『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』   作:ドラゴンネスト

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閑話30.5話目

「叛逆の徒め! 神の名の下断罪してくれる! ……って、あれ」

 

ゼノヴィアとイリナがそこに駆けつけた瞬間、すでに事は終わっていた。

 

「四季、私達はちょっと遅かったみたいね」

 

ここに来る途中でゼノヴィアとイリナに連絡して合流したのだろう、詩乃と雫の二人も遅れて到着した。

 

「ああ、残念ながら逃げられた」

 

バックルからカードデッキを外すとオニキスへの変身が解除される。そして、タクティカルベストのポケットにエクスカリバーを仕舞う。

 

「くそ! 追うぞ、イリナ!」

 

「うん!」

 

「お、おい!」

 

呼び止める四季の言葉も聞かず踵を返して二人はその場を立ち去って行く……。

 

「走って逃げたんじゃないのに、どこ行ったか分かるのか?」

 

「僕も追わせて貰おう!」

 

そんな二人に続いて木場もバルパーとフリードを追跡する。四季へと……正確には四季の持つエクスカリバーへと憎悪の視線をまだ向けていたが、それでもバルパーの方を優先する程度の理性は残っていたのだろう。

 

「お、おい! 木場! ……ったく、何なんだよ?!」

 

そんな木場の姿を見送りながらイッセーはそんな言葉を吐く。

その一方で四季達と子猫はある一方に視線が向いていた。

 

「なあ、匙と変態……今回の事は主には許可を貰ってたのか?」

 

「それが何だってんだよ、お前には関係ないだろう!」

 

「そうだな、オレには関係ないけど」

 

イッセーの言葉にそう返す四季の視線は彼と匙の後ろへと向けられていた。

 

 

 

 

「そうね。でも、私たちには関係有るわよね」

 

 

 

 

後ろから聞こえる聞き覚えのある声にイッセーと匙の思考がフリーズする。

 

「お前達の主、さっきから後ろにいたぞ」

 

「念の為に私から会長には報告済み」

 

四季の言葉に続いて雫の言葉も響く。今回の事は雫からソーナへ伝わり、それからリアスの耳に入ったと言う流れなのだろう。

 

錆びた歯車の様な動きでイッセーと匙が後ろを振り向くと明らかに怒っていると言う様子の二人の主がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の主に見つかりそのまま近くの公園へと連行され、リアスとソーナの前でイッセー達三人は正座させられながら事の説明をしていた。

 

「エクスカリバー破壊って、あなた達ね……」

 

「本当に困った子達ですね」

 

「裕斗はそのバルパーを追って行ったのね?」

 

「はい、教会の二人も一緒です」

 

「それにしても貴方がよりにもよってエクスカリバーを持っているなんて……」

 

イッセー達の証言の中には四季の持っている型月世界のエクスカリバーの事も混ざっていた。

異世界の完全な形の聖剣の存在に頭痛を堪える様子で四季の方へと視線を向けてリアスはそう呟く。

 

「まあ、この世界の品じゃないですし、今回の一件が終われば引き取りに来るとは思いますよ、グレモリー先輩」

 

大嘘である。この世界のものではないがガチャから当てたのだから、間違い無く引き取りには来ない。

天界相手には見つかった場合は最悪そう言って誤魔化す予定だったのだが、こんなに早く予定していた嘘を吐く事になるとは思わなかった四季だった。

 

単なる一級品の聖剣で通す予定だったが、まさかバルパーに見破られるとは思わなかった。マニアの見る目を甘くみたいなのが敗因であった。

 

「そっちの事は未だ良いわ。それよりも今問題なのは裕斗の方ね」

 

「何か有ったら連絡を寄越すと思いますが……」

 

「変態、お前バカだろう?」

 

「復讐の権化となった祐斗が悠長に連絡よこすかしら?」

 

「ご、ごもっともです……。って、天地、バカって何だよ!?」

 

「連絡する冷静さが有ったら、あそこで深追いはしなかっただろうが」

 

態々太刀打ち出来ない事が分かりきった相手(コカビエル)が待ち受けている場所に単騎で追撃するなど愚かにも程がある選択だ。

四季の持つ完全なエクスカリバーの前には木場の憎む教会のエクスカリバーは敵ではない事を理解してしまった故、急がなければ全てが四季の手で破壊される事が分かってしまったとしてもだ。

