『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』   作:ドラゴンネスト

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二十七話目

「えーと」

 

予想以上を通り過ぎて予測の斜め上を行った影響が出ている木場の姿になんと言うべきかと悩んでしまう、四季。

 

完全に涙目ながら木場に勝利したゼノヴィアと地に伏せている敗北した木場の姿。

 

「まあ、最後に破壊力なんて余計な物に頼らなきゃ勝ててたかもな」

 

木場の最大の武器は速さ、一撃でダメなら十を、十でダメなら百の斬撃を与えること。それが木場が突き詰めるスタイルだろう。

例えるならば、アクセルトライアルがアギトバーニングファームのような戦い方をしても意味はないような物だ。

 

己の最大の武器を無視して、ゼノヴィアの破壊の聖剣の破壊力に対抗しようとして本来の戦闘スタイルとしては余計な物でしかない大剣を作り出すなど、間抜けでしかない。

 

聖剣への復讐心を暴走させた結果が、自身の力を見失った末の無様な敗北。強大な破壊力も当たらなければ意味がない、相手が振り下ろすよりも早く切り裂けば破壊力も意味は無い。彼が選択すべきは振り下ろされるよりも早く、全てを振り切る速さだったのだ。

 

(まあ、復讐に囚われてる上に、聖剣への八つ当たりしかしていない以上、何も振り切ることは出来ないだろうけどな)

 

彼が選んでしまったのは無意味な破壊力。聖剣への復讐と言う八つ当たりにに目が眩み、結果的に己の振るうべき剣を見失った。

 

「当然の結果だ。三流剣士」

 

リアスは木場の事を剣術と神器と騎士の駒の特色である速さを持った一流の剣士だと評した。

 

だが、四季の下した木場の剣士としての評価は三流。

剣術や神器の力は己の物だ、それは間違いない。悪魔の駒で得た力も己の物に出来たのならば問題ない。だが、問題は未熟な心。

中途半端な復讐に囚われた未熟な心。復讐したいのならば聖剣では無く、それを行なった研究者や教会、天界であるべきなのに、だ。

 

その上に敵……この場合は正確には模擬戦の相手であるゼノヴィアからそれを指摘され、その刃で斬られる事すらなかった。

 

木場のそれは心技体の心が低い歪なトライアングル。

ある意味、朱乃や子猫にも言える事だが、体は大幅に悪魔の駒の力で高まるだろう、技も体に引きずられ高まるスピードも上がるだろう。だが、心だけはそんなに直ぐには成長しない。

それを利用してイリナをK.O.した四季としては複雑な心境だが。

 

(体は強くても心は豆腐、か)

 

その精神面でグレモリー眷属の中で一番マシなのがイッセーと言うのが笑えない話だが、各々精神面で問題を抱えているイッセー加入以前のグレモリー眷属の中でメンタルケアが全くされていないと言うのも、グレモリー眷属の問題点だろう。

 

メタな発言をして仕舞えば原作主人公のイッセーの仕事だが、リアルな話をするならば彼らの王であるリアスの役割だ。

 

「それじゃ、オレ達は帰らせてもらって良いか?」

 

木場一人なら治療要員はアーシア一人で十分だろうと判断してそう言わせてもらう。

 

「ごめんなさい、治療お願いできるかしら」

 

「……はぁ。雫、頼む」

 

「うん、分かった」

 

恐らく神器ではないとは言え同じ治癒の力なのだから、それを見る事はアーシアにとっても参考になると思ってのことなのだろう。

後で治療費は請求するとして、面倒なのは教会関係者にそれを見られる事だ。

 

「っ!?」

 

予想通り雫の力にゼノヴィア達は驚いている。

 

「まさか、本当に神器(セイクリッド・ギア)でも無い治癒の力を持っているとは……」

 

「うそ……信じられない」

 

トリックでもなんでも無く、側から見たら、イリナとゼノヴィアから見ても奇跡とも言うべき力だろう。

 

まあ、彼女の力の本来の持ち主である美里葵の幕末の時代の先祖に当たる美里藍がキリシタンと言う事を考えれば全く無関係とは言えないが、雫の力は龍脈から与えられた物だ。聖書の神とは関係ない。

 

「……ところで、1つ聞きたい。彼女の力は私達にも効果はあるのか?」

 

