甲鉄城のカバネリ 鬼   作:孤独ボッチ

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 戦闘が大部分を占める為、難産でした。
 それではお願いします。





第六話

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 生駒が走り去るのを、想馬と無名は見送る余裕は勿論ない。

 今まで相手してきたカバネとは、比べものにならない敵を前によそ見する余裕

はないのだ。

 想馬は、鎗を持ったカバネに薙刀を構える。

 それを待っていたかのように、鎗のカバネは神速の踏み込みで鎗を扱く。

 想馬は薙刀でその一撃を打ち落とし、こちらも踏み込む。

 下段から斬り上げるように薙刀を振るおうとして、咄嗟に身を捻る。

 打ち落とした筈の鎗は、既に引き戻されており、想馬が一撃をお返しする前に

突きを放って見せたのだ。

 立て続けに放たれる突きに、薙刀を振るう隙が見出せず、ジワジワと後退を

余儀なくされる。何しろ、カバネとなって身体能力が上がり、尚且つそれを扱う

技術を遺憾なく発揮しているのだから当然と言えた。

 寧ろ、一撃目を薙刀で打ち落として、攻撃を阻んだ想馬の技量を、褒めるべき

だろう。

 一見、追い詰められているように見える想馬の顔に焦りはない。

 冷静に鎗のカバネを観察していた。

 一向に攻撃が当たらない事に、鎗のカバネの方も埒が明かないと思ったのか、

神速の突きを放った直後、動きが変わった。

 付き込んだ鎗を引き戻さずに、振り上げたのだ。

 そして、そのまま想馬の頭目掛けて打ち下ろした。

 戦国時代では鎗は、突くというより殴り殺す武器だったと、想馬は聞いた事が

あった。だからこそ、その一撃は、意外でもなんでもなく紙一重で躱す事が出来

た。更に鎗の動きは、薙ぎ払いが加わり激しさを増す。

(躱せない訳じゃないが、技の切れ目がない。反撃の隙は待ってもこなさそうだ

な。ならば、強引にでも作らないとな)

 ジッと耐えていた甲斐もあって、鎗の速度に目が慣れてきていた。

 集中力を最大限に引き上げる。

 突如、爆発音が響く。

 無名の戦闘音だと思われるが、想馬は原因など気にならない。

 寧ろ、爆発音に背を押されるように、想馬が動く。

 突きで想馬が左と避けると、鎗カバネは器用に突き出した鎗を振り上げ薙ぎ

払いの態勢に入る。

(ここだな)

