このすば カズマが冷静で少し大人な対応ができていたら。 作:如月空
今回のキーキャラはダスト君です。
『魔王軍襲来!魔王軍襲来!魔王軍と冒険者達との間で、既に戦闘が始まっている模様!』
≪ダスト目線≫
あー、うるせえな…、頭に響きやがる…。
「ああ?此処は何処だぁ?」
宿に戻って、寝ちまおうと思っていたんだが…。
俺は周りを見回す。
「ちっ!何だよ!こっちは町外れじゃねえか!?」
こんな時間に慣れねえ町を歩くもんじゃねえな。
そう思って踵を返すと、女の後姿を見つけた。
「お?こんな時間に出歩いてるなんて、感心しないな!」
へへっ!悪戯されたって文句は言えねえぞ?
少し驚かせてやろうと思って、俺はその女に近づく。
「…も、もう少し…もう少しで…。」
ん?何言ってんだ?まあいいや。
「へへっ!こんな時間に出歩くと襲われちまうぜ?こんな風にな!」
俺は女を後ろから抱きしめて、胸を揉む。
その感触を楽しんでいるとある事に気がついた。
何だコイツ、よく見たらボロボロじゃねえか。
「あら?貴方…。」
「あん?って、うわっ!?」
女にいきなり抱き寄せられ、俺はそいつの胸に顔を埋めていた。
「うぇ、うへへ…。」
魅惑的な体を持つ彼女は、良い物をもっていた。
「あらあら、そんなに私の胸が気に入ったのかしら?」
女は頭の後ろに腕を回し、俺の頭を胸に擦り付けた。
お?おお!?これってあれか?誘ってんだよな!?
女が着ている服の肩紐に手をかけてもまったく抵抗しない。
気を良くした俺は、そのまま女を脱がせ上半身を晒させる。
「素直な子ねえ、そんなにしたいのかしら?」
「はうあ!?」
女は俺の下半身に手を伸ばし…
≪シルビア目線≫
「ふう…。満足した?」
私の手管で果てた彼は、コクコクと頷いた。
「でも…まだ、し足りないんでしょ?どう?私の体を色々使って…。」
その言葉に、彼は目を見開いて大きく頷く。
「なら、貴方に手伝って貰いたい事があるの、お願い出来る?」
「任せろ!」
私の問い掛けに、彼は食い気味に答えていた。
―――――――…
少し前……
≪ミツルギ視点≫
「クソッ!幹部の癖に逃げ足が早いな!」
「此れまでに、何度も里の者が取り逃がしているような相手ですからね。」
「此方は完全に見失ってしまったね…。」
僕達の作戦は途中までは上手くいっていた。
だけど、シルビアの判断が早かった。彼女は不利と見るや否や即座に撤退をしてしまったんだ。
それに即反応したぶっころりー達が追撃してくれているが、僕達は完全に出遅れてしまった。
「どうする、カズマ?」
テイラーがサトウ君に問い掛けた。
「あークソっ!あまり使いたくなかった手だが、ここはパーティー毎に分かれて追撃するぞ!」
「仕方ないね…。皆、シルビアを見つけても直ぐに手を出さないようにね!」
「お前が其れを言うのかよ…。まあいい、見つけたら即座に連絡を!少しでも危険を感じたら撤退しろよ!?」
「分かった!行くぞ!リーン!キース!」
「ちっ!ダストの野郎、結局来なかったな。」
「ダストだし、仕方ないよ。行こう!」
あの時、やっぱりダストを迎えに行くべきだったかな…。
でも、彼が素直に応じてくれるとも限らなかったし、仕方ないか。
「よし!僕達も行くよ!サトウ君達も気をつけて!」
「ああ!」
サトウ君達と別れて、彼らとは別ルートでシルビアを追い掛ける。
「まったく!幹部の癖に逃げるなんて本当面倒よね!フィオどう?感知はあった?」
「まだ、無いわね…。こっちじゃないのかしら…。」
こっちは外れか…?ん?何だろアレ?
追い掛けている最中に見つけた建造物に心が惹かれた。
これは…コンクリート!?バカな!この世界にはない物だぞ!?
「あ…、そうか。僕達の先輩達なら…。」
「?どうしたの?キョウヤ。」
「いや、ゴメン。今は気にする事じゃなかったよ。」
「あ、反応したわ!?…あっちよ!!」
フィオの潜伏スキルで反応があった場所に近づくと、遠目でシルビアらしい姿を見つけた。
「…僕が此処で様子を見ておくから、二人は皆を呼びに行って貰えるかい?」
「……わかったわ、キョウヤ無理はしないでね。」
「キョウヤ…、行って来るわね。」
「ああ、頼むよ。」
二人が潜伏状態で離れていく。
スキルの恩恵が無くなった僕は、息を潜めてゆっくりと近づいていく。
確か、あの辺りで姿を消した筈だ。
多少のリスクはあるけど、確認はしておきたい。
考えてみれば、皆の猛攻を受けた後だ。
手負いとはいえ油断は出来ないが、いきなり窮地に陥るなんて事はない筈。
見つかれば逃げようとするかも知れない…。でも皆が来るまでの足止めぐらいは間違いなく出来る!
