『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』   作:ドラゴンネスト

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四十七話目

「何、この状況は?」

 

放課後、軽音部の部室からの帰り道で詩乃が校庭の光景を見て呟く。

 

数珠繋ぎのニンニクを持った子猫に追いかけられている金髪の少女という構図。

 

「いや、あれは女っぽいけど男だな」

 

そう言って四季は喉を指差す。

 

「微かだけど身体的特徴が男の物だな、彼は」

 

「え!? 一発で男って見抜いたのか、天地!?」

 

四季の呟きに反応したのは花壇の手入れの帰りにイッセー達と会っていた匙だった。

 

「ん、匙か?」

 

「どう見ても詐欺だよな」

 

「何というかグレモリー先輩の眷属って能力と素質は有っても変わり者が多いよな」

 

変態のイッセーを筆頭にドSの朱乃に女装癖の男の娘と。比較的まとも寄りの木場と子猫も精神面での問題を抱えている。いや、初期のイッセーの前からいるグレモリー眷属は全員精神面に問題はあるので今更だろう。

 

「それにしても、なんであんな事を」

 

「聞いた話だけどな……」

 

匙から金髪の女装少年の話を聞くと思わず頭を抱える。

 

「そりゃ、体を鍛えるよりもアレは先ず精神面のケア問題だろう。間違い無く逆効果だぞ、あれは」

 

体を鍛えて精神追い詰めてどうする。そんな呆れを込めて呟く。

 

「……天地先輩には何か考えがあるんですか?」

 

何時の間にやら休憩にでも入ったのだろう子猫が四季にそう問いかけて来た。見たことの無い人との遭遇に怯えて、匙から教えられた女装少年『ギャスパー・ヴラディ』が木の影に隠れながら此方を伺っている。

 

「考えも何も、精神面の問題なら体を鍛えるよりも先にカウンセリングを受けさせるのが先だろう」

 

もっとも、あの怯えようでは普通の方法では種族関係無く受けさせるのも手間だろう。

そう、普通の方法では、だ。

 

幸いにも四季には普通では無い方法で彼と似た境遇の者と合わせる方法がある。

……態々それをやってやる義理も無いが。

 

「うぐっ……。う、うるせー、お前の指図なんて受けるかよ!」

 

まあ、そんな四季に真っ先に噛み付いてくるのもイッセーだが。四季の言い分も最もだと思ってしまったのだろう、言葉の節々に動揺が見える。

 

「ああ、指図する気も無いし手伝う気も無いから、そっちの身内の問題は好きにしてくれ」

 

「……あの、天地先輩、何か方法が有るならアドバイスだけでも頂けませんか?」

 

だが、イッセーとは違い四季への反発心が無かった子猫は方法が有るなら教えて欲しかった様だ。

 

どっちにしても目の前でそれを使ったとしても簡単にバレる事は無いだろうから見せてもそれはそれで構わない。

……ナイトローグ達から狙われるかもしれないが、それは今更だ。

 

 

「へぇ、悪魔さん方はここで集まってお遊戯しているわけか」

 

 

そんな時、新たな声が響いて来た。校門のところに居たのは何時か会った男、アザゼルだ。

 

「よー、赤龍帝、龍の魔術師、あの夜以来だな」

 

「ッ!!! アザゼル……ッ!?」

 

その男の顔を見た瞬間、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を出現させ臨戦態勢に移るイッセー。同時に子猫と匙も前へ出て臨戦態勢をとる。後ろに立つのは回復役のアーシア。

 

「ひょ、兵藤、アザゼルって……?」

 

「マジだよ。オレはこいつと何度か会ってる」

 

匙が震える声でイッセーへと問いかける。まさか堕天使のボスとこんな所で遭遇するなど思っても見なかったのだろう、信じられないという言葉をイッセーが否定する。

 

「ほら、後ろの連中を見習って構えを解きな。下級悪魔イジメをする気はねえ」

 

そんなイッセー達の戦意も意に介して居ないと言うのがまるわかりな態度で忠告するアザゼル。

その言葉が物語っている。コカビエル相手に手も足も出なかったお前達などオレの敵じゃ無い、と。

そんな言葉に苛立ちを覚えるが、アザゼルの言葉に引っかかる物を感じた。

 

(後ろの連中?)

