『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』   作:ドラゴンネスト

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二十三話目

「狙え! 兵藤を狙うんだ!」

 

「うおおおお! てめえら、オレばっかり狙いやがって、ふざけんな!」

 

さて、建前は生徒達が球技を通じて青春を謳歌しつつ、競い合う歓びを分かち合う大会なのだが、一誠は全男子から狙われていた。

いや、ドッチボールのはずなのにイッセーだけが狙われていた。

……少なくとも、アウェーで試合する国際大会の選手でさえ此処まで敵意は向けられないだろう。

 

まあ、

『学園の二大お姉様』と呼ばれている駒王学園のアイドルである、リアスと朱乃に投げる? その瞬間、味方さえも敵に廻る。今後の学園生活は恐ろしい事になるだろう。

 

小猫に投げる? 戦車の特性で簡単にキャッチできそうだが、学園のマスコットのロリっ子に投げるのは心理的に無理だろう。序でに上記の様に今後の学園生活は恐ろしいこととなる。

 

アーシアに投げる? 癒し系の美少女に投げたら、当てた瞬間罪悪感に苛まれた上に周囲から冷たい目で見られるのは覚悟すべきだろう。その後の学園生活は推して知るべし。

 

木場に投げる? 当てた瞬間、女子を敵に廻す事になる。その後の学園生活は推して知るべし。

 

なので、怒りと共に全員の殺意がイッセーへと向くのは自然な事だろう。

 

「死ね野獣!」

 

「「「イッセーを殺せえええええ!」」」

 

周囲のギャラリーからは『イッセーを殺せぇぇぇぇぇ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ!』とのコールが響き渡り、一誠が避けたりキャッチする度にギャラリーや選手からは舌打ちや残念そうな声が響く。

 

「イッセーにボールが集中しているわ! 戦術的には『犠牲(サクリファイス)』って事かしらね! チャンスよ、イッセー!」

 

「頑張りますぅぅ!」

 

正にヘイト集めまくりのイッセーが居るために勝手にサクリファイスが成立しちゃっている現状。チャンスと言えば確かにチャンスなのだが……。

 

ヘイトが勝手に集まったイッセーを狙って投げられるボールをイッセーがキャッチして、それを小猫にパスして戦車(ルーク)のパワーを活かした彼女が当てていく。

 

それなりに良いコンビネーションを見せながら試合を進めている中、やはり木場だけが心ここに在らずと言った様子でボーッとしている。

 

「クソォ! 恨まれても良いぃ! イケメンめぇぇぇえ!」

 

そんな試合の中で中々当てられない事に苛立った者がボーとしていた木場に向かってボールを投げる。

それに気付いた一誠が木場に声を掛けるも運悪くボールはイッセーに当たった上、ボールの当たり所が悪く、治療係のアーシアと運搬係の小猫と共に倒れた一誠が引き摺られて出て行く事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれって……」

 

「また新しい事が始まるって所だな」

 

ボーッとした様子の木場の姿を眺めながら、詩乃の言葉に四季が答える。これから起こるのは木場の過去に関わる事件なのだ。

 

「血塗られた聖剣に纏わる因縁、か」

 

今回の事件に関わる話として詩乃と雫にも、この世界のエクスカリバーと認識されている剣の事を話しておいた。

 

エクスカリバーはかつての三大勢力間の戦争で砕かれ、砕かれた七つの欠片を核に七振りの聖剣として複製が作られた。

その七振りの剣はカトリック、プロテスタント、正教会の三つの教会で二本ずつ管理され、最後の一振りは行方不明とされている。

 

これも考えてみれば妙な話だ。そもそもアーサー王の逸話でエクスカリバーは返却されている筈だ。天界が所持しているとしたら、一番可能性が高いのは、自らの剣をエクスカリバーと呼んだリチャード1世が使ったそれなりに力を持った名もなき聖剣なのだろうが……。

 

「正真正銘の本物だった場合が一番不味いよな……」

 

天界による強盗か良くて借りパク。実際借りパクだとしたら、その行方不明扱いの一本がこの世界のアーサー王の子孫の元にあるのも頷ける。

 

「ん?」

 

丁度イッセーが運び出されて試合が中断された時だった。

頬に当たる冷たい水滴。空を見上げると黒い雲に覆われた空から雨が降り出していた。

 

「雨か」

 

屋外での球技大会が中断されて体育館で続行と言う放送を聴きながら、詩乃と雫と連れ立って四季は校舎側へと避難していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―パァンッ!―

 

球技大会の団体戦、それはオカ研の優勝に終わった。そんな体育館へと続く渡り廊下に出た時、其処に乾いた音が響く。

 

