『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』   作:ドラゴンネスト

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十七話目

その日の放課後、イッセーは授業が終わると同時に教室から飛び出して行った。目指すは一年の詩乃と雫のいる教室。

 

その素早い行動は教室にいる人間全員を唖然とさせるほどだった。

 

イッセーの向かうその教室では一年の生徒達が帰宅の準備をして居た。

 

「おーい」

 

教室の扉を開けてイッセーが二人に声をかけようとするが、一瞬だけ教室から音が消えた。

まるで津波が起こる前に海が穏やかになる瞬間どころか、海岸線が大幅に下がるように。

 

そんな状況にイッセーが戸惑っていると……

 

「いっ……」

 

誰かの声が零れたのを合図にする様に、

 

 

『いやぁー!!!』

 

 

教室全体から悲鳴が上がる。以前木場がイッセーを呼びに来た時のとは違う恐怖の感情で、だ。

夜道で変質者に出会った様な叫びが教室中から上がる。

 

次の瞬間、

 

「変態三人組の兵藤一誠よ!」

 

誰かの叫びとともに椅子が投げつけられる。

ってか、相手は後輩なのに先輩の敬称すら付けられて居ない。

 

「おわぁ!」

 

そこは流石悪魔と言ったところか? ライザーとのレーディングゲームへ向けての特訓の成果か? 顔面に直撃しそうだった椅子を辛うじて回避する。

 

「な、なんな……痛え!」

 

突然の事に戸惑っていると頭を殴打される。其方の方を向くと箒を竹刀のように構えている女生徒が居た。

構えが様になっている姿は恐らく剣道部なのだろうが、恐怖に震えて涙目になっているが、必死に立ち向かおうとして居た。

…………イッセーに。

 

「え……えっと……」

 

さて、積み重ねた名声も一瞬で崩れることが有るが、積み重ねた汚名は寧ろ時間があっても中々消えない。

入学後から覗きなどの常習犯であったイッセー達三人。当然一年の中にも被害者はいる訳で。

 

教室の女生徒の何人かが武器になりそうなものをイッセーへと構えている。

 

 

 

はっきり言おう。オカ研に入部……と言うよりも悪魔に転生してから周りに美少女が多かったから教室での変態発言や行動は大分治まっていたが、過去の悪行は消える事は無い。

寧ろ、まだ卒業すればイッセーと関わらないで良い三年生よりも、今後イッセーが卒業するまで関わらなきゃならない一年生の生徒には一番嫌われている。

 

具体的には礼儀とは言え目上として扱わなきゃならないストレスやら、下手したら卒業するまで被害に合いそうな事とか(憐れにもイッセー達三人は一年の生徒の間では留年すると予想されている。本人の意図か、散々続けた変態行為の代償かと説は別れているが)。

 

余談だが、作者の原作でのイッセーの他の学年からの序盤での評価はこんな物だと推測している。(主に球技大会での殺意の向き方とか)

 

 

 

「ちょ、ちょっと待って……オレは……」

 

もう、恐ろしい悪魔に勇気を振り絞って立ち向かう勇者とその仲間達みたいな構図に本気でビビっているイッセーは説得を試みるが、イッセーは転生悪魔なので悪魔に立ち向かう構図というのは間違って居ない。

 

「出てけー!」

 

誰かの叫びとともに後ろに居た投擲組が一斉に持って居た物を投げつける。

 

「ぎゃー!」

 

投擲組からの一斉射撃に思わず頭を守って動きが止まった瞬間、前衛組が一斉に殴りかかる。

入学後から被害を受けた生徒達、序でにその中には変態三人が怖くて不登校になった生徒もいる。

被害者というつながりの元に正に以心伝心というチームワークでイッセーを袋叩きにしている。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ、オレは……ヒデブ!」

 

説得を試みて一人の手首を掴んで動きを止めて話を聞いて貰おうと、取り敢えず手を止めて貰おうと思った瞬間、イッセーの顔面にボールが直撃する。

 

足元に転がってきたボールを詩乃が投げつけたのだ。

正確な射撃では無くこの場合は、正確な投擲技術によって顔面のど真ん中へとヒットしていた。

 

「みんな、今の内に逃げるわよ」

 

「後ろから逃げて、生徒会か先生を呼んで来て」

 

イッセーが顔面へのボールの直撃に悶絶していると詩乃と雫がイッセーからの避難を促す。完全に襲撃して来た変質者への対応で有る。

……ってか、学園の生徒なのに教師を呼ばれるとは。

 

「待ってくれ、オレは……うわっ!」

 

「キャァー!」

 

真っ先に殴りかかって来た剣道部の子を呼び止めて話を聞いて貰おうと思うが、肩を掴んだ瞬間足元に投げ捨てられた武器に足を取られて彼女を巻き込んで倒れこむ。

……完全に押し倒した形だ。

 

「ひぃ……」

 

(おおぉ、事故とは言え夢みたいなシュチエーションに。うん、これは事故だ。事故なんだから仕方ないよな)

 

怯える押し倒された少女と自己弁護をしている押し倒したイッセーの図。

 

「逃げて! 今の内にみんな逃げてぇ!」

 

悲鳴に近い形でその少女が他の生徒に今の内に逃げる様に促す。

 

「おーい、一体なんの騒ぎだ!?」

 

「詩乃、雫迎えに……」

 

そんなタイミングが悪すぎる時に詩乃達を迎えに来た四季と、騒ぎを聞きつけた匙の二人が教室に入ってきた。

 

「「「……」」」

 

