『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』   作:ドラゴンネスト

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三十話目

「お前……まさか天地か?」

 

オニキスの姿を生で見せるのは匙以外のソーナの眷属だけだったということを思い出しながら、突然の事に呆然と呟いた匙へと視線を向ける。

 

「ああ。そしてこれが、仮面ライダーオニキスだ」

 

ベンタラとミラーワールドの違いは有るが鏡面を介した別世界への移動能力はこう言う奇襲にも便利だ。

 

「何なんですかい、イキナリぃ!?」

 

「どう見ても化け物退治に来たヒーローの構図だろ?」

 

鏡を見ろと言わんばかりの態度で立ち上がったアナザーブレイブの言葉にオニキスは鏡を指差しながらそう答える。

 

「へっへっへっ、黒いヒーローくんが悪魔くん達の仲間かは知りませんがねぇ! 俺様の『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)』の速さで勝てるかよ!」

 

アナザーブレイブはアナザーライダーに変身する前から持っていた聖剣を持ち、オニキスの視界から消える。

 

(あれがスピード系のバフを与える聖剣って所か。だったら……)

 

変身していても武器庫から武器を取り出す事はできる。ビルドの時にも出来ていたのだからオニキスに変身している今も取り出せない訳がない。

 

「死んじゃえよぉ!」

 

「奇襲はもっと静かにやれ」

 

聖剣には聖剣で対抗するまで、とアナザーブレイブが振るった聖剣を武器庫から取り出したエクスカリバー(fate)で受け止める。

 

 

 

 

スパァーン

 

 

 

 

「「え?」」

 

剣と剣をぶつけ合ったオニキスとアナザーブレイブが呆けた声を上げる。

 

「「「へ?」」」

 

それを見ていたイッセー、木場、匙の三人がマヌケな声を上げる。

 

アナザーブレイブの振るった天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)の刀身はオニキスのエクスカリバー(fate)とぶつかり合った瞬間、綺麗に切れてしまっていた。

 

「「「「折れたぁ!?」」」」

 

敵味方関係無くアナザーブレイブ、イッセー、木場、匙の心が一つになった瞬間であった。

 

「いえ、折れていません、切れてます」

 

地面に落ちた刀身に近づいてエクスカリバー・ラピッドリィの半分の末路を確認してそういったのは子猫だった。

 

「マジかよ!? 伝説のエクスカリバーちゃんが!?」

 

「エクスカリバーが……こんなに簡単に?」

 

天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)に起こった悲劇に絶叫するアナザーブレイブと、自分の仇で有ったエクスカリバーのうちの一振りの末路に呆然と呟く木場。

 

だが、その結果のある意味は当然とも言えるだろう。

所詮はその聖剣は折れた一部を核に再生された劣化品(デッドコピー)、それに対して四季の持つ聖剣は異世界の真のエクスカリバー。どちらが剣として格上かなど、考えるまでもないだろう。

 

二つの剣がぶつかり合った結果、劣っていた剣が負けた。それだけだ。

 

「……まあ、ちゃんとした鍛治じゃなくて、錬金術で再生した剣としては当然の末路だな」

 

七分の一になった(恐らく偽物の)剣を鍛治ではなく錬金術で直した品物。異世界のと注釈は付くが完全な形で存在している本物のエクスカリバーの敵ではない。

使い手次第では互角以上に戦える場合もあるが、残念ながら今回はその事例には無いのだろう。

 

「っ!? 今だ、黒い龍脈(アブソリューション・ライン)!」

 

最初に正気に戻った匙がアナザーブレイブに変身前から巻き付けていたラインから己の神器(セイグリッド・ギア)の力を発動させる。

 

「……これは!? 俺っちの力を吸収するのかよ!?」

 

「どうだ! これがオレの神器だ! お前がぶっ倒れるまで力を吸い取ってやるぜ!」

 

「力を吸い取る神器!?」

 

「ドラゴン系神器(セイグリッド・ギア)か、忌々しい!」

 

必死にラインを刀身の半分を失った剣で切って逃れようとしているが、アナザーブレイブに巻きついたラインは切れる様子は無い。

 

「取り敢えず、今の内に変身解除には追い込ませてもらう」

 

大ダメージを与えて変身解除に追い込み、再起動される前にウォッチを回収する。

エグゼイドやブレイブ等の力が無い以上、アナザーライダーへの対処法はそれしかない。

 

そう考えながらエクスカリバー(fate)を地面に突き刺し、カードデッキからファイナルベントのカードを取り出しブラックドラグバイザーに装填しようとした瞬間、

 

 

「うわぁァァァァァァぁっあ!」

 

 

突然木場の絶叫が響き渡る。そちらへと視線を向けると彼の両手は何故か酷く焼けただれているが……

 

「木場!」

 

「裕斗先輩」

 

そんな彼に慌てて駆け寄るイッセーと子猫。

そして、木場の近くには先程地面に突き刺したエクスカリバー(fate)。それで何が有ったのかを正確に理解した。

 

仲間の仇と破壊する事を誓っていた教会のエクスカリバー。そして、地面に突き刺さっているのはその聖剣でさえ簡単に破壊してみせた剣。

望みであったエクスカリバー(仮)を目の前にある剣に求めたのだろう。その望みの力と言うのが、異世界の物とはいえ真のエクスカリバーと言うのが何とも皮肉な話だ。

 

