ラブライブ!サンシャイン!!〜Aqours☆RIDERS〜 作:白銀るる
ビルドやオーズ外伝と同時進行で行うので、一シリーズごとの頻度は落ちてしまいますが、ご了承ください。
後書きと次回のサブタイトルを編集しました。
1/彼の心を再び動かすのはなにか
世界の破滅ってやつは、突然起きるみたいだ。
たとえば、アイドルのライブを楽しんでいたりする、その時に……。
三年前、「グローバルフリーズ」と呼ばれる現象が起きた。
それは、とある科学者によって生み出された機械生命体「ロイミュード」が人間に反旗を翻し、引き起こした未曾有の大災害だ。
その被害はこれまでの天災の比ではない。
多くの罪のない命が奪われ、また多くの人々が恐怖の記憶を植え付けられた。
どんよりとした世界で倒壊、炎上する建物。
何もかもがゆっくりと進む世界で、奴らだけが自由に動き回り世界を地獄に変貌させた。
俺はその地獄の中で親友を、そして家族を失った。
目の前に現れた怪物はいとも容易く命を絶ったのだ。
親友……ユウの体から赤く熱い液体が飛沫して、俺の視界は赤色の血で染まっていった。
ユウの向こう側には、左手に大きな砲身を装備した異形が立っていた。
銃口から煙が出ていたので、奴がそれでユウを撃ったのは明白だった。
ユウを撃った怪物は、今度は俺にその銃口を向けた。
銃とともに向けられた殺意、そして怪物の悦ぶ顔。
恐怖と怒り、憎しみが俺の中で混じり合う。
だが俺には反撃はおろか動くことすら許されない。
そんな俺を見て奴は更に歪んだ笑顔を浮かべた。
俺は生まれて初めて「死」というものを強く意識した。
ここ数日間のユウとのやり取りが俺の中に去来した。
些細なことで喧嘩をし、顔を合わせても直ぐに目を逸らしてすれ違った。
今日こそユウに謝ろう。そう思い振り返った直後の出来事だった。
すれ違ったはずのユウも体をこちらに向けていた。
きっと、アイツも俺と同じことを考えていたんだ。
けどそれは叶わなかった。
怪物は俺の息の根を止めるべく、ユウを撃ったその銃を発砲した。
刹那、俺と怪物の間に黒い影が割って入ってきた。
それも目に見えないほどのスピードで。
影はあっと言う間に怪物を追い詰めて倒した。
怪物が消えるとどんよりも無くなり、周りの速度は元に戻った。
怪物を倒した影は、また視認出来ない速さでどこかへ去って行った。
影が去った後、俺はユウを助ける為に病院に電話した。
だが何度かけても繋がらなかった。
後で分かったことだが、このどんよりは世界各地で起きていたようだ。
その後、ユウは俺の腕の中で息を引き取った。
俺は泣いた。
空は俺の心を表したかのように雲に覆われ、冷たい雨が降る中で俺は泣いた。
それからすぐ、俺の両親も怪物に殺されたことを知った。
そして俺は叔父である
これが、あの日俺こと泊
─R─
グローバルフリーズが起きてから三年、十九歳になった俺は正義叔父さんの計らいで、一年前から私立浦の星学院の生徒として学生生活を過ごしていた。
俺はユウと両親を失ったショックで不登校になり、最後は当時通っていた学校を中退してしまい、それを見かねた叔父さんが昔のツテで通わせてくれているのだ。
なんでも浦の星学院は統廃合の危機に瀕していて、共学化を図ったが成果は芳しくないらしい。
俺を含めても男子生徒は二人、全校生徒の1〜2パーセントと言ったところか。
周りはみんな女子ばかりで、正直いづらい。
だから昼休みなんかの空いた時間は、いつも一人で昼寝をしている。
「あ、あんなところにいた! 進太郎!」
……見つかった。
俺の名前を呼んでこちらに向かってくる金髪の少女。
俺が一人でいる理由は、先のこと以外にもう一つある。
そのもう一つの理由こそ、彼女であることにほかならない。
「今日こそスクールアイドル部に来てもらうわよ!」
ふんす、とまるでマンガのような鼻息をし、豊満な胸の前で腕を組むこの少女は小原鞠莉。
一見するとただの女子生徒だが、実は彼女の家の小原は浦の星学院を支える大企業で、
色々とツッコみたいところはあるが、いちいち気にしていたらキリがないので、俺は考えることをやめてその事実を受け入れた。
「あのな、小原、俺はスクールアイドルなんてやってる暇ないし、そもそも興味無いんだ。悪いが他を当たってくれ」