 

後ろを見てみるとアーシアよりも後ろに下がってイッセー達を眺めている四季と詩乃の姿があった。

 

「天地、おまえ何やってんだよ!?」

 

「いや、アザゼルに戦意は無かったしな」

 

戦う気がないならそれで良いとばかりに悪魔と堕天使の関係には興味なかった四季は我関せずを貫き、詩乃もその四季の判断に従った訳だ。

 

「そういうこった。それより、聖魔剣使いは何処だ? ちょっと見に来たんだが」

 

「木場はいない! 木場を狙ってるならそうはさせない!」

 

「ここに居ないなら部室とかじゃないのか?」

 

「天地、お前!」

 

アザゼルの言葉に敵意をむき出しにするイッセーだが、そんな、イッセーの態度を他所に四季は木場がいるであろう場所を態々推測ではあるが教える。

 

「態々堕天使のボスが直々に悪魔への宣戦布告みたいな事をするくらいならコカビエルを止めはしないだろ?」

 

要するに珍しい禁手に至った神器を見たいだけだろうと考えて、さっさと用件を済ませてお帰り願いたかったわけだ。

 

「……ったく、そっちの龍の魔術師ならともかく、コカビエルにも勝てなかったくせにオレと勝負できるわけねえだろ」

 

そんな呆れの篭った声でイッセーに告げると、

 

「そうか、聖魔剣使いは居ないのか。つまんねえな」

 

興味のあった亜種の禁手の持ち主がいない事を知り残念そうに呟くと木の陰に隠れて此方を伺っているギャスパーの姿に気付く。

 

「おい、そこのヴァンパイア」

 

「ヒッ!」

 

「『停止世界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)』の持ち主だろう? 五感から発動する神器(セイクリッド・ギア)は持ち主のキャパシティが足りないと暴走することがあり危険な代物だ。不足している要素を補助具で補えば良いと思うが……悪魔側は神器(セイクリッド・ギア)の研究が進んで居なかったな」

 

そこまで言うとアザゼルはどうしたものかと思って考えると今度は匙を、正確には彼の腕の神器(セイクリッド・ギア)を視界に入れる。

 

「そっちのお前、それ『黒い龍脈(アブソーブション・ライン)』だろ? それ使って練習してみろ。あいつに接続して神器の余分なパワーを吸い取りつつ発動すれば暴走も少なく済むだろう?」

 

「なるほど、強力過ぎる神器の力を吸収することで抑制して特定の物を止める練習をさせるわけか。同時に匙の訓練にもなりそうだな」

 

「おっ、分かるか、龍の魔術師」

 

アザゼルの言葉の意味を理解した四季の呟きに嬉しそうに反応するアザゼル。

 

「……オレの神器、相手の神器の力も吸えるのか?」

 

「ったく、これだから最近の神器所有者は……。自分の力を碌に知ろうとしない」

 

「匙、武器の基本的な使い方と応用方法を探すのは強くなる基本だぞ」

 

「ぐぅ」

 

アザゼルの言葉に同意する四季に落ち込んだような顔を見せる匙。以前に自分を襲ったナイトローグにさえ自分の神器の応用的な使い方を解説された事を思い出してしまったのだ。

 

その後、匙の神器の事を研究者のアザゼルから解説される。今まで知らなかった事に何気に高揚感を覚える匙だった。

 

「吸収なんて力を除いても丈夫なワイヤーとしても使えるから、そっちの使い方も調べた方が良いんじゃないのか」

 

続いて四季がそう提案する。

 

「建物の中なら天井を伝って自在に動けるだろうし足場の悪いところでもうまく使えば自在に動けるようになるだろう」

 

「いや、そんな事を言われてもワイヤーの使い方なんて分かんねえよ」

 

「まあ、ワイヤーじゃなくて鞭みたいな武器と考えれば良い。それに」

 

匙の言葉に笑みを浮かべながら懐からそれを取り出す。

 