 

優先順位程度は分かる冷静さは残っていた様子だが、復讐の権化になった今の木場は自分一人で残りのエクスカリバーを破壊する事に拘っている事だろう。

 

(聖剣コンビ二人と頭に血が上った奴一人でコカビエルに挑む、か。負ける絵しか想像出来ないな)

 

連携が取れない二人と一人で強敵に挑む時点で敗北する絵しか浮かばない。

そもそも、剣としての機能は四季に切られて失っているとはいえ天閃(ラピッドリィ)の機能は残っている為、敵のエクスカリバー(仮)の数でも負けているのだし。

 

「まあ、志半ばで倒れない事を祈っておこう」

 

内心で魔王様(オーマジオウ)にと付け加えて置くことを忘れずに。気のせいか『管轄外だ』の言葉が聞こえた気もするが、スルーして置く事にする。

 

「小猫もどうしてこんな事を?」

 

「……祐斗先輩が居なくなるのは嫌です」

 

俯きながらリアスの問いに答える小猫。……純粋に眷族の仲間が……復讐に囚われた木場が自分達の前から居なくなるのを不安に思っての行動だったのだろう。

 

「ハァ……。過ぎた事をとやかく言っても仕方ないけど、あなた達の行動が世界に大きな影響を与えるかも知れなかったのよ? 分かるわよね?」

 

「すみません、部長……」

 

「……はい、御免なさい」

 

その横では、

 

「貴方には反省が必要です」

 

「うわぁぁぁぁぁん! ゴメンなさい、ゴメンなさい! 許してください、会長ぉ!」

 

良い感じで終わりそうになっているグレモリー側と違って眼鏡を怪しく光らせながらゴゴゴゴゴと擬音でも付きそうな怒りの空気を纏っているソーナと泣いて謝っている匙の姿。

 

「ダメです、お尻を千叩きです」

 

序でにいい感じで終わったように見えたイッセー側も同じく千叩きの刑が執行されていた。

 

「…………で、そろそろオレ達は帰って良いか?」

 

「ええ、色々と聞きたいことも増えたけど、今回は私達の眷属を助けてくれた事感謝するわ」

 

取り敢えず、変な追及を受ける前に変える事を選択する。

元々何処の勢力にも属していないフリーの能力者と言う点に加えて、仮面ライダーのデッキ、更に今回は異世界のエクスカリバーまで追加されたのだからリアス側にしたら聞きたい事は山の様にあると言う事だろう。

木場やコカビエルのことを優先する必要がある為、その事を追求は後回しにするしか無いが。

 

「まあ、いつかの約束をそっちが守る気が有るなら、こちらはそっちの疑問に答える必要は無いわけですがね」

 

イッセーを殴り飛ばして以来、球技大会から今回のコカビエルの一件と続いているので今だに制約は交わされていないが。

 

「わ、分かってるわよ」

 

本当に分かっているのかはどうでも良い。必要なのは飽く迄魔王サーゼクスの妹との間での取り交わしである。

間接的にとは言え何かあった場合の責任を押し付けるのは大物の後ろ盾がある奴に限るのだ。

 

匙とイッセーの悲鳴をBGMにヒラヒラと手を振りながら四季達三人は立ち去って行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天地邸地下室……

 

ガチャ装置の前に立つ四季達三人。

 

「……そろそろ意を決して使うか……」

 

手に入れた経緯が問題なので今まで使っていなかったガチャ券を手にそう呟く。

 

「戦力強化になってくれれば良いんだけどな」

 

「そうね」

 

四季の言葉に詩乃も同意する。これから待ち受けているのは堕天使の幹部。負けた場合は街に住む者達の命が失われる負けられない戦いだ。

少しでも戦力の強化はしておきたい。幸運なのは現状ではウィザードの方が戦力的には上なのでビルドを使わないでも戦力としては十分な点だろう。

 

「それじゃあ、早速」

 

ガチャ券を使って装置を起動させる。出てきたのは十のカプセル。

 

 

 

『エリクサー(FF)』

 

 

 

先ずは回復アイテム。強敵相手の回復手段の確保は良い。

 

 

 

『鋼の剣(ドラクエ)』

『銅の剣(ドラクエ)』

 