「もう……『小原』じゃなくて『マリー』よ。それに進太郎のことはオジサマから『面倒を見てくれ』って頼まれてるの。オジサマとの約束をブレイクするわけにはいかないんだから」
「いや、正義叔父さんとスクールアイドルは関係ないだろ」
むう、と頬を膨らませたのも束の間、小原は悪い笑みを浮かべた。
その顔を見て嫌な予感を感じるも時すでに遅し。
小原は俺の左腕を掴み無理やり立たせて引っ張る。
しかも逃げられないようにする為か、ガッチリと腕でホールドしてきた。
「ちょ! お前何して……!?」
「何って、進太郎が逃げられないようにキャッチしてるの」
本人がそう言っているのであればそうなのだろう。
だが何の事情も知らない人達の目にはカップルのように映ってもおかしくない。
おまけに凶悪なまでに大きな胸だ。
今、俺の腕は小原の腕と胸でロックされている。
嫌でも感触が伝わってくるのだ。
「あら~? 進太郎、顔赤いわよ~?」
「……お前、わざとやってるだろ」
睨むと小原はさらに腕に力を入れ、俺の腕はさらに谷間にうずまっていく。
「分かった! 分かったから離してくれ!」
「ダーメ。マリーにこんなに手間をかけさせたんだから、バツとしてこのまま部室まで行くわよー!」
「勘弁してくれ……」
どうにか抜け出そうと抵抗を試みたが、腕を動かすと変な声を出したため、俺は腕を捕らえられたまま連行されたのだった。
周囲の視線に耐えながら連行されてきたのは体育館、さらにその中にある部屋の一つだ。
部屋で待っていたのは八人の少女達。
と言っても彼女達が待っていたのが鞠莉だけであることは、その反応を見れば明らかだ。
ほとんどの者はポカンと口を開けたまま固まり、ある者は他の者の後ろに隠れてしまっている。
クラスメイトの二人──松浦果南は苦笑いをし、黒澤ダイヤは呆れた顔をしていた。
「鞠莉さん……貴女という人は……。申し訳ございません、泊さん。鞠莉さんにはきつく言っておきますわ……」
「そうしてくれると助かる……」
「えー! 二人ともひどーい!」
「わたしからも謝るよ。ごめんね、泊君。でも鞠莉も悪気があってやったわけじゃないと思うから許してあげて?」
「悪気はない……ねえ……」
さっきまでの仕打ちを思い返しながら松浦から視線を外す。
そんな俺の様子から松浦と黒澤は何かを察したようで小原を問い詰めた。
流石に大きな声で言うのは憚られたのか、小原は耳打ちで二人にだけ詳細を伝えていた。
すると、松浦と黒澤はみるみるうちに顔を真っ赤に染め上げていった。
そうだよな。それが普通の反応だよな。
「あの……」
アホ毛が一本ちょこんと立ったオレンジ色の髪の少女が俺に話しかけてきた。
まあ、突然連れてこられた未確認物体に興味を抱くなという方が無理な話だ。
「どうした?」
「もしかして『泊さん』って去年編入してきたっていう……」
「ああ、そうだ。まあ色々あってな。俺は泊進太郎だ」
「わたしは高海千歌って言います。こっちは幼馴染の渡辺曜ちゃん。それから少し前に転校してきた桜内梨子ちゃんと、一年生の国木田花丸ちゃん、津島善子ちゃん、黒澤ルビィちゃん。それから三年生の松浦果南ちゃん、黒澤ダイヤさん、小原鞠莉ちゃんの計九人でスクールアイドルやってます。グループ名はAqoursです」
高海に紹介された彼女達は俺に会釈した。
「よろしくな。あと『黒澤』ってことはもしかして……」
「ルビィはわたくしの妹ですわ」
俺が聞こうとした事柄を黒澤(姉)が不意に話しかけてきた。
どうやら小原への説教が終わったらしい。
「千歌さんが今おっしゃったように、わたくし達はスクールアイドルをしています。泊さんも名前くらいは知っていますでしょう?」
「ああ。確か学校単位で活動してるアイドルだったよな。最近だとプロのアイドルにも引けを取らないグループがいたり、卒業後はそのままプロデビューする人らもいるって話も小原から聞いた」
「流石進太郎! ちゃんと覚えてたのね」
「覚えるまで教えてきたのはお前だろ。まあ、それは一旦置いといて、何で俺をここに呼んだのかだ」
スクールアイドルのことは知ってはいるが、俺はそんなものとは無縁な人生を歩んできた。
その詳細を認知したのだって小原達と出会ってからだ。
そんな俺が何故
まさか、俺にスクールアイドルをやれ、と言うんじゃないだろうな……?
