このすば カズマが冷静で少し大人な対応ができていたら。   作:如月空

9 / 74
長くなりそうなので、一旦切ります。
今回かなり短めです。


少女の思いと悪戯と

≪めぐみん視点≫

 

アクアとゆんゆんが仲間に入った後、二人を交えてそのまま食事を続けていた。

それにしても、まさかゆんゆんに友達ができるとは…

 

「そういえば、ゆんゆん?」

 

カズマが何かを思い出したようにゆんゆんを呼んだ。

 

「あ、ははい!なんですか?カズマさん!!」

 

急に呼ばれて挙動不審になっているゆんゆんに若干引きながら

 

「…ゆんゆんさ、最初めぐみんとの決着がどうのとか言ってたけど…それはもう良いのか?」

 

…この男は、なんで余計なことを言ってしまうのか!

それを聞いたゆんゆんは最初キョトンとして、思い出したように興奮し始める。

 

「そうよ!こんなことしてる場合じゃないわ!私はあなたと決着をつけにきたのよ!」

 

ああ、面倒くさいことに…私が黙っているとゆんゆんが続ける。

 

「私はいずれ紅魔族の長になるもの…あなたに勝つまではその椅子には座らないわっ!

その為に上級魔法も習得してきたのよっ!さあ勝負なさい!」

 

「嫌ですよ、食事中ですし…」

 

「なら、ご飯の後は勝負してくれる?」

 

「お断りします。」

 

私はきっぱりと断った。

 

「なんでよおお!!苦労して上級魔法を習得してきたんだから勝負してよ!」

 

ゆんゆんは私に掴み掛かってくる。鬱陶しいので私は払いのけながら

 

「…侮られたものですね…この私相手に魔法で勝負する気ですか?」

 

私は片目を抑えながら、ゆんゆんを挑発するように

 

「先日、愚かな蛙達を一撃で53匹も蒸発させた我が力…ゆんゆんにそんなことが出来るとでも?」

 

私の言葉にカズマが

 

「嘘ではないなあ、確かに一撃で53匹倒してたし。」

 

それを、聞いたゆんゆんは慌てて

 

「え…?一撃で53匹なんて……た…たとえ勝ち目がなくても…勝負を…勝負をしないと…」

 

この子は…まったく仕方ないですね。

 

「しょうがありませんね。今日はもう魔法は使えませんが、勝負は受けてあげましょう。」

 

「え?いいの?あ、でも魔力切れしてるんだ?うーん、それなら…あ!」

 

何かを思いついたのか、自分の荷物をごそごそしはじめるゆんゆん。

 

「今日はコレで勝負よ!」

 

ゆんゆんはボードゲームを持ち出してきた。

 

――――――…

 

 

「ふふふ、勝負あったわね!めぐみん!この一手で決めるわ!」

 

自信満々に勝利宣言をするゆんゆん。甘いですね。

 

「エクスプロージョン! はい、これで私の勝ちですね。」

 

「ふぇ!?あ!冒険者をおとりに使ってたのね!」

 

「…なんだよ、そのルール…」

 

横で見ていたカズマが突込みをいれてくるけど、これがルールだから私は悪くない。

 

「うう…まためぐみんに負けた…」

 

ゆんゆんが落ち込んでいると、横で見ていたアクアが

 

「ねえねえ、私もやってみてもいい?」

 

「いいですよ?」

 

アクアと勝負を始める

 

「ゆんゆん!仇はとってあげるからね!」

 

「アクアさん!」

 

ゆんゆんはアクアの言葉に目を輝かせている。

 

「エクスプロージョン!勝負アリです!」

 

私はドヤ顔で言った。

 

「なんでよお!めぐみん!それずるいわよ!」

 

「何を言うんですか!アクア!これはこういうルールなのです!」

 

「もう一回よ!めぐみん!今度は勝つわ!!」

 

この後3度目のエクスプロージョンで私は勝利を収めた。

 

 

――――――…

 

 

「そろそろ、風呂いかねーか?」

 

ゆんゆん、アクア相手に勝利を繰り返していると飽きたように見ていたカズマがそんなことを言い出した。

 

「そうですね。今日はこれ位にしておきましょうか!」

 

ボードゲームをゆんゆんが片付けているとアクアが

 

「お風呂って、宿で入ればいいんじゃないの?」

 

そういえば、お高い宿にずっと泊まっていたんでしたね、アクアは。

 

「お風呂が付いている宿は高いですよ。大浴場があるので一緒に行きましょうか。」

 

「じゃあ、先に行ってるぞ。待ち合わせはいつもの所なー」

 

そう言って先に大浴場に向かうカズマ。

 

ゆんゆんの片付けを待って私達も大浴場に向かった。

脱衣所に入り服を脱いでいると、私の左右で暴力的な肉の塊が踊っていた…

 

「また育ったんですか!この脂肪の塊は!!」

 

イラついた私はゆんゆんの駄肉を掴んで、グリグリとこね回す。

 

「ちょ、ちょっと、痛いってばめぐみん!自分が育たないからって私に当たらないでよ!」

 

非難の声をあげるゆんゆんを無視してこねくり回す。

 

「大丈夫よー、めぐみんもそのうち育つはずよー」

 

アクアが胸を揺らしながらサムズアップしてくる。

むかついたのでアクアの胸も掴んでこねくり回す!