「ん? ああ、雫の力はちゃんと人間にも効く。最初に恩恵を受けたのはオレ達だからな」

 

「正真正銘の神の奇跡と言われても頷けるな」

 

見られたのなら隠しても意味は無いと考えて四季はゼノヴィアの問いに答える。何でそんな事を聞いたのかも、大体理解出来た。

 

「彼女の力のことは気になるが、今は追求するのはやめておこう」

 

「そう判断してくれるのはありがたいな」

 

神の奇跡でも見せられているような光景。その対象が悪魔でなかったら本当の神の奇跡と言われても二人は疑わないだろう。

 

だが、今は聖剣奪還の任務が優先だと判断して、ゼノヴィアは意識を切り替える。

なにより後で対価は要求されるだろうが、治療手段の確保は任務の達成や生還の確立を大幅に上げる。

悪魔側とも関係の無い中立な立ち位置で呼ばれたのなら、友好的で無くとも敵対しないだけ得な相手だ。

 

「では、後で対価は支払おう。何かあった場合は私達の事も治療して貰えればありがたい」

 

「安心してくれ、その場合は味方と判断してちゃんと治療する」

 

対価の支払いに関しては状況にもよるが、敵と状況によっては無償での治療も考えている。

 

「天地四季だったな? その話、よろしく頼むよ」

 

「じゃあそう言う事で。教会に入りたくなったらいつでも言ってね。アーメン♪」

 

いつの間にか精神的にフルボッコにされたイリナも復活して四季達にそんな事を言っていた。

 

そんな会話を交わして校庭から立ち去っていく前にゼノヴィアはイッセーへと振り返り、

 

「1つだけ言おう、『白い龍(バニシング・ドラゴン)』は目覚めているぞ」

 

「ああ、アルビオンの事か」

 

「バニシング、ドラゴン? アルビオン?」

 

ゼノヴィアと四季の言葉に疑問を浮かべるイッセー。

 

「……一応、お前の相棒なんだから、少しはどう言うドラゴンなのか知ってやれ」

 

そんなイッセーの言葉に溜息を吐きながら四季はそう呟く。

 

「しかし……それの元が本物かは別にして、ドライグの神器がある街にエクスカリバーの名を持つ聖剣が集まるのも、運命的なのかもな」

 

「たしかに、そうかも知れないわね」

 

「コカビエルの仕業とは言え、か」

 

四季の言葉に同意する詩乃とゼノヴィア。

教会のエクスカリバーが本物(盗品)かリチャード1世由来の品かは別にしてもドライグの名を持つドラゴンの元にエクスカリバーが集まるのは何かの運命を感じてしまう。

三人の視線がイッセーへと向かうが、

 

「え? どう言う事だよ、運命とかって」

 

当の、ドライグの神器である赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を宿したイッセーは何も知らない様子だった。

 

「お前の神器のドラゴンは本物のエクスカリバーの持ち主のアーサー王とは縁があるんだ。……ってか、自分の宿した相手の事くらいは知っておいてやれ」

 

そんなイッセーの言葉に呆れた様子で最低限の事を教える四季。

 

「いずれ白い龍とも出会うだろうが、その調子では絶対に勝てないだろう」

 

ゼノヴィアはそんな言葉を残してイリナと共に立ち去って行く。

 

立会人の役目も、治療役の役割も終わったので四季達も帰ろうとした時、

 

 

 

「待ちなさい、裕斗!」

 

 

 

木場を呼び止めるリアスの声が響く。

 

「貴方はグレモリー眷属の騎士(ナイト)なのよ! はぐれになってもらっては困るわ!」

 

己を呼び止める主人の手を木場は振り払う。

 

「ぼくは同志達のお陰で彼処から逃げだせた」

 

その目に宿るのは何処までも暗い憎悪。

 

「だからこそ、彼らの恨みを魔剣に込めないといけないんだ……」

 

「裕斗……どうして……」

 

リアスもイッセーもそう言って立ち去っていく木場を見送るしか出来なかった。

 

次に追加して欲しいキャラは(第2回)?(選ばれなかった人は次回持ち越し)

  • 切姫夜架(最弱無敗の神装機竜)
  • 長谷川千雨(魔法先生ネギま)
  • 更識楯無(インフィニット・ストラトス)
  • ユキ(プロジェクト東京ドールズ)

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