「実はね、進太郎にはAqoursのマネージャーになってもらおうと思うの。というかなってもらわないと困るわ」
「どういうこと、鞠莉?」
「進太郎って浦の星に来てからずっと一人でしょ? でもわたし達と話してるのを見ても、女の子が苦手っていう風には見えないし、
小原の観察力には恐れ入るが、ここで動揺する素振りは見せない。
これ以上、アイツに弱みを晒すのはどうにか回避したいからだ。
「仮にそうだとして、どうして俺がスクールアイドルのマネージャーにならなきゃいけないんだ? どうせ卒業まで一年もない。誰の記憶にも残らずにひっそりと消えてくさ」
「だーかーらー! それじゃダメって何度も言っているでしょう? オジサマから『進太郎がロンリーにならないように』って……」
「悪い、小原。ちょっと一人にさせてくれ」
「進太郎……」
俺のことで必死になる小原にユウの幻が重なる。
そしてグローバルフリーズの記憶がフラッシュバックした。
俺はその幻を消すために唇を噛み、部室から立ち去った。
─R─
小原達から逃げるように沼津の自宅──正確には叔父さんの自宅──に帰宅した。
いや、実際俺は逃げたんだ。
小原は友達のように……いや、アイツは俺に友達として接してくれている。
出来れば俺も小原達と友人関係を築きたいとは思っている。
けど、俺を縛るものがそれを許さないんだ。
あの日、ユウに本当の気持ちを伝えられなかった俺に、友達を得る資格なんてない。
「おかえり、進太郎。どうしたんだい? そんな顔をして」
俺の帰りを迎えてくれた声。
「ただいま、ベルトさん。学校でちょっとな……」
傍から見たら見えないナニカと会話をしているヤバい奴に見えるかもしれないが、俺の話し相手は存在している。
それは、今しがた俺の肩に乗った赤いミニカーだ。
彼の名前は「クリム・スタインベルト」。
曰く、「天才科学者の頭脳をコピーしたAI」らしい。
自称なのでどこまで本当かは分からないが、少なくとも恐ろしく知能が高いのは確かだ。
「その様子だと、いつも君が話している『小原鞠莉』関係だね?」
「まあな。なんでもスクールアイドルのマネージャーになって欲しいんだと」
「ほう! それはいい話じゃないか。君の心のリハビリにはもってこいだ!」
「あー……でもまだ返事はしてない。保留ってことにしておいてある」
このミニカーのどこに目、あるいはそれに準ずるものがあるのだろうか。
ベルトさんは今の俺の雰囲気を正確に感じとったようだ。
「進太郎。過去のことを振り返るのは悪いことではない。だが囚われ過ぎていては、君はいつまでも前を向けないままになってしまうよ」
「分かってる……けど、無理だ。忘れられねーよ。あのことは……」
俺に親身になって考えてくれるベルトさん。
彼との出会いはほんの数ヶ月前のことだ。
『わたしとともに戦士になって欲しい』
それがベルトさんとの出会いだった。
「戦士」、それは三年前にグローバルフリーズを起こした怪物、「ロイミュード」に対抗すべく生み出された存在。
三年前にも戦士は存在し、ベルトさんとともにグローバルフリーズを終息させたという。
あの時、俺を救ったあの黒い影。あれこそがその戦士だったのだ。
だが最後の戦いで戦士と最後のロイミュードは相討ちになり、彼はその消息を絶ったらしい。
それから三年もの間、ベルトさんは戦士となるに相応しい人間を探してきた。それが俺だというのだ。
もちろん、そんなものになる気はサラサラなかった。
俺はベルトさんを軽くあしらい、それでも彼は俺にアタックを続ける、そんな関係が数ヶ月も続いた。
その間、俺とベルトさんは徐々に距離が短くなっていき、今ではこうして話し相手になれるほどに発展した。
「進太郎、わたしは信じているよ。君の心のエンジンに再び日が灯るのを」
「……ありがとう、ベルトさん」
ベルトさんからのエールは、とても暖かい。
彼が機械であるとは思えないほどにだ。
だがそのエールに応えられる日が来ることは無い。
自分のなかで俺はそう完結させていた。
─R─
