『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』   作:ドラゴンネスト

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五十話目

「天地、お前、日本神話って!?」

 

「つい先日、日本神話からスカウトが来たんでな。取り敢えず、お試しで半年ほど雇われる事になった」

 

イッセーの言葉にそう返して、三勢力の代表に向き直り、

 

「先程アザゼル総督よりご紹介に預かりました、日本神話の監査官代行の天地四季です。本来なら監査官の方が参加するべきですが、皆様に面識がある私が立会人の役を任されました」

 

そう言って一礼すると椅子に座る様促される。

 

「…………君がこう言う形での参加になったのは驚いたが、これはこれで都合が良いかも知れない。確認しておくが」

 

そこでサーゼクスは一度言葉を止めて参加者を見渡し、

 

「ここにいる者達は最重要禁則事項である『神の不在』を認知している。それを前提として話を進める」

 

誰も反論は出ない。全員がそれを認識しているのだから当然だ。

そう言う意味では立会人として外部の者の参加が『神の不在』を知る四季達なのは都合が良かった。

租借地とは言え他神話の勢力下で聖書勢力のトップが軍勢を引き連れて集まっていれば戦争を警戒されるのも当然だが、神の不在を知られる訳にも行かないのだから立会人も入れる訳には行かなかった。

 

特に予め話を通しておいたアザゼルにとっては日本神話からのクレームと共に立会人の参加を求められた時、それが彼等であったのは幸いだった。

 

朱乃が日本神話所属と言う所で憎悪の篭った目で見てくるがそれはスルーして立会人の仕事を全うする事にする。

 

そうして、三大勢力の会談は始まった。

 

「と言う様に我々天使は」

「そうだな、このままでは確実に滅びの道を」

「ま、オレらは特にこだわる必要も無いけどな」

 

和気藹々とは行かないがトップ自身は全員がこれ以上の戦争の継続を望んでいないのだから、会談は順調に進んで行く。

 

「さて、リアス。そろそろ先日の事件について話してもらおうかな」

 

「はい、ルシファー様」

 

サーゼクスに促されて先日のコカビエルの一件について話される。

コカビエル襲撃の一件だけでなく、ダークゴーストと名乗るフードの……声から少女と思われる者が姿を変えた者、ソーサラーを名乗るヴァーリを一撃で返り討ちにした四季と同じベルトを使っていた者の事と合わせて。

同時にソーナが匙がアナザーライダーに変えられた事件の事も説明する。

 

コカビエルやフリード、バルパーの使っていたのは匙が使われた物と同じなのでは無いかと言う推測と共に。

 

「以上です」

 

「コカビエルのことに何か言う前に同じベルトを使っていた奴の事や時計みたいな物について意見を聞かせてもらえるか?」

 

「ええ」

 

それについては事前にアザゼルと打ち合わせ済みだった。

 

「ソーサラーの使っていたベルトはオレのウィザードライバーの前のモデル。古い設計図を元にオレが改良した物がオレのドライバーです。旧型の資料なら書き写した物をアザゼル総督に渡してあります」

 

事前に白い魔法使いドライバーの設計図は堕天使側に渡しているが、ファントムも無く魔法石の指輪もないのならあまり意味の無い物なので渡した所であまり困りはしない。

何よりビーストドライバーを比較対象に上げれば人造神器に似た部分もある。

 

「書き写した物? その資料のコピーでは無いのですか?」

 

「残念ながら、元の資料は破損が多かったので。オレがウィザードライバーの改造元になった試作タイプを元に書き加えなきゃ分からない部分が多く、そんな物のコピーを渡すのはどうかと思ったので」

 

ミカエルの言葉に四季はそう返す。元々そんな資料など無いが破損個所が多いと言って誤魔化しておく。

 

「ああ、オレもその資料は確認している。そうなるとあの資料のブラックボックスの部分は」

 

「そこはオレが解析できなかった部分になりますね。改修には影響しないコア部分だったので放置してますけど」

 

「なるほど、その部分に何かを宿しているわけか」

 

四季の言葉に技術者の目になったアザゼルは楽しそうに答える。

 

「オレとしてはあの資料だけでどんな対価を支払って良いくらいだ。へへ、フィーネに、フエキにユーブロン。オレも負けてられねえな」

 

人造神器の強化案を何パターンも考えているのだろう。自分よりも優れた技術を前にやる気になっている様子だ。

……フィーネを純粋な人間と言っていいのかは疑問だし、ユーブロンは宇宙人だが。

 

内心、人造神器との差が少ないとは言え渡したのはマズかったかと思うが、それは精々本来の進化を早めた程度だと思っておこう。

 

