Angel Beats! the after story   作:騎士見習い

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番外編 月曜日の未明

「「「「お疲れ様でした!!!!」」」」

 

番組の収録が終わり楽屋へと戻る私たち。さすが売れっ子のバンドに用意される楽屋だけあって中は快適空間なんですよね。

おっと自己紹介がまだでしたね。私の名前は関根 しおり。通称しおりんです☆一応ガルデモのベースを担当してます。

今や私たちガルデモは大人気ロックバンドになってますけど、死後の世界じゃ全く考えられないことでしたね。

 

「はぁ疲れた〜〜」

 

モフッと気持ち良さそうなソファーにダイブする仕事終わりのOLみたいな仕草をしているのがガルデモの姉御的存在でリードギター担当のひさ子先輩です。見た目通りで大酒豪であり隠れて凄腕の雀士とスキャンダルの塊みたいな人ですけど、なくてはならない存在ですね。

 

「差し入れでお菓子貰ったのでよろしかったらどうぞ」

 

差し入れのお菓子をテーブルに置く小動物みたいな可愛い美少女は入江 みゆき通称みゆきち。ドラム担当でその可愛い容姿とは裏腹に殺人的なドラムさばきにファンも激増中!だけど、本当の中身は………。おっと口が滑っちゃった。

 

「ふぅ、おい関根、今日の番組収録は何点か点数つけてみ?」

 

私に点数を求めてきたのがガルデモリーダーの岩沢先輩です。担当はボーカル&リズムギター。その持ち前の歌声とテクニックでファンを魅了していく実力派です。ですけど、音楽キチという残念なギャップを持ってる可哀想な人です。

「そうですね。100点ですかね」

 

「殺すぞ」

 

「えっ!?番組の収録は完璧でしたよ!?」

 

「どこがやねん!しゃあない、ひさ子は何点やった?」

 

なんとも岩沢先輩のストレートな一言に驚いてる内にひさ子先輩に矛先が向いてしまった。

 

「そうだな、75点ってとこかな?」

 

「自分それ本気で言っとるんか?もし本当なら2chに『ひさ子:ふんどし常に装備』ってスレ立てるで?」

 

「いやいや!微妙な嫌がらせはやめろよ。じゃあ、岩沢お前は何点だと思うんだ?」

 

岩沢先輩の少しゲスい嫌がらせの提案を逃れるためにひさ子先輩は岩沢先輩に質問をして話をそらせようとする。でも、実際そんなスレ立ったらたくさんの人が保守してくれそうなんだけどなぁ。似合いそうですし。

 

「なんや知りたいんか。まぁ教えたる。………10点や10点!!10の隣に0を書きたす輩が出てくる10点や!」

 

「数学とかによく使ってたな〜」

 

「私も私も!」

 

「私はそういう時、クラスのガリ勉くんにおねだりして名前を変えたテスト用紙貰ってましたけど」

 

出た!みゆきちの真っ黒発言。これが小動物系女子を演じてるみゆきちの真の正体なのです!弄んだ男は星の数(本人曰く)ガルデモ一の悪女なのかもしれません。

 

「入江、お前次の演奏の時ドラムはちくわで叩け」

 

「そんなの無理ですよぅ。カウトダウンの時ペチペチとちくわの音が響き渡りますよ」

 

岩沢先輩は必ず実行させる人ですから、ガルデモの中で一番の常識人である私が止めるんですけど、毎回大変で。

 

「まあ、今はそんなことはええ。問題は点数のことや!なぜ私が10点なんかつけたか分かるか?分からんやろ!教えたる。さっきの収録してた番組のタイトルは!関根答えろ」

 

「えっと、『いいとも!』ですよね」

 

知り合い歌手の人にテレフォンショッキングの時に電話されて、みんなでお約束のいいとも!って答えたから今日その生放送収録だったよね。

 

「チッ、正解だ」

 

さっきの舌打ちは聞かなかったことにしよう。それがいいよね。

 