小原の誘いを保留にしてから一晩が明けた。
また虚ろな一日を学校で過ごした後、今日は小原に捕まらないようにすぐに教室を出た……のだが。
「小原……」
見つからないように慎重に進んだことが仇となり、先回りされてしまった。
「今日は逃がさないわよ、進太郎」
「別に逃げてねーよ」
「ねえ、ちゃんとわたしの目を見て話してよ。どうしてみんなを避けようとするの? そんなにこの学校が……わたし達が嫌い!?」
そう叫んだ小原は目尻に涙を浮かべていた。
出会ってから一年間、涙のなの字も見せてこなかったあの小原が泣いていたのだ。
「小原……」
「ほら……また『小原』って……。何度も言ってるじゃない。『マリー』だって」
あの時と同じだ。
一時の感情に任せて心にもない言葉を言い放ち、ユウを傷つけて言い争いになった。
本当はそんなことしたくなかったのに。
今度は本心を伝えようとせず、それで小原を傷つけた。
これじゃああの時と変わらない。変われない。
また失ってしまう。
失う? 何を?
自分自身へのその問いかけの答えはすぐに出た。
知らず知らずのうちに、俺は好きになっていたのかもしれない。
この学校や小原達のことが。
そうだ、好きじゃなきゃ友達になりたいなんて思わないじゃないか。
相変わらず、俺は気付くのが遅いんだな……。
涙を流しながら俺を睨む小原。
その怒りを宿した瞳は少し変化した。
俺が彼女の目を真っ直ぐ見つめたからだ。
「ごめん」、その言葉を紡ごうと口を開いた刹那、それはやって来た。
三年前と同じどんよりが。
声が出せない。体が動かせない。
いや、それよりも重大なこと。
これが起きたということは、この近くに奴らが……。
奴らは思ったよりも近くで現れた。
そう、俺の視界の片隅に。
「ここが浦の星学院かあ……。噂で聞いた通り女しかいねえ」
「へっへっへっ。ここなら良い顔が見れるかもしれねぇなぁ」
「手始めにあの女からやっちまおうぜ。そうだな……あそこに突っ立ってる男を殺れば良いか」
どんよりの中で普通に動いている三人組の男達。
物騒なセリフとともに奴らはその正体を現した。
奴ら……ロイミュード達は小原と俺を標的に見据え、近付いてくる。
逃げようにも重加速のせいで思うように動けない。
万事休すか……。
……また俺は守れないのか。
今度は俺自身が殺され、小原に……鞠莉にトラウマを植え付けてしまう。
心に一生消えない傷をアイツの心に残してしまう。
嫌だ。それだけは絶対に嫌だ。
動け! 動け! 動けよ!
俺は決めたんだ! 鞠莉達と友達になる!
そのために鞠莉を守る!
そんな俺の想いに呼応したかのように、遠くから四つのミニカーが走って来た。
いつもの赤いミニカーが一台と、オレンジ、紫、緑色のミニカー達。
そしてそれらは妙な形のベルトとブレスレットを俺の手に運んだ。
赤いミニカーが俺の手に収まった瞬間、俺を覆うどんよりが消える。
残りのミニカー達は、それぞれロイミュード達を迎撃した。
「このベルトは……?」
「やあ、進太郎。この姿のわたしと会うのは初めてだね」
「その声……ベルトさんか!」
「イグザクトリー! 君の熱いハートが彼らの目を覚まさせたんだ」
「彼ら……?」
小さいながらもロイミュードと互角の戦いを繰り広げているミニカー達。ベルトさんの言う「彼ら」とはあのミニカー達のことだろう。
「進太郎。君も彼らと……そしてわたしともに戦うんだ!」
「……ああ、分かった!」
「その『シフトブレス』とわたしを装着してキーを回せ! そして最後に『シフトスピード』を変形させてブレスにはめて叫ぶんだ! 『変身』と」
俺はベルトさんに言われた流れに沿って動き、鞠莉を助けたいという一心で叫んだ。
「変身!」
「ドライブ! タイプスピード!!」
ベルトさんの掛け声とともに俺の体は装甲に覆われていき、どこからか飛び出してきた赤い車から射出されたタイヤがたすき掛けのように体に装着された。
「これが戦士……」
「ああ。戦士、ドライブだ」
ドライブ……。赤い戦士。
力が漲ってくる。これならロイミュードと戦える!
