『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』   作:ドラゴンネスト

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五十三話目

(面子とか立場とかそんなモンの為にギャスパーを犠牲になんてさせねえ!)

 

この状況で何もしない四季の姿に苛立ちを覚えながらも、テロリストに利用されているギャスパーを始末させない為にもイッセーは渡された腕輪を握り締める。

 

あの時のベルトとの併用でのパワーは無いが、神器を制御できるだけでなくこれを対価にすれば短時間だけなら禁手化できる。そうアザゼルからは教えられた。

それが本当なら今はこれ以上ない程有り難い。

 

「だが、副作用でお前に施されている封印も解ける。兵士(ポーン)の力を封印されているんだろう?」

 

「どこでその情報を?」

 

アザゼルの言葉に不愉快と言う表情を浮かべるリアス。

 

「そのリング、使うのは最後の手段だ。禁手中は体力か魔力を激しく消耗させる」

 

つまり、歪な形での禁手では今のイッセーでは消耗が激しく、制限時間よりも早く短時間で体力か魔力が尽きてしまう。

つまり、力を受け止めるための土台が足りないと言う訳だ。

 

「転移したら先ず女王(クイーン)にプロモーションして土台を作っておけ」

 

そうすれば力を使う最低限の土台にはなると言うアザゼル。

 

「よく覚えておけ、現段階のお前はあいつらと違って人間に毛が生えた程度の悪魔だ。力を飼いならせ、でなければいずれ死ぬぞ」

 

「わ、分かってるさ!」

 

アザゼルの言う言葉には頭では納得できても感情は納得できない。

アザゼルの言うあいつらとは間違い無く四季達だ。

人間に毛が生えた程度のイッセーと複数人でとは言えコカビエルと戦えた四季。どちらが強いのかなど明白だ。

 

イッセーへのアドバイスを送るとアザゼルは次にヴァーリへと話しかけている。

 

「まるで先生みたいだな……」

 

「冷静な分析と適切な対応力。悔しいけど指導者としては一流ね」

 

間違い無く一流の指導者として力を見せるアザゼル。そんなアザゼルの元で力を磨いて来たライバルとの差は既に追いつかない所にありそうだと四季は思う。

 

グレイフィアがキャスリングの術式の書き換えを行う中、アザゼルは四季達へと視線を向け。

 

「お前達も念の為に戦えるようにしといてくれ」

 

「確かに、敵の親玉がこっちのど真ん中に出てこられたら、流石に危険だからな」

 

「ああ。こっちにとって一番不味いのはそれだからな。それともう一つ、あいつらの使ってる道具、あれについてのお前さんの見解を聞きたい」

 

そう言った後、アザゼルはヴァーリへと視線を向け、

 

「ヴァーリに外で敵の目を引いてもらうのにしても、情報があると無いとじゃ大違いだからな」

 

「……あいつらが乗ってるのは見た所、御伽噺の魔法の箒と槍の複合体だな」

 

「御伽噺の魔法の箒ってやつか? 魔法使いの連中はそう言うのは嫌いそうなんだがな」

 

「まあ、実際には槍に乗って空を飛んでるって認識なんだろう。リングを使ってないってことは素のスペックだけか、持っていても攻撃用じゃ無いか、最初から持たされていないかだな」

 

「なるほどな」

 

「スペックの差は有ってもワンオフのウィザードライバーと原型の品は基本的な所に差は無い。高級量産品、高品質の生産品だ、油断してたら龍も狩られるぞ」

 

少なくともウィザード本編においてメイジは幹部級ファントムのメデューサを倒していた。

 

「なるほど、それは中々楽しめそうだ」

 

「白龍皇が前に出てくればこのテロの首謀者も動くかも知れないが、気を付けろよ」

 

楽しげな笑みを浮かべるヴァーリの言葉に呆れた様に溜息を吐くアザゼル。

見た所その領域に至れる訳はないとはそれは口には出さない。

 

(飼い慣らしているファントムも居そうに無いからな)

 

外に飛び出して禁手の鎧を纏ってメイジ達との戦闘に入るヴァーリを横目にそんな事を思う。

メイジ達の空中の機動性を考えると地上に落ちた者達からの攻撃までは止められない様子だが、それでも校舎への攻撃の手は緩む。

 

「あれが奴の神器(セイクリッド・ギア)……。容易に禁手化(バランス・ブレイク)しやがった」

 

対価なしでは出来ない己とライバルとの差を見せ付けられているイッセーの姿を横目で見つつ四季は自分達の行動を考える。

 

「それで、私達はどうするの?」

 

