『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』   作:ドラゴンネスト

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四十九話目

「「「「はぁ……」」」」

 

軽音部の部室。その場で四季達四人が揃って溜息を吐く。分かってはいたが、見事に三勢力から目をつけられていると言う現実は分かっていたが、改めて見ると鬱陶しいものがある。

 

「それでどうするのよ、四季?」

 

「どうしたも何も……こっちの技術を渡すなんてのは論外だな」

 

実際、あのフルボトルもそれが目的で渡された可能性もある。

現在はクローズマグマナックルの設計も終わっているので、後は作るだけなのだが、それが有るので制作には当たらないのが現状だ。

四季としては新規に作る気は無いがシンフォギアの事も整備の為に材料さえ揃えば新造できる程度には理解している。

 

道具の利点は簡単に扱えて代わりはいくらでもある事だが、強力な代わりに簡単に扱えず扱える者も限られ、基本ワンオフなライダーシステムとシンフォギア。渡した所で新造できるとは思えないが警戒はしておくべきだろう。

 

そもそも、魔王達ならまだしも、それより立場が低いはずなのに実権を握っている無駄にプライドの高い老人達の存在も面倒極まりない。

 

聖剣計画と言う悪い前例を鑑みれば天界に渡すなど論外である。一歩間違えてこちらの世界でメタルビルド擬の量産などされてしまったら、本当に仮面ライダービルドの世界に行って桐生戦兎に土下座で謝りたい。

更に天界にシンフォギア等もっと拙い。最悪の場合は立花響の様な聖遺物を移植された人間が大量に生まれる危険もある。

 

堕天使は技術者気質な分アザゼルとは気が合いそうだが、ワキが甘い点を考えると傘下に入るのは考えた方がいい。そこから技術が流れたら拙い。

 

「当面、聖書勢力との距離感は現状のままって言うのが今後の活動方針だけど、異論は?」

 

四季の言葉に全員から無言の返事が返ってくる。それが肯定の意思で有ることは間違いない。

 

内心、授業参観の序でに公務の下見をするなと言いたくなるが、極秘に動くためならばそれも十分に納得できる。

……特に魔王の中でも妹命(シスコン)と名高いサーゼクスとセラフォルーならば公務ほっぽり出して妹の授業参観に参加したとしてもテロリストさえ納得するレベルだろう。

 

笑えない話だが、今回の動きを考えると極秘裏に三大勢力の和平交渉を行うならば内政と外交の担当という事も合わせて良い人材だろう。

 

(そこまで考えての行動なのか?)

 

迷惑な話ではあるが、中立の人間界を会談の場に選ぶのも間違いでは無い。……と言うよりも敵地に呼び出されて出向く馬鹿は居ない。側から見ればどう考えても呼んだ側が上の立場に見える。

 

そんな訳で四季の意見としては私情を抜きにしても租借地だろうが人間界を選ぶのは中立地帯を選ぶと言う意味でも間違ってない。

 

「別に和平については勝手に話し合ってくれって感じだからオレ達は不干渉って行きたいところだけどな……」

 

「目は付けられてるわね、私達」

 

詩乃の言葉は全員同意見なのだろう、四人揃って溜息を吐く。

 

現状、全員が全員三大勢力に目を付けられてしまっている。純粋な戦闘力だけで無く、雫の癒しの力にクリスのシンフォギアと狙われる理由は事欠かない。四季の黄竜の器の力が知られて居ないのは幸いと言っていいだろう。

 

単独でコカビエルと戦えるだけの戦力を持った者達がフリーで居るのだ。三大勢力としては無視出来る訳がない。

 

「実際、和平の後は何処の勢力がオレ達を取り込むかを話し合いそうだけどな」

 

「それもありえそうだな」

 

四季の言葉に同意するのはクリス。後ろ楯の無いと言うのが四季達の弱点とも言える。

 

特にテロ組織の存在も考えれば、四季達の戦力がテロ組織に渡る前に自分達の味方に取り込みたいと考えるのも頷けるだろう。……納得する気は無いが。

 

「まあ、和平も問題なく結ばれるだろうし、それはそれで問題だな」

 

