ったら八万だぞ?十分安いよ。」

 

リーンは意外と財布の紐が固いのか?

 

「うーん…、見ていたら、あたしも欲しくなって来ちゃった!

でもなぁ、あんまり散財ばかりしちゃうとなぁ…。」

 

「年末なんだし、少しぐらいは良くないか?リーンだって三億貰っただろ?」

 

「そうなんだけど…、ダストの浪費を見ているとね…。」

 

リーンは自分の髪を弄りながら、気だるそうに話す。

 

「アイツさぁ…、まだ半月も経ってないって言うのに、もう二千万使ったんだよ?」

 

「は…?何か高級な装備でも買ったのか?」

 

「ううん、酒代と夜遊びだけ。」

 

マジかよ!?アクアですら、まだ100万も使ってないんだぞ!?

 

「あれ?二人とも如何したんですか?早く戻らないとめぐみんに怒られますよ?」

 

ゆんゆんは既に自分の担当分を揃え、会計を終わらせていた様だ。

 

「ああ、コレを買うか迷っていたんだよ。」

 

この際、ダストの事は忘れよう!アイツはもう手遅れだ。

 

「霜降り赤蟹ですね!いいなぁ、私も買おうかな…、アクアさんが喜ぶだろうし!」

 

ああ、あいつも好きなんだったな。ってかコレを嫌いな奴なんて居るのか?いや!居ないだろ!!

…まぁ、見た目で駄目っていう人は居るかも知れないが。

 

「よし!買っちおう!早く戻らないとめぐみんに怒られちまうからな。」

 

仕入れの商品を手早く集め、蟹を別会計にして購入を済ませる。

急いで戻ると、めぐみんが若干不機嫌になっていた。

 

「遅いですよ!三人とも!!」

 

「悪い、コレを買ってて遅くなった。」

 

そう言って買った物をめぐみんに見せる。

 

「何ですか?…!?って霜降り赤蟹じゃないですか!?」

 

「年末だからな、たまには贅沢でもって思って…、めぐみんもコレ好きだろ?」

 

「許しましょう!!」

 

ついさっきまで不機嫌そうだったのに、現金な奴だな。

 

「じゃ、さっさと仕事を終わらせようぜ!」

 

「「「おー!」」」

 

 

 

 

―――――――――…

 

 

 

 

 

 

 

「え?こんなに貰っちゃって良いんですか?」

 

「問題ないですよ、商会の方から結構な額の報酬が支払われていますから。」

 

ちょっとした小遣い稼ぎになればと思っていたんだが、予想以上に実入りが良かった。

勿論、一撃熊みたいな高額クエストに比べれば見劣りはするが、そもそも今は、そんなクエストはない。

この時期にあるクエストなんて、髑髏が並ぶような超危険な高難易度クエストぐらいだ。

 

「あー、こんなに貰えるんだったら、あたしも蟹を買えば良かったー!!」

 

「何だリーン。散財は控えたいんじゃないのか?」

 

「う、そうだけど!元々あたしがカズマの誘いに乗ったのは、お小遣い稼ぎが目的だし!

お小遣いなんだから使っても問題ないでしょ!?」

 

「いや、知らんし…。」

 

余程、バカみたいな金の使い方をしてない限り、友達の金まで口を挟むつもりはない。

 

アクア?あいつは放っておくと、先日みたいにカモられるだけだろ?

大金が入ってから、やたらと訪問販売みたいな連中が増えているしな。

 

「そんなに欲しいのなら、買いに行けば良いじゃないですか?」

 

「そうだけどー!蟹を買いに行っちゃうと、他にもずるずると買っちゃいそうでさ…。」

 

ああ、港町なだけあって、色々と珍しい物が置いてあったし、その気持ちは分かる。

調子に乗って俺も、かなりの量の海産物を買っちまったからな。

 

「あの、そろそろ帰りませんか?アクアさん達も待っているでしょうし。」

 

「そうだな!それじゃ、リーン。今日はお疲れさん!!」

 

「うん!またね!…あーどうしよう!?買いに行っちゃおうかな…?」

 

未だに悩み続けている様子のリーンと別れ、俺達は帰路に付く。

 

「アクアさん、喜ぶだろうなぁ!あ!カズマさん、今日は私もお料理を手伝っても良いですか?」

 

「うん?別に構わ「駄目ですよ!あそこは私とカズマの場所です!」」

 

俺の言葉を遮って、めぐみんが威嚇するように言い放つ。

 

「めぐみんには聞いてないもん!カズマさん、駄目ですか?」

 

「構わねえって、めぐみんもそんなに目くじら立てるなよ。」

 

俺がそう言うと、めぐみんは頬を膨らませる。

 

「むう、カズマと二人きりになれる数少ない場所だというのに…。」

 

そう呟いて、めぐみんは不貞腐れてしまう。

 

こんな事で不貞腐れるなよ…、確かに屋敷だと二人きりになる事は少ないけどさ。

 

「ゆんゆんに手伝って貰えれば、その分早く終わって時間が取れるだろ?」

 

「それはそうですが…。」

 

『カズマと一緒に食事を作るという事自体が、私には嬉しい事なんですけどね…。』

 

めぐみんは寂しそうに、そう呟いていた。

 

う!こんなの聞いちゃったら、ゆんゆんに手伝ってもらえねーじゃんか!?

