『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』   作:ドラゴンネスト

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四十二話目

(どうするべきか)

 

サーゼクスの言葉は間違ってはいない。

次期当主とは言っても所詮は次期、次の一貴族家の当主の候補でしかない。そんなリアスの権限では悪魔側全体に影響する様な制約など結ばせる訳にはいかないだろう。

それを分かった上で四季は魔王の妹の名を利用出来そうな契約を持ち出したのだが。

 

飽く迄影響を与えられるのはリアスとその眷属、最高でもグレモリー家のみ。

四人の魔王はそれぞれが軍事、技術、外交と分野を担当しているが目の前のサーゼクスの担当は政治。下を掌握できていないだろうが、四季を相手に利益を得る事は出来るという自信があるのだろうか。

 

(さて、どうする?)

 

そう考えるとフルボトルも既にデータを取り終わっていて、こちらの研究データを得る為に渡した可能性もある。

 

兎も角、悩んでいても仕方ないので最低限の条件を上げる。

 

 

『悪魔側として非常時以外での接触禁止』

『悪魔側のとしてだけでなく常時、兵藤一誠の軽音部女子への接触禁止』

 

 

先ず思いつくのはその辺だろう。特にイッセーに付いては好みに刺さってしまうクリスへの接触禁止位はしておかなければ不味いだろう。

 

もう一つ条件を付ける前に一度手を止めると、

 

「ところで、本来コカビエルの一件が起こる前に結ぶはずだった契約が此処まで伸びた事について、其方の見解を聞いておきたいんですが」

 

「確かに、緊急事態とはいえ少し伸ばしすぎていたかもしれないね。それについてのお詫びも後で支払おう」

 

サーゼクスの言葉を聞いて最後に一文を記載するとそれを立会人であるサーゼクス側に渡す。サーゼクスもまたその内容を確認してリアスへと渡してサインをする様に促す。

 

最後にリアスのサインした書面がサーゼクスへと返され、それが四季の元にフルボトルと共に戻ってくる。

内容を書き換えられた様子も無く、妙な仕掛けも無い。序でに紙の品質も確認したが単なる上質な紙で燃えやすい様な細工もされている様子もない。

 

「君がどうそれを活用してくれるのか、楽しみにしているよ」

 

そんな言葉を添えられて。

 

(迂闊に使えなくなったな、クローズマグマナックル)

 

元々ビルドドライバーの拡張アイテムは製作可能なものもいくつかあり、クローズマグマナックルもその一つだ。予備のビルドドライバーを整備する時のためにイチイバルを分析して得たデータによる対ノイズ用の機能も試験的に持たせてみたのだが、サーゼクスの言葉で迂闊に使えなくなってしまった。

 

(あまり早く使っても関係を疑われるからな)

 

(大丈夫なの?)

 

(その辺は上手くやる)

 

小声で話しかけてくる詩乃の言葉に四季はそう返す。手持ちのカードは減るが早めの回収は望ましいのだ。

 

「それと、前提条件としてその契約書が破壊されたら契約は破棄になると言う一文も書いてある事が、それは確認してあるかな?」

 

「それは最初に確認させて貰った」

 

そう言ってタクティカルベストの四次元ポケットの中に仕舞う。契約書が無くなれば契約破棄につながると言うのもよく聞く話なのだから、その辺の警戒はしっかりとしていた。

 

「あと、これだけは言っておきましょうか」

 

「何かな?」

 

悪魔側(そちら)やその同盟組織が手を出して来た場合、相応の対処はさせてもらいますよ」

 

流石に立場上、悪魔やその同盟組織が手を出した際に返り討ちにしても良いなどとは引き出せないだろうが、一応は予防線を張っておく。

 

「それは構わないよ。僕としても君達とは仲良くしていきたいからね」

 

予防線の方は正式な契約ではないが、拍子抜けするほど簡単に了承された。

 

「君達は君の思っているよりも多くの勢力に注目されている。良くも悪くもね。特に日本神話やアースガルズは君に強く興味を持っている事を覚えておいたほうがいい。特に、日本神話からは先日のコカビエルの一件に眼を瞑る代わりに君との接点を求めて来た」

 

「ええ、軽音部の顧問に日本神話の関係者が来た時点で日本神話からは興味の対象になってるとは思ってましたけど」

 

日本神話の場合はお膝元にこれだけ力を持っている者が集まっているのだから当然ではあるし、北欧神話についても魔人学園では《黄龍の器》とは縁があるのだから興味を持たれても仕方ないだろう。

 

「君は一体何者なんだい?」

 

「単なる、力を持った人間の一高校生でしか無いですね」

 

最後に『今は』と付け加えておく。

ぶっちゃけ、格でいうなら五回も世界を救った者達の一人であるクリスの方が上なのだし。

 