「どう? 少しは目が覚めたかしら」

 

体育館の渡り廊下、其処でリアスが木場の頬を平手で叩いていた。

 

「対抗戦、優勝は出来たけれど、チームが団結しないとならない場面で終始貴方は心此処に有らずだったわ。一体どうしたの?」

 

特に三人とも部活に参加しておらず、応援の立場で観戦していた四季達だが、外に出た時にタイミング悪く拙い所に出てしまったと思う中、治療を終えたらしい一誠とアーシアもその場面に出くわしてしまう。

 

「……木場」

 

死んだような目で項垂れている木場の姿を見て、そんな木場の様子に一誠が疑問に思う。

 

「大会では申し訳ありませんでした。調子が悪かったみたいです」

 

明らかに作り笑いと分かる笑顔で木場はリアスへと謝罪を告げる。

 

「もういいですか? 球技大会も終りましたし……。少し疲れましたし、暫く部活も休ませてください」

 

「おい、木場。お前、マジで最近変だぞ!?」

 

「君には関係ないよ」

 

肩を掴んで呼び止めるイッセーの手を払って木場は冷たく告げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、ごめんなさい、見苦しい所を見せちゃったわね」

 

気付かれる前に立ち去ろうとした四季達の姿に気が付いたリアスが四季達へと声をかけてくる。

 

「いえ、此方も偶然聞いてしまっただけなので」

 

其方の事情に首を突っ込む気は無いと言う様子でリアスの言葉に返す。

 

「聖剣計画の生き残り、程度の事情は知っていましたけど」

 

調べればわかる程度の事なのでその程度の情報は出しても良いだろうと言葉を続ける。

基本的に前世の事を記憶していない四季が転生者である事の証明の一つである『原作知識』と言う名の精度の高い未来予知によるものだ。

 

未来の事は兎も角原作前に確定している過去についての知識はその正確性も確かめ易い。

 

「っ!? そんな事まで知っているのね。本当にどうやって知ったのか教えてほしいわ」

 

「それは、企業秘密というやつですね、グレモリー先輩」

 

流石に原作知識となどとは言えないのでリアスの言葉にはそう言って誤魔化しておく。

流石に自分の情報の出所を教えるとは向こうも思っていないだろうし。

 

「そう」

 

素直に教えてくれるとは思っていなかったのだろう、リアスも四季の言葉にそう返す。

 

「あなた達の力といい、その情報網と言い、本当に興味深いわね」

 

「それはどうも」

 

簡潔にそう言い切って手を振って四季達は立ち去ろうとするが、

 

 

 

 

 

 

「僕は復讐の為に生きている。聖剣エクスカリバー、それを破壊するのが僕の戦う意味だ」

 

丁度木場とイッセーの会話が終わって居たのだろう。憎悪に染まった目でイッセーへとそう告げていた。

 

そう言って雨の中傘も差さずに濡れながら立ち去っていく木場の後ろ姿に四季は何処か冷たい感想を抱く。

 

(なんで、そこで道具に当たるかな)

 

仲間達を殺した研究者への復讐、計画を立てた教会への復讐ならば分かる。

だが、エクスカリバーは言ってしまえば所詮は道具、木場の言うエクスカリバーへの復讐は教会や天界という強大な組織に勝てないと諦めた上での代償行為にしか見えない。

 

「そもそも、あいつの復讐の方向性もそうだけど、教会がエクスカリバーを持ってることも不自然だと思うけどな」

 

ガチャ産とは言え別世界のエクスカリバーを二本も入手してしまったからこそ、持ってしまった教会が所持するエクスカリバーに対する不自然さではあるが、

 

そんな呟きがこぼれた瞬間、イッセーにも聞こえたのだろう、四季の言葉に気が付いたイッセーが四季を呼び止める。

 

「待てよ、お前、木場の事情知ってるのかよ!?」

 

「ん? ああ、客観的にと言う点でだけどな。詳しい事は自分の所の王にでも聞いたらどうだ。オレには態々説明してやる理由はないからな」

 

そう簡潔に切って捨てる。

今回の事件は街の安全を考えて参戦する必要性は感じていたが、イッセー達に味方する必要は無いのだ。

 

同時にそれは、木場の復讐の手助けをしてやる必要もないと言うことにもなる。

次に追加して欲しいキャラは(第2回)?(選ばれなかった人は次回持ち越し)

  • 切姫夜架(最弱無敗の神装機竜)
  • 長谷川千雨(魔法先生ネギま)
  • 更識楯無(インフィニット・ストラトス)
  • ユキ(プロジェクト東京ドールズ)

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