このすば カズマが冷静で少し大人な対応ができていたら。   作:如月空

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アルカンレティア編。その序章になります。


いざ、アルカンレティアへ!

<アクア視点>

 

 

「ふむ、中々…。」

 

「いいなあ、二人とも…。」

 

「なんか、カズマ達ばかりずるくない!?」

 

集合場所に遅れてやって来たカズマとめぐみんは、新しい衣装を身に纏っていた。

 

二人が着ているのは黒を基調とした紅魔族ローブだけど、細部に刺繍がしてあって魔力を帯びている。

全体的なデザインとしては、めぐみんの方は今まで着ていた紅魔族ローブの色違いという感じで、

カズマのローブは、めぐみんに合わせた様なデザインをしていた。

 

「ちょ、ちょっと、めぐみん!其れいくらしたのよ!?」

 

「くっ!カズマさんとお揃いとか見せ付けてくれちゃってさ!?」

 

「フッ。」

 

ふにふらとどどんこが絡むと、めぐみんは勝ち誇った様な表情をして二人を鼻で笑っていた。

 

「やっぱり、めぐみんって結構性格悪いわよね。」

 

「え!?そ、そんなこと無いと…思いますけど…。」

 

慌ててフォローに入ったゆんゆんは、どんどん語尾が弱くなっていく。

きっと、心当たりが多かったんだと思う。

 

其れは兎も角、私達も、何かお揃いになる物を身につけるべきよね!

 

腕輪はお揃いだけど、此れはパーティーメンバー全員が持っている物だからノーカウントよね。

うーん、何か良い物はないかしら?私の服もゆんゆんのローブも特別製だから変える訳にもいかないし…。

 

「皆さん、おはよう御座います。揃われていますか?」

 

其の声に反応して振り向くと、そけっとがお供を連れて立っていた。

 

「おっはよー!そけっと!今日はよろしく頼むわね!」

 

私がそう言うと、彼女は微笑んでからコクンと頷いてくれた。

 

ちなみにそけっととは酒場で知り合って其処で飲み友になった。

そして、飲んでいる時に今回の事を彼女に相談したら、

アルカンレティアなら登録してありますよ、と聞いたので駄目元で頼んでみたら、

彼女は二つ返事で承諾してくれた。其の日の飲み代は私持ちになったけど…。

 

「おや?あるえとねりまきじゃないですか。見送りに来てくれたのですか?」

 

そけっとと一緒に来ていた二人に気づいためぐみんは彼女達に声を掛けていた。

 

「いや、今回は私達も同行しようと思っていてね。」

 

「あるえは取材で、私は将来を見越して、取引先に出来そうなお店を探そうと思って。」

 

「成程…、それは良いのですが、お二人は宿に泊まれる程のお金はあるのですか?」

 

めぐみんがそう聞くと、二人は少し挙動不審になって。

 

「あー…出来れば、団体割引とかそう言う物を期待してるのだがね。」

 

「だ、ダメかなぁ?」

 

そんな二人にめぐみんが呆れたような視線を送っていると、意外な所から声があがった。

 

「じゃあ、私達が部屋代を出してあげるわよ。」

 

「ふにふら達と一緒の部屋になるけど、友達なんだし別に良いわよね?」

 

ミツルギの取り巻きことフィオとクレメアが、めぐみん達の話に割り込んだ。

 

「え、有り難い話だけど良いのかい?」

 

「いいわよ!私達に任せておきなさい!」

 

そう言ってフィオは胸を張る。すると、たゆんと揺れる。

そして、其れを見ていためぐみんは凄い顔をしていた。

 

あるえ達が、ふにふら達の元に向かうとめぐみんが口を開いた。

 

「フィオ、どういう風の吹き回しですか?何を企んでいるのです?」

 

「どういう意味よ!?べ、別に、後輩達にいい格好見せようとか思ってないわよ!?」

 

「あー…。言い過ぎました、すみません。」

 

思わず本音を口走ってしまったフィオに、めぐみんは生暖かい視線を送っていた。

 

「くっ!カズマ!そろそろ出発してもいいんじゃない!?」

 

その視線に耐え切れなくなったのか、フィオはカズマに向かってそう叫んでいた。

 

「そうだな。じゃ、そろそろ向かうか。」

 

カズマの宣言を確認した私は、ゆんゆんの手を取って皆の中心に陣取った。そして

 

「それじゃあ、いくわよー!そけっと、頼むわね!」

 

「では皆さん、また何時か。『テレポート!』」

 

 

 

―――――――――…

 

 

 

 

 

 

そけっとのテレポートで順次転送された私達は、アルカンレティアから少し離れた街道にいた。

 

「ん?何で、こんな半端な所なんだ?」

 

「さあ…?」

 

私とカズマは登録場所に疑問を感じて首を傾げていた。

 

観光地だから、他の人に気遣って離れた場所を登録してたのかしら?

