『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』 作:ドラゴンネスト
「さてと……次は」
その日、四季は詩乃から頼まれた買い物のメモを開いてそれを確認していると視界の端に妙な物を捉えた。
「えー、迷える子羊にお恵みを~」
「どうか天に変わって哀れな私たちにお慈悲をぉぉ!」
何処かで見たことのある二人組が本当に哀れな姿で物乞いをしていた。
「……何やってんだ?」
間違い無く先日教会から派遣された聖剣使いの二人組だ。
任務の最中なのにこんな所で何かの修行なのだろうか?
それとも、協会は清貧を旨とし過ぎて最低限の活動資金、主に現地での宿代と食事代も渡さないのだろうかと疑問に思う。
「なんて事だ」
ゼノヴィアの心境を物語るような空の箱の中に虚しく落ち葉が落ちる。
「これが経済大国日本の現実か。これだから信仰の匂いもしない国は嫌なんだ」
「毒付かないで、ゼノヴィア。路銀の尽きた私達はこうして異教徒の慈悲なしでは食事もとれないのよ? ああ、パン1つ買えない私達!」
「ふん、元はと言えばお前が詐欺まがいの変な絵画を買うからだ」
そんな二人の様子を呆れた目で暫く観察していると、どうやら聖人?を描いた絵をイリナが路銀を全部使って買ってしまったらしい。
エクスカリバーを使って大道芸をして少しでも稼ごうとしていたが、切る物が無く唯一切り刻める絵を切り刻もうとしていた。
「おーい」
心境的にはこの場で見なかった事にして帰りたい所だが、変に追い詰められた二人が人の道を踏み外す決断をされても困るので、意を決して言葉をかけた。
「お前は、天地四季」
「何があったかは知らないけど、食事くらいはご馳走してやる」
四季のその言葉に二人からは心底感謝を込めて祈られた四季であった。
なお、
「その明らかな偽物の絵を切り刻むのは賛成だけど」
「ああ、この絵を切り刻むのは良いとして、何だ?」
「大道芸をするなら、
「え!? 一般人の前で聖剣の力を見せるのは……」
「いや、手の平サイズの小物に変化させて手品みたいにハンカチや布で隠して変化させれば、単なる凄い手品と考えるんじゃないのか?」
四季の言葉になるほどと言う顔を浮かべる二人。序でにエクスカリバー(仮)強奪犯に対する囮にもなる。四季とゼノヴィア達の間でそんな会話が交わされたそうだ。
……木場の仲間の仇のエクスカリバー(贋)大道芸の道具に使われる。
現状を詩乃に連絡して帰りが遅れると言う旨を連絡するとイリナとゼノヴィアの二人を連れて近くのファミレスに入る。
「うまい! 日本の食事は美味いぞ!」
「うんうん! これよ! これが故郷の味なのよ!」
ファミレスの食事が故郷の味となるのかは分からないが朝から何も食べていなかった様子で凄い勢いで食べている二人の様子に内心呆れてしまう。
「それにしても……何でわざわざ任務の最中にそんな邪魔になる絵なんて買ったんだ?」
「それはイリナに聞いてくれ……」
四季の問いにうなだれながら答えるゼノヴィア。イリナ曰く多分ペテロだのと言っているよく分からない絵を買ってしまった相棒に路銀を預けた自分の迂闊さを呪っている事だろう。
そんな二人の視線が、メニューを見て『デザートからが本番よ!』と言っているイリナへと向かう。
何気に旧校舎の修行場では何故か金銭もドロップする。元々の魔人学園の仕様と言って仕舞えばそれまでだが現金がドロップするのかは謎である。……砂金とかの形で入手させられてもそれはそれで困るが。
そんな訳で日々の修行の副産物でそれなりに金はあるのだ。
「ゼノヴィアだったか?」
「なんだ?」
「……少し寄付させてもらうから路銀はお前が管理した方がいい」
「言われるまでもない。神に誓って、もう二度とイリナには財布は渡さない」
「賢明な判断だ」
どう考えてもゼノヴィアに渡しておいた方が安心だろう。財布の中から取り出した金をゼノヴィアへと渡すと、
「それともう一つ……そっちに用がありそうな、珍しい組み合わせの三人組が居るぞ」
食事を終えて落ち着いた様子で四季から寄付された路銀を仕舞っているゼノヴィアと、いつのまにか追加で頼んだデザートのパフェを食べて居るイリナに対して自分の後ろを指差しながら四季はそう告げる。
「気付いてたのかよ」
「気配には敏感なんでね」
先程から四季から一度も視線を向けられていなかったので気付かれていなかったと思っていたのだろう。
三人組のイッセーはそんな四季の言葉に驚いた様子だが、当の四季は何でもないと言うような態度でコーヒーに口を付ける。
