日が傾き大きく照らしていた自然なオレンジ色から僅かに点在している街灯による人工的な白色の光に変わる。都市は一転し賑わっていた大通りからすら人が消え静けさが包み犯罪者が動き出す昼間とは違った顔を見せる高層都市パリアノ。
「手掛かりが無いですね」モモンガが住宅街の人がいない路地で愚痴る。「地下牢なら地下道に行けばいいかと思って入り口は見付けたんですけど鍵かかってましたしね」ぶんぶん丸が同意する。「入り口の鍵を
これが最初の注意書きにあった制限のことだったんでしょうかとモモンガが推測をたてる。「一度使ったスキルや魔法は再使用不可って縛りですか?」厳しいなぁと頭を掻きながらぶんぶん丸も愚痴る。
「戦闘になったら相手の強さに合わせた魔法を選ばないとと最後の方はじり貧になりそう」
「師匠は沢山魔法ありますしそんな心配要らないんじゃないですか?自分の方がスキルたいして持ってませんからヤバいです」
「魔法自体は多く覚えているんですけど役に立たないやつが大半を占めてますし、ましてや戦闘魔法の強敵用ともなると30位しかないんですよね」色々集めるのが楽しくてこうなっちゃいましたと説明してくれ収集癖のある師匠らしいなとぶんぶん丸は納得した。
二人は明かりが少ない薄暗い道を彷迷い歩いていると多種多様な外観の住宅があるパリアノにおいて一際異彩を放っているであろう建物から大きな破壊音が響く。多少遠かったが他に破壊音を邪魔するものはなくそれは二人の耳にも届いた。ぶんぶん丸が発信源である方角を指差し「彼方からでしたね。行ってみましょう」モモンガが頷くのを確認し走り出そうとした時「ギギギ」と近くあった下水道の蓋が開く音が耳に入る。
そこから這い出てきたのは大柄で骨格はそれに逆らう様に背は大きく曲りそのためか杖を片手に携えている薄汚れたゴブリンであった。腹部からは傷を負っているのか衣服に血が滲んでおり体格か傷のせいか動きはとても遅い。
二人はどちらに行こうか少し迷ったが這い出てきたのがゴブリンだと解ると目的のNPCかもしれないと考えそちらに向かいぶんぶん丸が声を掛けた。
「あの~すいません。あなたの名前を教えてもらえませんか?」「ああ?お前こそ何者だ。パリアノのゴブリンで俺を知らないやつはいないはずだぞ?」さては余所者だな?質問を質問で返されてしまったが話を進めるためにぶんぶん丸は答える。
「自分は別の場所から来たぶんぶん丸といいます。後ろにいるのは仲間のモモンガさんです」興味無さげに聞き流すと「そうかい、俺はグレンゾ」とぶっきらぼうに告げた。グレンゾは焦っているのか衣服から血が滴る重たい体で杖をつき少しでも早く立ち去ろうとヨタヨタと歩き出す。「ちょっと待ってください話を聞きたいんですけど」ぶんぶん丸は食い下がると「今は忙しいんだ今度にしてくれ」と取り合う意思がないのか吐き捨てるように断る。どうしようかと悩ませていると辺りからカタカタと歯車を噛み合わせている機械音が聞こえてきた。「ーもう嗅ぎ付けたか……」グレンゾがぼそりと呟くと「あれらを片付けてくれたら話でもなんでもしてやるよ」二人があれら?と首を傾げると三人に歯車で構成されている犬の体格をした機械人形三体が襲いかかってきた。
「ぶんぶん丸さん前衛お願いします!取り敢えず小手調べに弱めのスキルで攻撃してみてください!」
いち早くモモンガが指示を飛ばし戦闘体勢に入る。「りょ~かいです!」ぶんぶん丸が機械人形に向かい物理攻撃と命中率に3%補正がかかるスキル〈気合い〉を使用し棍棒を振り下ろした。避けようとしたが動作が間に合わず攻撃が当たると機械人形のHPが大きく削れたのが
唱えられた
「おお~、師匠っぽい効果でしたね~」ぶんぶん丸が残りの2体を相手にしながら感想を述べる。「使った
戦闘エリア辺り一体に炎が沸き立ち機械人形たちを燃やす。そのみとまま舞い踊る炎に焼かれた2体は消えていった。追跡者を殲滅し追手がこないことを確認すると「お前達やるじゃねぇか。ついでに1つ頼まれちゃくれねぇか?俺をアジトまで運んでくれよ。アジトでなら思う存分お前達とお茶をしてやれるからな」グレンゾが黄色い歯を覗かせながらにこやかに二人を誘う。二人は誘いに乗りグレンゾを護衛しながらアジトまで向かうのであった。