 鋭い踏み込みで、一気に鎗カバネの懐に飛び込む。

 長刀を手放し、刀を抜こうとしたが、離そうとした手を咄嗟に止める。

 恐るべき反応速度で、鎗のカバネが後退したのだ。

 既に鎗も引き戻されている。

 先程の繰り返しが起きるかもしれない状況であるにも拘わらず、想馬はニヤリ

と不敵な笑みを浮かべる。

 そう、もう目は慣れたのだ。

 それに離れてくれたお陰で、薙刀の間合いになった。

 咄嗟に握り直した手に力を籠めて、薙刀を操る。

 想馬の並外れた膂力と握力があって、出来る力技である。

 鎗が突き出される瞬間に、薙刀が相手の鎗を持つ手に襲い掛かる。

「っグゥ!」

 相手も然る者で、このままでは鎗を使う手を潰されると判断して、突きの速度

を緩めて受けたのだ。

 古い時代の鎗は、全体が鋼鉄製である。

 刃がぶつかった瞬間に火花が散るが、斬れる事はない。

 だが、それは攻撃も防御も遣り難い悪手といえる。

 しかも、想馬の膂力で、鎗のカバネの身体が浮き上がる程の衝撃であった。

「疾ぃっ!!」

 そのまま振り抜き、相手の態勢を崩す。

 想馬も、人間とは思えない程の身体能力の持ち主である。

 同じく総金属製の薙刀を、まるで小枝でも振り回すように扱う。

 相手に態勢を立て直す隙を与えない為に、今度は想馬が息もつかせず攻め立て

る。相手も人間ではないとはいえ、崩れた態勢では防戦を強いられる。

 それでも鎗のカバネは、巧みに攻撃を受け、受け流し、徐々に態勢を立て直し

始めていた。

 そして、遂に薙刀を弾き返し、その隙に完全に態勢を戻そうとした。

 だが、想馬は弾かれた勢いを殺さずに、器用に薙刀を止め、石突を突き込んだ。

 自分を殺すには、刃を用いなければならない。

 鎗のカバネは、それを確信していたのか、反応が一瞬遅れる。

 石突が膝を突き砕く。

 肉が裂け、骨が割れる嫌な音と手応えが想馬の手に伝わる。

「ガァアア!!」

 突きを受けた衝撃で、鎗のカバネがグラリと傾く。

 その所為で、反撃に転じようとした鎗の一撃が逸れる。

 薙刀を素早く引き戻し、止めを刺そうとした想馬だったが、信じられない事に

鎗のカバネは片膝を砕かれたにも拘わらず、逆に座るように砕かれた方の脚を地

に投げ出し、座る事で態勢を安定させたのだ。片足だけで踏ん張るより、いっそ

座ってしまった方がいいと本能で察したのだ。

 普通なら座ってしまえば、上手く長い鎗を使える訳がない。

 だが、そこは人外。

 腕力だけで恐るべき威力がある。

 全てのカバネに言える事だが、この程度で戦意を失ったりしないのだ。

 ほぼ鎗のカバネの攻撃が突き一辺倒になる。

 速度が落ちたとはいえ、恐るべき一撃が想馬の薙刀を逸らす。

 腰の捻りと、鎗を扱く滑らかさは健在だった。

 想馬の方にも油断など、あろう筈もない。

 一切手を緩める事なく薙刀を振るう。

 鎗のカバネも突きのみで応戦する。

 その有様は、まるで刃と鈍器が荒れ狂う嵐のようなもので、他者が割り込もう

ものならば、一撃で千切れるか、薙刀の柄で身体が叩き割られる事になるだろう。

 両者譲らずに、武器を振るう。

 持久戦となれば、カバネが有利となる。

 傷とて時間が経てば癒えてしまう。

 それでも、想馬に動揺や焦りは一切ない。

 今、この瞬間に出来る事に集中しているのだ。

 最善を尽くす事のみに、神経を集中させ、他の余計な事を考えないのだ。

 そうこうするうちに、薙刀が突きで火花を散らしながら逸れたが、遂にカバネ

の鎧を削った。

「ッグガ!!」

 鎗のカバネが、()()()()()()()()()()()

 鎗の突きのみとはいえ、カバネが人として培った技量の全てを注ぎ込んだ突き

である。まだ若い想馬に、本来ならば破られる程、易いものではないのだ。

 嘗ての人だった体の記憶が、鎗のカバネに驚愕という人のような反応を引き

出したのかもしれない。

「疾っ!!」

 想馬が裂帛の気合と共に薙刀を振るう。

 今度は耳障りな金属音と共に鎗が弾かれた。

「ッ!!」

 座ってしまった事により、長い鎗の取り回しの自由がない事が災いして、薙刀

を受ける手はなかった。想馬の薙刀がカバネの右肘を断ち割る。

 鎗と薙刀。

 武器は違えど、同じ長柄の武器である。通じるものはあった。

 想馬は、冷静に相手を観察しつつ、カバネの技すら盗んで見せたのだ。

 まして、片足を失い動きの鈍くなった鎗は、想馬に扱い方を詳しく解説して

くれているようなものだった。

 振り下ろした勢いのまま、斜めに救い上げるように、器用に薙刀を振り上げる

と、これまたどこかで見たような動きで薙刀が首を薙ぎ払う。

 その動きは、鎗のカバネが乗り移ったかのようだった。

 カバネの手から鎗が落ちる。

 残心。

 薙刀を構えたまま、動きを止める。

 そして、カバネが完全に死んだ事を確信し、薙刀を下した。

 

「さて、生駒は無事に辿り着いたのか?まあ、まずは無名からか…」

 想馬は、無名の方の戦況を確認する為、辺りを確認した。

 

 

 

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 一方、無名は生駒が走って行った後、崖を走る蜘蛛のようなカバネの相手を

していた。

 今まで見た事のない攻撃手段だったが、無名は若くとも才のある武芸者で

ある。一々動揺したりはしない。頭の芯は冷静さを保っていた。

 常に甲鉄城と並走している為、無名はまず足を止める事を考えた。

(生駒じゃ、荷が重い相手だしね。好きに動き回らせる訳にはいかない)

