このすば カズマが冷静で少し大人な対応ができていたら。   作:如月空

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作戦開始

 

「良かった!それなら朝食は大丈夫なんですね!」

 

 翌日の早朝、俺達は宿の厨房に来ていた。その理由は勿論、宿の食材を確認する為だ。此方に毒物が混ざっていた場合は強硬手段(逃げられる可能性が高い)を取る事になっていたと思う。

 

 何にせよ、最悪な状況は回避出来た。ならば、じっくりと作戦を進めていこう。

 

 そんな事を考えていたら、前の方からテイラーが歩いて来るのが見えた。

 

「よう、テイラー。朝食は用意して貰えるらしいぞ。」

 

「そうか。でカズマ、どうしたんだ?お前がこんな時間から、そんなすっきりとした表情をしているなんて珍しいじゃないか?」

 

「おい、テイラー!お前は俺に喧嘩でも売っているのか!?」

 

 そりゃ、普段は惰眠を貪っているし、朝練の開始時も半分寝てるけどさ!

 

「まあまあ、カズマ。テイラーの言う事も尤もですし、そう思われてしまうのは仕方ありませんよ。」

 

「いや、何でだよ!?」

 

「其れはカズマが…。」

 

 言い淀みながら、めぐみんは俺の方をチラチラ見てくる。それで何の事かは察してしまった。

 

「ん、ああー…。」

 

 俺もそれ以上何も言えなくなっていると、テイラーが呆れた様に溜息を吐いていた。。

 

「はあ…、お前ら程々にしておけよ?まぁ、出会った頃からまったく変わってないし、今更言うべきでもないとは思うが。」

 

 う…、そう言われると、最近羽目を外し過ぎていた様な…。

 

 思い当たる事は幾つもある。最近ではめぐみんの家、そしてドリスでのやらかしだ。

にも関わらず、昨晩もやる事はやっている。

 

 歩き去るテイラーの後姿を見て、俺は思わず言葉を漏らす。

 

「…やっぱり、自重した方が良いのかな?」

 

「出来るんですか?」

 

「……。」

 

「…でしょうねぇ。」

 

 諦めたような声を出して、そのまま大部屋に向かうめぐみん。

 

 その場で一人残された俺はそっと呟いた。

 

「あいつ、俺の心を読みすぎだろう…。」

 

 

 

――――――――…

 

 

 

 

 

 

 朝食を終えた頃を見計らって、俺は皆に昨夜考えた戦略を話した。

 

「考えたな、確かにそれなら厄介な再生能力にかなり制限を付けられるだろう。」

 

 ダクネスがそう言うと、昨日の会議とは打って変わり皆の表情が柔らかくなっていく。

 

「でも、問題はあるね。第一に戦闘時の防御方法。第二に手数が足り無い事による長期戦。そして第三に魔力の問題と氷結魔法の担当者不足。」

 

 ミツルギが問題点を挙げると、また皆が不安気な表情になっていく。だが、それは昨日の内に考えてある。

 

「其処はギルドを頼る事にします。最優先でクルセイダー、アークプリーストを確保。後は可能であればソードマスターやアークウィザードも抑えたい所です。」

 

「でも、そうなると滅茶苦茶目立たない?犯人…ハンスが気付いたら雲隠れされるわよ?」

 

 めぐみんの説明を受けて、フィオが問題点を挙げる。勿論、此れも予測済みだ。

 

「感づかれたとしても、奴は諦めないだろ?なら、此方は諦めた振りをして徐々に目立つ見張りを減らしていけば良い。」

 

「そうする事で、此方の手薄を狙って来るようになるでしょうし、逆に敵の動向をコントロールし易くなると思います。」

 

「成程ね、じゃあ、バレても然程問題はない訳ね?」

 

「一応な。ただ、そうなると拘束時間が延びるだろうから、金銭的には影響が出ると思うぞ?」

 

 俺達は宿の人の計らいで宿泊費が無料になっているから、其方で困る事はないだろうが、別の冒険者を拘束するとなると、それなりの報酬を用意しないといけない。

 

「ふむ…。一度、シンフォニア家のクレアに話を通しておくか。そうすれば、王国の方である程度の軍資金を回してくれるかも知れん。」

 