 

「ちょ、痛い!めぐみん!落ち着いて!」

 

気が済むまで二人の胸を痛めつけた後、私達は風呂に入った。

 

「そういえば、めぐみん達はどこの宿に泊まっているの?」

 

アクアが聞いてきたので場所を伝える。

 

「それで部屋はカズマと一緒です。」

 

私がアクアに説明していると、ゆんゆんが驚きの声を上げて

 

「ええー!めぐみん!カズマさんと同じ部屋で寝泊りしてるの!?」

 

大声を出さないで欲しい。私達は注目を浴びてしまった。

逃げるように、手早く着替えてロビーに戻ってきた私達はカズマを待とうとして――

 

「お、戻ってきたか。今日はそっちのほうが長風呂だったみたいだな。」

 

時間を見ると30分以上経過していた。

 

「ほれ、飲み物買っておいたぞ。アクアとゆんゆんも飲むよな?」

 

そう言ってカズマはみんなにフルーツ牛乳を配る。

 

「お風呂上りにフルーツ牛乳なんて、わかっているじゃないカズマ!」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

萎縮しているゆんゆんと堂々と受け取るアクア。

この二人ってどうして仲良くなったんだろう?

 

「さて、昼食が遅かったわけだけど夕飯どうする?」

 

「そうですね、屋台でも適当に回って宿に戻りますか?」

 

「それもいいな。二人もいくか?」

 

カズマがアクアとゆんゆんを誘うと二人も付いてくることになった。

私達は屋台を回って、適当に食事を済ませると。

 

「じゃあ、私達は宿を探してきますね。」

 

「また明日ねー」

 

宿を探すという二人と別れ、部屋に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

「今日こそ、武器を奪ってやる!」

 

意気込んでいるカズマだけど、どうせ取られるのはパンツだろう。

 

「『スティール!』」

 

いつもどおりパンツを取られたので、私はそのまま受け取る。

 

「まったく、カズマはどんだけ私のパンツが好きなんですか…」

 

「い、いや。毎回狙っているわけじゃないんだぞ!」

 

私のパンツが好きという話をすると、カズマは顔を真っ赤にさせてうろたえていた。

カズマは照れた顔が可愛いので、私はたびたびカズマをからかうことにしている。

すっかりカズマにパンツを盗られることに慣れてしまった私は、どこかおかしいのかもしれない。

 

「めぐみん、動じなくなったよな。…俺が原因だけどさ。」

 

「慣れたくて慣れたんじゃないんですからね。それはそうとパンツを穿きたいので一旦出てください。」

 

「ああ、わかっ――」

 

「カズマーめぐみんいるー?開けて欲しいんですけどー」

 

アクア達が尋ねてきた。私はパンツを咄嗟に隠して、アクアたちを招き入れる。

 

「ど、どうしたんだ?アクア、ゆんゆん。」

 

少し挙動不審になっていたカズマが二人に話を聞く。

 

「聞いてよカズマさん!どこも部屋が埋まっているっていうのよ!このままじゃ馬小屋にしか泊まれないから――」

 

「それで?」

 

カズマが続きを促す。

 

「今日は、この部屋に泊めてください!」

 

いきなりの提案に固まってしまったカズマに変わって私が話す。

 

「泊めてと言われましても、この通りベッドが二つしかありませんよ?」

 

私達の部屋は簡素なベッドが二つあって、その真ん中にテーブルが置いてあるだけという内装で床にも寝転がれるようなスペースはない。

とてもじゃないけど4人も泊まることはできない部屋だ。

 

「ご覧の通り、4人も寝るスペースはありませんよ?」

 

と説明すると。アクアは自信満々に

 

「大丈夫よ!…ゆんゆん!」

 

アクアはゆんゆんを呼び寄せて、抱き合った形で私のベッドに横になる。

二人の駄肉が圧迫されて形を変える。それを見て鼻を伸ばしていたカズマを私は睨み付ける。

 

「と、いうことでごめんねー今日だけで良いから、お願いよ。」

 

既に毛布まで被っていたアクアがそんなことを言う。

私はカズマと顔を見合わせる。カズマの顔がどんどん赤くなっていくことに気づいた。

 

「しかたないですね、カズマ。今日は一緒に寝ましょう。」

 

「ちょ、待てよめぐみん!諦めが早すぎねーか!?」

 

「ゆんゆんはともかく、アクアはもう寝てますよ。それに…」

 

私はカズマに近づいて耳元で

 

「…私と一緒じゃ嫌ですか…?」

 

私の言葉で耳まで真っ赤にするカズマ。この表情が見たかった!

 

「…そ、そんなわけない。」

 

カズマの了承を得られたので、私はカズマのベッドの具合を確かめて、横になる。

部屋の明かりを消したカズマがベッドに入りこちらに背を向ける。

 

「ね、寝るからな!」

 

「はい、おやすみなさい…」

 

そう言って私はカズマの背中に抱きつき――抱き寄せる。

面白いように動揺しているのがわかる。

 

「お前なにしてくれてるわけ?」

 

「そんな端っこじゃ、カズマが落ちてしまうじゃないですか。私は平気ですからもう少しこちらに寄ってください。」

 

私がそういうと、カズマは何を思ったのか体をこちらに向けてくる。

カズマの顔が目の前にあり、私達はそのまま固まってしまった…

カズマの顔は赤くなりすぎて目が泳いでいる。私も顔が熱くなって動けなくなってしまった。

 

―――しばらくそうやっている内になんとか動けるようになった私はカズマの胸元に顔を埋めた。

カズマも驚いたようだったけど、お互い顔が近い常態よりかは平静になれたのか、私の背中に手を回していた。

ふわふわとした時間だった。暖かくて心地よくて…だんだんとまどろみはじめ、私は好きな人の温もりの中で眠ってしまった。

 

――パンツを穿き忘れていた状態で。

 




魔性のめぐみん現る。
この二人はお互いこんな感じだから進展が遅いんですよね。
それが良いわけですが、もやもやもするわけで…
かずめぐが流行る原因ですよね(笑)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。