オリジナル会に早く入りたい
誠さんが帰っていってから私は家に帰って言われたネックレスを首につけた。すると頭の中に声が出てきた。
《初めまして、わたしはマスターのゲイボルグです》
「え?え!なにこれ。頭の中に声が」
《声を出していただかなくても結構です。思ったことはこちらでも分かりますので》
(あ、そうなんだ。それでどうしてこんなことを?)
《あなたはマスターを見てなにも思いませんでしたか?》
(思ったけど私は違う時空の人間だから)
《それなのですが私の力で向こうに飛ばせます》
(え、今すぐ飛ばして)
《落ち着いてください。いくつかの条件があります》
(その条件って?)
《一つ目がマスターがいないと無理です。これは1週間後にもう一度来ることになってます。二つ目がもう二度とこちらの世界に戻ってくることができません。それはあなたたち人間にはとても辛いことのはずです》
(それは…)
《考えておいてください。後ネックレスは外さないでください。最後に私は今回のみの話になるのでお忘れなく》
(え?)
《では》
最後に言葉をかけることもできずそのまま声はしなくなった。わたしはネックレスをつけたまま外に出て風を浴びに向かった。
こっちの世界に帰ってきて俺は事情を弦十郎さんに話した。もう一度向こうの世界に行くこと、もしかしたらもう1人こっちの世界に連れてくるかもしれないこと。
「それが君の決めたことなんだな」
「はい。無茶を言ってるのは承知です。けど」
「なに、子どもの無茶を叶えてやるのが大人だ。気にするな」
「ありがとうございます」
本当に感謝しかない。この人は俺たち子どもの言うことを叶えてくれる。うちの奴らとはえらい違いだな。
俺はFISの奴らの現状を聞いた。やっぱり捕まったみたいだけど弦十郎さんがかなり手を打ったみたいでそこまで厳しくはなっていないらしい。俺は許可をもらい様子を見に行くことにした。
とはいえ今日はもう暗いので明日にするので家に帰ることにした。
家に着くと茜がキッチンに立って料理を作っていた。少しテーブルにも並んでいたがかなりのご馳走だ。
「今日って何かあったっけ?」
「ギャランホルンでのことお疲れ様」
「なんで茜がそれを!?」
「特別だって。家族だから教えてくれたみたい。もちろんまだ守秘義務はあるけど」
「そっか」
「それにしても風鳴家は私たちの正体を知ってるのかな?」
「どうだろうな?今の状態じゃなんともいえないけど」
「家のことがバレたら私たち二課にはいられないよね?」
「まず間違いないな。風鳴とうちは水と油だし俺は向こうのただの人形だしな」
「うん…それは必ず私が変える」
茜は声も顔も沈んだ。俺は頭に手を乗っけて撫でてやると少し嬉しそうにした。俺は少し続けてから机に座り飯を食べ始めるとそれに続くように茜も来た。
「そういえば明日FISの奴らの様子見に行ってくるよ」
「そっか。私もいきたいけど事後処理が残ってるからな〜」
「それが終わってからでもいいけど」
「ううん、お兄ちゃん1人の方がいいと思う」
「そっか、わかった」
俺は飯を食べ終わり俺は風呂に入ると部屋に戻って今日のことを思い出していた。茜が家のことを話すなんて珍しい。
明日のことを考えながらベッドに身を預けた。
俺は朝起きると、服を着替えて出かける準備をした。もうすでに茜は二課に向かって行っていたみたいで家には誰もいなかった。
家を出て俺は行き道にドーナツを買っていくことにした。確か3人だったから9個ぐらいでいいかな。買ったものを持ち指定の場所に向かった。いくらなんでも刑務所はやりすぎだと思う。今時の子を入れるなんてひどいと思う。けどやったことを思えば俺からはなんともいえない。
「司です。面会に来ました」
「話は聞いている。通れ」
警備員愛想悪いな。俺は廊下を渡り、面会部屋に来た。中に入ると囚人服のような格好で3人がいた。
「久しぶりだなマリア・カデンツァヴァナ・イヴ」
「長い言い方ね。司誠」
「フルネームはやめろ」
「あなたもやめてちょうだい」
「マリア知り合いですか?」
「この人は?」
「司誠。二課の人よ」
「2人とも知ってるよ。暁切歌。月読調だよな?」
「そうデス」
「はい」
「あ、そうそう。これみんなで食べて」
「わ!なんデスか?」
「切ちゃん落ち着いて、って聞いてない」
「全く切歌ったら食べ物には目がないんだから」
「まぁそれぐらいの方がいいんじゃないかな」
「そうかしら」
俺はそこからたわいもない話をした。事件の経緯を聞こうかと悩んだがそれを聞いたらこいつらは多分答えてくれるけど、わざわざ傷をえぐるようなことをしなくてもいいと思う。
それにあともう少ししたらあいつらも来るみたいだし俺はそろそろ帰ろうと思い最後に一声だけかけて帰ることにした。
「じゃあな。これから恐ろしい切れ味の剣がくるけど」
「え!ちょっと待ちなさいよ。誰のことかしら?」
俺は返事もせずに部屋から出た。後日一緒に行った茜から話を聞いてやっぱり翼はそういうことに関しては天才だと思った。