「ああ、頼む。俺も流石に無報酬で幹部と遣り合いたくは無いからな。」

 

 というか、本来なら高額報酬を貰っても遣り合いたくないんだけどな。…立場が人を作るというか、なんか後に引けない感じになっているんだよな…。

 

「それで次の魔力問題だが…、バニル!お前この展開は読んでいるんだろ?」

 

 俺がそう言うと、バニルは不敵に笑って大袈裟なポーズを取る。

 

「フハハハハ!流石は小僧だ!我輩の行動を予測するとは中々に見所がある!!」

 

「……で、結局如何なんだ?」

 

「小僧が必要としている物は無論用意してある!ポンコツ店主が無駄に買い漁っていたからな!!」

 

「無駄って!?バニルさん酷いですよっ!?こうやってお役に立てているじゃないですかっ!?」

 

 そして、ウィズとバニルの何時もの口喧嘩が始まる。其れを見ていると、この二人も案外お似合いなんじゃないかと俺は思ってしまう。

 

「おい、小僧!よからぬ事を考えるのではない!」

 

 ウィズを黒焦げにしながらバニルが俺の思考に突っ込みを入れてくる。…何を慌てているのか。

 

「まぁ、それは置いておいて後は、氷結組の確保だが…。」

 

「紅魔の里に増援を要請してみます。暇なぶっころりー達やそけっとなら来てくれる可能性もありますから。」

 

 めぐみんがそう言うと、ゆんゆん筆頭に紅魔族組が微妙な顔をする。

 

「えぇ…、そけっとさんは来てくれるかも知れないけど、ぶっころりーさん達は来てくれるのかなぁ?」

 

「カズマさん、流石にそれは無理だと思いますよ?」

 

「引きニート軍団の筆頭だしねぇ。」

 

 ゆんゆん、どどんこ、ふにふらと否定的な意見が続く。

 

「だが、来て貰えるなら、この作戦がかなり現実的な物になるね。」

 

「うん、あの人達レベルだけは高いからね。」

 

 逆にゲストの二人は好意的な意見を出してくれた。

 

「まぁ、其処は此方で何とかしてみるさ。食い付きそうな餌はそれなりに持っているからな。」

 

 あの中二病共が喜びそうなネタは結構持っている。それとは別にそけっとを引き合いに出すと言う手もあるんだ。ぶっころりーにはよく効くらしいからな。

 

「それでカズマ、俺達は如何すれば良いんだ?」

 

「何か話を聞いていると、俺達要らないんじゃね?ってなって来るんだが。」

 

「いや、そう言う訳には行かないでしょ!何言ってるのよアンタは!!」

 

 作戦の主軸ではない職に着いているキース、ダスト、クレメア。三人の役目も決まっている。

 

「お前らは他の冒険者達を指揮する立場だよ。小隊を組んで行動して貰うからしっかり頼むぞ?」

 

「ほう!そりゃ美味しい立場だな!」

 

「其れは悪くねえな!おい、カズマ!俺の小隊には美人を入れろよな!」

 

「アンタらねぇ…、そんな調子だとそのまま戦死するわよ?」

 

 クレメアの呆れた様な突っ込みに馬鹿二人はビクッと体を震わせていた。

 

「カズマ、私の役目は各班への伝令って事で良いのかしら?」

 

 フィオは流石に自分の役目が分かっていたらしい。俺が彼女のその言葉に頷くとフィオは分かったとだけ返事をしていた。

 

「ねぇ、カズマ。私は如何すればいいの?」

 

「アクアは…。」

 

 正直根回しや、交渉には向かないんだよな。アクアは…。そうなると…。

 

「昨日と同じ様に、町を見回って、生活圏が毒に侵されていたら直ぐに浄化して行ってくれ!此れはお前にしか出来ない事なんだ!」

 

 俺やフィオも毒の中和は出来るが、源泉に在った様な物だと流石に無理だ。だから、本当にアクアにしか出来ない事なんだよ。

 

「!分かったわ!!」

 

「ゆんゆん、ミツルギ、フィオ。アクアを頼む。」

 