「ああ、武装型の神器(セイクリッド・ギア)は本来は禁手状態が通常運用されるのでは無いかってフエキって奴の推測とかもな。お前さんの推測でもあるんだろ?」

 

「そうなりますね。オレ自身の推測で補完した部分も有りますから」

 

ウィザードライバーの事は納得したのだろう。現物を分析して見たいとも思っているだろうが、既に原型から離れた四季の専用タイプと考えている様子でそれは諦めている。

 

「それじゃあ、あの時計見たいなものに付いて推測も聞かせて貰えるか? お前さんも二つも同じ物を持ってる様子だしな」

 

「さあ、それに付いては何も。ただ、危険な怪物に変わるものと、安全な物があって、後者の安全な物を敵が求めている。その程度ですね」

 

正確にはアナザーライドウォッチを何らかの方法でライドウォッチに変化させていると言うのが正解だが、それを教える必要はないので誤魔化しておく。

恐らく先日のソーサラーが手に入れたインフィニティスタイルのウォッチ。あれが目的なのだろうが……。

 

「では、コカビエルの事件について堕天使総督の意見を聞きたい」

 

「先日の事件は我が堕天使中枢組織『神の子を見張る者(グレゴリ)』の幹部コカビエルが単独で起こしたものだ」

 

組織だっての行動ではない事はフリードとバルパーと合わせて僅か三人での行動の時点で説明できる。聖剣の因子に適合できなかった者達を入れても組織と言う単位では少な過ぎる。

組織としての行動ならばもっと部下が居てもおかしくは無いはずだ。

 

「奴の処理は『白龍皇』が龍の魔術師とその仲間達の協力の元に行った。その後は大人しいもんだ。組織の決定に従って大人しく『地獄の最下層(コキュートス)』で永久冷凍刑に処されて、もう出てくる事はない」

 

出てくる可能性があればそらはソーサラーが動いた時だろうと四季は考えている。

今のソーサラーの手には無限の魔法使いの力があるのだから、地獄の底の底にも鼻歌交じりで散歩できるだろう。

 

「その辺りの説明は提出した資料に全部書いてあっただろう? それが全部だ」

 

「説明としては最低な部類ですが、あなた個人が我々と事を起こしたくないと言う事に関しては?」

 

アザゼルの言葉にそう切り返すミカエル。その辺は三大勢力間のことなのだが、此方を害する事が無いか聞き耳を立てる。

 

まあ、その辺はコカビエルの言葉通りの神器マニアであって、戦争には興味ない様子だ。

 

そんな中でサーゼクスは一つの問いを投げる。『ここ数十年何故神器の所有者を掻き集めているのか』と。

 

確かに単なるマニアの収集癖では説明は付かないだろう。力を発動させてしまって居場所がなくなった神器使いを集めているのも単なるアザゼルの個人的な趣味を兼ねたボランティアと考えても不自然だ。

 

「アザゼル、ここ数十年……何故神器(セイクリッド・ギア)の所有者をかき集めている?」

 

「最初は人間達を集めて戦力増強を図り、天界か我々に戦争を仕掛けるのではないかとも予想していたのだけど」

 

サーゼクスの言葉にセラフォルーが続く、

 

「そう、いつまで経っても貴方は戦争を仕掛けてこなかった。白い龍を手に入れたと聞いた時には強い警戒心を抱いたものです」

 

基本神を殺せる可能性を持つ滅神具(ロンギヌス)だが、大半は力を付ける前に殺されるか、赤と白の龍はライバル対決の果てに死亡している。

そんな物の所有者が正しく成長できる環境さえ整って仕舞えばまさに脅威以外の何者でもないだろう。

 

そんな者が敵対勢力は持っていながら、何もしてこなかった。困惑するのも無理はないだろう。

 

神器(セイクリッド・ギア)研究のためさ。なんなら一部研究資料もお前達に送ろうか?」

 

アザゼルは純粋に趣味の研究の為だと答える。隠す必要もなければ隠す気も無いのだろう、長年の研究の資料の一部を渡しても良いとさえ言った。

 

(才能も環境も負けてるよな、兵藤)

 

ふと、四季はアザゼルの答えを聴きながら、その白龍皇のライバルである赤龍帝のことを考える。

早い時期に目覚めてまだ手探りだっただろうが神器の研究家であったアザゼルの元で最善に近い鍛え方をされたヴァーリと運動部程度の鍛え方しかしていないイッセー。どう考えても完全にイッセーが負けている。

 

「研究してるからって戦争なんざ仕掛けねえよ。今更戦に興味ないからな」

 

