このすば カズマが冷静で少し大人な対応ができていたら。   作:如月空

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色々やり始めて、更新がかなり遅れました。オリジナル作品を此処ハーメルンとなろうで2作品程始めたので、読んで頂けると嬉しいです。




 此処は、アルカンレティアにあるアクシズ教の総本山。そしてその執務室に一人の男が入って来た。

 

「ゼスタ様、お帰りなさいませ。」

 

「うむ…。」

 

「お疲れの所申し訳ありませんが、二つ程報告があります。」

 

「何か問題か?」

 

「はい、1件は悪い報告です。」

 

「聞こうか。」

 

「…各地の温泉で毒物が見つかりました。来訪していたとある冒険者グループが自主的に浄化したので大事には至ってませんが…。」

 

「何だと!?」

 

「更にその冒険者が調べた結果、水源の一つである湖にもかなり濃い毒物が撒かれていたようです。」

 

「被害は出ていないのだな?」

 

「ええ、ですが、朗報と言っても良いのか分からないのですが、犯人の目星は付いたようです。」

 

「まさか!?」

 

「犯人は魔王軍の幹部だそうです。」

 

「……エリス教徒じゃないのか?」

 

「残念ながら違うそうです。あちらも被害が出ていて、宿などは休業状態になってますから。」

 

「ふむ…、魔王軍の幹部か…。毒の扱いに長けているとなると…。」

 

 そう言ってゼスタは考え込むが、直ぐに秘書が答えを示した。

 

「冒険者達の話ではハンスと。」

 

「何…?ハンスは大分前に討伐されたのだろう?」

 

「ええ、当時討伐されたのは間違いない筈です。ただ…、何らかの方法で復活した可能性が高いと。」

 

「我が教団も動かねばならぬか…、ただ、其の話に信憑性は?」

 

 ゼスタがそう聞くと、秘書は穏やかに笑った。

 

「件の冒険者グループはあのアクセルの英雄達です。」

 

 秘書の言葉にゼスタは目を見開く。

 

「では!?」

 

「はい、水色髪のアークプリースト、アクア様も一緒です!」

 

「お、おお、おおおおおおおおおおおおお!!」

 

 感激のあまりにゼスタは立ち上がり、天井を仰ぐ。

 

「直ぐに行動を開始せよ、各所に使いを送るのだ!」

 

「アクア様の事はどうしますか?」

 

 秘書の問い掛けに、ゼスタは暫し考え。

 

「いや、お忍びで来て頂いているのだ、アクア様のご意向に従おう。」

 

「分かりました、その様に関係各所に通達致します。」

 

「うむ、その方が喜ばれるだろう。それにしても…。」

 

 ゼスタは言葉を溜めて、そして、ふにゃっとした表情を見せた。

 

「バレた事に気付かずに健気に振舞う姿は、想像するだけで萌える物だ!」

 

「ええ、まったくです。」

 

 ゼスタの言葉に秘書の女性も表情を緩ませていた。

 

 そして、こんな連中がトップを勤めているアクシズ教団は本当に大丈夫なのだろうか?

 

 

――――――――――…

 

 

 

 

 アクシズ教団が暗躍を始めた頃、俺達は紅魔の里でそけっとやぶっころりー率いるニート集団の勧誘に成功していた。

 

 そして、アルカンレティアに戻ってきた訳だが…

 

「サトウ君、ちょっと面倒な事になったよ。」

 

 戻ってきた俺達に説明をしてくれたのはミツルギとテイラーだった。

 

「ギルド側も連中には情報を漏らさない様にしていた筈なんだけどな…。」

 

 頭が痛くなるような話だった。

 

 いや、元々一度はハンスが姿を眩ませる可能性を考慮していた。勿論、それの対処も考えた。

単純に見張りの数を徐々に減らせばいいと、目に見えて隙が出来てくれば戻ってくると思っていたからだ。

 

 ただ、あの連中が動いたとなると話は変わってくる。あの後皆から報告を受けた訳だが、教団の連中はかなり無茶をやっているらしい。

 

 正に草の根を分けててでもと言う感じだ。止め様とにも連中は話を聞かないからな。如何したものか…。

 

「カズマ、こうなったら冒険者達を一度引っ込めるのも手じゃないですか?」

 

「それは…、危険じゃないのか?」

 

 下手に全員引っ込めると、初動の遅れが出るかも知れない。

 

「いえ、大丈夫だと思いますよ。それに解散させる訳ではないので。」

 

「ん?」

 

「先程カズマが言っていた戦場の選定と防衛の準備ですよ。そちらに携わってもらえば良いかと。」

 

「…成程、一先ず街中から姿を消せば良いと言うことか。」

 

「ええ、それと此方への連絡はギルドではなく警察に御願いすれば良いかと。」

 

「有りだな、教団の上の連中は兎も角、実働部隊は一般の教徒だ。他に動いているのが警察だけになれば…。」

 

「戻ってくる可能性が高いと思います。」

 

「分かった、テイラー、悪いが直ぐにギルドに行ってこの件を伝えてくれ。」

 

「あ、ああ。だけど、戦場の選定と言うのは?」

 

「あー、追って使いを出す。先ずは、冒険者達を引っ込めよう。公的にはアクシズ教徒と衝突したとかって言って置けば納得するだろう。」

 

