『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』   作:ドラゴンネスト

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六十一話目

「ぐっ……」

 

倒れたまま久瀬は自身の近くに落ちていたバットロストバトルを手に取ると、尚も戦おうと這いながらネビュラスチームガンを手に取ろうとするが、

 

「っ!? させるかよ!」

 

それを見たアザゼルがそうはさせないとばかりに、久瀬よりも先に彼の落としたネビュラスチームガンを確保する。

 

「っ!? か、返しなさい!」

 

「おっと、そうはさせねえな。悪いが片腕とはいえ、今のお前には負けねえぜ」

 

久瀬が手にするよりも早くアザゼルがネビュラスチームガンを拾い上げ、光の槍を作り出し久瀬へと突き付ける。

確かにアザゼルは片腕を失って確実に重症だが、変身が解除された今の久瀬では逃げる事も出来ないだろう。

 

「お前には聞きたい事が山程有るんだ。この場で拘束させてもらうぜ」

 

光の槍を突き付けながら、久瀬を倒したルパンレンジャーの四人に『それで良いか』と言う視線を向ける。彼らも依存は無い様子で反論しない。

 

禍の団(カオス・プリゲート)の中でも未知の技術を使う一味の一人。恐らくは幹部クラスと思われる相手だ。相応の情報は持っているだろう、ここでそんな彼を拘束する価値は高い。

 

(あいつらのベルトとも違うシステム見たいだけど、調べるのが今から楽しみだぜ)

 

ふと、先ほど回収したネビュラスチームガンに視線を向けるアザゼルの思考には技術者としての本能が強く出ていた。

未知の技術に触れる楽しみ、新しい技術を知る喜びは何度味わっても、技術者にとって良い物なのだろう。

 

そんな好奇心を抑えつつ、再度久世はと向き直るアザゼルだけでなく、動けば容赦しないと言う様子でリアスも何時でも滅びの魔力を放てる体制だ。

 

そんな久瀬を拘束しようとしてアザゼルが、彼の行動を警戒しながらも近づこうとした時、

 

「っ!?」

 

結界の中に現れた強大な力を感じ取り、思わず歩みを止めてしまう。

 

「これは……。どうやら、彼女もムゲンの力を使った様子ですね」

 

「そうですよー」

 

久瀬の言葉に少女の声が響くと久瀬とアザゼルの間に現れた魔法陣からソーサラーが現れる。

 

「久瀬さん、新しいベルトですよー」

 

「ええ、助かりました、頂きます」

 

ソーサラーから渡されたベルトを手に取ると久瀬は笑みを浮かべながら、そのベルトを装着しようとする。

 

「っ!? それはあの赤いコソ泥の使ってたベルト!?」

 

「怪盗だ! それに、あれはビルドドライバーじゃ無い!」

 

ヴァーリと戦っていたイッセーの言葉をルパンレッドが訂正する。

久瀬の手の中にあるドライバーは確かにビルドドライバーに似てはいる。だが、

 

 

『エボルドライバー!』

 

 

それを久瀬が装着した瞬間、ドライバーからそんな声が鳴り響く。

 

「ええ、これはエボルドライバー。彼のビルドドライバーの原型となった道具ですよ」

 

そう言って久瀬が取り出したのは二つのフルボトル。その二つを振りながらドライバーへとセットする。

 

「もっとも、それでも人間用に性能を落とした品でしかありませんけどね。さあ、実験を始めましょうか」

 

 

『蝙蝠!』

 

 

一つは先ほどまで使っていた物と同じ成分だが、ロストボトルでは無いバットフルボトル。

 

 

『発動機!』

 

 

もう一つはエンジンのフルボトル。蝙蝠とエンジン、その二つは一見共通点の見えない組み合わせだが、

 

 

『エボルマッチ!』

 

 

それは最高の組み合わせを意味してしまう。

 

 

Are you ready(準備は良いか)!?』

 

 

「変身」

 

久瀬がベルトから響くその声に応えるようにそう呟くと、

 

 

『バットエンジン! ヌゥハハハハハハ……!』

 

 

その姿を新たな仮面ライダーへと変える。

 

「チッ!」

 

先手を打とうと光の槍を投げつけるアザゼルだが、それを久瀬は簡単に受け止め、膝でへし折った後投げ捨てる。

 

「ナイトローグ改め、仮面ライダーマッドローグ。以後、お見知り置きを」

 