「ある偉い人は言っていた。映画はなんでも教えてくれる、とな」

 

『スパイダーマン』とあるDVDを匙に渡す。

……後日レーディングゲームで未熟ながらスパイダーマンを思わせる動きで襲いかかる匙の姿が見られるのだった。

 

「その吸血鬼に赤龍帝を宿した者の血を飲ませるのが能力をあげるのに一番手っ取り早いんだが、まあ後は自分達でやってみろや。精神面は……龍の魔術師に方法があるって言うなら間違い無く任せた方が良いぜ」

 

神器は持ち主の思いによって左右される。力を恐れる乱れた心のままでは暴走の危険は何時までもなく無くならない。そう告げる。

 

「そうそう、ウチの白龍皇が勝手に接触して悪かったな。あいつは変わったやつだが今すぐおっ始めようと思っちゃいないさ」

 

思い出したようにヴァーリの行動を笑いながら謝るアザゼル。

 

「まあ、宿敵との差が天と地ほどにあるからな。もう少し強くならないと向こうにも戦う価値も無いだろう」

 

「うるせーよ、天地! 大体、あんたも人のこと言えないだろう! それは悪いと思わないのか!?」

 

「思わねえよ。これはオレの趣味だ」

 

イッセーの言葉に表情1つ変えず、悪びれた様子もなくそう告げてアザゼルは立ち去っていく。

 

「さて、オレ達も帰るか」

 

「待ってくれ!」

 

「ん?」

 

アザゼルも帰った事なので帰ろうと思った時イッセーが四季を呼び止める。

 

「…………さっきは悪かった。頼む、力を貸してくれ」

 

イッセーがそう言って頭を下げてくる。

 

「あ、あの、是非お願いします!」

 

「……私からもお願いします、天地先輩」

 

続いてそう頼んでくるアーシアと子猫の二人。

 

「……契約の事が有るのは分かってます。だけど、何か方法があるなら、対価はお支払いしますから、お願いします」

 

そう言って頼んでくる子猫の姿に四季は詩乃へと視線を向ける。

 

「何とかしてあげられない?」

 

詩乃からもギャスパーへの対応を頼まれてしまった。ギャスパーの姿は詩乃にとっても何処か他人事には思えなかったのだろう。

 

「はぁ、仕方ない。即効性がある訳じゃないし、効くかはわからないのは理解しておいてくれ」

 

流石に子猫にそこまで頼まれては無下にはしにくいし、詩乃にまで頼まれたのでは断れない。

 

「ヒッ!」

 

四季の視線が向くと怯えて木の影に隠れてしまう。

 

「何もしないし、すぐに済むから安心してくれ」

 

そう言ってポケットの中からキバライドウォッチを取り出し怯えているギャスパーにそれを渡す。

 

「それのスイッチを押せばそれで終わりだ」

 

「は、はいいいいいぃ!」

 

四季から受け取ったライドウォッチを受け取りそのスイッチを押す。

 

 

 

 

『キバ!』

 

 

 

 

「あう!」

 

そのまま倒れ伏してしまうギャスパー。その手からはキバライドウォッチが落ちる。

 

「ギャスパー! おい、お前、何をしたんだよ!」

 

「上手くいかなくてもすぐに目を覚ますから安心しろ」

 

そう、四季が考えたのは同じ境遇だった者に相談に乗せる事だ。

仮面ライダーキバ、紅渡。彼ならば適任だろう。

キバライドウォッチの中に歴史と共に存在しているであろう彼ならばギャスパーのカウンセリングにはもってこいだろう。

 

 

意識を失っていたのは一瞬でも十分に会合はできた事だろう。あとは目を覚ました後のギャスパー次第だと考えてキバライドウォッチを回収すると詩乃と共にその場から立ち去っていく。

次に追加して欲しいキャラは(第2回)?(選ばれなかった人は次回持ち越し)

  • 切姫夜架(最弱無敗の神装機竜)
  • 長谷川千雨(魔法先生ネギま)
  • 更識楯無(インフィニット・ストラトス)
  • ユキ(プロジェクト東京ドールズ)

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