『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』 作:ドラゴンネスト
聖書勢力の三つの勢力間の和平。それは正に歴史的瞬間だろう。
その事を理解している悪魔側の参加者達、リアスやイッセー、ソーナと言った面々の表情には緊張の色が浮かんでいる。
最初にアザゼルから言われてしまったが、ミカエルもこの会談で和平を切り出す予定だったのだから反対は無いだろう。
戦争の大元である神と魔王が共に消えたのならば、これ以上は争う理由は無い。三竦みの争いを続けていても、決着をつけても害にしかならない。と天使の長であるミカエルは言う。
「ハッ! あの堅物ミカエルが言うようになったな」
堕天使と言っても元は天使なのだから昔の事を知っていたであろうアザゼルがそう言う。
「……失ったものは大きい。けれど、いないものを何時迄も求めても仕方ありません」
何処かその言葉には諦めの感情さえ感じられた。いや、実際はやっと失ったものへの諦めが付いたのだろう。
「神の子らを見守り先導して行くのが我らの使命なのだとセラフの意見も一致しています」
「おいおい、今の発言は『堕ちる』ぜ? と思ったが、『システム』はお前が受け継いだんだったな。良い世界になったもんだ。オレらが堕ちた頃とはまるで違う」
ミカエルの言葉に皮肉げに返すアザゼル。
「我らも同じです。種を存続するために悪魔も先に進まなくてはならない」
「戦争は我らも望むべきものでは無い。また戦争をすれば悪魔は滅ぶ」
セラフォルー、サーゼクスもまた賛同の意思を示す。
「そう、次の戦争をすれば三竦みは今度こそ共倒れだ」
……また戦争すれば悪魔だけじゃなくて天使も堕天使も滅びるだろう。それだけ聖書の勢力は他神話から恨みを買っているのだ。勝っても負けても戦争の先に天使にも悪魔にも堕天使にも未来は無い。
前回の戦争も犠牲は大きかったとは言え、二天龍の乱入のお陰で他神話が好機と捉える被害は出なかった。
寧ろ、四季は聖書の神が命を落としたのは二天龍の戦いの最中に行われた他神話による暗殺の可能性さえも考えているのだ。……仮説は立てても証明した所で益もないので口にすら出していないが。
「そして人間界にも影響を大きく及ぼし世界は終わる。オレ達はもう戦争は起こせない」
人間界については聖書以外にも神話や神は居るのだから言い過ぎではないかとは思うが、神器を通して行った影響を考えるとそれが原因で終わらないにしても影響はあるだろう。
「神がいない世界は間違いだと思うか? 神がいない世界は衰退すると思うか? 残念ながらそうじゃなかった」
神と呼ぶべき超越者と関わった経験のあるクリスの表情が変わる。
彼女が戦ったシェム・ハの事を考えると聖書の神も復活手段やらバックアップやら魂やらを保管して復活の手段を用意している可能性も高いのだが、それは考えないことにしておく。
「残念ながらそうじゃなかった。オレもお前達も今こうやって元気に生きている」
仮に神がいた場合のifの歴史があるならばそれは剪定事象になっていた可能性が高い。
ならば、彼女達の死によって剪定事象になる道を辿ったと言うのならば、世界という単位において、
朝田詩乃という少女は、
北山雫と言う魔法師は、
雪音クリスと言う戦姫は、
神よりも価値は高いと言う事になるのでは無いだろうか。
それとも、聖書の神は死によって世界に対して価値を与えると言う事だろうか。
考えても仕方ない事だと切り捨てながら、四季はアザゼルの言葉に耳を傾ける。
「神がいなくても世界は回るのさ」
アザゼルの言葉がどこか虚しくも重々しく響く中、
(あれ?)
先程のアザゼルの締めの言葉に四季の脳裏には巨大なブーメランが三大勢力に突き刺さるのが見えた。
(だったら、天使も悪魔も堕天使も居なくても世の中は回って行くんじゃ無いのか?)
