このすば カズマが冷静で少し大人な対応ができていたら。   作:如月空

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明けましておめでとう御座います。
今年もまったり続けていくので、今後もよろしく御願いします。


協力者。

 

俺達が宿に戻ると時間が早かったのか、まだ誰も戻って来ていなかった。

仕方ないので、飯でも食って皆を待とうと思っていたのだが。

 

「すみません!万が一があるといけないので、今食材の方も調べて貰っているんです!!」

 

毒物の混入が温泉だけだとは限らない、そう主張する宿のご主人。

 

まぁ、当然だよな、その心配は…。

 

「じゃあ、料理の持込みをしても良いですか?」

 

「え、ええ。それは構いませんが…。」

 

宿の主人の承諾を得られたので、俺達は一度宿を出た。

 

「カズマ、食材は如何します?」

 

「あー、この時間だと流石に市場は閉まってるか。じゃあ、ギルドで融通して貰えないか頼んでみようぜ。」

 

「それは良い考えですね、ギルドなら備蓄があるでしょうし。」

 

テレポートでアクセルに戻り、ギルドで備蓄の食材を買い取る。

そして、屋敷に戻る道中で意外なコンビと出くわした。

 

「あら?カズマさんとめぐみんさんじゃないですか。帰って来てたんですね。」

 

「よう、ウィズ。ただいまっと言いたい所だけど、今回は一時帰宅だよ。」

 

「そうなんですか?」

 

「はい、ちょっとトラブルに巻き込まれまして、食事を用意しないといけなくなったんですよ。」

 

めぐみんが事情を説明していると、バニルが何時もの調子で笑い出した。

 

「フハハハ!相変わらず厄介事に巻き込まれているのだな!また、あの淫乱女神が原因であろう?」

 

「あー、まぁ、否定は仕切れないが…、あ、そうだ!二人はデッドリーポイズンスライムっていう種族の幹部って知っているか?」

 

「え、ああ…、ハンスさんの事ですね。」

 

ウィズがぽややんとした表情で何気なく答える。

其の言葉を聞いた瞬間、俺とめぐみんは顔を見合わせた。

 

「やっぱり、魔王軍の幹部でしたか…。」

 

「ちっ!結局関わっちまうのかよ。」

 

「え?あれ!?お二人ともどうしたんです!?」

 

「成程成程、また愉快な状況になっている様だな!して、小僧。貴様、また新しい金儲けの種を見つけてきた様だな!」

 

そう言って、バニルは真面目な表情になる。商談モードって奴だ。

 

「ん、ああ。事件が終わったら、当人を連れてお前のとこに顔出すつもりだったんだが…?」

 

「ふーむ…。」

 

そう言って、バニルは俺とめぐみんを交互に見る。

 

「ポンコツ店主よ!此処は大事な御得意様の為に一肌脱ごうではないか!」

 

「ふぇ?」

 

「「はっ?」」

 

ウィズ、そして俺とめぐみんもバニルのらしくない言葉に固まる。

 

「あ?…どういう風の吹き回しだ?」

 

バニルが積極的に俺達の手助けをしてくれるなんて思えない。何か裏がある筈だ。

俺達が懐疑的な目付きでバニルを見ていると、ニヤニヤとしながら口を開いた。

 

「フハハハ!色々愉快な状況になっている上に、今回もかなり稼げそうではないか!?」

 

「はあ…?」

 

良く分からないが、見通す力で何かを見たのかも知れない。

そう考えると、コイツが言っている事も同行するという申し出も何となく納得が出来てしまった。

 

「付いて来るのは良いけど、アルカンレティアだからな?後で文句は言うなよ?」

 

魔王しばくべし!悪魔しばくべし!!のアクシズ教徒の総本山だ。

バニルはもちろん、ウィズだってバレたら危険だとは思うが…、まぁ、この二人なら何とかするだろう。

 

「うむ!ささ、ポンコツ店主よ。店に戻って準備をするぞ!小僧にあのガラクタを押し付けられるかも知れん!」

 

「え?ええ!?うちのお店にはガラクタなんてありませんよ!?バニルさん酷い事を言わないで下さい!!」

 

「ガラクタであろう?現にずっと売れていないではないか!?」

 