 後を一瞬振り返り、想馬の様子を見れば、鎗の猛攻に曝されていたが、想馬

の顔に焦りはないのが、見て取れた。最初から想馬の心配はしていなかったが、

一応確認と自分に言い聞かせるように、一瞬だけ確認した。

 本来なら、無名にとって兄と慕う相手と一握りの人以外、どうでもいいと

考えた筈だ。一瞬とはいえ、確認する事自体が異例だと自分自身でも気付いて

いなかった。

 一瞬視線を逸らした隙に糸のようなものを伸ばしてきたが、無名はそちらを

見もせずに、首を僅かに動かすだけで躱して見せた。

 そして、前を向いた頃には不敵な笑みが浮かんでいた。

「お返しだよ!」

 自決用の火薬が詰まった袋を、そのカバネ目掛けて正確に投げると、短筒の

引き金を引く。狙いを過たずに自決袋を弾丸が撃ち抜く。

 爆発が起こる。

 一つでは爆風も僅かだが、蜘蛛カバネの脚が鈍る。

 無名は僅かな爆風など気にする事なく、片腕で目を庇っただけで走り続ける。

 相手との距離を詰めた無名は、両手に構えた短筒を連射する。

 爆風で動きが鈍っているカバネは、無名の弾丸を躱す事が出来なかった。

 正確に四肢を撃ち抜かれ、崖を掴む力が緩み、蜘蛛カバネが転げ落ちる。

 恐るべきは、その爆風の影響があってなお、正確無比な射撃を行える無名で

あろう。

 転げ落ちた蜘蛛カバネは、ただ転がり落ちただけではない。

 転がりつつも素早く崖を蹴ると、甲鉄城に見事に着地して見せた。

 当然ながら四肢を撃ち抜かれた程度では、蜘蛛カバネの動きに陰りは見られ

なかったが、無名は気にした様子もなく、相変わらず不敵な笑みを浮かべて、

蜘蛛カバネと対峙した。

 蜘蛛カバネが、威嚇するように唸り声を上げる。

 無名は短筒に仕込んだ刃を伸ばす。

 無名の眼は、カバネと同じように爛々輝く。

 全身の筋肉とバネを爆発させるように、甲鉄城の屋根を蹴って走る。

 その様は、まるで肉食獣のようであった。

 蜘蛛カバネの方は、牽制で口から黒い糸を放つ。

 無名は、黒い糸を速度を緩める事なく、軽々と避ける。

 続けざまに口だけでなく掌からも糸を放つが、一度攻撃手段が分かってしま

えば、無名にとって脅威でもなんでもない。

 蜘蛛カバネも後退しつつ、攻撃を続けるが、一向に当たる気配はない。

 カバネとしての身体能力も持ち合わせている無名にとって、後退しつつ攻撃

している相手に追い付くなど造作もない。

 至近距離まで接近された事で、蜘蛛カバネも地を這うのを止めて、素早く

立ち上がると、拳を握って構えた。

 無名が短筒の刃を懐に滑り込むように振るう。

 だが、蜘蛛カバネは後にスッと滑るように後退すると同時に、拳を繰り出す。

 刃と拳がぶつかり、双方が弾かれる。

 刃の腹を、蜘蛛カバネは狙って拳を繰り出したのだ。

 それに無名も抵抗する事なく、刃を引いた。

 下手をすれば刃が折れただろうからだ。

 だが、蜘蛛カバネは刃を弾いただけでなく、続けてもう片方の拳も間髪入れ

ずに繰り出していた。

 刃を弾かれた勢いに逆らわず、寧ろそれを利用して無名はクルリと姿勢を

下げつつ回り、回避と同時に遠心力を加えてもう片方の手に持つ短筒の刃を

振るう。それも蜘蛛カバネは、顔を若干傾けるだけで躱したが、突然生じた

衝撃に引っ繰り返る事になった。

 最初に弾かれた短筒で、蜘蛛カバネを至近距離から撃ったのだ。

「チッ!心臓狙ったんだけどなぁ」

 無名は舌打ちして、さして残念そうに聞こえない声で言う。

 蜘蛛カバネも普通のカバネではない。

 撃たれるのは避けられないと悟った瞬間に、咄嗟に心臓から射線をズラした

のだ。蜘蛛カバネも後転するように回り、素早く立ち上がると姿勢を低くする。

 無名も自分の持つ短筒では、威力が不足しているのは承知している。

 故に、接近して撃たなければならない。

 それを悟られたかもしれないのに、無名に焦りはない。

 蜘蛛カバネは、吠えるように低い姿勢から独特の跳ね上げるような動きで、

拳を次々と繰り出す。

 それを無名は避け、受け流し、逸らす。

 そして、それは突然起きた。

 拳の更に下から何かが飛んできて、無名の短筒を一丁弾き飛ばしたのだ。

「っ!?」

 無名には、それがなんなのかハッキリと分かった。

 黒い糸である。

 蜘蛛カバネは、手と口だけでなく、足からも放つ事が出来る事を隠していた

のだ。姿勢を低くしていたのも、足を隠していたからだったのだ。

 無名に決定的な隙が出来る。

 素早く蜘蛛カバネは、無名に飛びつき首筋に噛み付こうとした。

「なんてね!」

 独特の歩法で無名の姿が、霞むように消失した。

 蜘蛛カバネには、そう見えただろう。

 無名は、蜘蛛カバネの横に回り込むように動き、鋭く脚を一閃する。

 飛びつこうとしていた所為で、蜘蛛カバネは碌に抵抗する事も出来ずに、

一回転して屋根に叩き付けられる。

 流石に大人しくはなく、蜘蛛カバネは直後に呻き声を上げながらも、拳を

振るおうとしたが、無名に空いた手だけで流された挙句、膝で腕を押さえら

れてしまった。

「これで、終わり!!」

 短筒の刃を蜘蛛カバネの腕の斜め下から、突き上げると同時に引き金を引く。

 銃声が二発轟き、心臓被膜が燐光を放ち、破壊された。

 正確に肋骨の隙間に刃を滑り込ませ、固定してから銃口を押し付けるよう

に撃ったのだ。刺すだけでも倒せたかもしれないが、念を入れて二発撃ち

込んだのだ。

 