 

 

「……うん、今までが幸運だっただけだとは思うけど、これは……」

 

「ハズレ、よね」

 

そもそも、聖剣や神剣があるのだから、今更こんな武器を出されても処分に困る。

 

 

 

 

『ビームサーベル(人間サイズ)(ガンダムシリーズ)』

『サイドバッシャー(仮面ライダーファイズ)』

 

 

 

物騒な物が二つほど出た。一つは仮面ライダーシリーズでも珍しいサイドカータイプのバイクのサイドバッシャーだ。

 

「これで三人で行動するのも楽になるな」

 

「そうね」

 

「うん」

 

「でも、こっちの方はどうするの?」

 

そう言って詩乃が指差すのはビームサーベルだ。もういっそ人間サイズならライトセーバーでも良いのでは無いかとも思う。

 

「まあ、使える事も有るだろうし、武器庫に入れておくか」

 

科学100%の武器が通じるか分からないが有っても困る事はないだろう。

 

 

 

『シャイニングブレイクガンダム(ガンダムシリーズ)』

 

 

 

次に出てきたのはアメストフリに続くガンダムタイプのナデシコの艦載機だった。

パイロットが四季しか居ないので艦載機が増えるのも悩みどころだ。

しかも、VFと違ってパワードスーツサイズだが、パワードスーツサイズで可変機の機能は活かされるのか疑問だ。

 

 

 

『薬草(ドラクエ)』

 

 

 

次の中身はスルーすることにした。詩乃と雫の二人もその反応には同意してくれた。流石に回復アイテムなのは良いが、安過ぎるアイテムだ。

 

 

 

『機能拡張権』

 

 

 

「なんだこれ?」

 

スキルなのかとも思ったが、それとは違う初めて見る品。説明を見て見ると拠点となっている家か戦艦の機能を一つ自由に拡張出来る権利の様子だ。

 

「だったら、ナデシコの方に使って見たら良いんじゃないかしら」

 

その説明を見た詩乃はそう意見を出す。

流石に普段から使う家に使って何かあった場合大変な事になるが、ナデシコCならば最悪は長距離の移動手段兼移動拠点を失うだけで済む。

 

そんな判断だったが四季も雫も彼女の案に賛成して早速ナデシコCに使ったのだった。

 

 

 

 

決闘盤(デュエルディスク)(遊戯王)』

 

 

 

 

カードが無いのにゲーム機だけ手に入れてどうするのかと思う品の初期型の円盤タイプが出てきた。

 

「なんだか嬉しそうよ」

 

「そうか。実はかなり嬉しい」

 

詩乃の指摘で気が付いたが、無意識に嬉しさが顔に出て居たのだろう。

天才物理学者のそれの影響か、今からソリッドヴィジョンの技術を調べるのが楽しみになっている。

解析したデータはまた桐生戦兎の名で何処かのゲーム会社に流しても良い。フルダイブ型のゲームに実体化したカードゲーム。世界のゲーム業界の歴史を書き換える程の影響を与えるだろう。

 

そして、最後の一つは、

 

 

 

『雪音クリス』

 

 

 

新しい仲間を呼び出すことが出来た。そう、出来たのだが……

 

「大丈夫か、彼女を呼び出して」

 

「何か問題でも有るの?」

 

彼女の人間性的には問題ない。最初から戦闘力もありこれからコカビエル戦が待っている状況では頼りになるだろう。そう、彼女には問題はない……問題があるのは……

 

「あの変態の前に出して大丈夫かな、って」

 

「……まあ、それは諦めて貰うしか無いわね」

 

詩乃もその言葉に納得してくれた。だが、四季には確信がある。イッセー相手の被害は二人以上に酷くなりそうだ、と。

イッセーの性癖に突き刺さる分、だ。

 

「……あとで事情を話して謝っておくか……」

 

流石にこのまま呼び出さないのも可哀想なので、この先に発生するであろうイッセーによる被害は我慢して貰うことにした。

 

次に追加して欲しいキャラは(第2回)?(選ばれなかった人は次回持ち越し)

  • 切姫夜架(最弱無敗の神装機竜)
  • 長谷川千雨(魔法先生ネギま)
  • 更識楯無(インフィニット・ストラトス)
  • ユキ(プロジェクト東京ドールズ)

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