「関根の言う通り『いいとも!』だ。しかもテレフォンショッキングだぞ!そこでの出来事を思い出してみろお前ら!」

 

えっと確か………。

 

 

 

『はい、じゃあ今日のテレフォンショッキングはガルデモの皆さんどうぞ」

 

テーテッテテレテ『『『『どうも〜』』』』

 

『すごい数の芸能人たちからの花束ですねぇ』

 

『ほんと私たちにはもったいないですよ』

 

基本的受け答えは岩沢先輩とひさ子先輩に任せてます。

 

『まぁ、私が学生時代に貰った数よりは少ないですけど』

 

『……………』

 

『『『……………』』』

 

『えっと。人気のソロ歌手からのテレフォンでしたけど仲がよろしいので?』

 

『まぁ、音楽系の仕事でちょくちょく顔を合わせるのでご飯とか食べたりしてますよ』

 

『今ではガルデモの一人一人が彼女と友達だよな、関根、入江?』

 

『そうですね。たまに一緒に旅行したりしますし』

 

『ぶっちゃけ。私ああいう感じの女嫌いなんですよね☆』

 

『……………』

 

『『『……………』』』

 

『確か新曲が出るそうで?』

 

『はい。来月の下旬に私たちの11曲目になるMy Songよろしくお願いします』

 

『『お願いします』』

 

『みゆきちファンのみんな〜!買ってくれたらみゆきちはう・れ・し・い・ぞ♡』

 

『……………』

 

『『『……………』』』

 

 

 

 

「お、ま、え、は!生きた葬式か!!タモさんに謝れや!ほんとマジで!」

 

確かにあのみゆきちは酷かった。でも、そんな独裁者的なところが良いっていうファンもいるんだよね。ほんと人って不思議だ。今までは編集やらなんやらで大丈夫だったけど生放送しかもトーク系はまだ早かったと思うよ。

 

「そんなぁ〜。私は精一杯がんばったつもりですよ〜。あっ!もしかして岩沢先輩よりファンがいることを嫉妬してます〜?それは岩沢先輩が悪いんじゃなくて、この私!みゆきちの可愛さがいけないんです。グスン」

 

「あ〜〜やっぱりこいつ生理的に無理やわ」

 

「ごめんちゃい☆許して岩沢先輩♡」

 

火に油を注ぎ込むみゆきち。

 

「マジでこいつ、どついてええか?」

 

「待って待って!落ち着こうよ。岩沢先輩も抑えて抑えて。それとみゆきち!良い加減にしないと私でも怒るよ。もう」

 

収録中ずっと暴走するみゆきちを止めていたひさ子先輩はものすごく疲れていて今、この2人の仲介なんてさせるのは酷なものだと思うから今は私が2人を止めなきゃ。ひさ子先輩の胃のために!

 

「これだけならまだ10点までいかへん。ひさ子の活躍あって45点だったんやけど……。入江お前、あの時に爆弾投げ込んだの忘れたとは言わへんぞ」

 

「なんのことでしょうか?」

 

「x/100アンケートの時や!お前らまた思い出してみ」

 

 

 

 

『色々ありましたけど。x/100アンケート!』ワーー

 

『ハイハイ!私やりたいです!』

 

『おや?入江さんやる気満々ですね。他のみなさんは入江さんでよろしいので?』

 

『え、え〜と。私はいいいとも思うけど、なぁひさ子、関根?』

 

『あ、ああ。いいんじゃないか。本人もやる気満々なんだし』

 

『ええ。私も構いませんよ』

 

『みなさんも了承したということで、入江さん質問どうぞ!』

 

『じゃあ!私が芸能人の中で一番可愛いと思う人!100/100で!』

 

『…………』

 

『『『……………』』』

 

『タモさん早く早く』

 

『あっ、はい。じゃあ入江さんがガルデモの中で一番可愛いと思う人スイッチオン!』

 

テレテテテッ!テレテテテッ!テレテレッテッ!