 無名は、肺に溜まった空気を吐き出すように息を吐き、視線を感じて振り

返ると想馬と目があった。

 

 

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 一方、生駒は天井のカバネを粗方片付けて、甲鉄城の屋根を疾走していた。

 嘗てない程の感覚のお陰なのか、自分の足元で惨劇が起こっている事が

分かった。既に生きた人間は、自分の足元には存在しない事も把握していた。

 本来なら、すぐに下へ降りてカバネを始末したい。

 だが、生駒にはやらねばならない事がある。

 まだ救える人達を助ける。

 それが生駒に課せられた使命といっていい。

 甲鉄城の屋根に残っているカバネが、生駒に気付き一斉に向かってくる。

 カバネが当初より明らかに増えている。

 原因は明らかだ。

 甲鉄城の血の匂いに誘われるように、次々と山に潜伏しているカバネが

無謀な方法で飛び付いているのだ。

 まだ、山を抜ける事は出来ない。

 一刻も早く、今いるカバネを片付けなければ大変な事になるだろう。

(想馬の言った通りだ。飛び移れる地形が多過ぎる。せめて崖を抜けない

とこれからも増えていくぞ)

 先頭のカバネの心臓被膜を破壊し、押し退ける。

 もう一匹を相手する間に、左右から次々とカバネが生駒に噛み付いて

くる。

 生駒は雄叫びと共に、正面のカバネを無名に教わった足払いで転ばせて、

貫き筒を心臓に押し当て、引き金を引く。

 次々とカバネが生駒の上に飛び乗って群がるが、生駒は無理矢理腕を

動かし、貫き筒の引き金を引きていく。

 心臓を破壊するのではなく、カバネを引き剥がすのが目的だ。

 カバネもここまで至近距離で、出鱈目に撃ち込まれれば、堪らない。

 生駒は拘束が緩んだ隙に、上に乗っているカバネを押し退け立ち上がる。

 丁度仰向けに倒れたカバネを始末し、倒れているカバネを屋根から蹴り

落とす。集中力が高まった生駒には、一斉に掛かってこられなければ、

対処は可能になっていた。

(いける!!)

 今や無名が教えてくれた歩法は、生駒の中に完全な形であった。

 想馬や無名のように流れるような洗練さは存在しないが、武骨だが確実

にカバネを始末していった。

 グズグズしていると、次のトンネルに入ってしまう為、生駒は全力で

走る。

 生駒の感覚は、もうすぐ最前線で戦っている車両に辿り着く事を囁いて

いた。そして、他とは違うカバネがゆっくりと最前線に向かっている事も

分かっている。

(この分なら、奴が来るまでに中へ飛び込める!!)

 生駒は甲鉄城の側面にある扉に、飛び降りる。

 開閉レバーを僅かな工具で、外していく。

 あのワザトリが近付いてくるのが分かる。

 焦りが募るが、生駒は自分を落ち着かせる為に、一つ深呼吸する。

 

 だが、その隙にワザトリが何故か加速した。

 

 

          4

 

 想馬と無名が、それぞれの戦いを繰り広げていた頃、甲鉄城ではカバネの

攻勢を防ぐ為に弾幕を張って抵抗していた。

 いくら威力の低い蒸気筒であっても、引き付けて近距離から撃てば、カバ

ネの進攻を止める程度の事は出来る。

 吉備土は、来栖の代わりに武士達の指揮を代行していた。

 実際に入り込んだカバネの数よりも、後からカバネと化した者が後から後

から湧いてくる。

 菖蒲も蒸気弓を使い、矢を放っていたが、矢の数は弾丸以上に少ない。

 すぐに菖蒲は事態を見守るだけになってしまった。

(せめてここからは離れない。最後まで見届けなければ)