どう考えても天使も悪魔も堕天使も、互いの敵対勢力に対して憎悪は残って居るのだ。憎悪の残る戦争を知る世代すら生きて居る現状で和平は無い。

特に天使の派閥はエクソシストという形で対悪魔・堕天使の兵隊を生産して居るのに、今更『これからは仲良くするから悪魔を討っちゃいけません』と言われて、『はい、分かりました』とは行かないだろう。

今まで仲間を殺されたりした者達、家族を悪魔や堕天使に殺されてエクソシストとなった者達。そんな者達はほぼ間違いなくそんな命令出されたら離反してテロリストに合流するだろう。

主に天使側をピックアップしたが、堕天使や悪魔にも和平など納得出来ないという者達も居る。

 

これから禍の団との戦いになって行くだろうが、当然ながらフリーの高い戦闘力の集団を取り込もうとするだろう。

 

「それを考えるとオレ達も後ろ盾が欲しいな」

 

「同感だな」

 

「そうよね」

 

「うん」

 

四季の言葉に全員が同意する。そろそろ何処かの勢力の後ろ楯が必要な時期が近づいてきて居る。

この世界には拳武館もS.O.N.Gも四葉家も無いのだから。

 

「何より連中の指揮下に組み込まれるのは御免だしな」

 

対禍の団で共闘するにしても最低限独立勢力としての立場だけは確保しておきたい。

 

主にコカビエル戦の後だと言うのに危機感の薄いグレモリー眷属とかの指揮下に入れられるのは御免だ。まだソーナ会長達の方が信頼出来る。

 

ギャスパーの特訓は良いが、少なくとも街が一つ消えるような戦いがあったと言うのに、イッセーが自分を鍛えて居る様子がないのには四季とクリスは呆れて居る。

 

原作と言う形でこの世界の事を見て居た頃は単に省略されて居たと言う見解も出来たが、導く者がいないとは言え白龍皇と言う自分の何歩も先を歩いて居るライバルを前にしても自分もいずれ戦うべき運命にある相手に追いつこうと言う努力の痕跡が見えない。

運動部の延長の程度の特訓では、禁手に至るのには年単位が掛かれば良い方だろう。

禁手に至る為に乗り越えるべき最初の壁にさえたどり着けないのではないかと。

……そう考えるとドラゴン相手の命掛けの鬼ごっこは精神面での効果は高かったのだろうか。

 

「どう見ます、クリス先輩?」

 

「いや、あれじゃダメだろう」

 

神器と似た面のあるシンフォギアの奏者で命賭けの戦いを前提とした訓練の経験があるクリスからのダメ出しを聞いて改めて思う。

『なるべく早く後ろ盾を得よう』

と。

 

そうなると現状、早々に接触出来る後ろ盾になりそうな勢力の心当たりは一つ。

 

「向こうから話し合いたいって言って来てくれたんだ。向こうの鑑定評価額を見せて貰うか」

 

呼び出されてしまったが今回ばかりは相手が違う。

 

「日本神話のトップからのオファーなら、な」

 

聖書勢力への監査官として日本神話の代行として四季達を雇いたいと言う依頼だ。

 

現状、悪魔側の租借地となっている駒王町には日本神話からの監視役となる者が駒王学園の教師として在籍しているが、それはソーナ達しか知らない。

グレモリー眷属には監視役とソーナの話し合いで知らさない事となった。主に朱乃が原因で、だ。

 

日本神話の下位組織としての役割を持った退魔の一族に母親を殺された事でその上位に当たる日本神話も嫌悪しているそうだ。

さっさと父親が奥さんを堕天使領にでも呼ぶなりすれば良かったとしか言えないのだが、それは向こうにも準備が有ったのだろう。娘さんが生まれるまで掛かったのは問題だが、そこは責める気は無い。

だが、プライドやら友人である眷属の女王が嫌っている事から反発が有るであろう事からリアスには伝えなかったそうだ。

 

実際に監視役も相応の実力者だが、問題の多すぎるリアス達の行動に対する監視役となって欲しいとのこと。

なお、職務の期間は飽くまでリアス・グレモリーが駒王町にいる間のみなので夏休み等で冥界に帰っている間は此方も休みとなる。

 

主にフェニックス家との婚約破棄の為のゲームの特訓のために職務放棄して十日間合宿したり、とか。

 

