『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』   作:ドラゴンネスト

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二十五話目

旧校舎地下

 

「こんな物か?」

 

仮面ライダーウィザードへの変身を解除すると次は以前回収した龍騎ライドウォッチを取り出す。

 

「……アナザーライドウォチじゃ無いからアナザーライダーになる事はないだろうけど……」

 

敵の狙いが分かるかも、そんな考えと共に龍騎ライドウォッチの起動スイッチを押す。

 

 

『龍騎!』

 

 

ライドウォッチを起動させた時、自身に何かの変化はない。だが、確かに変化は起こっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、四季達三人は何故かまたもオカルト研究部に連れてこられていた。いい加減、約束を果たして欲しいところだが、『非常事態で大事な事』らしい。

 

「で?」

 

今にも斬りかからんばかりの憎悪のこもった表情を浮かべている木場。彼の視線の先にはテーブルを挟んで座っているリアスと朱乃のグレモリー眷属のトップの二人と、ロープ姿の今回のゲストの二人である青髪の少女とツインテールの少女の二人。

 

「何でオレ達は呼ばれたんだ?」

 

青髪の少女は『ゼノヴィア』、ツインテールの少女は『紫藤イリナ』と言うらしい。

聞いた話によれば教会の関係者らしく、今回は悪魔側との交渉の為に此処に来たらしい。

 

「それは私も気になっていた」

 

ゼノヴィアと名乗った青髪の少女が四季の言葉に同意する。こんな場所に無関係な第三者がいれば当然な話だ。

 

「ええ、彼等は私達三大勢力に属していない裏の関係者よ。今回は中立の立場の立会人として此処に来てもらったわ」

 

悪魔と天界の下位組織の教会との交渉の場、その立会人に中立な第三者を望むのは当然だろう。

今回の一件では堕天使サイドが敵側な以上、三大勢力の外から立会人を選ぶ必要があり、駒王学園にいるどこの勢力にも属していないフリーの異能者として四季達に立会人として白羽の矢が立った訳だ。

 

勝手に決められた四季達としては納得出来ないところもあるが、その辺の事情を知らない側は、それを聞いて納得したとばかりにイッセーの幼馴染らしいイリナが口を開く。

 

「先日、教会に保管、管理されていた聖剣エクスカリバー三本が奪われました」

 

彼女は真剣な表情でそう話を切り出した。

 

(相手が堕天使の幹部なら教会からの強奪も可能か)

 

聖剣の管理体制にもよるが、相手がコカビエルなら奪われた事を責めるのは酷と言う物だろう。

 

「しかも、そのうちの二本は奪われた事に気付かれない様な鮮やかな手口で盗み出されていたことから、此方では少なくとも奪った犯人は2組と推測されています」

 

「えっ? 伝説の聖剣のエクスカリバーって、そんな何本もあるのか?」

 

聖剣エクスカリバー。ある意味日本でも有名な聖剣。アーサー王の伝説は知らなくても、ゲームなどの知識くらその名前だけは知っていると言う者も多いだろう。

 

「イッセーくん、真のエクスカリバーは大昔の戦争で折れたの」

 

「折れた? チョー有名な剣なのにか?」

 

「いや、元々エクスカリバーは折れたカリバーンと言う聖剣を打ち直したと言う説もある。既に一度折れた以上、もう一度折れても不思議はないだろ?」

 

イッセーへと説明するイリナの言葉に続いて四季がそう補足する。

二天龍、特にドライグとエクスカリバーは縁があるだけに『勉強不足だな』と言う意思を込めた言葉だったが、当のイッセー本人もそう受け取ったのだろう、ムッとした表情を浮かべている。

そこまで言うと「更に」と前置きして、

 

「しかも、そのカリバーンが折れた状況が聖剣からの使い手に対する抗議の様なものと言う説だってある」

 

聖剣(エクスカリバー)が折れたのは聖剣からの抗議、天界はよほど酷い使い方をした』と言う四季の言葉の意味も理解できたのだろう、イリナとゼノヴィアの二人もイッセーと同様にムッとした表情を浮かべていた。

 

「ついでに言うと本来ならばどの説でも最終的にエクスカリバーはアーサー王の名で部下の騎士の手で湖の乙女に返還されている。その伝説が正しいとすれば、キリスト教の教会が管理している時点で考えられる可能性は三つ」

 