 

0/100

 

『タモさんこれ壊れてますよきっと』

 

『『『……………』』』

 

『じゃあもう一度スイッチオン!』

 

テレテテテッ!テレテテテッ!テレテレッテッ!

 

0/100

 

『ざ〜んねん。みゆきちの可愛さはまだ伝わってなかったんですね』

 

『…………』

 

『『『……………』』』

 

 

 

「だから!お、ま、え、は!生きた冷凍庫か!ほんまタモさんに土下座しろや!観客にもや!」

タモさん、観客のみなさん心から謝罪します。

 

「私のせいじゃありませんよ〜!みゆきちの魅力に気づかない人がいけないんです〜」

 

「もうダメやわ。ほんまどついたるわ。かく「みゆきち良い加減にしなさい!!」

 

みゆきちの頬をビンタした私の手のひらが熱くなる。

 

「みゆきちの行動がガルデモのみんなに迷惑をかけるんだよ!それを自覚して!」

 

心は痛むけどこれもみゆきちのためなら耐えられるよ。

 

「ヒック、し、しおりんにぶ、ぶたれたーー!!!うわ〜ん!」

 

「おい待て入江っていっちまったよ」

 

ごめんみゆきち。でも……。

 

「行ってこい関根。そして気持ちを伝えてこい」

 

「はい!」

みゆきちは案外早く見つかった。楽屋からあまり離れてないトイレで泣いていた。

「みゆきち」

 

声をかけるとみゆきちは私の方を向くと

「ごめんなさぁぁい!!」

 

涙でグシャグシャな顔を私の胸に埋めて泣いていた。

 

どうやら、反省してくれたのかな?

 

「私の方こそごめんね。ぶったりして」

 

「そんなことないよ。私が間違ってたよだから許してくれる?」

 

「うん!また仲良くお菓子食べよみゆきち」

 

「わかった!しおりん!」

 

お互い抱き合う。そして楽屋に戻り岩沢先輩とひさ子先輩に怒られたのは言わなくても分かるよね。

 

 

「ふぅ〜終わった終わった」

 

「お疲れ様、関根。中々の内容じゃないか」

 

「しおりん……私ってこんなことしたことないんだけどなぁ〜」

 

いつのまにか後ろにいたひさ子先輩とみゆきち。どちらも額に青筋があるところを見るとだいぶご立腹で。

 

「こ、これは違いますよひさ子先輩、みゆきち!」

 

「私がスキャンダルの塊か……へぇ、関根は私をそんな目で見てたのか。ふぅ〜ん」

 

「さすがにこれは私でも許せないよしおりん?」

 

まさか見られてたなんて……。ううぅおしまいだ〜。

 

「番組の演奏で勝手にアドリブを入れた罰として活動日誌書かせたのはいいがどうやら反省してないらしいな。おい、どうする岩沢?」

 

「ん?別にいいんじゃないか?書きたいように書けばいいんだよそんなもん」

 

「い、岩沢先輩!一生ついて行きます〜〜!!」

さすが、岩沢先輩なんと寛大な心を持っているだろうか!

 

「そんなことより、次の出すアルバムのオリジナル曲のことなんだが」

 

その時………私たちは同じことを思ったのだ。

 

 

 

岩沢先輩……あなたは相変わらず音楽キチだ。

 

 




騎士見習いです!番外編といっても月曜日の未明の現世バージョンです。
いいとも!は少し古かったかな?まぁそこは気にしないで頂けるとありがたいです。
そして、みゆきちファンのみなさん!なんか悪女みたいな感じにしてすいませんした!不快な思いをしたらすんません!岩沢さんも然り。
でも、私としてはああいうみゆきち様に利用されてもいいかなと思う私が……。そんな性癖は持ってない……と思いたい。
では、あらためまして読んでくださってありがとうございます。そろっと本編の方へ行きたいと思っています。時期からするとクリスマスネタを考えてます。これからも応援よろしくお願いします。
(意見・感想・評価待ってます!!)

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