このすば カズマが冷静で少し大人な対応ができていたら。 作:如月空
<ふにふら視点>
折角ゆんゆんに会えたのに、昨日は進展が無かった。
「以前までなら、少し押すだけで何でもいう事聞いてくれたのにね。」
「そうだったよね…、まあ、だからこそ酷い事はやめようって話になったんだけど。」
『友達なんだからご飯奢ってよ』って冗談で言ったら、本当に奢って貰っちゃってあの時の罪悪感は酷かった。
まあ、そう思いつつ私もどどんこもガツガツ食べちゃったんだけど。
ゆんゆんには何かお詫びを考えないとね。でも今は…
「今日こそ、カズマって人に会わなくちゃね!」
そして、里を飛び出して有名になってやるんだ!そして大金持ちに!
そのまま駆け出す私の背中に向けて
「あの、私もいるからね?」
どどんこが何かを言っていた。
―――――――――…
「これは中々…!出来れば他のナギナタやナガマキという物も見てみたいです!」
「じゃあ、後で取って来ますよ、あるえやねりまきからも頼まれてますし。」
「しかし、その…刀がよくお似合いですね、そけっとさん…。」
「ふふ、ありがとう御座います。ミツルギさん。」
里中を駆け巡った私(とどどんこ)は、やっとの事で目的の人物に巡り逢えた。
一緒に居るのは…、ソードマスターの人と…げっ!そけっとさん!?
「あれ?そけっとさんだ。」
「ちょ、ちょっと!そけっとさん相手じゃ絶対敵わないじゃない!?」
まさかそけっとさんが年下好きだったなんて…。
騒いでいる私達に気がついたカズマさんが、私達の元に近づいて来た。
だけど、ライバルになると思っていたそけっとさんはもう一人の男性と話を続けている。
あれ?私の勘違い?
そんな事を考えていたら、カズマさんに声を掛けられた。
「俺達の事を見てたみたいだけど、何か用か?」
ちゃ、チャンス!向こうから話し掛けて来てくれた!
「わわわ、私!ゆんゆんとは同級生で…!」
「ちゃんと私達って言ってよ!ふにふら!」
「ん?ふにふら…?」
あれ?何だろうこの反応?
「んーと、そっちの子はどどんこで合ってる?」
「あ、はい!…なんで私の名前を?」
「え?あー…。」
どどんこの問い掛けにカズマさんは困ったように頬を掻いた。
「も、もしかして、私達の事をご存知なんですかっ!?」
もしかしたら、ゆんゆんが友達って説明してくれてたのかも!?
「あー…、友達だという事を利用して、ゆんゆんに集ってたとか?」
「「ふぁっ!?」」
カズマさんの言葉に、私達は青くなる…。
「其の反応は本当の事だったらしいな。ゆんゆんはからかい易いっていうのは理解出来るけど、金銭要求は良くないぞ。」
「「ご、御免なさい……。」」
「まあ、反省しているなら良いけど…、ちゃんとゆんゆんには謝っておけよ。」
「は、はい…お金を貯めて、ゆんゆんに何かお詫びをしようと思ってて…。」
「あの時は罪悪感に苛まれて…、ほ、本当ですよ!?」
「あー、そういうのは直接ゆんゆんと遣り合ってくれ。」
カズマさんの言葉に私達は慌てて弁明をしたけど、彼に流されてしまった。
うーん…此れは印象最悪だよね…。
「で、俺達に何か用なのか?」
私達が落ち込んでいると、カズマさんは先程の質問を投げ掛けて来た。
「は、はい!私達は里を出ようと思ってまして、出来ればカズマさんのパーティーに入れて貰いたくて…!」
「駆け出しのアークウィザードですが、上級魔法は修得しています!御願い出来ないでしょうか?」
私達が懇願をすると、カズマさんは困惑した表情を浮かべていた。
「え?何で俺のとこなんだ?」
「えと、シルビアとの決戦で見かけたカズマさんがとっても格好良くて!」
「もう、この人に付いていくしかないって決めたんです!」
私達の言葉に顔を赤くさせるカズマさん。
これは後一押しでいけるんじゃ!?
「おい!私の旦那に色目を使うのはやめて貰おうか!」
「「ふぇ?」」
いきなり後ろから声を掛けられて、驚いた私達は間抜けな声を出して振り返った。
「って、めぐみんじゃない。」
「ひさしぶりね、めぐみん。」
…あれ?今めぐみんとんでもない事言ってなかった?
「お帰り、めぐみん。ちぇけらさんは何て言ってた?」
「後三日ほどで完成するそうです。」
「お!予想より早いな!じゃ、折角だから後三日は滞在すっか。一応荷物は取りに戻るけどな。」
「ふむ、其の様子だと、やはりそけっとは食いつきましたか。」
「ああ、薙刀と長巻も見たいってさ。」
楽しそうに会話を続けるめぐみんとカズマさん。
というか、距離が滅茶苦茶近くない!?
「あ、あの!?」
「で、カズマ。何でふにくらとどろんこが此処に居るのです?」
「ふにふらとどどんこだろ…。何か俺達の方を見てたから声を掛けたんだよ。
そしたら、俺達のパーティーに入れて欲しいって言われてさ。」
めぐみんの間違いを即刻訂正するカズマさん。
年は然程変わらないと思うんだけど…何と言うか、大人の男って感じがして格好良いなぁ…。
「ほう…、うちのパーティーに入りたいと?」
カズマさんに見惚れていると、めぐみんがドスの聞いた声をだしていた。
「って、めぐみんもカズマさんと一緒のパーティーなの!?え?ゆんゆんもいるんだよね!?」
「確かめぐみんって、魔法使いはパーティーに一人いれば十分だって言ってたよね!?」
私達がそう聞き返すと、めぐみんは平然な顔をして答えた。
「ゆんゆんとは役割分担をしているので問題が無いのですが、お二人まで入ったら完全に魔術師過多です。
そもそも、カズマは紅魔族に引けを取らないぐらいの魔力持ちで初級から爆裂魔法に至るまで全ての魔法を修得しているんですよ。」
ええ!?カズマさんって、そんなに魔力が高いの!?しかも爆裂魔法まで修得!?