今から言うのは聖剣を憎悪している木場や教会関係者に対する特大の爆弾だが、後から真偽の程を確かめる気はないので単なる推理として聞いて貰おうと、挙げた握り拳から指を3つ伸ばす。

 

「1つは返還されたエクスカリバーを天界が強盗、強奪した可能性。2つはアーサー王の子孫や縁者を経て湖の乙女から借り受けた物を未だ返還していないだけ。最後に3つ目は自らの剣をエクスカリバーと呼んでいたリチャード1世の持っていたそれなりの力の有った無銘の聖剣」

 

要するに四季のあげた可能性は盗品であるか、エクスカリバー(偽)で有るかの三択。

 

「「「っ!?」」」

 

その仮説に木場とイリナとゼノヴィアの三人の表情が変化する。

それでも、イリナとゼノヴィアは3つ目の可能性で納得したのだろう。リチャード1世の使っていたそれなりの力を持った無銘の聖剣ならば天界の手にある事も納得出来る。

だが、木場としては3つ目の選択肢は決して受け入れられる物ではない。それを受け入れてしまったら、自分や自分の仲間達はエクスカリバーどころか単なる無銘の聖剣の犠牲になったと言うことになるのだから。

 

エクスカリバーどころか無銘の聖剣すら扱えなかったのが己や己の仲間達。そんな物が事実だとしたら、それは木場にとって認められるものではない。

 

「……彼のあげた可能性は兎も角、今のエクスカリバーはこんな姿さ」

 

まだ四季の仮説に納得は行かないのだろうが、そう言ってゼノヴィアが巻き付けていた布を取り除いて背負っていたエクスカリバーの姿を見せる。

……それによって憎悪の対象であるエクスカリバーの姿を直視した木場の憎悪の視線が更に強くなる。

 

「折れたエクスカリバーの破片を集め、錬金術によって新たに七本が作られた。……私が持っているのがその一つ、『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』。これはカトリックが管理している」

 

そう言って彼女が再び聖剣を布で覆うとイリナが腕に巻きつけていた糸のような物が彼女の手の中で日本刀のような形にかわる。

 

「私の方は、『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』……の日本刀形態」

 

そして、今度は日本刀形態から再び糸状に変わり、ハートマークを作ってみせる。

 

「こんな風に形を自由に変えられるの。すごく便利なんだから」

 

「確かに便利そうだな」

 

「そうね、確かに便利ね」

 

「でしょでしょ」

 

何処か自慢気に言うイリナの言葉に同意する四季と詩乃。自分の聖剣が褒められたのが嬉しいのか、当のイリナもうれしそうだ。

 まあ、四季は四季で『防具や手甲にもなりそうで便利だな』とか、詩乃は詩乃で『防具や弓矢に出来て便利かも』と思っているので、剣と言うよりも聖剣のオーラを持った扱い易い武具としてみている。

まあ、何処ぞの小説では日本刀の技術で作った銃や全身鎧すらも刀と言い張っているのだから、聖剣と扱っても問題は無いだろう。

 

刀剣程ではないが弓矢も普段から持ち歩くのは手間なのだ。四季が側にいないと手持ち武器がVSチェンジャーしか使えない上にVSチェンジャーはルパンレンジャーとしての活動用なので、事実上詩乃は四季の近くに居ないと戦えない事になる。

 

「なるほど、そうなると盗まれたのは残りの中から考えて『天閃(ラピッドリィ)』、『夢幻(ナイトメア)』、『透明(トランスペアレンシー)』の三振りあたりか?」

 

「「なっ!?」」

 

「ん?」

 

何気なく呟いた四季の一言に二人が驚愕の声を上げる。

 

「いや、どうせ奪う手間は変わらないだろうから、狙うなら戦闘に使えるものを優先的に狙うと思っただけだけど……」

 

「そうじゃなくて、どうしてエクスカリバーの名前まで知ってるのかを知りたいんだと思う」

 

四季の言葉に雫が訂正の言葉を入れる。

 

「ああ、そっちか。オレ達にもそれなりの情報網がある。それだけだ」

 

正確には原作知識と言う名の情報源だが、そこまで説明する義理もなければ必要性もないのでそう言っておく。

 

「……それで、貴女達の要件は?」

 

今にも2人に斬りかからん様子の木場を真後ろにしてさっさと話を進めようとリアスがそう言葉を続ける。

……先ほどの四季の言葉を聞いて木場の殺気が倍加した気がするがそれは間違いではないだろう。

 

自分やその仲間達はエクスカリバー処かただそう呼ばれていただけの無銘の剣の為に犠牲になった。そんな可能性さえも浮かび上がったのだから。

 

「七本のエクスカリバーはカトリック、プロテスタント、正教会が各二本ずつ保有し、残りの一本は三つ巴の戦争の折に行方不明になっていた。」

 

(一本だけ行方不明って?)