「それにしても、同じ主人の眷属の塔城は兎も角、生徒会長の眷属の匙が一緒なのは本当に珍しいな」
先日のイッセーが女生徒を押し倒した一件もあって仲は良く無いであろう匙までいるのは確かに意外だった。
ファミレスに入る前から三人の気を感じたのでそちらへと注意を向けていたと言うのが真実だが、そんな事はイッセー達は知る由もないだろう。
「……仙術? いえ、似てるけど違う?」
唯一子猫だけが気付かれている事に僅かに気付いていた事を除いて。
「で、この事は生徒会長には許可もらってるのか?」
「兵藤に無理矢理連れてこられたんだよ……」
「御愁傷様」
貰っていないのだろう、許可は。後のことを考えているのか表情に暗い物が指している匙に同情しつつ、イッセーへと視線を向け。
「それで何の用なんだ?」
「ああ、単刀直入に言うと……
四季の問いにそう答えると、イッセーはイリナとゼノヴィアへと向き直り、そう告げる。
そう言われたイリナとゼノヴィアの二人も驚いた様子だ。
「天地、すまないが」
「分かった。代金は支払っておく」
「助かる」
ゼノヴィアの言葉の意図に気がつくと四季はイッセー達と入れ替わるように伝票を持って席を立つ。
イリナの真意は分からないが、ゼノヴィアはこのイッセーからの提案を受ける気なのだろう。だが、天界側の彼女達がイッセー達悪魔側と協力すると言うことはなるべく知られたくないのだろう。
第三者の立場の四季は今回はいて欲しくないと判断したゼノヴィアの意図に気付いた四季も彼女の意思を尊重して立ち去る事を選んだ訳だ。
「食事や路銀の礼はいつかするぞ、天地四季。それと、迷惑ついでにもう一つ頼みたいのだが……」
「ああ、コカビエルの動きを掴んだら連絡しよう」
「重ね重ね済まない。何かあったらここに連絡をくれ」
そう言ってゼノヴィアから連絡先を書かれたメモを渡される。
(少し怪盗として探ってみるか)
今回の事件はレイナーレの時や、グレモリー家のお家騒動だったフェニックスの件とは違い放置しておいて失敗したら大量の被害者が出る。
何より、
(コカビエルとフリード、バルパーの三人だけって言う所も原作じゃ気になっていたけど……)
鏡の方に視線を向けるとベンタラにいるドラグブラッカーが頷いている。
(敵の隠れ家は分からないか)
幾らコカビエルが強いとは言っても好戦派の堕天使はそれなりに多くいる事だろう。少なくとも、一人だけと言う事は考えられない。
(好意的に見れば自分が犠牲になって禍の団に行く好戦派の堕天使を押さえたとも考えられるな)
幾ら戦争狂と言ってもそこまで愚かではないだろう。普通に考えて実の妹である以上は直通の連絡方法の一つもあるだろうし、サーゼクスとセラフォルーは有名なシスコンなのだ。周りが止めても直に出てくるだろう。(相手が相手なだけに下手な戦力では犠牲が出ると言う理由付けも出来る)
そう考えると他の好戦派を抑えるために最小限の戦力で今回の事件を起こしたと考えても筋が通る。
先代の四大魔王と聖書の神が死んだ中で堕天使はほぼ無傷とは言え、悪魔側も先代以上の力を持つサーゼクス達の存在や、戦力的には天界側も他の天使は無傷で残っている。
ほぼ無傷の堕天使、次世代が育っていた悪魔、上を失ったとは言え十分な戦力のある天使。
ここから考えるに聖書勢力の戦力の内訳は精々拮抗状態といった所だろう。
(まあ、最終目標は推測できるし、まだ様子見をしておくか)
コカビエルのこの街での最終目標はリアスとソーナの命。
魔王の身内が堕天使の幹部に殺されたとなっては確実に悪魔側は戦争へ向けて止まらなくなる。
(内乱の続きがしたいなら好きにしてくれても良いけど、それに無関係な人間を巻き込むな)
阻止されること前提の計画であったとしても巻き込まれる側としてはそう思ってしまった。
次に追加して欲しいキャラは(第2回)?(選ばれなかった人は次回持ち越し)
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切姫夜架(最弱無敗の神装機竜)
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長谷川千雨(魔法先生ネギま)
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更識楯無(インフィニット・ストラトス)
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ユキ(プロジェクト東京ドールズ)