「取り敢えず、何かあったら詩乃と雫は下がってくれ。クリス先輩は外の相手をしなきゃならない時まで動かない方がいい」

 

そもそも、遠距離型の詩乃と広範囲殲滅型のクリスは室内での戦闘は不利だ。中で戦闘が起こった場合は四季が戦う以外には無いだろう。

 

逆に自分達が動く場合は数の多いメイジの相手はクリスの方が有利なので詩乃には其方の援護を任せたい。

 

なお、雫の場合は回復役(ヒーラー)では有るが戦闘させてはいけない。…………色んな意味で。

 

「アザゼル。神器の研究とは言うが……白龍皇のみならず、『滅神具(ロンギヌス)』の所有者を何名か集めたそうだな? 神もいないのに神殺しでもするつもりだったのかな?」

 

そんな中、サーゼクスはアザゼルにそう問いかける。

 

「備えていたのさ」

 

隠す必要もないとばかりにアザゼルは即座にそう答える。

だが、疑問は湧くだけだ。何に備えていたのかと言う。

 

「備えていた? 戦争を否定したばかりで不安を煽る物言いですね」

 

ミカエルの言葉も最もだろう。最も身近な戦争相手との戦争を否定ておいて何に備えていたのかと言う。

 

「言ったろ? お前ら相手に戦争はしない。ただ、自衛の手段は必要だ」

 

「我々でなければ何に対しての自衛なのです?」

 

禍の団(カオス・ブリゲード)

 

「カオス・ブリゲード!?」

 

「それは、まさか!?」

 

悪魔側のイッセーとリアスがその名に反応する。

匙がアナザーリュウガに変えられた一件とコカビエルの事件の際にアナザーライダーに変身してみせたフリードとバルパー。

匙の事件の際に彼をアナザーリュウガに変えた者達が名乗っていた組織名だ。

 

「組織名についてはお前達も知ってる様だが、背景が判明したのはつい最近だった。しかも、あんな技術を持ってるってのは本当に驚いたぜ」

 

あんな技術というのはアナザーライドウォッチやメイジのワイズドライバーの事だろう。

 

「そいつらは三大勢力の危険分子を集めているそうだ。中には禁手(バランス・ブレイカー)に至った神器(セイクリッド・ギア)持ち、滅神具(ロンギヌス)持ちも数人確認してるぜ」

 

「その者たちの目的は?」

 

「破壊と混乱、この世界の平和が気に入らないのさ。性質の悪いテロリストさ。その組織の頭は」

 

アザゼルがその組織のトップの名前を口にしようとした時、グレイフィアがそれに気付く。

 

 

 

『『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』オーフィス』

 

 

 

魔法陣が床に現れると同時に響く新たな声。

 

「この紋様……。そうか、今回のテロの黒幕は!?」

 

その魔法陣の正体に気が付いたサーゼクスの表情に焦りが浮かぶ。

今回のテロの黒幕は天使や堕天使では無く悪魔だと気が付いたのだ。

 

「グレイフィア! リアスとイッセーくんを早く飛ばせ!」

 

「はっ!」

 

焦りを浮かべたサーゼクスの支持に従いグレイフィアはキャスリングを急ぐ。

 

「ちょ、ちょっと、グレイフィア!? お兄様! 」

 

「お嬢様……ご武運を」

 

グレイフィアのその言葉と共にリアスとイッセーの足元に有った魔法陣が輝き二人の姿が消える。

代わりに二人のいた場所に乾いた音と共にルークの駒が落ちるのだった。

 

「御機嫌よう、現魔王のサーゼクス殿とセラフォルー殿」

 

それと入れ替わる様に現れるのはそこに現れたのは胸元を大きく開け、足に

スリットが入ったドレスを身に纏う妙齢の女性悪魔。

 

「先代レヴィアタンの血を引く者、『カテレア・レヴィアタン』……」

 

サーゼクスは彼女の事を知っている。先代のレヴィアタンの血を引く者。魔王の座の、血筋で言えば政党にあたる後継だ。

 

「なあ、レヴィアタンってどういう事だ?」

 

「魔王の名は悪魔の中で二つあるんだ。一つは先代の魔王の一族に当たる目の前の女に代表される者達。サーゼクス殿を始めとする現在の魔王は後から受け継いだ者達。言ってみれば後者は称号としてその姓を名乗ってるって事だな」

 

クリスの言葉にそう説明する四季。言ってみれば王冠や玉璽の様なものだ。

同時に現政権に敗北し毎回の隅に追いやられた者達でもある。

 