そんな風に仲良く口喧嘩をしながら、消えていく二人。

そんな二人を見送ってから、俺はボソリと呟いた。。

 

「…なんか大損しそうな気がするんだけど…。」

 

「バニルが言っていた事…、気になりますね。」

 

「ああ…。」

 

 

 

―――――――…

 

 

 

 

 

<アクア目線>

 

私たちが宿に戻ると、夫婦(カズマとめぐみん)以外が揃っていた。

二人はまだ帰って来てないの?と問うと、カズマ達は夕食を作りに戻ったらしい。

如何して態々?と思っていたら、宿側が夕食を提供出来ないからだと聞いた。

 

其の後は、宿の人が用意してくれた宴会部屋で、カズマ達が戻って来るまで軽く情報交換をしていた。

そして、一時間ぐらい経った頃、カズマ達が意外な連中を連れ立って戻って来た。

 

「皆、待たせたな!先ずは飯にしよう。余計な質問は後な!!」

 

「って、何でそいつらが居るのよ!?特にバニル!アンタ何私の聖地に足を踏み込んでいるのよっ!?」

 

「フハハハ!小僧の忠告を早速無視するとは!淫乱女神は頭も緩いと見える!」

 

「な、何ですってーっ!?誰が淫乱女神よっ!?」

 

思わず掴み掛かりそうになると、ゆんゆんとめぐみんに止められてしまう。

 

「ちょ、ちょっと!ゆんゆん!めぐみん!」

 

「あ、アクアさん!落ち着いてください!」

 

「まったく、アクアは…。とりあえずご飯にしましょうよ。」

 

二人に取り押さえられてしまい、仕方なくバニルを睨んでいると。

 

「ったく、バニルもあまり煽るなよ。アクアは煽り耐性が低いんだから。」

 

「む?そっちの娘が我輩の商談相手であるな!」

 

カズマの言う事を軽くスルーして、あるえの方を見るバニル。

 

「とりあえず、飯だ飯!それと商談は最後にしろよ?」

 

今度はカズマの言葉に頷く。そして、隣にいるウィズは私に向かって必死に頭を下げていた。

 

そして、皆の食事が終った頃、カズマが周りを確認してから口を開いた。

 

「先ずは、皆の報告からだ。被害はどれぐらい広がっている?」

 

「ちょっとー!先にそいつらの説明をしなさいよっ!?」

 

ウィズはもしかしたら協力を申し出てくれたのかも知れないけれど、バニルもそうだとはとても思えないし!

 

「…先ずは、報告してくれ。二人の事は後回しだ。」

 

再度、カズマがそう言ってくる。納得は行かないけど、言う通りにしないと話が進みそうにないわね。

 

「…町の水路は無事だったわ。ただ、湖にかなり強い毒が撒かれていたから、放っておいたらかなり被害が出ていたと思うわ。」

 

私がそう言うと、カズマは軽く頷く。でも、横にいたウィズはとっても驚いていた。

 

「まさか…、一般の人まで…。」

 

そう言って、ウィズは青い顔をしている。

 

えっと、今のって如何いう事?もしかして、何かを知っているの?

 

「次、ダクネス。」

 

「此方で調べた限りは、毒の事は知られていなかったな。それと、体調を崩したという者もまだ居ないそうだ。」

 

「被害者が出てないのは幸いだな。でも、あくまでまだ、だ。」

 

カズマの言葉にダクネスも頷く。

 

「次、良いかしら?」

 

「ああ、温泉はどうだった?」

 

「調べた限りだと、全部よ。場所によっては此処より毒素が強かったわ。」

 

「そうか。やっぱりあまり時間は無さそうだな。」

 

「ですね。」

 

フィオの報告を受けて、カズマとめぐみんが頷き合う。

 

「じゃあ、最後に俺達だ。」

 

「私達は先ず、ギルドに協力を求めました。事情を話したら、直ぐに協力を申し入れてくれたので、戦力も整うと思います。」

 

「え?戦力?」

 

思わずリーンが困惑した表情でそんな言葉を口に出す。

リーンの疑問は尤もで、私も此処に居るメンバーだけで過剰戦力だと思った。

 

「…其の後、俺達は源泉がある場所に潜入したんだ。そして、そこで犯人と思われる奴と遭遇した。」

 

『えっ!?』

 

犯人を見つけたの!?え?犯人はアクシズ教徒じゃないわよね?エリス教徒よね!?