 各地への根回しは済んでいるんだ。後は其々に指示を出せば上手く動いてくれるだろう。

 

 

 

――――――――――…

 

 

 

 

 

 数日後、源泉エリアに一人の男が現れた。

 

「ちっ、本当に忌々しい連中だ。其の上しつこいったらありゃしねぇ!」

 

 男は忌々しげに教団本部を睨みつけ、やがて笑った。

 

「だが、冒険者連中とやりあってくれたのはあり難かったな、お陰で予定より早く動けたぜ。」

 

 男は不敵に笑うと、源泉の傍まで移動する。

 

「もう、手は抜かねぇ。今回で終らせてやる!」

 

「其れは勘弁して貰えるか?まだ、碌に温泉巡りが出来てないんだよ。」

 

「誰だ!?」

 

 警戒するようにその場から飛び退き、近づいてくる俺を睨み付けた。

 

「誰かって?そうだなぁ、アンタに引導を渡す者…かな?」

 

「…ハンッ!どんな奴かと警戒してみれば、そこそこの使い手と言った所か。」

 

 そこそこ…うんまぁ、俺はそれ程戦闘能力は高くないけどさ、もうちっと評価してくれても…あ、いやいや、油断してくれてる方がいいか。

 

「それで?ハンスさんよ、アンタこんな事してどんな得があるんだ?」

 

「俺の名前を知っていて其の態度か。まぁいい、俺の目的はあの忌々しいアクシズ教団だ。あの害悪共を始末するのは当然だろうが!」

 

「あー忌々しいというのは激しく同意するが、毒を撒かれるのは困るんだよ。だから、早々に倒されてくれないか?」

 

「何ふざけた事を言ってやがる!?お前一人に何が出来るってんだ?」

 

「やって見れば分かるさ、まぁ、どんくさいスライム野郎が相手じゃ、本気を出すまでも無いかも知れないがな。」

 

「言いやがったな?後悔させてやるぞ!」

 

 …うわぁ、あっさり挑発に乗っちゃったよ。やっぱバニルの言う通りスライムっていうのは単細胞なんだな。

 

 ハンスが構えた事を確認して、俺も刀に手を置く。

 

「『疾風閃!連斬!!』」

 

 疾風閃の進化版、と言うか熟練度を上げたら2連発出来る様になったんだよ。ちなみにミツルギはまだ使えない、多分俺の特典が有効だったんだろう。

 

「ちっ!其の見た目でソードマスターかよ!」

 

 苦々しく言い捨てて、その場から跳躍するハンス。

 

「『ライトニング・ストライク!!』」

 

「ぐぅっ!まさか、上級魔法まで!?」

 

 空中で雷に打たれ、ハンスは体制を崩す。

 

「だが、この程度の威力では」

 

「『クリエイトウォーター!!』」「『フリーズ!!』」

 

「なぁっ!?」

 

 そして、落下地点に張られたスケートリンクに足を取られ、盛大に転んで頭をぶつけるハンス。

 

「ざまぁねえな、この程度なら俺が出るまでもねえな。」

 

 そう言って踵を返すと、ハンスは憎悪に満ちた表情を俺を睨む。…めちゃくちゃ怖いんですけど。

 

「こ、殺す!てめえだけは絶対に!!」

 

「ハッ、俺に追いつけたら相手をしてやるよ!」

 

 俺は森に向けて駆け出す。すると、怒り狂ったハンスがわき目を振らず追い掛けて来た。

 

 よし、作戦の第一段階は成功だ。と、身体強化と支援魔法は掛けて置かないと、万一追い付かれたら悲惨だ。

 

「待ちやがれ!」

 

「待てって言われて誰が待つんだよ?そんな事もわからないぐらいの低脳なのかぁ?」

 

「殺すっ!!」

 

 さぁ、来いハンス。俺達が用意した決戦の場にな。

 

 




 ミツルギ キョウヤ 作中年齢17才(ウチの設定)

 魔剣の勇者として名高いかつて王都で活躍していた冒険者。
 現在はベルゼルグ王国屈指の魔王軍討伐部隊、アクセル軍(仮称)に名前を連ねている。

 レベルは42とチームで最高レベル、此れは長く冒険者をやっているからだとミツルギ氏は謙遜していた。

 総司令官であるカズマ氏とは当初不仲だった様で、アクセルの町で決闘騒ぎにまで発展したらしい。

 現在は同郷という話もあり、仲の良い友人となっている様だ。ただ、その関係性を見て一部の女性達から怪しげな目で見られているとか。アクセルの住人の闇は深い。

 普段は仲間のフィオ嬢、クレメア嬢と共に行動している様だが、カズマ氏が絡む事件には積極的に参加している。

 単純な剣の腕はチーム一と称されてはいるが、技術面では同チームのテイラー氏に敵わないとの事。此れは本人から語られた話だ。

 彼の見た目は爽やかな青年なので、女性ファンも多い。だが、色恋の噂は立っていない。

 事情通からの話に寄れば、心に決めた女性がいるとの事。噂に寄るとあのアクア嬢らしい、其の話を聞いた時、著者は耳を疑ってしまった。

 話は変わるが、彼らのチームはそれぞれ連携技という物を開発しているらしい、其の中でもミツルギ氏が一番連携相手が多いそうだ。

 これからも彼らの活躍に期待したい。                   アクセル編集部
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