慎重に、音を立てず…シルビアが消えた場所を僕は覗き込む……
「ダスト!?」
僕は思わず声を上げてしまった。
「ん?何だ色男じゃねえか。こんな所で何をしてるんだ?」
そこに居たのはダスト一人だった、シルビアの姿は無い。
「キミこそこんな所で何を……まあ、いい。女が逃げて来なかったか?」
ダストはシルビアを見てない、だからこう言えば理解してくれる筈だ。
「は?何だお前、こんな時間に女なんか追いまわしてたのか?お堅い奴だと思えば俺と同類じゃねえかよ。」
「なっ!?」
流石にダストと一緒にされるのは心外なんだけど!?
「そんな事より、こいつを見てくれないか?読めねーし、よくわからん道具がついてるしでお手上げなんだよ。」
「は?…しょうなみ…いやこなみ?あ!コナミコマンドか。」
これは転生者が作ったものか?
「お!何だミツルギ、お前読めるのかよ。…でどうすりゃ良いんだ?」
「うん?えっと多分、コナミコマンドを入力すればいいだけだと思うけど…?」
僕がそう言うと、彼は笑ったように見えた。
「で、それは?如何いう物なんだ?」
ダストが問い掛けてくるが、正直うろ覚えだ。
そもそも僕は、聞いた事があるというわけで、実際そのゲームをした事は無い。
「僕の国で有名なコマンドらしいけど、うろ覚えなんだよね。」
「それでもいいよ。教えてもらえるか?」
「えー?んー確か…上上下下左右左右BAだったかな?」
「びーとかえーって何だ?」
「ん?ああ、丁度其処にある…これとこれだね。」
「ほお!」
…あれ?よく考えたら何で僕はこんな事をダストに説明しているんだ?
「ダスト、教えておいてアレだけど…弄らない方がいいよ。爆発とかする可能性もあるんだから。」
そう、確か聞いた話では自爆する事もあるらしい。
「でも、試してみる価値はあるんじゃないかしら?」
!?
「お前は!?」
背後にシルビアが立っていた。
「!」
咄嗟に剣を抜こうとすると、シルビアはダストの傍に寄った。
「ダスト、御願い出来る?」
「おう、任せろ。」
シルビアの指示でダストがパネルの操作を始める。
「なっ!ダスト!キミは何を!?」
ピーという音と共に、扉が開く。
「じゃあ、行きましょうか。…ミツルギ?付いて来たら分かっているわね?」
「くっ!」
幾らダストでも、流石に裏切るとは思えない。
もしかしたら、シルビアに操られていたのかも!?
だけど、ここは一体…?
遠くの方から、沢山の足音が聞こえてくる。
「「キョウヤ!」」
…どうやらフィオ達が皆を連れて戻って来たみたいだ。
≪カズマ視点≫
「あれ?扉が開いているぞ?」
「何だって!?」
ぶっころりーの言葉に反応して、奥を見ると本当に扉が開いていた。
そして俺は、その傍で立ち尽くしていたミツルギに声を掛けた。
「おい、ミツルギ!此れは如何いう事だ!?」
俺は焦りからか、声を荒げてしまった。
「ご、ゴメン!ここにダストがいて…彼にコナミコマンドをつい教えてしまったんだ。」
「ダストが!?」
しまった!こいつだって知っていても可笑しくは無かったんだ!
「…お前には伝えておくべきだったよ。」
「サトウ君、此処は何の施設なんだ!?」
ミツルギが問い掛けると、めぐみんが俺の代わりに説明をしてくれた。
「と、言う訳なのです!」
「せ、世界を滅ぼしかねない兵器!?」
驚愕したミツルギの表情は、だんだんと青くなっていく。
「ですが、流石にシルビアでも其れを動かす事は無理だと思いますよ。」
「そうそう、俺達にも使用方法なんて分からないんだから!」
めぐみんに続いて、ぶっころりーまで暢気な事を言い始める。
「さーて、シルビアはまだ中にいるんだろ?さっさと倒しちまおうぜ?」
「ああ、此処なら逃げ場はないからな!最終決戦だ!」
紅魔族が口々にそう言いながら部屋に向かうと
「だ、ダメだ!ダストが人質になっている!」
ミツルギが皆を阻む様にそう叫ぶと
「アーーーーッ!!」
中からダストの絶叫が木霊した。
それに気を取られていると突然、施設が揺れ始める!
そして…それは施設を破り、地上に放たれた。
と、いうわけで原作通りの展開になりました。
次回でシルビア戦は終わると思います。
長くなると思うので少し時間は掛かるかも知れません。