このすば カズマが冷静で少し大人な対応ができていたら。   作:如月空

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そろそろ活動を始めて半年…
続けられているのは、応援してくださっている方のお陰です!

それにしても、意外にミツルギ視点はやりやすい…。


閑話。ミツルギとダスト

 

 

≪ミツルギ視点≫

 

「キョウヤのオススメが美味しかったね!」

 

「カレーだっけ?カズマがレシピ手に入れたって言ってたから、また食べられるわね!」

 

「ふふ、そうだね。あ、サトウ君の事だからアレンジを加えるかも知れないよ?」

 

カツカレーとかカレー饂飩とか、彼なら作りそうだしね。

 

「確かに!」

 

「カズマならやりそう!」

 

二人と談笑をしながら歩いていると、フィオが何かに気づいたように顔を顰めた。

 

「はあ…、怪しい奴らがいるわね。」

 

「何だって!?」

 

魔王軍が戻って来たのか!?

 

グラムを抜きながら駆け出そうとしている僕に、クレメアが声を掛ける。

 

「あれ?ダスト達じゃない。」

 

「へっ?あ!」

 

意外な人物の名前が出た事で、僕は変な声をあげながら転んでしまった。

 

「「だ、大丈夫?キョウヤ。」」

 

「あはは…、大丈夫だよ。」

 

僕は二人の手をとって立ち上がり、ダスト達を見る。

 

「あいつら何をしているのかしら?」

 

「保護者達(テイラーとリーン)は何処に行ったのよ?」

 

声を掛けてみようと思って近づくと、二人の会話が聞こえてきた。

 

「おい、早く行って来いって!」

 

「な!何でだよ!お前が行って来いよ!」

 

二人は一軒の家の前でそんな会話を続けていた。

 

…もしかして、”また”なのかい?

 

「二人とも、覗きは感心しないよ。」

 

僕が後ろから声を掛けると、二人はビクッとしながら此方に振り返った。

 

「何だよ、色男かよ!」

 

「別に覗きだなんて考えてないぜ?ダストじゃあるまいし。」

 

「うっせーよ!キース!」

 

覗きじゃなかったか。

 

「勘違いだったのならゴメン。でも、こんな所で何をして居たんだい?」

 

僕がそう聞くと、二人は顔を見合わせた。

 

「あー、お前には関係ない話だよ。」

 

「いや、待てってキース。事情を説明しておかないと、この正義感の塊みたいな奴に何をされるか分からないぜ?」

 

「…それもそうか。」

 

二人は僕の事を如何思っているんだろう?

大体ダストは自業自得だと思うんだけど。

 

「仕方ない、話すよ。」

 

二人は立ち上がって、事情を話し始める。

 

「で、ここで里一番の美女が占い師をやっているって聞いたんだよ!」

 

「さっき、チラっと見たけど、もの凄い美人でさ!美の女神って言われても違和感ないぐらいで!!」

 

「ああ!どこぞの女神とは比べ物にならねえな!」

 

は?

 

文句の一つでも言おうかと思ったけど、ダストは誰がとは言ってない。

 

二人は興奮気味に話をしていたが、何かを思いついたらしいダストが唐突に矛先を変える。。

 

「そうだ!ミツルギ、お前ちょっと行って占って貰って来いよ。」

 

「は?」

 

「ああ、そりゃ良いかもな。」

 

「それで、ちょっと趣味とか好きな男のタイプとか聞いて来いよ。」

 

「え?何で僕が?」

 

「そうよ!何でキョウヤが行かなくちゃいけないのよ!」

 

「アンタ達が自分で行けばいいだけでしょ!?」

 

ダストの提案に困惑していると、フィオとクレメアが二人に食って掛かった。

 

「紅魔族随一の占い師らしいぜ?実際、占いはかなり当たるって聞いたぞ?」

 

占いか…。

 

アクア様との事を……いや、そういうのは良くないな!

 

僕が黙っていると、今度はキースが口を開く。

 

「魔王軍の事とか聞いてみたら如何だ?昼頃に襲撃があったって聞いたし、次来る時間とか占えるかも知れないぜ?」

 

成程、それは試してみる価値があるかも知れない。

 

「分かった。でも、趣味とかそういうのは聞く気ないからね。」

 

そう言って僕は占い師の家に向かって歩き出す。

後ろで、ダストが文句を言っているようだけど、初対面の人相手にそんな失礼を働きたくは無い。

 

コンコン

 

「はーい、どうぞー。」

 

「失礼します!」

 

中に入ると、長い黒髪の綺麗な女性が立っていた。

 

…………はっ!?

 

「す、すみません!占いを御願いしたいのですが!?」

 

お、思わず、見惚れてしまった!?アクア様一筋だと心に決めているのに僕は!!