でもな、断るにしても…。

 

『アクアさん、喜んでくれるよね!』

 

嬉しそうに独り呟くゆんゆん。

 

こんなに楽しそうにしているのに、今更断るとか出来ないだろ!?

どうすりゃ良いんだ?同居人の仲間を傷つけたくはないし、

かと言って、彼女を放っておくわけにもいかない。

 

俺が悩んでいると、いつの間にかゆんゆんが困ったような顔で此方を見ていた。

 

「あの、カズマさん…やっぱり私、邪魔になってしまいますか?」

 

ゆんゆんは今にも泣き出しそうな表情で、俺の顔色を窺っている。

俺は、そんなゆんゆんの視線に耐えられなくなって、思わずめぐみんを見てしまう。

 

すると、めぐみんは溜息をつきながら口を開いた。

 

「誰も邪魔とまでは言ってませんよ。仕方のない子ですね、ゆんゆんは。」

 

そう言ってめぐみんは、俺に目配せを送ってきた。

 

「お、おお、そうだぞ?今日は一緒に作ろうな?」

 

「ほ、本当に良いんですか!?あの、無理とかしてませんか!?」

 

「してないしてない!あ!今日作ろうと思っている料理は種類が多いんだよ!

だから、むしろ手伝ってもらわないと困るぐらいなんだ!」

 

夜食の蕎麦から始まり、年明けに饂飩やお雑煮、お汁粉まで作り出したらとても手が足りない。

元々は、アクアの我侭から作る事になった訳だが、こうなったら巻き込んでしまう方が良さそうだ。

 

「そうなんですね!?分かりました!!精一杯お手伝いさせて頂きます!!」

 

ゆんゆんは嬉しそうな顔をしながら、屋敷に向かって歩いていく。

 

『えっと、勝手に決めちまったけど、良かったか?』

 

『良いも悪いもありませんよ。あんな顔されたら此方が折れるしかないです。』

 

『あの顔は反則だよな…。』

 

『同感です。』

 

元ボッチ娘が放つあのオーラと表情は、何ともいえない気分にさせてくれる。

結局はそれで折れる事になった訳だが、結果的には良かったのかも知れない。

 

 

 

―――――――――――…

 

 

 

 

 

 

 

ゆんゆんに手伝ってもらった甲斐もあって、料理の方は日付前に揃える事が出来た。

 

まぁ、その後は宴会が始まって、結局深夜遅くまで起きていた訳だが…。

 

「ふわあああ…、ねみい…。」

 

俺は寒空の中、眠いのを我慢して歩き続ける。

 

「んー、この辺りかな…?」

 

敵感知をチェックして、周囲に危険がないかを確かめる。

 

「めぐみん?起きろよ。」

 

宴会が終わってから、まだ三時間も経ってない。

その程度の睡眠時間で、起きろって言う方が無理な話だよな。

 

「めぐみん、早く起きないとエロイ事すっぞ。」

 

そう言いながら、めぐみんの尻をこねくり回していると、後頭部に鈍痛が走る。

 

「いっつぅ!!ひ『ヒール!』」

 

背中に居るめぐみんに、頭突きでもされたんだろう。

反撃されるのは予想の範囲内だったので、俺は文句を言わずに快復に努めた。

 

「人が寝ている間に、何をするんですか!?…クシュッ!」

 

「おい、大丈夫か?一応毛布に包ませたけど、やっぱ寒かったか?」

 

「真冬の深夜ですよ!?寒いに決まっているじゃないですか!?」

 

尤もだ。

 

「所でカズマ。どうして私達は、湖畔にいるんですか?」

 

「ん、ああ、それは…。」

 

めぐみんに事情を説明しようとすると、俺達の所に光が射し込んで来た。

 

「お!どうやら丁度良かったみたいだな。」

 

空が白み始め、太陽がゆっくりと昇っていく。

 

「…綺麗ですね。」

 

「だろ?ってか、日の出を見たのは初めてか?」

 

「いえ…、ですが、こういう所で見るとまったく違います!」

 

あの日から一月が経ち、地肌がむき出しだった地面には、ちらほらと草花が咲き始めている。

木々の再生はかなりの年月が必要になるだろうけど、何れは元通りに戻ってくれる筈だ。

 

「此処がこんな状態じゃなければ、もっと綺麗だっただろうけどな。」

 

春になって暖かくなったら、アクアに湖の浄化を頼んでみよう。

 

「あの、カズマ?此処に来たのは、此れを見るためですか?」

 

「ああ、そうだよ。年初めの日の出だからな!」

 

そう言いながら、めぐみんを下ろし、向かい合う。

 

「めぐみん!今年もよろしくな!!」

 

「はい!よろしく御願いします!カズマ!!」

 

去年は、大変な事もかなりあったけど、それ以上に得る物があった。

仲間や友人…そして俺の相棒兼恋人のめぐみん。

 

あの日、外出せずに家に引き篭もっていたら、この出会いはなかったんだよな。

 

今頃、酒瓶を抱えて寝ているであろう、あの時の女神に、俺は改めて感謝の念を送る。

 

今年も頼むぞ?皆で面白おかしく過ごしていきたいからな!!

 

 




小太刀の名前が思いつかず、閑話の話になってしまいました。
思いつけなくても、次回は本編に入るつもりです。
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