そこからとうとう約束の日が来て俺はギャランホルンの前に立った。そして触れると前と同じ景色のところに出た。こっちの世界に来たのは1週間ぶりなのにずいぶん久しぶりに感じる。
歩いていくと前から走ってくる梓だった。
「うわ〜」
「あ、いたた」
「誠さん!久しぶりです」
「ああ、久しぶり」
「じゃなくてちょっとだけ隠れさせて」
「は、はぁ!?」
そういいながら建物の影に隠れた。一体何事かと思いながら見てみると前から親父さんが走ってきた。けど見たことない。
「おい、こっちのほうに黒髪で腰ぐらいまで髪の毛が長い子が来なかったか?」
俺はその言葉を聞いてある程度の事情が分かった。けどこの場においては梓の味方をしようと決めて騙すことにした。
「その子ならさっき急いで向こうに走って行きましたよ」
「ほんまやろうな?」
「嘘だと思うなら勝手にどうぞ」
「ほうか、おおきにな」
そう言ってその男の人は指差した方向に向かって走り出した。そこから2.3分ぐらいだと思う。経った後に梓は隠れてた場所から出てきた。
「一体なにがあったんだ?」
「はじめは私はこっちに残るって言ったんだよ。そこから事情をお母さんが話したみたいでそこから血眼になって私を探している」
「はぁ?どういうこと?」
「実はーーーーーーー」
そこから俺は全部の話を聞いた。なんでも梓がこっちの世界に残るというと怒られたこと。両親たちは梓に幸せになって欲しいから俺たちの世界に来て欲しいこと。そして今日俺がくることを言ったがためになんとしてでも俺のいる世界に連れて行きたいらしい。
優しい両親だなと思うながらも俺は悩んだ。こっちの世界に残るという梓、娘には幸せになって欲しいからとこっちの世界に送り出したい両親。俺はどちらにつけばいいのか分からなくなってきた。
「それでこの後どうするんだ?」
「どうしよ」
「はぁ………それなら一度帰れ。その後俺も行くから」
「うん」
梓は一度家の方向に向かって帰っていった。俺も少ししてから梓の家に向かっていくと家の前付近でものすごい声が聞こえた。
「うるさい!ここに残るの」
「だから向こうに行ってきなさい」
俺はインターホンを鳴らすのに抵抗があったが俺は押すことにした。中に入ると想像以上に混沌としていてどこから手をつけていいかわからなかった。
「それで話をまとめると梓の両親はこっちの世界に行って欲しい。けど梓はこっちに残るってことだよね?」
「うん、私はこっちに残るつもりだから」
「だから向こうにいけと言ってるだろう」
「一ついいですか?」
「ああ、構わないが」
「なぜにそこまでして梓をこっちの世界に連れてきたいんですか?大事な子供じゃないんですか?」
「確かに大事な子どもだ。だからこそ幸せになってほしいんだ。この子は君に助けてもらってから君のことが本当に好きになったんだろう。だからこそだよ」
「ちょっと!お父さん!」
「私は昔からこの子には負担ばかりだったから幸せそうに話してるのは見たことなかったんだ。だからこそ本当に嬉しかった。君の話をしている時は嬉しかった。日数は少なかったが何回も何回も楽しそうに話してくれたからこそ君のところに行って欲しいんだ」
「だってさ。これはどうしようもないかな。ゲイボルグ」
俺は首に隠していた聖遺物を翳すと映像体の姿で出てきた。
《内容は聞かせていただきました。マスターが言いたいことはわかっています。けれどそれを行うと出力が今の半分ぐらいになりますが》
「それは今言う必要なかったと思うんだけど」
《あと常に体力を使っているものと思ってください》
「君たちは一体なんの話を?」
《あなたたちの娘さんに対しての少し機嫌を先延ばしにすると言うことです》
「ちょ、ちょっと待って!それって誠がしんどいんじゃ」
「気にすんな。覚悟が決まったらこっちにきたらいい。それにしんどいのは慣れてる」
「っ!!!それはそうかもしれないけど」
「そういうことです。家族全員でよく話し合って決めてください」
俺は決めゼリフを吐いて家から出て行った。そこからまたきた穴に飛び込んで行き帰って行った。帰ると少しずつだけど体力が減って行くような感じがした。これはなかなかに辛い。慣れるまでかなりの時間がかかりそうだ。
そこから少しすると刑務所にいた暁、月読、マリアが出社した。二課は各国に監視されるマリアの護衛に俺を選んだ。
「まさかあなたが私につくなんてね」
「いやか?」
「いやなんて言ってないわ。ただ、少し意外だったから」
「そっか。それで今度はどこに行くんだ?」
「今度はイタリアよ。お願いするわ」
「はいはい」
俺とマリアはホテルに泊まりに行き、そのまま次の日に備えた。マリアは歌姫として通っているが実際は全世界からの標的になっている。そんな奴は少しでも助けてやりたいと思って今回の依頼を引き受けた。
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