狂った悪党(マッドローグ)の名に反したような、優雅とも言える態度で一礼しながら、新たな名を名乗るのだった。

だが、今の状況でリアスはもう一人の、金色の魔法使いソーサラーに問わなければならない事がある。

 

「そこのアナタ、お兄様はどうしたの!?」

 

ソーサラーと対峙していたのは、自分の兄であるサーゼクスだったはずだ。逃げてきたにしても無傷なのは可笑しいと思っての質問だったのだが、

 

「あははー、大丈夫ですよー。死んではいませんから、安心してくださいねー」

 

ソーサラーからリアスへと帰って来たのは予想外の返事だった。

その言葉を理解するのに微かに時間を要してしまうほどだ。

 

兄をはじめとする四人の魔王は悪魔に於ける最強戦力なのだ。その中でもトップの力を持っていたはずの兄が負けたと言うのは、リアスには理解できなかった。

しかも、相手は無傷で勝利して見せたという事になる。

 

「忘れたんですか? サーゼクスさんは超越者とは言え、所詮は悪魔と言う枠の中での最強。世界の強者ランキングではベスト10の圏外と言うことを」

 

「おい、それはどう言う意味か分かって言ってんのかよ?」

 

アザゼルはソーサラーの言葉に反応する。強者ランキングについてはヴァーリが最初に言い出した話だが、確かにサーゼクスでさえ一桁の順位には入ってなかった。

だが、ソーサラーの口調では単に格上なのではなく、彼女自身がまるでその中に入っているような口振りではないか?

 

「んー、正確には私の力ではなく」

 

 

『インフィニティスタイル』

 

 

「この、ライドウォッチの力ですけどね」

 

そう言ってソーサラーは再度ライドウォッチを起動させる。

 

「このライドウォッチの力は『無限』の力を宿した魔法使いの力なんですよー。あの人も無限の力の前には無力だったと言う事ですねー」

 

「おいおい……冗談だろ?」

 

アザゼルは信じたくなかったが、微かに漏れる力でその危険性を正確に理解してしまった。

無限と言っても、グレードレッドやオーフィスにこそ及ばないが、確かに無限の力が相手の手のなかにはあるのだと。

 

「これで、オーフィスも納得してくれますね?」

 

自分に匹敵しかねない力を作り出したとあれば、もう少しオーフィスも気長に待つ気にもなるだろう。

 

「こっちにしてみりゃ最悪だな」

 

「貴方達にしてみれば私達は敵ですからね。寧ろ、貴方達の最悪は私達にとっての最善ですね」

 

「でも、今は連続で使えても一回当たりの使用時間が限られるのは欠点なんですよねー」

 

ソーサラーの言葉に顔を顰めるアザゼルに愉快そうに告げるマッドローグ。サラリと欠点こそ言っているが慰めにすらならない。

本来はウィザードの力であるインフィニティスタイルの力を無理やり別のライダーで使っているのだ、ライドウォッチの力自身の抵抗もあり、完全に己のものにするにはまだまだ時間がかかる。

 

「所で、カテレアさんはどうしました?」

 

「ええ、先に帰って貰いましたー。今後は私達のメンバーとして協力してくれるようなので、アビスの力を託しましたよー」

 

のんびりとソーサラーと世間話をしながら、船の錨と海賊船と電車を融合させた弓の様な武器『カイゾクハッシャー』を取り出すマッドローグ。

 

「さて、それでは第二ラウンドと行きますか、ルパンレンジャー?」

 

「望む所だ。改めて、そのお宝、頂くぜ!」

 

アザゼル達は眼中に無いとばかりにカイゾクハッシャーをルパンレンジャーへと向け、マッドローグはそう呟くとルパンレッドもまたマッドローグに応えるようにVSチェンジャーを突き付ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せいや~」

 

「くっ」

 

一方でオニキスに変身した四季とクリスと詩乃が対峙しているのは、ライドウォッチの起動と同時に現れたムゲンゴーストアイコンで変身したダークゴーストムゲン魂だ。

原典のムゲン魂が光のゴーストならば、目の前のダークゴーストの変身したムゲン魂はダークゴーストの文字通りの闇のゴーストというべき漆黒の姿をしている。

 

ムゲン魂のガンガンセイバーの一閃をドラグセイバーで受け止めるが、オニキスはそのまま後ろに吹き飛ばされる。

 

「それそれそれ~」

 

続け様に繰り出されたガンガンセイバーとサングラスラッシャーの二刀流による連撃を後ろに飛んで避けるが、地面を叩く一撃の破壊力は気の抜けるような掛け声とは裏腹に、校庭に深々と破壊の爪痕を残す。