また、それとは別口で駒王に入り込むはぐれ悪魔退治も日本神話からの依頼という形で行う事が出来る。

 

そして、極論を述べてしまうと、日本神話としても悪魔に取られた土地を取る返す口実が欲しいそうだ。

 

「そんな訳で聖書側からの干渉を防ぐ為にも、条件次第なら今回の会談終了までは受けても良いと思ってる」

 

全ては相手とあってからだが、向こうからの招待を受けたのだから、受けないと言う選択肢は無い。

 

(まったく、悩むのは詩乃の事だけで十分だって言うのに)

 

剪定事象の中で一度死んだ身の上だが、詩乃の好感度は転生前の自分が植え付けた物。

四季自身彼女の事は好きだが、それを考えると仲間と言うラインからどうしても一歩前に踏み出せない。

自分は本当の彼女の意思では好きになって貰っていないのだ。転生前の自分も裏切られない為の保険のつもりだったのだろうが、そんな洗脳の様な形で植え付けられた好意等、今の四季としては悩みの種でしか無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三大勢力の会談の当日。結界を張られた駒王学園を中心に、三つの勢力の者たちがその上空に集まっていた。

 

コウモリの翼を生やした悪魔、

純白の翼を持つ天使、

漆黒の翼の堕天使、

 

と三勢力の軍勢が完全武装の元睨み合っていた。

まさに一触即発と言った空気の中、会談が始まろうとしていた。

 

「失礼します」

 

白龍皇のヴァーリを護衛として連れた堕天使の総督アザゼル。

護衛なのか女性の天使を連れた天使の長ミカエル。

妹であるソーナを後ろに従えた魔王セラフォルー・レヴィアタンと己の眷属の女王であるグレイフィアを従えた魔王サーゼクス・ルシファー。

そんな各々の組織のトップが揃う部屋の中へ、リアスはそう言って入ってくる。

…………普通一組織のトップが四人も揃った場に、うち二人は自分の所の組織のトップなのに彼等より後から入って来るのはどうかと思うが、それぞれの護衛が一人だけと言う点から悪魔側だけ大人数になるのを避ける為、事前にそのタイミングで入る様に言われたのかも知れない。

 

「私の妹とその眷属達だ。先日のコカビエルの襲撃で彼女達が活躍してくれた」

 

「活躍、ねえ? まあ、いいや。悪かったな、コカビエルが迷惑をかけた」

 

悪びれた様子の無いアザゼルの謝罪にムッとするが流石に空気を読んだのだろう、サーゼクスに椅子に座る様に促される。

 

「それで、本当の功労者達は結局来てくれなかったか」

 

「ええ、私としても改めて話をして見たかったのですが、残念です」

 

「此方からも参加を促したんだけどね」

 

コカビエルを連れ帰ったのはヴァーリなのだ、リアス達の活躍(笑)は殆ど利敵行為に終わったのは当然知っている。

本当に活躍した四季達の姿が無いことに残念そうに告げるミカエル。

 

「あと、今回の会談が他の神話体系を害するモンじゃ無いと言う事を証明するために日本神話から立会人としてこの地の監査官が参加する事になった」

 

アザゼルの口から出た日本神話と言う単語に朱乃は嫌悪を浮かべるが他の者達は事前に聞いていたのだろう、他のトップ三人は頷く事で同意する。

 

「おーい、入って来てくれ」

 

 

『失礼します』

 

 

アザゼルの言葉に促されて扉が開いて入ってきた四人の人影を見た、事前にそれを知っていたアザゼルと初対面であるセラフォルー以外の者達が驚愕を浮かべる。

 

「先程紹介に預かった日本神話の監査官の代行、天地四季です」

 

悪戯を成功させたとでも言う態度で笑うアザゼルと優雅と言える態度で一礼する四季。その後ろには詩乃、雫、クリスの三人が立っていた。

次に追加して欲しいキャラは(第2回)?(選ばれなかった人は次回持ち越し)

  • 切姫夜架(最弱無敗の神装機竜)
  • 長谷川千雨(魔法先生ネギま)
  • 更識楯無(インフィニット・ストラトス)
  • ユキ(プロジェクト東京ドールズ)

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