俺がロイミュード達を見据えると、奴らと交戦していたミニカー達が戻って来て、ベルトの横のホルスターに収まった。
「彼らは『シフトカー』。
「シフトカーか。よし、それじゃあみんな、ひとっ走り付き合えよ!」
「オーケイ! スタート・ユア・エンジン!」
ドライブに変身した俺は、ロイミュードの懐まで駆け寄りパンチを叩き込んだ。
胸に「029」と書かれていたロイミュードは、後方に大きく吹き飛んだ。
更に周りにいた二体にも蹴りと打撃を浴びせ、俺は数でこそ負けていたが、戦況としては俺が優勢だった。
……いや、俺達は数でも負けていなかったな。
「ぐぅ……貴様、何者だ!? 何故重加速の中で動ける!?」
「詳しいことはさっぱりだ。けどこれだけは言える。鞠莉やこの学校の人達に手出しはさせない!」
俺の怒号に呼応し、ホルスターからオレンジ色のシフトカーが走り出した。
「彼は『マックスフレア』。炎の力を操るシフトカーだ」
「炎の力か。よし、俺の心の炎をもっと滾らせてくれ!」
マックスフレアは俺の言葉に答えるように体を発光させる。
俺はシフトスピードを外し、マックスフレアを変形させてシフトブレスに挿し込んだ。
「タイヤコウカン! マックスフレア!!」
赤い車から新しい形のタイヤが射出され、スピードのタイヤと換装される。
拳に力を込めると炎が発生し、沸き上がる力は更に熱気を帯びた。
再び襲いくるロイミュード達。
だが俺は拳と蹴りに炎を纏わせ、ロイミュードのボディを焼き尽くした。
「トドメだ進太郎! もう一度キーを回してからブレスのボタンを押してレバーを倒すんだ!」
俺はシフトカーをもう一度シフトスピードに代え、ベルトさんの指示通りの手順を踏んだ。
「ヒッサーツ! フルスロットル! スピード!!」
すると、ベルトさん達とともに駆け付けた赤い車が走り出し、ロイミュード達を囲んで逃げ場を奪う。
俺はその中へ飛び込み、車と連携して連続キックを叩き込んだ。
キックを受けたロイミュード達は爆発四散し、数字のようなものが二つ砕け散ったのだった。
「ナイスドライブ、進太郎!」
勝った……。ロイミュードを倒したんだ。
俺は大事なものを守れたんだ……。
「進……太郎……?」
ロイミュードが倒れたことで重加速が解け、止まっていた鞠莉がドライブとなった俺の名前を呼んだ。
「進太郎なの……?」
「あっと、これはその……」
ドライブに変身している俺を見た鞠莉は、まだ涙の痕は消えていないものの、驚きの表情を浮かべていた。
「ここで変身を解くのはまずい。彼女を連れて一度ここから離れよう」
「あ、ああ、分かった」
「え、ちょ、ちょっと!」
ドライブの装備を解除しようとすると、ベルトさんがそれを止めて赤い車を俺達の前まで呼んだ。
「このトライドロンに乗りたまえ。進太郎、運転は出来るね?」
「一応、免許は持ってる」
「オーケイ。わたしがナビする場所に向かうんだ」
「さっきから誰と話してるの!?一体どういう状況なのー!!」
未だに状況が飲み込めていない鞠莉を助手席に乗せ、俺はベルトさんのナビでトライドロンを走らせたのだった。
鞠莉)ちょっと進太郎!さっきのあれは一体何なの!?
進太郎)俺もさっき初めて変身したばかりで何がなんだか……。なあ、ベルトさん。ちゃんと教えてくれるんだよな?
ベルト)もちろんだ。だがその前にやるべきことがあるみたいだよ。
進太郎)やるべきこと……?これを読めばいいのか?えっと、次回「2/仮面ライダーとはなにか」
ベルトさん)仮面ライダーか……悪くない名前だ。