『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』 作:ドラゴンネスト
-どうしてこんな事になっちゃったんだろう?-
薄れ行く意識の中でその少女『更識 楯無』はそんなことを思う。
ロシアの国家代表であり、日本の暗部の家系に生まれ、その当主の座に十代で着いた彼女の最後の日は廃墟となった日本と言う国の中で土に塗れて命を落とす。
それが、彼女の最後となる。
最後の意識の中で彼女の中の世界の滅びに繋がる情報のかけらが一つの絵を作り上げた。
せめて最後くらいは楽しい思い出を思い出しながら死にたいと思いながらも、その思い出に繋がってしまったのだ。
世界の最後、が。
全ての始まりは修学旅行が終わった後と思っていた。あの日、世界中のネットワーク機器の中から巨大な生物が出現した。
多種多様な巨大生物はまるで挑発するように軍事施設を避け、人口密集地の真っ只中に出現した。
(各国の軍隊が襲撃したけど、巨大生物の……怪獣の進行を止める事は出来なかった)
電子機器に映し出される世界各国の文字を使った巨大生物達からの自己紹介。自らの種を怪獣と名乗り、態々個体名まで名乗ってくれる丁寧すぎる対応。その頃は訳が分からなかった。
…………分かってからでは全てが遅かった…………。
ISも旧時代の兵器も全てを投入しての全人類と巨大生物の全面戦争が始まり、人類は一年も持たず怪獣に敗れ去ったのだ。
ただその巨体だけでも人間サイズのISには脅威でしかなかった。
それもそうだろう。その質量差だけでも敵にとっては強力な武器になる。
最強の兵器と信じられてきたISは怪獣達の前には最弱な兵器でしかなかったのだ。寧ろ旧時代の兵器の方が怪獣相手に心強い武器になっていた。
(ISコアの八割が失われた後は責任のなすり付け合いばかりで、本当にバカみたい)
自分の家系が守ってきた国の上に立つ者達の愚かさに彼女は泣きながら笑うと言う器用な真似をしてしまう。
そして、味方同士の争いによりISの九割を失った人々は旧世代の兵器を中心に防衛線を確立して僅かな生活圏を確保し怪獣に対して怯えながら暮らしていた。
地球という惑星の支配者は人類から怪獣に変わったのだ。
怪獣達は互いに争う事もなく、仲良く人類の脅威となっている。……少なくとも人類の目の届く範囲では。
人は怪獣以下、絶望の中でそんな事を思う者も多くいた。今は楯無もそう思ってしまう。
彼女が生徒会長を務めていたIS学園も、そんな人類に残されていた僅かな生活圏の一つだった。
だが、学生と教師達だけの生活圏だが、他のそれとは決定的に違うのは学園という生活圏には旧世代兵器が一つもないと言う点だった。
怪獣が来れば一瞬で吹き飛ばされる程度の儚い生活圏。なのでそこから逃げようとする生徒や教師も大勢いた。
……もっとも、逃げた所で他の生活圏で彼女らが受け入れてもらえるとは限らないが。
そんな中、ある男性議員はISなどという物に予算を使わずにいれば今の脅威に対抗できたと叫んだ。全てはISに予算を使わせた女権団体が悪いと叫ぶ。
その言葉と怪獣達への恐怖心から元々あった男性達のISへの憎悪に火がついてしまった。
怪獣の脅威に晒されてるというのに人々はIS委員会の関係者や女権団体の関係者を見つけては戦犯として私刑にして行った。
その最初の犠牲者はISの生みの親である『篠ノ之束』の親友でもあり、初代ブリュンヒルデでもある『織斑千冬』だった。
幾ら彼女が世界最強と言っても生身で狂気に支配された民衆を相手にしては勝ち目はない。抵抗も虚しく民衆に殴り殺されてしまった。彼女が最初のISである白騎士の操縦者かも知れないと言う情報もその行動に拍車をかけた。
『お前のせいだ』
『お前の親友のせいで世界はこうなった』