 最早、何も出来なくとも彼女は、その覚悟を持って、その場に居続けた。

 しかし、ずっと撃ち続けていれば、連携も微妙に乱れてくる。

 吉備土は上手く指揮して、味方を鼓舞しているが、カバネは基本首を取る

か、心臓を破壊しなければ死なない。必然的に、連携の微妙な乱れだけで

許容出来る以上の接近を許してしまうのである。

 そして、遂にカバネが盾にへばり付いてしまった。

 不幸な事に、盾を持っていたのは他より若い武士と呼ぶにも幼さが残る

少年であった。

「平助!」

 菖蒲が声を上げるが、平助の腕力ではカバネに対抗する事など出来る筈も

なく、無情にも盾事引っ張り出されてしまった。平助が勢いのまま前に放り

出される。そこへカバネが我先に食らい付こうと群がった。

 誰もが悲惨な結果を想像した。

 だが、鋭い太刀筋がそれを打ち砕いた。

 その太刀を振るった主は、来栖だった。

 いつの間に守備隊の前に出たのか、分かった者は吉備土くらいだっただ

ろう。他の者達には、来栖が突然に現れれたように感じた。来栖は、この

時代に置いて、数少ない剣術を得意とする武士だったのだ。それも達人と

呼べる程の腕前であった。

 来栖は素早く群がるカバネの頸を落として見せたのだ。来栖とて武芸者

である。漫然と想馬や無名の戦いを見ていた訳ではない。そこから学んで

いたのである。相手が上手く平助を食らおうと、首を下に向けていたとい

う事も、上手く言った要因であるが。

「来栖!」

「来栖さん!」

 菖蒲と平助が声を上げる。

「菖蒲様。お下がり下さい。平助。サッサと立って下がれ」

「は、はい!」

 平助は、転がるように下がる。それを無様と笑う事は誰にも出来ないだ

ろう。九死に一生を得た直後なのだから。吉備土は素早く手を貸して、平

助を助け起こして下がらせる。

 それを合図にしたように、隣の車両からカバネが次々と現れる。

 来栖は刀の柄を握り締めて、正眼に構える。

 カバネが人の血を求めて、来栖に殺到する。

 刀が鋭い音を立てて舞う。流石に首を一撃で落とす事は容易ではない。

 心臓被膜の頑丈さは、来栖自身もよく知っている。故に移動手段を奪う

のが有効な手段である。それには、かなり上手く立ち回らねばならない。

 来栖は、カバネの動きを読み、次々と脚と首を斬り飛ばしていく。内心

で時代遅れと嘲笑していた一部の武士も、息を呑む活躍振りだった。

 今まで、本人も使う局面があるのかと自問自答しつつも、磨き続けた技

が今、輝きを放っている。来栖は顔には出さないが、高揚していた。それ

が更に技を研ぎ澄ます結果になっていた。

 血飛沫すら浴びる事なく、刀を振るい続ける。手が空けば、倒れて味方

の方に這いずって行こうとするカバネの首を刎ねる。それを繰り返した。

 そうしているうちに、動いているカバネは居なくなった。床は血と臓物、

それに生首が転がる地獄と化していたが、来栖の顔は誇らし気だった。

 後続のカバネが姿を見せない為、来栖は刀の血を払い、菖蒲達の方へ

振り返ろうとして、止まった。

 それに反応出来たのは、今までにない戦いに高揚し、意識まで研ぎ澄ま

されていたお陰であった。

 物凄い速さで車両に飛び込んでくる者があったのだ。

 来栖は咄嗟に刀を振るう。

 それは咄嗟の動きだったが、結果的に正解だった。偶然とはいえ、振り

下ろされた刀を受け止める事が出来たのだから。

 物凄い速さで突進からの上段からの一撃。

 辛うじて刀で受け止める形になったが、一撃の重さに押され、後退して

しまうった。

「なんだ!?コイツは!?」

 思わず来栖が声を上げてしまう。

 上段からの単純な一撃などではない。このカバネは、剣術を理解してい

る者の動きをしていたのである。僅か一撃ではあるが、達人の域に達して

いる来栖には、それが分かったのだ。来栖達にとって、カバネとは理性の

ない怪物であった。今までに、こんなカバネを駅に引き籠っていたが故に

見た事がなかったのである。

 来栖は、カバネ相手に鍔迫り合いをする愚を犯す事なく、刀身を滑らせ

るように、相手の刀を逃がすと同時に、自らも逆方向に逃れる。

 カバネは体勢を崩す事なく、脇差というか小太刀のような刀を片手で

抜き、二刀を構えた。構えからも只者ではないのが、来栖には見て取れた。

「二刀流だと!?」

 吉備土の驚愕の声が響く。

 カバネの膂力を持ってすれば、片手とはいえ、恐ろしい一撃となる。

 来栖は、集中力を高めるように息を吸い、吐く。

 カバネ・ワザトリが奇声と共に怒涛の勢いで攻めてきた。

 来栖は、冷静に左右から繰り出される攻撃を捌いて、隙を造り出すと、

負けじと攻めるが、左右どちらかの刀で受けられるか、弾かれてしまう。

 こと剣術に関して、来栖がここまで勝負を決められないのは、菖蒲も

