「ぐっ、ここまで来れば。
大会に既に参加する事はできないが、もしもの時に備えておいて良かった」
そう言い、身体を引きずりながらクロッカスから離れているのは、レイヴンテイルのマスターであるイワンだった。
イワンは大魔導演舞の大会中、フェアリーテイルに対する不正行為の為、大会では失格になったが、それでも目的を果たす為に捕らえられていた牢獄から脱走した。
脱走する中で彼が向かっていたのはクロッカスから離れた宿だった。
「ふふっ、あとは大会が終わった奴らを捕らえて、情報をっ!!」
そうイワンは自らの野望を口にしながら、辿り着いたのは確かに目的地であるはずの宿だったが、その周りには多くの人影が倒れていた。
「これはっまさか」
「お前の所のギルドメンバーだ。
たっく」
その声を聴き、イワンは背筋が凍るような感覚に襲われると共に、後ろを振り返ると、そこにはフェアリーテイルのメンバーの一人であり、謎の多い人物であるメリオダスだった。
「なせっ貴様がっ!!」
「お前みたいな奴は大体失敗しても、変な事を考えている事は手に取るように分かる。
それに、あいつの予測も結構分かるからな」
そう言いながら、ゆっくりと手に持っていた剣を叩いていた。
「馬鹿な、幾ら化け物染みた強さだとしても、我がギルドの全員を全滅させるなど不可能なはずっ!?」
「お前程度の考えている不可能なんて、普通にできるぞ」
よっと、そう言い軽く言いながら、座っていた岩から離れて、ゆっくりとイワンへと近づく。
「だが所詮は子供っ!!
我がギルドのメンバーを全て相手をしたならば、それだけの疲労が「それで、お前は確かルーメンイスワールとかを狙っているんだっけ?」これはっ運が良いっ!!」
メリオダスに対して、怒りの表情しかなかったイワンの表情が喜びへと変わった。
「ならば、貴様を捕まえれば、すぐにでもっ!!」
目的の遂行がすぐそこにあると思い、手を伸ばそうとしたが、すぐに後ろへと脚を戻した。
「なっ」
「悪いが、今は手加減はあんまりできない。
まぁ死ぬことはないから、安心しな」
そう言ったメリオダスはゆっくりとイアンにゆっくりと近づく。
「ちっ近づくなぁ!!」
その言葉と共にメリオダスに向けて、数えきれない程の札を魔力で固めると共にメリオダスに放つが、同時にメリオダスは手に持った剣を振り上げると、襲い掛かってきた全てを跳ね返した。
「一体っなんなんだ、この魔法はっ!?」
「んっ?
全反撃の事か?」
「なっ、全反撃だとっ!!
あの欠点しかないような魔法だとっ!?」
メリオダスが使用した魔法の正体を知ると共にイワンは目を見開いていた。
「歴代の中でも、どのような魔法を跳ね返す魔法。
だが、その範囲は狭く、しかも魔法を当てなければ反射する事ができない為、習得の難しさと扱いの難しさから、誰も使わない反射魔法をっ!?」
「説明ご苦労さん。
さて、そろそろ終わらせるか」
「こんなっこんなはずではっ!!」
そう言いながら、逃れようとその場から走り出したイオンだが、それを逃す事なくメリオダスは一瞬で走り、手に持った剣を使い、一撃でイオンを地面へと叩きつける。
「・・・これで、メイビスをまた守れた」
「メリオダス」
「メイビス!!」
後ろから声が聞こえてきた声を聞き、メリオダスは笑みを浮かべながらメイビスへと走る。
「・・・また、あれを求めて」
「あぁ」
それを言った瞬間、悲しみで顔を下げたメイビスを見ると、メリオダスはそのままゆっくりと彼女を抱く。
「メリオダス」
「大丈夫だ、俺は何があってもお前を守る。
お前が守りたいと思っているギルドも仲間も皆な」
「・・・はい」
「それじゃあ、帰るか。
あとはここの王国の奴らがやってくれるだろうしな、帰るか」
その言葉と共にメリオダスはメイビスを抱えて、その場から離れていった。
「ふむ、なるほど、あれが団長の言っていたメイビスか。
こうして初めて見るが、なるほど」
俺はそう言いながら、ずっと隠れていた岩陰から出る。
これまでの経緯でレイヴンテイルがフェアリーテイルに対して何かを仕掛けるつもりなのは分かっていたが、こうして数々の事が分かるとは。
「しかし、死んだ魂と話せるとはな。
いや、あれは魔力の塊か?」
「おい、何をやっているんだ?」
「あぁ、さっきまで団長が戦っていた姿を見ていた」
「マジかよ、あぁだったらもうちょっと早く来ていたら、団長に会えたのに!!」
そう言いながら、ここまで同行していた同僚が泣いていた。
「まぁまだ終わっていないし、こうして皆で集まるのはなかなかないし」
「あの団長が消えてから7年間の動向が分からなかったが、やはりフェアリーテイルか」
「ぶぅ、団長とデートしたかったのに」
「いや、それは無理じゃないかな。
団長は一応結婚しているし、ってあれ、バンは!!」
「バンならば、あそこだ」
そう言い俺が指を指すと、そこには走りながら団長に向かって突撃していたバンがいた。
「よぉだんちょ、久しぶり」
「おぉバンか。
というか、お前らも来ていたのか!!」
「あぁ全員がなんとか仕事が休みになったからな。
そして、君の横にいると思われるのは」
「あぁ、俺の妻のメイビスだ」
「ふむ」
こうしてあらためて観察して、これまでの団長の反応を予想して、メイビスの言動を想像していたが、実際に目の前にいると、どのような反応をしているのか、分からないな。
「とにかく、お前達も来いよ。
今はギルドで少し騒いでるけどな」
その言葉を聞き、他の団員も共にバッカスへと向かう。
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