今更戦争をしたところで勝手も負けても堕天使の被害は大きくなる。それどころか、他の神話に漁夫の利を奪われる危険まである。

二度目の聖書勢力の内乱など、どの陣営にも不利益しか生まない。トップにいるからこそよく分かっているのだろう。

 

「俺は今の世界に十分満足している。部下に『人間界の政治にまで手を出すな』と強く言い渡しているぐらいだぜ? 宗教にも介入するつもりはねぇし、悪魔の業界にも影響を及ぼすつもりもねえ」

 

アザゼルの言葉に他の出席者は納得している様子は無かった。

 

「……ったく、オレの信用は三竦みの中で最低かよ?」

 

「それはそうだ」

 

「そうですね」

 

「その通りね☆」

 

アザゼルの言葉にサーゼクス、ミカエル、セラフォルーと揃って同意するのには思わず笑いそうになってしまう。

 

「なあ、あのオッさん、そんなに信用ないのか?」

 

「そうだな……例えるなら英雄狂……ドクターウェルくらいの信用と言えば想像できるかな?」

 

クリスの問いかけに彼女に判りやすい比較対象を挙げて答えた瞬間、二人の脳裏に英雄狂の姿が浮かぶ。

 

「そりゃ、無理だな」

 

「だろ?」

 

四季とクリスの間で他の陣営からのアザゼルの信用度の比較対象がとんでもない人物になった事も知らずにアザゼルは単刀直入に、この会談の最大の目的を切り出す。

 

「これ以上こそこそ研究するのも性に合わねえか。分かったよ」

 

事前に四季達がアザゼルに日本神話の監査官代行の旨を告げた際に聞かされていた最大の目的だ。

 

「和平を結ぼうぜ。お前らも元々そのつもりなんだろう?」

 

悪魔も天使も堕天使もトップはそれを望んでいる。それは間違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先日、

 

「和平ね。そっちもそれを望んでたか」

 

「おっ、他の奴から聞かされてたか、サーゼクスか? それともミカエルか?」

 

アザゼルから今回の会談に於ける目的を聞かされた四季の言葉にアザゼルはそうとうが、立場上情報を堕天使にだけ教えるわけにはいかないので無言で答える。

 

「まあ、他の奴らもそれが目的ってのは大体分かってたからな」

 

「まあ、聞いた話だと下手に白黒つけたらそれが聖書勢力全滅のラストページの数行前だろうからな」

 

「おいおい、言ってくれるな」

 

言外に他の神話から恨みを買っていると言う四季の言葉にアザゼルも自覚はあるのだろう苦笑しながら言葉を返す。

 

「それで、第三者の意見も聞いときたい。お前は和平をどう思う?」

 

「難しいだろうな」

 

アザゼルから渡されたゲームのコントローラーを手に取りキャラクターを選択しながら答える。

 

「そりゃそうだろうな」

 

四季の言葉に同意するのはクリスだ。三大勢力の和平が難しいと言うのは分かっているのだろう。

 

「いい事なんじゃないの?」

 

「いや、トップは良くても下はそうでもないからな」

 

詩乃の疑問に答えながら四季はゲームをプレーする。

 

「教会だとエクソシストか」

 

主に悪魔は敵だ、悪魔を滅することが主の教えだと洗脳教育を受けたエクソシスト達。

そんな彼らに和平が成立したからこれからは悪魔を殺してはいけませんと言っても、間違っているのは天界にいる天使達だと言うだろう事は容易に想像できる。

 

天使などではなく奴等も主に背く堕天使だと。そして、そんな奴等が天界に居座っているのは神を幽閉していると神の死を知らないエクソシスト達は考えるだろう。

結果、大半は洗脳された正義に従いはぐれになる。

 

「そういう事ね」

 

教会を例にあげた事で詩乃も和平が難しい理由を理解した。

 

「そんなはぐれエクソシストが悪魔を殺せば和平は終わり、戦争勃発だな」

 

四季の操作するキャラがアザゼルのキャラを吹き飛ばす。

 

「段階が早すぎる。先ずは休戦に持ち込んで洗脳教育の緩和や好戦派の意見を抑えてからの方が良いんじゃないのか?」

 

「そうだろうな。けどな、急ぐ必要があるんだよ」

 

「急ぐ必要か」

 

その理由は大体想像できる。コカビエルからも聞かされたのだろう、禍の団の事を。

次に追加して欲しいキャラは(第2回)?(選ばれなかった人は次回持ち越し)

  • 切姫夜架(最弱無敗の神装機竜)
  • 長谷川千雨(魔法先生ネギま)
  • 更識楯無(インフィニット・ストラトス)
  • ユキ(プロジェクト東京ドールズ)

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