見た事がなかった。

「カバネが…剣術を使うのですか!?」

 素人である菖蒲ですら分かる見事な剣捌きに、菖蒲の顔は血の気が引く

思いだった。

 来栖は、長引く勝負に徐々に焦りを感じ出していた。それは当然、体力

の問題である。カバネは疲れ知らずであるが、人間である来栖は違う。長

引けば、ドンドン動きが鈍り、劣勢になるのは目に見えている。来栖は、

一気に勝負を決める積もりで、相手の刀を掻い潜ると、鋭く深く踏み込み、

刀を振るった。

 狙いは小太刀。

 小太刀であれば、来栖の剣術流派の技で巻き落とし、返す刀でもう片方

の腕を落とせる。カバネ相手に、この技を使うのは初めてであるが、来栖

はこれに賭ける決断をした。

 だが、これが間違いだった。

 来栖の刀が折れたのである。

「っ!?」

 来栖が信じられずに目を見開く。

 ある意味当然の展開だった。どんなに上手く扱ったとしても、刀で人が

斬れる人数は限られる。ここまで刀が持っただけ僥倖と思うべきだろう。

 ワザトリが、この隙を見逃す筈もなく、巻き上げた体勢でがら空きに

なった胴に小太刀を突き刺した。

 刺された来栖が呻き声を上げる。

「援護する!!来栖に当てるなよ!!」

 吉備土が、声を張り上げ蒸気筒をワザトリに向けて発砲する。弾丸は、

ワザトリの額を掠めて飛んでいった。その事でワザトリの注意が吉備土に

向いた瞬間、一拍遅れる形で他の武士が蒸気筒を射撃する。ワザトリは、

鬱陶しくなったのか、来栖を床に捨てると隣の車両の扉まで飛び退く。

 その隙に、今度は平助が来栖に飛び付くようにして、吉備土達の下へ

引き摺っていった。それを横目で確認した吉備土は、声を張り上げる。

「一斉に放て!!」

 ワザトリは、銃弾の嵐にも動じる事なく、刀で弾き、或いは躱しながら

接近を試みる。それを見て、吉備土の額に冷汗が流れる。

(あと少し接近されれば、格闘戦を挑むしかなくなるぞ!!)

 吉備土達は、刀など持ち歩いていないし、そもそも所持も今時していな

い。そうなると、必然的に格闘戦をするしかなくなる。カバネ相手にだ。

 吉備土は、菖蒲に布で止血されている来栖をチラッと確認すると、覚悟

を決める。

(来栖が、ここまでやったんだ。俺達も相応の覚悟を見せなければな)

 体格に恵まれた吉備土でも、勝つのは厳しい戦いになるだろう。だが、

ここで諦める選択肢はない。吉備土は、いつでも蒸気筒を投げ捨てて、飛

び掛かる積もりでいた。

 しかし、その覚悟は、今回は不要になった。

 

 隣の車両から一体のカバネが、血を撒き散らしながら飛んできたからだ。

 

 

          5

 

 扉の向こうをワザトリが通過したのが、分かった。

(クッソ!)

 生駒が内心で吐き捨てると、作業の速度を上げる。

 漸く扉を外し、内側に扉を倒すと、丁度一匹口から血を滴らせたカバネ

が出てきた。一匹だけだったのは、来栖の活躍で車内のカバネが減った

からだった。不幸だったのは、カバネだろう。今の生駒にとって、一匹程

度のカバネなど物の数ではない。

 生駒は素早く後続がいない事を確認すると、その一匹に突撃する。カバ

ネの方も新たな餌に飛び掛かったが、あっという間に躱されて、足払いを

食らい、宙を舞う羽目になった。無防備な状態のカバネが、やけにゆっく

りと生駒には見えていた。ワザトリが誰かと戦い、退けたのを一瞬で確認

した。

(これが…カバネの能力か!)

 今は生駒自身の意志を持って、その能力を使う事が出来る。

 ワザトリが、武士と思われる連中に突っ込んで行くのが分かる。

 生駒は、とる行動を決める。

 宙に舞っているカバネに、蒸気筒を叩き付けるように押し付けて、引

き金を引く。勢いのままカバネが隣車両に吹き飛んでいった。生駒は、

それを追うように隣車両に飛び込む。

「そのワザトリは、俺が倒す!!」

 生駒が飛び込むと同時に叫ぶ。

 その大声にワザトリの動きが止まる。

 かなり接近されていた武士達は、これが好機と至近距離から撃とうと

するが、ワザトリが刀を一閃させた事で頓挫した。

「射撃、待ちなさい!」

 菖蒲が慌てて銃撃を止める。このままでは生駒まで撃ってしまう。

 このまま戦えば、こちらに攻め込まれ、甚大な被害を被っていたのは、

間違いない。それならば、生駒に任せてみて、その隙にこちらの体制を

立て直した方がいいと、菖蒲は判断したのである。

 その菖蒲の判断に、武士達は信じられないとばかりに凝視したが、気

にする余裕は菖蒲にはなかった。

 生駒が貫き筒を構え、ワザトリと相対する。ワザトリは二刀を構えて

奇声と共に斬り込んだ。鋭く威力のありそうな一撃だが、生駒の目は、

その攻撃を捉えていた。

(見える!無名の動きを思い出せ!)