「ところで、お兄様。まさか本当に授業参観の為にお越しになられたのですか!? 魔王がいち悪魔を特別視してはいけませんわ!」

 

「いやいや、これは仕事でもあるんだよ、リアス。実は悪魔・天使・堕天使の三竦みの会談をこの学園で行おうと思っていてね。会場の下見に来たんだよ」

 

駒王学園(ここ)でっ!』

 

サーゼクスの言葉にグレモリー眷属が驚愕の声を上げる。

 

「ここを会談の会場にするというのは本当ですか、お兄さま!?」

 

「ああ。この学園とは何かしら縁がある様だ」

 

魔王の妹二人と赤龍帝とデュランダル使いと聖魔剣使いが所属して白龍皇とコカビエルが襲来して来た。

偶然では片付けられないと言っているが完全に単なる偶然だろうと四季は切り捨てている。

 

単に赤龍帝のいる町の学園にリアス・グレモリーが入学した。その程度だと。

 

「それでは身内同士の話の邪魔にならない様にオレ達はこれで失礼させていただきます」

 

そう言って四季は詩乃を伴ってオカ研を後にする。

 

「サーゼクス様! あいつにアレを渡すなんて!?」

 

「それなら心配は要らないよ」

 

イッセーの言葉にそう答え、サーゼクスは新しいフルボトルを取り出してテーブルの上に置く。

 

「装置の方は完全に壊れてしまったが、エネルギーのコアとなる小瓶の様なもの、その複製には偶然だが成功したんだ」

 

ドラゴンの顔が書かれたボトル。だが、色はドラゴンフルボトルのものとは違いロストボトルのそれだ。

 

四季がそれを見ていたらこう言っていただろう、『ドラゴンロストボトル』と。

 

「アジュカでもこれを核としたシステムをゼロからの開発には手間取るだろうが、未知の技術を見て張り切って開発しているから期待してもらっても良い」

 

そう告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

軽音部の部室。そこでクリスと雫の二人と合流した後、四季はオカ研の部室でのサーゼクスを交えた契約の事と三大勢力の会談のことを二人にも話していた。

 

「何でこんな所でそんな会談やるんだよ」

 

「やる場所については同感だけど、会談の場所に人間界を選ぶのは正しい判断だとは思うな」

 

悪魔や堕天使のいる冥界では天使にとっての敵地であり、天界では逆に悪魔と堕天使にとっての敵地である。そのどちらでやる事は不可能だろう。

一応悪魔側の租借地とは言え聖書勢力に於ける三つの陣営にとって中立の位置にある人間界を会談の場所に選ぶのは間違いない。

 

「まあ、ここが唸りとか特異点とか言ってるけど、唸りなんて関係ないし、特異点でも無い。単なる偶然で片付けられる事ばかりだ」

 

コカビエルは魔王の妹二人の居る場所を選んだだけ、堕天使側の白龍皇はそのコカビエルの確保に来た。ある意味当然の結果だ。

コカビエルも白龍皇も此処に魔王の妹が居たから来ただけだ。

リアスがイッセーの居る町の学園に入学した偶然が有れば赤龍帝とも結びつく程度だ。

 

「特異点でも無ければ龍穴も無い。可能性としてはドラゴンの性質が呼んだ偶然って所だな」

 

そう、加速度的に増しているのは赤龍帝の存在に加えて黄龍の器である四季の存在もあるだろう。

 

「それで私達はどうするの?」

 

「態々向こうが不参加の理由をくれたんだ。呼ばれても不参加を決め込もう」

 

最後に『今のところは』と付け加える。

今の四季達はフリーの傭兵の様なもの、三大勢力の下位組織でも無いのだから、命令に従う義理もない。

 

「あっ、そうだ。お兄さんが来る前にゼノヴィアさんが生徒会の連絡を持ってきたんだけど……」

 

次の休日のプール掃除への参加の連絡だった。

元々実績の無い部活動が生徒会の手伝いをする事になるらしい(主に今まではオカ研だけだったが今回は出来たばかりの軽音部もそれに当て嵌まる)。

今回のプール掃除はオカ研との合同で行うそうだ。

 

「……イッセーの目に女が映らなくなる水中メガネでも作るか」

 

「「お願い」」

「頼む」

 

重い沈黙の後、四季のそんな言葉に全員がそう返すのだった。

次に追加して欲しいキャラは(第2回)?(選ばれなかった人は次回持ち越し)

  • 切姫夜架(最弱無敗の神装機竜)
  • 長谷川千雨(魔法先生ネギま)
  • 更識楯無(インフィニット・ストラトス)
  • ユキ(プロジェクト東京ドールズ)

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