「その通り、流石は日本神話が代行者に選んだ者達。よく知って居ますね」

 

上から目線の褒めの言葉を投げかけてサーゼクスに向き直る。

 

「カテレアちゃん、どうしてこんな!?」

 

セラフォルーの悲痛な叫びが響く中、カテレアは何かを堪える様に俯いている。

 

「何故……? 貴女が私に何故と問いますか?」

 

「うぅっ……」

 

幽鬼の如き怒気をまといながらカテレアはセラフォルーを睨み付ける。

 

「他の者達の様にこの様な恥の上塗りなどする気は無かった! 貴女がレヴィアタンの名を名乗るのも、私に家名を守る力が無かったとして敗残者として受け入れられた……」

 

敗北した者として、また己よりも強者であったセラフォルーがレヴィアタンの名を名乗るに相応しかったと諦める事は出来て居た。

 

「ですが……ですが! あれだけは受け入れられる筈はない、あの様な恥辱が良い訳がない!?」

 

怒りを露わにセラフォルーを睨み付けるカテレア。

 

「魔法少女レヴィアタンなどと言う私の家名に泥を塗る様な番組を作るだけなら辛うじて我慢しましたよ!」

 

その叫びを聞いた瞬間、シリアスな空気が崩れていく音が聞こえた気がした。

 

「ですが、まるで年齢を考えないでその番組の主役として出演するとか、その衣装を正装と言うとか何を考えているんですか!?」

 

その叫びを聞いた瞬間、既にアザゼルは爆笑して居た。

 

「年齢と立場を考えなさい、年齢を! 隣にいるサーゼクスなんて、幾つになる子供が居ると思ってるんですか!?」

 

「し、四捨五入したら二十歳(ハタチ)だもん!」

 

カテレアの言葉に涙目で抗議するセラフォルー。

既にミカエルは「えっー」と言う表情で呆れて居る。

 

「魔法少女って高校生までが限界じゃ無いのか?」

 

クリスの一言がセラフォルーの胸に突き刺さる。

 

「百歩譲って19歳までだと思うわね」

 

詩乃の容赦の無い一言がさらに突き刺さる。

 

「うん、二十歳だったらシリーズでも主人公交代するか、タイトルから少女は無くなると思う」

 

雫の一言がセラフォルーの心にフィニッシュブローを叩き込む。

 

「つまり、自白したって事だよな、少女じゃ無いって」

 

四季の言葉にセラフォルーは車田飛びで吹き飛ばされるのだった。

 

「うぅ……良かった、分かってくれる人がいて……」

 

心底嬉しそうに泣いているカテレアに最早言葉もないサーゼクス。

 

「そして、今回私達同じ志を持った同士達と共に今回の行動に出た訳です」

 

外のメイジ達の一部から聞こえてくる『セラフォルー殺す』の怨嗟の声。

 

禍の団(カオス・ブリゲード)、セラフォルー殺し隊。それが今回のテロの首謀者と実行者達の一部であった。

 

「なあ、これ、現レヴィアタンを外に突き出せば治ったんじゃないのか?」

 

「それは良い考えだけど、流石に和平に問題になるからな」

 

四季の言葉に対するアザゼルの答えにうんうんと頷いているサーゼクスとミカエル。三人とも四季と同じことを考えたのだろう。

 

「みんな、酷いよー!」

 

精神的に打ちのめされていたセラフォルーが復活して涙目で抗議の声を上げるのもそんな時だったりする。

 

「酷いのは貴女です! 貴女が魔法少女レヴィアタンなんて名乗っているせいで、私がなんて呼ばれてるか知ってますか!? 私なんて魔法熟女(笑)レヴィアタンなんて呼ばれてるんですよ!」

 

なお、旧魔王派に居た恋人と別れたきっかけは魔法熟女と呼ばれている事を知った時に爆笑した彼をカテレアが殴り飛ばした事がキッカケらしい。

 

 

 

 

最早、先ほどまでのシリアスな空気はどこにも無かった。

主に高校三年生の妹がいるのに魔法少女と名乗った現魔王(セラフォルー)とその被害者で魔法熟女(笑)と言うあだ名を付けられた旧魔王(カテレア)が原因で。

 

 

 

 

 

 

 

 

ホント、シリアスどこ行った?

次に追加して欲しいキャラは(第2回)?(選ばれなかった人は次回持ち越し)

  • 切姫夜架(最弱無敗の神装機竜)
  • 長谷川千雨(魔法先生ネギま)
  • 更識楯無(インフィニット・ストラトス)
  • ユキ(プロジェクト東京ドールズ)

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