 

「クリス先輩!」

 

「ああ!」

 

オニキスが離れた瞬間を逃さず、マイクロミサイルをムゲン魂へと向かって放つクリス。

 

「え~い~」

 

翳した手から放った虹色の衝撃波が誘爆させたミサイルの爆煙が彼らの視界を奪う中、

 

 

『ストライクベント』

 

 

「そこだ!」

 

オニキスはドラグクローを装着して振り向き様に、後ろにいたムゲン魂に拳を叩きつける。

 

「あれ~? 何で気が付いたの~?」

 

「オレは気配の察知には敏感なんでね」

 

ドラグクローを装着した拳を無防備な状態で叩きつけられたと言うのに、ムゲン魂は寧ろ自分の居場所が知られたことの方が疑問という声を挙げている。矢張り、最強フォームは防御も桁違いと言う事だろうか?

 

「それ~」

 

「ぐっ!」

 

『そうなんだ~』とでも言う様な態度でオニキスの言葉に納得した様子で、虹色の衝撃波を放ちオニキスを吹き飛ばす。

 

「このっ!」

 

そんなムゲン魂を狙って、クリスがガトリング状に変えたアームドギアから弾丸を放つも、再度衝撃波を放ち撃ち落とす。

 

「これで!」

 

ムゲン魂が衝撃波を放った直後を狙いドラグクローから火炎弾を放つオニキスだが、

 

「え~い」

 

重力を感じさせない動きでオニキスに近づいたムゲン魂のキックが彼をクリスの方へと蹴り飛ばす。

 

 

『イノチダイカイガン!』

 

 

「ウラミ、ストリ~ム!」

 

ダークゴーストムゲン魂版のナギナタモードの必殺技『ウラミストリーム』がオニキスとクリスに向かう。

 

「っ!?」

 

とっさにオニキスは自分の後ろに居たクリスを突き飛ばし、敵の技の効果範囲まで突き飛ばす。

 

「っ!? 何を……」

 

防御も間に合わない状況での最強フォームの必殺技。ならばと、判断したのは、龍騎のそれとは違い、変身者の保護機能のあるオニキスに変身している自分よりもクリスを助けるべきと、とっさに判断したからだ。

バントされれば命は助かるが、ユーブロンが居ないのではそれは死と変わらないかもしれない。

 

「バッ、バカヤロー!」

 

「四季っ!」

 

クリスと詩乃の悲痛な声が響く中、オニキスはムゲン魂の必殺技に吹き飛ばされながら地面に叩きつけられ、力なく倒れるとそのまま変身が解除される。

 

全身に痛みはあるが意識も有るし、体も動く。無理矢理痛む体を動かしながら、カードデッキを手に取る。

 

「まだ動けるんだ~?」

 

「ああ、流石に効いたけどな」

 

ダメージが有るのは隠しようが無いが、自身への回復技ならば扱えるし、未来から来たルパンレンジャーの存在がこの場で死ぬことはないと言う確信を与えていた為、多少無理のある行動も出来る。

 

とは言え、流石に最強フォームの必殺技の直撃を受けた以上、割と早めに雫から癒しの術をかけて欲しいのも現状だ。

 

口の中に溜まった血を吐き捨て、手持ちの手札でムゲン魂に対抗する手段を模索するが、辛うじて対抗出来る手段しか思い浮かばない。

 

(手持ちの手札じゃ賭けだな)

 

最強には矢張り最強をぶつけるかそれ以上をぶつけるしかない。

純粋に正面から打ち砕ける力が無ければ駄目だ、策や数程度で対抗出来るレベルではないのだ。

 

意を決してムゲン魂に対抗するための手札で有る龍騎ライドウォッチを取り出し、

 

「使わせて貰うぜ、城戸さん」

 

 

『龍騎!』

 

 

そのウォッチを起動させると四季の手元からウォッチが消え、オニキスのクレストが漆黒のドラゴンから金色のドラゴンの物へと変わる。

 

「それで何をする気なの〜?」

 

オニキスから龍騎へと原点回帰を果たしたデッキを、相手の問いに答える様にムゲン魂に向け、

 

「切り札ってやつだよ」

 

一枚のカード『サバイブ-烈火-』をデッキから引き抜き見せ付ける。

ネギま編におけるスーパー戦隊の力は?

  • カクレンジャー
  • ハリケンジャー
  • ニンニンジャー
  • シンケンジャー

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