その瞬間、三人の男の間に沈黙が流れた。嫌な沈黙だった。『あの変態、白昼堂々女の子押し倒して何やってんだ?』そんな考えが四季と匙に浮かんでくる。そして、

 

「せい、やぁー!」

 

「ゲフゥ!」

 

四季の飛び蹴りがイッセーを蹴り飛ばし、少女から遠ざける。

 

「あ、天地、何しやがる!?」

 

「匙、今の内にその子を」

 

「おお、良くやった! こっちは任せろ!」

 

「ああ!」

 

突然蹴り飛ばされて四季に対して抗議の声を上げるが、そんなイッセーを他所に四季は押し倒されていた少女を逃す様に匙に指示を出して、匙もそれに応えて少女を立ち上がらせてイッセーから逃す。

四季と匙の対応に本格的にどういう状況か自覚したのか、顔色が悪くなるイッセー。

 

「オイコラ、兵藤! 白昼堂々と女生徒を襲うなんて何考えてやがる」

 

「ま、待ってくれ、それは事故なんだ!? オレはリアス部長の使いで詩乃ちゃんと雫ちゃんを呼びに……」

 

「取り敢えず、寝てろ!」

 

匙の言葉に慌てて弁明するイッセーだったが、場の鎮圧を優先した四季がイッセーの弁明を聞かずにイッセーの前に飛び出していく。

 

「ゲフゥ!」

 

彼の懐へと飛び込み腹部への掌打から始まり龍星脚へと流れる一連の連続攻撃が決まり、壁へと叩き付けられイッセーは気絶する。

 

「よーし、話は生徒会室で聞かせて貰うぞ。天地、今日は助かった」

 

「当然の事だ、気にするな」

 

女生徒達から歓声が上がる中、事情聴取の為に気絶したイッセーを引きずって生徒会室に連行する匙と、問題解決とばかりに詩乃達と帰宅する四季。

 

『駒王の皇帝(エンペラー)』そんな渾名が四季に着いた瞬間で有る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、イッセーが女生徒達に殴られたのは日頃の行いが原因なのは良いとして、リアスの使いだった事は早々に証明された。ソーナがリアスに確認をとったからだ。

流石にイッセーが今までの行いが原因で嫌われている事を忘れていたリアスにも非が有ったりする。そもそも、一年の生徒になんて悪いところしか知られていない。

その事についてはソーナは後で徹底的に注意すると心に誓ったのは余談として、イッセーが女生徒を襲っていたという状況だが……。

 

殆どが女子の生徒会メンバーからゴミを見る視線が向けられる中、必死にあれは事故だと弁明するイッセー。

最早彼が有罪となるのは時間の問題と思われる中、イッセーが女生徒を押し倒していたのは事故であることを証明してくれたのは小猫であった。

 

流石に一年生の小猫は一年の間でのイッセーの評判を知っていた為に、一抹の不安を覚え自身の使い魔に詩乃と雫の教室の様子を見て貰っていた。

 

……結果、教室に入った瞬間声をかけることもできずに袋叩きに合い、最終的にその中の一人を押し倒してしまった事を小猫経由でリアスに伝えられ、その事をソーナへと伝えられてイッセーは誤解だと証明できた。

 

当然ながら助けに入った四季にはお咎めなし。殴りかかったり一斉攻撃に参加した生徒達も普段の彼の行いからお咎めなし。普段の行いが悪い為に事故で押し倒してしまったイッセーも“今回は”お咎めなしとなった。

 

流石に何もしていないのに殴りかかった側がお咎め無しなのは彼の主人であるリアスは憤ったが、転生前に積み重ね続けた悪行が原因と言われれば納得するしか無かった。

 

 

 

 

……教訓、普段の行いには気をつけよう……。

 

 

 

 

 

『……オレ、変なのに宿っちゃったか?』

 

相棒であるドライグもイッセーの惨状に呆れたように呟くのだった。まあ、相棒である以上一蓮托生、覚醒後のイッセーの名声はドライグの名声にもなるだろうが、悪名もドライグに付属する。

後に呼ばれる事になる『乳龍帝おっぱいドラゴン』、それは邪竜にさえも恥と思われないか心配である。

 

 

 

 

 

 

「そう言えば、イッセーの奴、詩乃と雫の事を呼んでたような……」

 

「四季、嫌な事言わないで」

 

「あの人には近づかれたくない」

 

取り敢えず、ルパンレンジャー時の怪盗衣装の時は正体知られないだけマシだが素顔の時は嫌なようだ。

 

最近洋服崩壊(ドレスブレイク)なんて技まで会得したせいで余計に近づかれたく無くなったそうだ。

 

「考えられる事は……アナザーリュウガの時の事か?」

 

「四季だけじゃ無くて私達も力を見せちゃったし」

 

「あれが原因だったら……」

 

一瞬見捨てた方が良かったかと思ってしまう詩乃と雫の二人だった。

 

「ま、まあ、助けたのは緊急時だったから」

 

「それは分かってるけど……その上でも近づかれたくないのよ」

 

詩乃の言葉に同意する雫。仕方ないと思いつつも、イッセーの行動には注意を払っておこうと思う四季だった。

 

(……万丈さん、貴方のボトルの成分、あんなのに使わせてすみませんでした)

 

序でに心の中で謝る四季であった。

次に追加して欲しいキャラは(第2回)?(選ばれなかった人は次回持ち越し)

  • 切姫夜架(最弱無敗の神装機竜)
  • 長谷川千雨(魔法先生ネギま)
  • 更識楯無(インフィニット・ストラトス)
  • ユキ(プロジェクト東京ドールズ)

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