 両の手から繰り出されるワザトリの斬撃を、ぎこちなさが残るものの

生駒は躱しながら、貫き筒を叩き込む隙を探る。そして、生駒にとって

僥倖が訪れる。

 

『そこはくるっと回ってチョンチョンパだって言ってんでしょ!?』

 

 無名にそう言われた時の自分の動きと類似した動きを、ワザトリがし

たのだ。勿論、あちらは武芸を磨いた元・武士であり、動きは生駒の

ものと比べるべくもない。だが、生駒の身体は教えられた事を忠実に

再現した。説明は意味不明でも動き自体は、見て覚えていたのだ。カバ

ネとしての身体が。

 ワザトリの視界から一瞬、生駒が消えた。

 ワザトリが驚いたように声を漏らす。

「動きが大き過ぎだな」

「グゥ!?」

 ワザトリが声の方に振り向いた時には、既に勝負が着いていたと

言っていい。

「全然なってないぜ!!」

 ワザトリが振り向いた瞬間、生駒の裏拳が頬に決まり、ワザトリの

身体が傾く、態勢を崩されてはもうどう仕様もない。身体が傾き踏ん

張った脚に生駒の脚が掛けられ、上半身に生駒の片腕が押し当てられ、

更に態勢が崩れた事により、ワザトリは床に叩き付けられた。ワザトリ

も、倒れた態勢から刀を腕力だけで振るおうとしたが、それより速く

生駒の貫き筒がワザトリの心臓を捉える。間髪入れずに引き金が引かれ

て、ワザトリの心臓は貫かれた。燐光を発して、ワザトリが動かなく

なる。

(終わった。…勝った…)

 そう思った時、生駒に正常な時間が戻った。その反動か、生駒は、

あまりものを考える気になれなかったが、無理矢理考える。

(戦う為には、あの感覚を自在に使えるようになる必要があるんだな)

 生駒は、ボンヤリとして精彩を欠いていたが、そんな事を考えていた。

()()()勝利です!!勝鬨を!!」

 菖蒲が逸早く我に返り、声を上げた。この機に、さり気なく生駒達

カバネリを自分達の仲間として扱ったのだ。あまりの事態に思考が追い

付いていない武士達は、その事に気付かなかった。

「六根清浄!!」

 逸早く、その思惑に気付き、乗ったのは吉備土だった。吉備土は武士

として、カバネリが戦力として使えるなら使うべきと、合理的に判断し

たのだ。危険を冒して人を助けに来たというのも、判断の理由ではある

が。

 六根清浄が勝鬨やカバネとの戦闘時に使われるのは、カバネが祟りの

結果、呪いを受ける事でなるとされ、五感や意識を清めれば防げると考

えたからである。生駒にしてみれば、失笑ものだが、それが未だに罷り

通っていたのである。

 吉備土が勝鬨を真っ先に上げた事で、他の武士達が釣られたように声

を張り上げる。来栖は、ある意味気絶していてよかったのかもしれない。

彼ならば、信用出来ないと異議を唱えていただろう。

「「「六根清浄!!六根清浄!!」」」

 それは伝染し、車両で生き残っている全ての人間が声を上げた。

 

 生駒は、それを驚いて見ていた。

 

 

          6

 

 想馬と無名がカバネ化した住民達を殺し終えた時には、生駒がワザト

リを倒して、勝鬨が上がっていた。二人が生駒達がいる車両に入ると、

生駒は疲労からか、座り込んでいた。

「おい。大丈夫か?」

 想馬が、勝鬨で盛り上がっている武士達を無視して、生駒に声を掛け

る。想馬の背から無名も顔を出していた。

「ああ。勝った!」

 疲労が濃いようだが、目立つ傷はない。どうやら無傷でワザトリを倒

す事に成功したようだと、二人にも分かった。

「あれくらいの相手に勝って貰わないと、盾として使えないよ」

 無名に褒める積もりはないようだ。それに無名は、眉を顰めて生駒を

観察していた。

「な、なんだよ?」

 無名の視線に居心地が悪くなったのか、生駒が顔を顰めて訊いた。

「アンタさ。立てる?」

「は?」

 無名の突然の問いに、生駒はポカンとした顔になった。

「立てるに…」

 生駒の顔色が変わる。脚が言う事を聞かなかったのだ。傍から見たら、

座ったまま小刻みに移動しているようで、滑稽な姿だった。当人からす

れば、大真面目なのだ。

(そういえば…()()()()()()()()()()()?)

