誠が怪我をする少し前チフォージュ・シャトー内部にてある人物たちがあっていた。
錬金術師でありながら世界を壊そうとするキャロル・マールス・ディーンハイム。
そしてもう1人パヴァリア光明結社、統制局長アダム・ヴァイスハウプト。二人が会うことは本来ではあり得ないのだ。しかしアダムの方から魅力的な提案をされたためにキャロルの方が許可したのだ。
「それでなんの用だ?こちらは今忙しい」
「そんなに邪険にしないでくれよ。僕の提案を聞く気になったから招待してくれたんだろう」
「ふん、貴様のことは信用できんがあいつはオレの計画にも邪魔だからな」
それはキャロルにとっても邪魔なやつの話なのだ。奴はダインスレイフの強化を受け入れずにそのままのギアで戦っているのだ。そんな奴は計画にはいらないのだ。だからこそキャロルはアダムの提案を受け入れた。
「それでやつを殺すいや足止めするのは誰なんだ?」
「これさ」
アダムが指を鳴らすと後ろから一人の人間がやってきたのだ。いや人間じゃないと思ったキャロル。姿形は人間なのだが発しているオーラが人間のものではないのだ。
「紹介しよう。彼は一度司誠に負けて僕たちが拾って改造したものだ。もっとも生命機関が停止していたために人間としての機能をほとんど持っていないがそれでも戦闘機能はかなりのものだよ。何よりこの状態になっても驚きなのが聖遺物であるゲイボルグを纏えるということだ」
「ほう」
「それでこれを君たちにかそう。ただ使えるのは彼の相手だけだ」
「構わん。それだけで十分だ」
アダムは返事を聞くとすぐに出ていく。元々拾ったものを改造したのだがそれが想像以上の効果を出したのだ。
しかしさっきキャロルに言ったことに一つだけ隠していることがある。それは確かに司誠と戦うがあくまで足止めなのだ。今回あの物にはギリギリまで戦わないように言ってある。
だからこそ足止めだけなのだ。
それ以上の思考はやめて自分の席に帰っていったのだった。
誠はある人物を探していた。SONGの中にはいなかったので街に繰り出す。それでも探している人物は見つからないのだ。そんな時に携帯が鳴る。
「誠くん本部に帰って来れるか?」
「わかりました」
誠は本部に向けて歩き出す。結局探していた人は見つからなかったのだ。探していた人物とは緒川さんだったのだ。
「誠くんきてくれたか」
「それで用事ってなんですか?」
「実はなんだが海に行くことになってな。ここ最近全員疲労が蓄積して休めていないだろう。それで季節的に海に行ってもらおうというわけだ。それで保護者的存在で君ということなのだが」
「構いませんよ」
「そうか。相変わらずだな君は」
「その理由を聞かない人も変わらないと思いますけど」
「それを言われると痛いな」
弦十郎さんは笑いながら答える。実際その通りなのだ。
誠から何も聞かずにいるのは弦十郎自身の優しさである。本来の人間ならば誠自身のことを聞きたいはずなのだ。風鳴家であるなら尚更。
それを聞かないのは弦十郎自身の優しさであった。
「水着は用意しておいた方がいいぞ」
「??俺宿舎で寝るだけですけど」
「まぁ一応だな」
「そうですよ。誠さんも持っていた方がいいと思います」
「あー緒川さん探してたんですよ」
「僕をですか?」
「また今度緒川さんの走りを教えてください。何回やってもできなくて。あのスピード」
「構いませんよ。また今度」
誠はその返事を聞いて司令室から出ていく。水着がいると言ってももうすでに寮で準備をしていることだろう。
茜のことだからもう用意をしているだろう。恐らく上に羽織るものも一緒に。司令室から出て寮の部屋についた誠は扉を開ける。
「おかえりお兄ちゃん」
「ただいま」
「それで水着なんだけど用意できてるよ。後羽織るものも」
「ありがとう」
「これなんて本当は着なくていいのに」
「気にすんな。所詮俺はその程度の存在なんだよ」
「でも」
「今はそれを言っても仕方ないだろ」
「うん、必ずお兄ちゃんを助けるから」
茜は決意していたが実際は無理だと思う。次期当主と言ってもかなり厳しいのだ。もうすでに俺に書かれている呪いは複雑に絡まった糸のように解けにくい。
それを解くにはまず俺自身の体力を完全に回復させてからゲイボルグ主体の解呪をして解けるかどうかなのだ。それでも可能性としては15%ほどらしい。
考えても無駄なのでもう諦めている。
「それじゃあご飯にしよっか」
「ああ」
飯を食べてここからはいつも通りの流れだ。後は待つだけだ。その海水浴までの間を。
そう思っていたら夜中にやってきたのだ。迎えの車が。
「誠さん、茜さん迎えにきました」
「了解」
茜は寝ていたので2回に分けて車の中に入る。中には切歌と調がいた。夜中のこともあって二人とも爆睡だ。起きてるのは助手席に座っているマリアと俺ぐらいだ。
「それじゃあ行きましょうか。あなたは寝ててもいいわよ」
「マリアが起きてるのに寝るわけにはいかないだろ」
「そう。なら話し相手になってもらおうかしら」
そこから着くまでの間話すと思っていたが小一時間ほど話したところでマリアも限界が来たのか会話が途切れ途切れになって一時間半経った時には完全に寝ていた。
あたりが明るくなることに俺たちの車は海についていたのだった。
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