「はい!任せてください!」

 

「ああ!任せてくれ!」

 

「了解よ!」

 

 次はギルドへの交渉…、根回しは済んでいるから俺は行く必要がないな。

 

「ギルドへの交渉と説明はテイラーがやってくれ。行くのはパーティーメンバー全員とクレメアだ。」

 

「成程、顔合わせも兼ねるのか。分かった、此方は任せてくれ。」

 

 テイラーの言葉に俺は頷く。そして、最後はダクネスの組だ。

 

「ダクネス!さっき話した通りにクレアへの連絡を頼む。面子は昨日のメンバーで動いてくれ。」

 

「分かった。で、カズマ。王都でも募集は掛けるか?」

 

「いや、王都は王都で防衛に借り出される事が多いんだろ?だから、可能なら~ぐらいで良いぞ?」

 

 俺の言葉にダクネスが頷く。スイッチが入っていないだけでこんなにも頼もしくなる。

 

 出来れば、ずっと、その調子でいて欲しいんだが…。

 

「じゃあ、俺達は紅魔の里に行って来る!あ、ゆんゆん、悪いんだけど送ってくれ。」

 

「分かりました!」

 

 

 

 

 こうして俺達は各々動き始めた。…ただの旅行の筈だったのにどうして毎度こうなってしまうのか!?心の中で悪態をつきつつ俺達は紅魔の里に転送した。

 






 アクア   年齢不詳、見た目年齢は15~17。

 アクセルの爆裂コンビと行動を共にしているパーティーメンバー。
 ベルゼルグ王国屈指の魔王軍討伐部隊、アクセル軍(仮称)全員をサポートする凄腕のアークプリースト。

 レベルは24とチームでは最も低い彼女ではあるが、それに見合わない驚異的な魔力とスキルを持っている。

 彼女はよく女神と自称しているが、その抜けた性格からか中々信用されていないらしい。
だが、部位欠損を含む死亡者を何十人と蘇らしたり、デストロイヤーの魔力障壁を打ち消す等、とても人間とは思えない功績を挙げている為、一部では本当に女神かも知れないと囁かれている。

 彼女は胸の大きな紅魔族少女ととても仲がよく、一部からはその関係を疑われていた。

 最近では、更に仲が良くなっていて、恋愛感情も見え隠れしていると噂される程だ!だが、本人は其れを否定している。

 基本的に彼女はお調子者であり、ムードメーカーである為、彼女の事を好いている者は男女問わず多い。

 又、あの魔剣の勇者が彼女に本気だという噂もあり、勇者のファンから敵視されている事もあるとか。

 ちなみに、爆裂コンビに子供が出来たと言う話は彼女によって持ち込まれた情報である。

                                   著者アクセル編集部



 ゆんゆん    作中年齢14歳(そういえば誕生日イベントやってない、ゴメン!)

 アクセルの爆裂コンビと行動を共にしているパーティーメンバー。
 ベルゼルグ王国屈指の魔王軍討伐部隊、アクセル軍(仮称)の凄腕のアークウィザード。

 レベルは40とめぐみん嬢に並ぶ程の実力者であり、初級、中級、上級魔法を使いこなす魔法のエキスパート。

 紅魔族にして族長の娘で天才と呼ばれている少女。

 彼女の得意なスキルはライト・オブ・セイバー。光剣を自在に操り、戦果を上げていくカズマ氏と同じ継戦火力の持ち主だ。

 彼女の相方であるアクア嬢とは、王都で知り合ったらしい。それ以来、親友同士になった様だ。

 ただ、最近では親友同士と言うより少女同士のカップルに見えると噂されている。

 特に彼女の熱の入り方は、少々常軌を逸しており、アクア嬢に対する依存度が高い。

 特に最近は、パーティーメンバーである、あの夫婦の影響を受けたのか、其方方面にも興味を持っているという噂だ。

 少女同士等、決して健全な物ではないが、彼女達のファンはむしろ其れを望んでいる節がある。中々に業が深い話だ。

 爆裂コンビの結婚と同時期に彼女達も何かしらのアクションを起こすのではないかと噂されているが定かではない。

                                   著者アクセル編集部
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