 

「貴方、確かミツルギさん…でしたよね?私は占い師をやっているそけっとと申します。」

 

「あ、ははい!どうして僕の事を?」

 

「何度か王都に足を運んだ時に、魔剣の勇者と呼ばれている冒険者の話を聞いた事があるんですよ。」

 

ああ、それで……。

 

「あれ?でもそれだけじゃ、僕の容姿まではわからないんじゃ?」

 

そう言うと、彼女はクスクスと笑う。

 

「ごめんなさい。本当は族長の家から出てきた時にお名前を聞いていて、その後族長から聞いたんです。」

 

彼女はそう言って、可愛らしく舌を出す。

 

その姿が可愛すぎて、僕はドキドキしてしまう。

 

冷静になれ!御剣響夜!!アクア様以外に見惚れちゃダメだ!!

 

「え、えっと…、ご趣味は…じゃなくて!!魔王軍の侵攻タイミングを占って欲しいのですが!?」

 

ダストの所為で余計な事を聞いてしまった!?

 

そんな僕の様子を見て、彼女はクスクスと笑っている。

 

「……その、すみません。余計な事を聞いてしまいました。あの、占いだけでいいので…。」

 

「趣味の方は、この通り占いとあと剣術修行を少々…。」

 

どこから取り出したのか、彼女は木刀を持っていた。

 

「これで、必殺技の練習とかをしているんですよ。」

 

紅魔族が剣術!?

 

「しょ、正直意外です。貴方みたいな綺麗な人…紅魔族は魔法の専門だと思ってましたから。」

 

さっきから失言が多い…、僕はどうしてしまったのだろう…。

 

「そうでもないですよ。結構皆好き勝手にやってますから。

……さて、占いでしたね。魔王軍――シルビアの襲撃タイミングを占ってみましょう。」

 

「は、はい!御願いします!」

 

うう、声が上ずってしまった…。

 

 

 

――――――…

 

 

 

 

 

 

「あ!キョウヤが出てきたわ!」

 

「おかえりキョウヤ!魔王軍の情報は手に入った?」

 

「うん、後でサトウ君と相談しないとだね。」

 

そけっとさんの占いは、かなり当たると評判らしい。

それなら、先程出た占いの結果は、有益な情報になる可能性が高い。

 

今夜は警戒しておかないと…。

 

「おい!そんな事より趣味とか好みのタイプとか聞けたんだろうな!?」

 

「はあ!?アンタまだそんな事言ってるの!?」

 

「キョウヤがそんな事聞く訳ないじゃない!?」

 

「いや、成り行きで趣味は分かったよ。占いと剣術だって言ってたよ。」

 

僕がそう答えると、皆は驚愕の表情を浮かべる。

 

「ええ!?キョウヤ聞いちゃったの!?」

 

「待って!あっちから話をしてくれたかも!?」

 

…僕から聞いちゃったんだけど、言った方がいいのかな。

 

「しかし、紅魔族が剣術とはな!?」

 

「あ、うん、僕も驚いたよ。聞いた話だと修行しながら必殺技の練習をしているらしいよ。」

 

剣の腕はどれ程か分からないけど、スキルがあっても練習しないと強くはなれない。

なら、スキルが無くたって修行次第で強くなれるって事だ。

修行の効果は僕も実感している、もしかしたら彼女は相当強いのかも知れない。

 

「色男!よくやった!此れで切欠が作れそうだぜ!」

 

ダストは剣を片手に意気込んでいた。

 

「あ!ダスト!汚いぞ!」

 

「ダスト、ちょっと待ってくれ!彼女はこれから大事な用があるみたいなんだ!」

 

そけっとさんの家に向かうダストにむかってそう叫ぶと、怪訝な顔で振り返る。

 

「ちっ、邪魔したら印象が悪くなっちまうか…。」

 

「うん、僕もそう思う。」

 

「そうだぜ、ダスト。抜け駆けはすんなよな!」

 

とりあえずは、そけっとさんの邪魔にならなくて良かった。

 

「二人はこれから如何するんだい?」

 

ダスト達に問い掛けると、二人は顔を見合わせる。

 

「うーん、此処が目的だったからな…。」

 

「酒でも飲みに行くか?」

 

いや、まだ昼過ぎだよ!?

 

「暇なら、見回りをしないか?地形を把握しておいた方がいいだろうし。」

 

「地形の把握か…、確かに狙撃ポイントぐらいは確認しておいた方が良さげだな。」

 

「何だよ、キース。お前何時からそんな真面目な事を言う奴になったんだ?」

 

「わかってねえな、ダスト。此れは女の子達から好感度を得る為の第一歩なんだぜ?」

 

「…ちっ!仕方ねえ!俺も付きやってやるよ!」

 

動機はともかく、二人がやる気になってくれたのなら声を掛けた甲斐はある。

 

「じゃあ、夕方まで見て回ろう!」

 

 

 

 

――――――…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シュワシュワお待たせしましたー!」

 

日が暮れるまで見回りをしていた僕達は、居酒屋にやって来ていた。

 

「今の子も可愛かったな、将来有望なんじゃないか?」

 

「この店の看板娘みたいだな。何だよ、ダスト。将来此処に婿入りすんのか?」

 