 

「まあいいか。じゃあ行こうぜ。」

 

総勢16名という人数で、私達はアルカンレティアの町を目指す。

道中、ミツルギのパーティーとテイラーのパーティーが何故か不安そうな顔をしていたけど…。

 

そして、私達はアルカンレティアに辿り着いた。

 

「やっと着いたわね!皆早速観光よ!!」

 

「おい、待てって!先に宿を取ってからにしろよ。」

 

街中に向けて駆け出そうとした私に、カズマが後ろから声を掛けた。

 

「むう…。仕方ないわね。」

 

確かに、宿が埋まったら大変よねえ。街中の道端でキャンプなんて最悪だし。

 

私達は、この町一番の宿に向かった。宿決めは多数決で決めたんだけど、結果としては悪くない。

ただ、ここの宿はアクシズ教の傘下じゃないらしい。其処だけは少し残念だった。

 

部屋割りを決めて、荷物を部屋に置いた後、私達は一度ロビーに集まる事にした。

 

「じゃあ、皆!観光に行きましょうよ!」

 

「すまないが、俺達は温泉にでも入って宿でゆっくりしているよ。」

 

「ごめんねー!」

 

「ダストの奴も放ったらかしに出来ねえしな。」

 

そう言ってテイラー達は観光を辞退した。

 

「むう…、ダストの事を持ち出されると強くは言えないわね…、でも帰るまでにはちゃんと観光しなさいよ!?」

 

私がそう言うと、テイラー達は一度頷いてから部屋に戻っていく。

 

「じゃ、俺達はもう行くわ。」

 

それだけ言って、カズマとめぐみんは宿を出る。

 

「あ、待っておくれ!取材を、取材をさせてほしい!」

 

「カズマさーん!販路に出来そうなお店を選別して下さーい!」

 

そして、夫婦を追い掛けて行く、あるえとねりまき。

 

「あ、待ってよー!私達も行くってばー!」

 

「ちょっとふにふら!?あ…、すみません!行って来ます!」

 

当然の様に、同級生コンビも其れに続いた。

 

「…カズマったら、紅魔族の美少女を5人も侍らせるなんて…、その内バチが当たりそうよね。」

 

「あはは…。」

 

私の呟きに、ゆんゆんは苦笑いをしていた。

 

結局、この場に残ったのは、私とゆんゆん、ダクネスとミツルギ、フィオ、クレメアだけだった。

 

「仕方ないわね、このメンバーで行きましょ!」

 

私がそう言うと、ミツルギは言い辛そうに

 

「その、僕としては温泉巡りを…あ!いえ、何でもありません!お供します!」

 

これ以上人数を減らしたくない私は、ミツルギを睨んでいた。

ミツルギが来ないとなると、フィオ達も来なくなるだろうから当然の処置だった。

 

「それで、何処に向かうんだ?」

 

「そうねぇ。先ずは町を軽く回りましょう!其の後は目に付いた所を片っ端に当たって最後に大聖堂よ!」

 

こうして、私達の観光が始まった。

期待に胸を膨らませた私は、この町で暗躍している者の存在をまだ気づいていなかった。

 

 

 

―――――…。

 

 

 

 

 

<リーン視点>

 

「危ない危ない…、大変な目に遭うところだったよ。」

 

観光なんかに行ったら、絶対アクシズ教徒に絡まれちゃうよ。

折角、アクシズ教徒のいない高級宿を指定したんだから…。

 

「ふう…、それにしても誰も居ないな。まあ時間が早いから当然なんだけど。」

 

そう行って私は腕を伸ばす。

 

この広い空間はあたしの貸しきり状態かあ…。

 

紅魔の里もお風呂ぐらいはあるけど、やっぱり温泉は格別だった。

 

「くーっ!!」

 

そして、温泉に浸かりながら飲む美味しいお酒。もう、最高だよね!

 

「はあ…、夕食が待ち遠しいなぁ。」

 

あたしはそんな事を考えながら、のんびりとした休日を楽しんでいた。

 

 




今回は移動だけであっさり終わりましたが、本編(洗礼)は次回からになります。

次回は久々にカズマ視点がメインです。……あれ?主人公…。
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