「その剣は一級品の聖剣だ。並みの悪魔じゃ持つことさえできないぞ」

 

敢えて一級品と誤魔化したが、間違いなく異世界のものとはいえ本物のエクスカリバーなのだ。間違い無くそれは超一級の品だろう。

アナザーブレイブの対処が僅かに遅れてしまったが、改めてファイナルベントのカードを装填しようとする。

 

 

 

「ほう、魔剣創造(ソード・バース)か」

 

 

 

だが、その一瞬の隙に新たに響く声。その声の聞こえた声の方へと全員の視線が向かう。

 

ビルの上に立つ彼らを見下ろしている聖職者の様な格好の老人。

 

「……バルパーの爺さんか?」

 

それが誰なのか、その答えが敵……アナザーブレイブの言葉によって明らかになる。

 

「……バルパー、ガリレイッ!」

 

「皆殺しの大司教、聖剣計画の首謀者の聖剣マニアか」

 

「いかにも。フリード、聖剣を……バカな」

 

ビルの上に立つ老人、バルパーの表情がエクスカリバー(fate)を見た瞬間驚愕に染まる。

 

「それは……その聖剣は……」

 

驚愕と歓喜、そして感動と驚きと喜びと疑惑の混ざった声を上げる。

 

「間違い無い。教会に有ったものとは格が違う。だが、何故そんなところに完全なものが存在しているのだ……」

 

バルパーの目からは感動の涙が流れその視線は地面に突き刺さったままのそれへと注がれている。

その男が今まで本心から神に祈っていたかは分からない。破門されてから神に祈ったかは分からない。たが、間違い無く言える。バルパー・ガリレイは今は間違い無く神に、運命に感謝を捧げている。

 

「こんなに早く、こんな所で目にすることが出来ようとは!? おお、エクスカリバーよ!」

 

絶叫にも似た感謝の声を上げる。

 

「マジですかい!? それってマジモンのエクスカリバー!? えっ、それじゃあオレッチのこれは何なの!?」

 

「さあ、そもそも、エクスカリバーと聖書勢力は最初から関係無いから、リチャード1世が使ってた聖剣なんじゃないのか」

 

アナザーブレイブの声に律儀にそう答えるオニキス。

 

「エクスカリバー!?」

 

さて、今も力を吸われているアナザーブレイブを放置して感動で泣いて今にも賛美歌でも歌わん勢いで歓喜の祈りを捧げているバルパーを他所に木場が敵意に満ちた視線をオニキスに向ける。

その様子から、エクスカリバーの聖のオーラに両手が焼けただれてなければ今直ぐにでも切り掛かっていた所だろう。

 

「お、おい、何でお前がエクスカリバーを持ってるんだよ!?」

 

そんな木場の横に立つイッセーがそんな疑問の声を上げる。

 

「ああ……これは別世界のエクスカリバーだ。そのエクスカリバーの名を持つ血塗られた聖剣を破壊してくれって頼まれたんだよ」

 

「頼まれた、誰にですか?」

 

どうも敵意全開の二人に変わってオニキスに問い掛けるのは子猫だ。

 

「……マーリンって名乗ってたな使いは、確か」

 

「で、では、依頼した者の名はアーサー王か!?」

 

the大嘘。流石に転生特典のガチャで引き当てましたなどとは言えないのでそう言って誤魔化しておく。

 

だが、その嘘を信じ込んでいるバルパーはオニキスの言葉に歓喜の意思を強めて叫ぶ。

 

「ちょっとちょっと、バルパーの爺さん、そんな事よりこのトカゲ君のベロが邪魔なんですけど!?」

 

「そんな事の方がどうでも良いわ! 大体、お前の聖剣の使い方が未熟なのだ。お前に授けた“聖なる因子”を刀身に籠めろ! 折れたとは言えそれで十分に切断出来る!」

 

「へいへい! こうか?」

 

バルパーの言葉に従うとアナザーブレイブの聖剣は簡単にラインを切断する。

 

「もう少しそのエクスカリバーを見ていたい。……名残惜しいが、コカビエルの元に行くぞ」

 

そう言ってバルパーは懐からライドウォッチを取り出し、それを起動させる。

 

 

『ワイズマン……』

 

 

バルパーはその姿を白い魔法使いを歪めたアナザーライダー、アナザーワイズマンへと姿を変える。

 

「チッ、分かったよ、ジイさん」

 

バルパーがアナザーワイズマンに姿を変えると、そう言ってアナザーブレイブはアナザーワイズマンの元へと飛ぶ。

 

「じゃ、行かせてもらうぜ! 次に会う時は最高のバトルだ!」

 

「小僧、次に会う時はお前の持つ異世界のエクスカリバーをワシの手に握らせて貰うぞ!」

 

『テレポート……ナウ……』

 

アナザーワイズマンとアナザーブレイブを魔法陣が飲み込み、二人のアナザーライダーの姿は消えて行った。

 

後に残されたのはオニキスと憎悪の視線をオニキスの持つエクスカリバーへと向ける木場と、イッセー達三人だけだった。

次に追加して欲しいキャラは(第2回)?(選ばれなかった人は次回持ち越し)

  • 切姫夜架(最弱無敗の神装機竜)
  • 長谷川千雨(魔法先生ネギま)
  • 更識楯無(インフィニット・ストラトス)
  • ユキ(プロジェクト東京ドールズ)

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