 生駒の記憶は、ワザトリを倒した辺りからあやふやなもので、愕然と

なった。

「ああ。力の使い過ぎだね。自分以外のものが、ゆっくりに見えたで

しょ?」

「っ!!」

「やっぱりね。訓練不足だと、そうやって使い過ぎて自滅するんだよ」

「どういう事だ?」

 無名の言葉に、生駒が引き攣った顔で聞き返した。あの感覚を自在に

引き出す事で、強くなると思っていた生駒は少なからず衝撃を受けてい

た。

「カバネと違って、私達カバネリは脳は人間だからね。カバネの力を全

開にしたら、そりゃ負担掛かるでしょ。…って嫌な医者が言ってたよ」

 無名は自身でも理解していないようで、最後にボソッと受け売りであ

る事を告げた。

「兎に角!上手く使えるようにならないと、動けなくなったり、私の場

合だと呪いが回って眠っちゃうよ。戦場でそんな事になったら、死ぬし

かないからね」

 自分でも理解していないのに知った風に話すのには、ムッとした生駒

だったが、確かに実体験で動けなくなっていれば、間違いのない事実で

あるのは分かる。言ってみれば、極限の集中を常時発動しているような

状態であるから、脳に負担が掛かるのも頷ける。生駒は折角掴んだと思

えたものが、ハズレである事にガッカリした。

「まあ、近道はないってこった。これから頑張ればいいさ」

 想馬は気軽にそう言ったが、生駒の口からは重い溜息が漏れただけ

だった。

 

 そんな生駒を見て、無名は忍び笑いを漏らした。

 

 

          7

 

 戦闘が終了し、戦場掃除も粗方終了した後、今後の話し合いとなった。

「なっ!?カバネを使うと仰るのですか!?」

 阿幸地は、今回の失態から菖蒲に親鍵と指揮権限を奪い返されていた。

 阿幸地自身も、そこに弁明の余地はないと認めはしたが、菖蒲のカバ

ネリを戦力として使うという決定には、菖蒲の正気を疑った。

「我々は、二度に亘って彼等に助けられました。これでまだ疑うと?」

 菖蒲の毅然とした態度に、阿幸地は言葉に詰まった。結果的に自分の

失態を、カバネリと傭兵に尻拭いさせたのだから、反論はし辛い。

「しかし!コイツ等は血を欲するのでしょう!?大丈夫なのですか!?」

 来栖が今度は噛み付くように訴えた。

「そんな大量には要らないよ。それに一人から全部必要量確保する必要

もないし、器か何かに入れてくれればいいんだよ。噛み付いたりしない

よ」

 無名は来栖の言葉にムッとしたが、想馬の落ち着けと言いたそうな視

線に渋々そう答えた。

「血さえ与えていれば、理性が保たれるんだな?」

 想馬が皆が最も心配する点を確認する。

「うん。そう」

 無名は素っ気なくそう答えた。実は確実とは断言出来ないが、ここは

そう答えておくべきと察した無名は肯定した。このくらいの腹芸は無名

でも可能なのだ。

「そうか。なら使うべきだな。俺は菖蒲様意見に賛同する」

 真っ先に吉備土が賛同を表明した事に、来栖は目を剥いた。来栖は、

吉備土の真意を確認しようと、吉備土を睨み付けるが、平然とした視線

が返ってくるのみである。

(吉備土は、認めたという事か…)

 吉備土は情に厚いところが目立つが、冷静な判断も出来る男である。

 それ故に、来栖も信頼している。そんな男が認めた事に、来栖も静観

して、自分の目で確かめる必要を感じた。

「お二人には、私が血を提供します」

 賛同者が出た事で、すかさず菖蒲が畳み込む。

「お一人でですか!?」

 来栖が思わず声を上げる。無名は大量には要らないと言ったが、どの

程度の量か明言していない。心配するのは当然と言える。

「俺も協力する!男じゃダメって事はないよな?」

 逞生が手を上げて、協力を名乗り出た。そこから鰍、巣刈、侑那が手

を上げて次々と協力を申し出る。

「分かりました。そこまで仰るなら、止めません」

 生駒達を認める流れが出来上がってしまっては、これ以上の抵抗は無

意味と悟り、阿幸地は溜息交じりに言った。

「俺も賛同したからな。協力する」

 吉備土が笑みを浮かべて、来栖の方を見ながら言った。

「認めた訳ではないぞ。おかしな素振りを見せたら叩き斬る」

 来栖が苦い顔で手を上げて、協力をする旨を表す。仕える姫がやると

言っているのに、来栖がやらないという訳にもいかない。少しでも菖蒲

の負担が減るようにしないといけないのだ。

 

 それから暫くして甲鉄城は、暗い山を越えた。

 

 

 

 

 

 




 生駒はカバネリの力を上手く使えないので、無名と違い自在に
 適宜使用は出来ず、開放しっぱなしになっていました。
 
 平助が生き残りました。

 次回も時間が掛かると思われますが、お付き合い頂ければ幸い
 です。


 

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