 

「犯人はデッドリーポイズンスライムのハンスという奴です。」

 

え?犯人はモンスターなの!?

 

私が驚いている横で、ミツルギも驚愕の表情を浮かべていた。

 

「デッドリーポイズンスライムだって!?」

 

「キョウヤ、デッドリーポイズンスライムって?」

 

クレメアがそう聞くと、ミツルギが静かに語りだした。

 

「強力な毒を持つスライムの変異体だよ…。普通の人間は触れただけで死んでしまう…。」

 

「ま、マジかよ!?おいおい、そんなモンスターと戦いたくはねえぞ!?」

 

そんなにヤバイ奴なの!?あ、でも、私なら毒を浄化出来るから、何とかなるわね。

 

「アホ面を浮かべている其処の淫乱女神よ。忠告しておくが、ハンスは貴様だけではどうにもならんぞ?」

 

「はあっ!?ゴキブリの癖に何言っているのよ!?私の力を知らない訳じゃないでしょう!?」

 

挑発をしてきたバニルに反論していると、カズマが口を開く。

 

「残念だが、今回は相手が悪すぎる。」

 

「如何言う事だ?カズマ。」

 

カズマの言葉に疑問を投げ掛けるダクネス。

 

「ハンスは魔王軍の幹部だそうです。」

 

そう言って、バニルの方を一瞥するめぐみん。

 

『なっ!?』

 

「魔王軍の幹部っ!?それは本当なのかい!?サトウ君!!」

 

先程まで冷静にカズマ達の話を聞いていたミツルギが、興奮した様に立ち上がった。

 

「ああ、そうみたいだぜ?」

 

目線をバニルに向けるカズマ。それに気づいたミツルギはバニルの方を見る。

 

「それなら、何故バニルが?」

 

ちなみにバニルの事は周知の事実なのよね。悪魔だと言う事も元魔王軍の幹部だと言う事も。

私も未だに納得はしてないけど、実際被害らしい被害は出てないし、それ所か近所の人から評判とか。

何で、悪魔が人々から感謝されているのよ!?可笑しいでしょッ!?

 

その事実もあって、バニルの事を気づいた後もミツルギ達は手を出せなかった。

それには、カズマが基本的にバニルは無害だと説得したと言う事もあるけれど…。

ただ、カズマもバニルを相手にしている時は、結構イラついているみたいだけどね。

 

「バニルは協力を申し出てくれた。まぁ、目的は主に金儲けだろうから利害が一致したんだろうな。」

 

そう言うカズマに、バニルは殴りたくなる様なニヤケ顔で頷いていた。

 

「…今後の方針は?」

 

温厚なミツルギでもニヤつくバニルは苛立つ様で、感情を押し殺す様にしてカズマに問い掛けてた。

 

「毒は源泉にも撒かれていた。だから、あまり時間は掛けたくは無いんだが、逃げられると厄介だ。」

 

「逃げられれば当面は安全だとは思いますが、問題を先送りにするだけですからね。」

 

「そう言う事だ、だから、罠を張る必要がある。」

 

「罠?」

 

ダクネスがそう聞き返すと、カズマはゆっくりと頷く。

 

「ああ、此方の準備を整えた上でハンスを引っ張り出す。」

 

「如何するつもりだ?」

 

ダクネスの問いに邪悪な笑みを浮かべるカズマ。

其の表情を見て、皆はゴクリと喉を鳴らした。そして…

 

「まだ、何も決まってませんよ。」

 

めぐみんの一言で色々台無しになってしまったカズマは、その場でガクっと項垂れた。

 




原作とかけ離れすぎていて、どう収拾をつけるつもりなのか!?
それはこのSSの作者も知らない。ノリと勢いで突っ走れ!!

な、状態です。正直まだ、如何戦うのかと言うのも思いついてません。
トドメの流れだけはかなり前から決めてあるのですが…。

次回は本編をお休みして、うちのメンバーの現在設定等を表示しようかなと思っています。需要があればですが…。

うちのメンバーのキャラ設定等、需要はありますか?

  • ある!
  • そんな事より、本編をはよ!

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