そうは思っても口には出さない四季であった。
言った所で話がややこしくなる所だし、変な発言で仕事が長引くのも面倒なだけだ。
(次は同じ事を聖書勢力が滅んだ後に誰かに言われるんだろうな)
世界は回る。その言葉が今度は言われる立場になるかはこれからとは思うが滅んだ後にはそんな未来があるのは容易く想像できる。
そんな未来を想像しつつ和平についての懸案事項を纏めている三大勢力の代表者達を冷ややかな目で見るのであった。
懸案事項を纏め終わった後ミカエルがイッセーとの約束の時間をとる。
懸案事項を纏めた所を確認した時点で四季達の仕事は八割は終わり、一応最後の解散まで見届ける必要はあるが、既に役割は終わった。イッセーの話が終わればあとは解散だけだろう。
イッセーからの問いは何故深く神を信仰して居たアーシアを追放したのかと言う問いだった。
ミカエルが言うには神の死後、加護と慈悲と奇跡を司るシステムだけが残り、そのシステムは信仰心を源に地上に奇跡を齎し、悪魔払いの聖具に力を与えているそうだ。
(……神器の転生もそれで管理してそうだな。下手したら、それが神のバックアップの可能性もあるか)
ミカエルの説明から四季には人間の信仰心そのものが聖書の神のバックアップ。そんな推測さえ湧く。
そのシステムを運営するのは彼を含む
神の死因となった龍の神器や悪魔や堕天使を癒せる神器によって信仰に影響が出るものを近くに置くわけには行かなかった。
それは神の不在を知る者、この場に居ないゼノヴィアも同じだ。その事に謝罪するミカエル。ゼノヴィアにも後で謝罪すると言うこととデュランダルも引き続き彼女に預けると告げる。
次にアーシアやイッセーを堕天使、レイナーレが殺した事に話が向かう。
神器の所有者を堕天使が殺している事を認めるが、それは力を使いこなせずに世界に影響を及ぼす奴らだと言う。
その事については納得は出来ないが理解は出来る。神を滅ぼせる神器が暴走などしたら小さな町など一瞬で消える。ならば、その前に一人を排除すれば大勢の命は守る事が出来る。
(我ながら冷たい計算式だな)
冷たい計算式だが、どうしても犠牲が出るのなら最小限で済ませる必要がある。
言ってみればアザゼル達堕天使のやってきた事は神が無計画に神器をばら撒いた事の尻拭いだ。真っ先にばら撒いた者を責めるべきだが、ばら撒いた者はもう居ない。
「今更オレが謝っても後の祭りだ。だからオレはオレにしか出来ない事でお前達に貢献しようと思う。そこで一つ聞いておきたい」
そう言ってアザゼルはイッセーへと視線を向ける。
「赤龍帝としてお前は世界をどうしたい?」
「世界をどうこう言われても…………正直よく分からない」
「では、ヴァーリ、白龍皇としてはどうだ?」
世界という大きすぎる単位を出されて返答に困ったイッセーの次にアザゼルが問いかけるのはヴァーリ。
「オレは強い奴と戦えれば良いさ。差し当たって、当面の興味は龍の魔術師、君だよ」
単純でシンプルな理由。面倒な
「オレに決闘でも挑んでくるのは良いけど、その前にドラゴン紅白合戦を先にやってくれ」
取り敢えず、面倒ごとを一応のライバルへと押し付ける。
「で、そういうお前はどうなんだ? 龍の魔術師? 日本神話の立会人としてじゃなくて、お前個人に聞きたい」
「世界をどうこうする気はないな。戦う目的は当面は借り物、
そうして後ろにいる三人に順番に視線を向け、
「家族で楽しく過ごす、それだけだ」
当面の目的はそれしかない。
その後はアザゼルの自分達の選択次第では戦争が起こり、イッセーも表舞台に立つしかないと言う言葉に平和が一番と叫ぶイッセーだったが、
アザゼルのリアスを抱けないとの言葉に断固として平和が一番と叫ぶ姿に自分の所のトップからも呆れた視線を向けられて居たりする。
(そろそろか)
この世界の原作知識は薄れているが敵が仕掛けてくる大体のタイミングは分かっている。
同時にこの会談を邪魔しようと敵が動く事も知っていた。だから、念の為に『
イッセーが己の決意を話していると、意識が一瞬途切れる感覚を覚えた。
「お…………きろ……」
微かに聞こえたその言葉に四季は意識を取り戻す。
「ったく、やっと気が付いたか」
四季が意識を取り出すと先に動けて居たクリスの顔が視界に入る。
「あれ……私?」
「何が?」
二人に遅れて詩乃と雫も意識を取り戻す。どうやら全員分の対策が上手くいった様子だ。
「あら、貴方達は全員動けるのね」
見れば部屋の様子が先程と変わっており、イッセーと祐斗以外のリアスの眷属の姿が無かった。
「……何があったのかは大体想像は付くな」
「そうみたいだな」
体に異常もない事を確認しながらポケットの中からオニキスのカードデッキを取り出す四季の言葉にクリスが答えると、
ズドォン!!!
突然の爆発音が響く。
「おわっ! 何事!?」
その爆発音に驚いたイッセーが驚愕の叫び声を上げる。
「とんだ失態ですね、アザゼル総督」
「だな。日本神話から言い出された事とはいえ、テロに巻き込んじまうとはな」
歴史的舞台には障害はつきものだろうが、今回もそれが起こってしまったと言うわけである。
次に追加して欲しいキャラは(第2回)?(選ばれなかった人は次回持ち越し)
-
切姫夜架(最弱無敗の神装機竜)
-
長谷川千雨(魔法先生ネギま)
-
更識楯無(インフィニット・ストラトス)
-
ユキ(プロジェクト東京ドールズ)