「それに…。」
「それに?」
私が相槌を打つように聞き返すと、めぐみんは顔を赤らめて
「カズマ狙いなら、諦めてください。もう私のお腹の中にはカズマの子が居るのですから。」
「「!?」」
「おい!」
一瞬驚いたけど、カズマさんがめぐみんに突っ込みを入れてたので、冗談だと気づいた私達は安堵していた。
「何ですか?カズマ。出来てないとは限りませんよ?此処最近は頻繁にしているのですから!」
「「はあ!?」」
「お前は何でこう初対面の子の前で、そういう事を言っちまうんだよ!?」
「「ええ!?」」
ほ、本当にめぐみんと…?って、さっきの旦那発言もマジ話なの!?
「そう言う訳で、私達の結婚式にはお二人も招待しますから参加して下さいね?」
満面の笑顔で言われてしまった。
そして、その場でガクっと膝を付く私達。
「うう、めぐみんに先を越されていたなんて…。」
「あの、魔法にしか興味を示さなかっためぐみんが…。」
何かの間違いだと思って、めぐみんの顔を見上げると
「フッ!」
「「うわああああああんん!!!!」」
思いっきりドヤ顔をされてしまった。
「んで、里を出るためのパーティーを探してんだろ?ミツルギのとこなら入れると思うぞ?」
私達が落ち着くのを待って、カズマさんがそんな事を言い出した。
「「え?」」
「おーい!ミツルギー!ちょっと来てくれ!」
カズマさんがそけっとさんと話をしていた男性に声を掛ける。
「ん?どうしたんだい?サトウ君。」
カズマさんに呼ばれて、ミララギさん?がやってくる。
「お前んとこにこいつらを入れてくれないか?駆け出しのアークウィザードなんだけど。」
「え?良いのかい!?」
そう言ってカツラギさんは、私達に確認を取ってくる。
「え、えと、本当はカズマさんの所に入りたかったんだけど…。」
「カズマさんも含めて魔法使いが三人もいるんじゃお役に立てそうにもないので…。」
「そっか…。うーん、サトウ君。王都防衛の際には…。」
「ああ、うちで預かるよ。てか、金もあまり無いみたいだし、
お前のトコに入るんだったらウチに住んで貰うよ。その方がお前も安心出来るだろ?」
「そうだね…、そうして貰えると助かるかな?」
え?カズマさんの家に住む!?
た、確かにお金が無いからその方がありがたいけど…いいのかな?
「二人とも何を勝手に決めているのですか!?」
と、思っていたらめぐみんがご立腹になっていた。
そうだよねー、流石に私達二人が居たら邪魔になるよね…。
「別にいいだろ?屋敷の部屋はまだかなり余ってるんだし、それに一応はお前やゆんゆんの友達だろ?」
「まぁ、そうですけど…。」
「あの、一応とか言われると流石に凹むんだけど…。」
「ああ、悪い。で、どうすんだ?お前ら。」
「えっ?」
「で、でも、めぐみんが!」
どどんこがそう言うと、めぐみんは溜息をつきながら口を開いた。
「はぁ、カズマが許可を出しちゃいましたからね。ミツルギも魔術師を欲しがっている様ですし…。」
「あー、何か悪いね…、魔術師は欲しいけど駆け出しレベルの子を連れて回るのは気が引けてね。」
「まぁ、そこは精々1年かそこらぐらいで追いつくだろ、紅魔族なんだし。」
ええ…1年で追いつけって…?
「そうですね、追いつけない様なら放り出せば良いのですから。」
「そうだな、其の頃なら金もある程度は貯まっているだろうし。」
めぐみんの言葉にカズマさんが頷いていた。
「え、えっと…み、みミララギさん?」
「ミツルギだよ。…なんで皆、僕の名前を間違えるんだ?」
そう言ってミツルギさんは困惑の表情を浮かべていた。
「ご、ごめんなさい!?それでミツルギさんのレベルは…?」
私は恐る恐る問い掛ける。
めちゃくちゃ高かったらどうしよう!?
「僕のレベルは42だけど?」
「「たか!?」」
「あ、でも里のニート連中の方が高いんだっけ…。」
「そ、そういえばそうだね…じゃあ、私達も追いつけるかな?」
あのニート連中に出来て、私達に出来ない筈はない!なら!!
「我が名はふにふら!紅魔族随一の弟思い!上級魔法を操る者!やがて大金持ちになる者!」
「わ、我が名はどどんこ!紅魔族随一の……何だっけ?あ!上級魔法を操る者!やがて素敵な旦那を捕まえる者!」
「「よろしく御願いします!!」」
こうして、私達はカズマさん一行のミツルギさんパーティーに加わる事なった。
よっし!これからがんばっていくぞー!
意気揚々としていた私達は、カズマさんの屋敷で怖い目に遭う事になるなんて、この時は想像もしていなかった。
という訳で、ふにふらとどどんこがレギュラー入りしました。
まあ、私がふにふら好きなのでしょうがないですね。一番は勿論めぐみんですが。
今後、フィオ達とひと悶着した後、アルカンレティアに向かう事になると思います。
次回は少し空くかも知れませんが、のんびりお待ちいただけると幸いです。