呪詛の言葉を投げつけながら狂気に支配された人々は千冬を殴り続けた。素手で、石で、木材で、鉄材で……何時千冬が絶命したか分からないが顔は潰れ全身の骨を折られた姿で打ち捨てられていた。
次に犠牲になったのは千冬の弟で世界初のISの男性操縦者の織斑一夏と篠ノ之束の妹の篠ノ之箒だった。
女尊男卑の世界に変えた原因である二人の関係者。特に人々の憎悪は開発者の妹である箒の方に向いていた。
学園で不足していた食料を探して外に出た二人はそんな人々に殺された。毒を盛られ動けなくなったところを殺された様だった。
(全部、彼が消えてから始まってたのね)
そして思い出すのは、二人目の男性操縦者として見つかった少年。
学園上位と言うほどではないが操縦技術も高く座学の成績では上位に立っていた事からそれなりに注目は集まっていたが、ブリュンヒルデの弟と言う大きなネームバリューのある一夏に比べると然程重要視はされなかった。
そんな彼が学園祭の時期に失踪していた。学園祭中
(そうじゃなかった……)
もっと早く気が付いていれば良かった。そう思うしかない。彼は自分の意思で失踪したのだと言うことに気が付いていれば、何かが変わったかも知れない。
活動が活発になった怪獣達によって人類の生活圏が次々と潰されていき、最後に残ったのは最も弱かった生活圏のIS学園だった。
それは意図的に残されていただけだと知る事が出来たのは最後に生き残っている楯無だけだった。
学園から逃げ出さなかった、逃げ出さなかった僅かな生徒と教師達の中で物資も食料も底をつき、量産機も使えるパーツを繋ぎ合わせて動ける物を用意するだけ、日々の食事にも困る日々が最後の大攻勢で終わりを告げた。
楯無は辛うじて残っていた意識の中で、量産機を使って抵抗した教師が、戦えない生徒達を逃がそうと必死に抵抗した専用機持ちの生徒達が、守る者もなく逃げ惑うしか無かった生徒達が、怪獣に蹂躙されて行く中で彼女は知ることが出来た。
この惨劇の首謀者を。
二人目の男性操縦者の青年が怪獣達に守られる様に悠然と廃墟となったIS学園に姿を現した。
同時に周囲の怪獣達も人の姿に変わる。全員が怪獣の特徴を持っているが、楯無には彼女達の顔には見覚えがあった。各国の国家代表や代表候補生達だ。
笑みを浮かべながら、怪獣から怪獣の特徴を持った人の姿に変わった怪獣達に学園の生徒達の回収を指示する青年。
そして、手の中で弄ぶビー玉のような物を取り出し、回収された瀕死の生徒の一人の胸の上に置き、
「インスタンス、アブリアクション」
瀕死の生徒がビー玉のような物に吸い込まれ、人から人と怪獣のハーフのような姿に変わる。
回収された教師や生徒達を次々と怪獣と人のハーフへと作り変えていく青年に恐怖を覚える楯無だったが、
(え……?)
一年生の代表候補生達、『セシリア・オルコット』が、『凰鈴音』が、『シャルロット・デュノア』が、『ラウラ・ボーデヴィッヒ』が作り変えられる中、自身も知る少女、本音に対しては首を振って退かして行く。
「やはり、死人には使えませんか」
そう残念そうに呟いて、次に作り変えられたのは楯無の妹の『更識簪』だった。
(簪……ちゃん……)
自分の妹の末路に呆然とする楯無だったが、次の行動は少しでも其処から離れる事だった。
絶命するまで見つからなければ、怪物の仲間入りはさせられない。辛うじて動く体を引きずりながら楯無はその場から逃げ出して行く。
それが、一つ世界の終焉にして、少女の最後の記憶。
『アレクシス・ケリヴ』と『魔王カーンデジファー』の力を持った転生者によって支配された剪定事象となった世界の記録で有る。
ガチャで出るであろう楯無さんの世界の最後の記録です。
この世界の転生者を倒す事で四季にはIS の登場人物を呼び出す権利を与えられます。
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