 

(ああ、確か行方不明の聖剣は『支配の聖剣』だったか。それが行方不明になってるんだ)

 

詩乃の問いにそう答える。

まあ、各宗派のパワーバランスを考えると一本だけ行方不明なのは返って丁度良かったのかもしれないが。

パワーバランス的に何処かの宗派が一本だけ多く所有するのは問題だろう。

深読みまでしてしまえば、その行方不明の一振りがアーサー王の子孫に返却された可能性もある。

 

(どっちにしても便利な特殊機能を追加して頑張って作り直したナマクラにしか見えないよな、二本の本物のエクスカリバーを見た後だと)

 

(そうよね)

 

(うん、あの二本に比べると)

 

聞こえないように注意しながらそんな言葉を交わす四季と詩乃と雫の三人。

比較対象は型月世界の聖剣エクスカリバーと言うのも相手が悪すぎるだろう。

 

「そのうち各宗派から一本ずつが奪われ、この地に持ち込まれたって話さ」

 

「まったく無用心ね……誰がそんな事を?」

 

「奪ったのは堕天使組織『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部、『コカビエル』だよ」

 

「堕天使の組織に!? それもコカビエルなんて、聖書にも記された者の名が出るとはね……」

 

(知識通りか……)

 

(そうね、勝てる?)

 

(勝てるさ、オレ達なら……って言いたいけど、不安はあるな。やっぱり使うか、ガチャチケ)

 

知識通りだが、問題がないわけはない。敵は堕天使の幹部、前大戦の生き残りだ。オニキスやウィザードで本当に届くのかと言う不安はあるのだ。

 

「私達の依頼……いや、注文とは。私達とグレゴリのエクスカリバー争奪の戦いに一切悪魔が介入しない事。つまり、今回の事件に関わるな、と言いに来た」

 

「悪いけど、それは無理な注文だな」

 

「な、なんだと!?」

 

なるべく話しに入らない様にしていたが四季は此処で口を出す。

 

「流石にこの街に入り込んでいる以上、何を仕出かすか判らない。が、予想は出来る。……特にコカビエルはグレゴリの中でも過激派の筆頭、そっちが失敗……いや、行動が僅かに後手に廻っただけでも最低で…、この街にいる魔王の妹二人とその眷属の命、最悪は街そのものを危険に晒す事になる」

 

「四季」

 

「お前……」

 

四季が自分達の心配をしてくれていると思って感動を覚えるリアス達だったが……

 

「過激派の考えなんて、大抵戦争の再開だろ。要するに、ここに来たのは聖剣を使って魔王の妹二人を殺害、その首を魔王に送りつけて宣戦布告して堕天使と悪魔の戦争、そしてそれに天界まで巻き込んでの第二次大戦の勃発」

 

教会組の二人へと視線を向け、

 

「そっちが関わるなと注文しているのは敵の最優先ターゲットだ。関わってるんだよ、この街の悪魔はコカビエルが来た時点で全員今回の事件には、な」

 

更に笑みを浮かべて、

 

「悪魔にだって好戦派はいるだろう。天界の関係者が余計な要求をしたから魔王様の妹君達は犠牲になってしまった、聖剣を奪われて余計な要求をした天界も敵だ! なんて、叫んで悪魔側の好戦派にも戦争再開の理由を与える」

 

そもそも、原作に於ける今回の一件自体がコカビエルが主犯だが、悪魔と天使の好戦派が協力していたのでは、なんて深読みさえできるのだから。

 

「その要求は悪魔側からの天界への宣戦布告の理由になる可能性がある。それを分かっているのか?」

 

四季はゼノヴィアへとそう問いかける。




今回は完全に火を放って油をまいていくスタンスの四季くんでした。

次に追加して欲しいキャラは(第2回)?(選ばれなかった人は次回持ち越し)

  • 切姫夜架(最弱無敗の神装機竜)
  • 長谷川千雨(魔法先生ネギま)
  • 更識楯無(インフィニット・ストラトス)
  • ユキ(プロジェクト東京ドールズ)

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