「バカ言うなよ。俺が接客なんて出来るわけねーだろ?」

 

キースが冷やかすようにいうと、ダストは悪態をつきながらそんな事を言い出す。

 

…まあ、ダストが接客する姿なんて、僕も想像が付かないけども…。

 

弱めの果実酒をちびちびと飲みながら、そんな二人のやり取りを眺めていた。

 

「でも、カズマ達には会えなかったわね。」

 

「如何するキョウヤ?後でめぐみんの家に行って見る?」

 

「そうだね、サトウ君と相談しておきたいし、食事の後に行って見ようか。」

 

それにアクア様のお姿も一目見ておきたい。

 

「ん、ミツルギ達はこの後カズマの所に行くのか?」

 

「ああ、サトウ君達と今後の話もしておきたいからね。」

 

「相変わらず真面目な野郎だな。酒の席ぐらいハメを外したらどうだ?」

 

ダストは呆れたような目で僕の事を見てくる。

 

「逆にダストは不真面目過ぎると思うよ。少しは真面目にやったらどうだい?」

 

「それに関しては、全面的にミツルギに同意する!」

 

「そうよ!キョウヤみたいにはなれなくても、アンタも多少落ち着いたほうが良いんじゃない?」

 

「せめて、警察の厄介になるような事はやめてよね!アンタも一応、英雄の一人として数えられてるんだしさ!!」

 

三人が僕の言葉に追随して、ダストに文句を言い始めた。

 

「うっせーな!酒が不味くなるだろ!?」

 

ダストが騒ぎ始めてしまったので、其れを諌めながら食事が進んでいく。

 

「と、もうこんな時間か。あまり遅くなると迷惑になるから、僕達は先に失礼するよ。」

 

「あ、俺も行こっかな。狙撃ポイントはあいつと共有しておきたいし。」

 

そう言いながら、キースも席を立った。

 

「ダストはどうするんだい?」

 

「んあ?俺はまだ飲むぞ!」

 

若干顔を赤くしながら、ダストはそう言い放つ。

 

「余り飲み過ぎない方が良いんじゃないか?」

 

魔王軍の襲撃の事もさっき話したばかりなんだけど…。

 

「うっせーよ!良いだろ、別によ!?」

 

「放っとけよ、ミツルギ。こいつはこうなったら潰れるまで飲むから。」

 

流石にそれは体に悪いと思うんだけど…。

でも、キースの言う通りかも。これ以上絡まれる前にめぐみんの家に向かった方が良いか。

 

「すみませーん!お勘定を御願いします!!」

 

 

 

――――――…

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミツルギ!その話は本当なのか!?」

 

ダクネスが興奮気味に確認してくる。

 

「ああ、占い師の話を信じるならだけど。」

 

「めぐみん、ゆんゆんどうなんだ?」

 

「ミツルギ、その占いを行ったのはそけっとで合ってますか?」

 

「うん、長い黒髪の綺麗な女性で、占いと剣術が趣味って言ってたよ。」

 

めぐみんの言葉に僕は頷きながら答える。

 

「ミツルギさんが言っているのはそけっとさんで間違いないね。」

 

「ですね、それでしたら確率はかなり高いと思います。」

 

「そっか、じゃあ直ぐにでも迎撃準備を整えた方が良さそうだな!」

 

「カズマさん!私お父さんの所に行って話を通してきます!」

 

「あ!待って!ゆんゆん!私も行くわ!!」

 

駆け出したゆんゆんを追ってアクア様も行ってしまわれた。

 

「ダクネス!お前も二人について行ってくれ!」

 

「分かった!」

 

「カズマ、俺からもいいか?」

 

「ん?何か気づいたのか?キース。」

 

「いや、そういうのじゃないんだが、俺の方で狙撃ポイントを調べておいた。」

 

そう言ってキースは里の地図を広げる。

 

「侵攻が情報通りなら、此処と此処。それから此処辺りが狙撃に向くと思う。」

 

「成程、……うん、悪くねえな。この情報があれば指揮も執りやすい…。

じゃあキースは時間になったらテイラー達と行動してくれ。」

 

「ああ、わかった!」

 

「襲撃は深夜……時間がまだかなりあるね。どうする、少し休んでおくかい?」

 

「ああ、キースのお陰で手間が省けたからな。時間までは各自休んでおこうぜ。」

 

「分かった、また後で!」

 

サトウ君達と別れて宿に向かう。

 

「あ、ダストはどうしようか。」

 

「泥酔してたみたいだし、居ても邪魔になるだけよ。」

 

「それに、居場所は分かっているんだし、テイラーが迎えに行くんじゃない?」

 

それもそうか。

 

テイラーに押し付ける形になっちゃったけど、ダストの事は彼に任せた方がいいか。

 

襲撃予定時刻は午前二時前後、僕達は休めるうちに休んでおこう。

 

 

 

 

 

この判断が後々で問題になるなんて、この時の僕は予想だにしていなかった。

 




短いですが、今回は此処まで。
次話はシルビア襲撃からになります。
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