Angel Beats! the after story   作:騎士見習い

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番外編 年始の未明

はいは〜い。みなさんこんにちわ!しおりんこと関根しおりです。今日は、私たちガルデモが住んでる家の近くにある居酒屋さんに来てます。

飲み過ぎないように気をつけます!よく言いますよね。『酒は飲めど飲まれるな』って、だから全力でひさ子さんを止めます!

 

 

それはそれとして、私たちは、ドドーンと一括払いで買った一軒家をルームシェアして暮らしています。そっちの方がライブや楽曲の打ち合わせに便利ですからね。良いことも多いのですが、悪いところも多少はあるっちゃ〜あるんですよね。

 

例えばひさ子先輩が料理当番の時なんて……。

 

『ひさ子先輩、今日の夕食はなんですか?』

 

『どて煮だ』

 

『わ、わーい嬉しいなー』

 

または、桜が咲き乱れる春のある日。

 

『暖かくなりましたねひさ子先輩』

 

『そうだな。こういう日はどて煮を作るか』

 

『や、やったー』

 

はたまた聖なる夜のクリスマス。

 

『サンタさん来るかな〜』

 

『みゆきちが信じていればきっと来るよ!ですよね!岩沢先輩、ひさ子先輩』

 

『ああ、そうかもしれないな』

 

『サンタのためにも美味しいどて煮でも作るか!』

 

といった具合に完全完璧パーフェクトな、どて煮姉さんなんですよね。誰かに作ってもらったのが原因らしいですけど。

 

 

ひさ子先輩はまだマシな方なんです。岩沢先輩なんて、深夜二時とか三時に良いフレーズが夢に出てきたって言って、起こしてくるんです。本当に音楽キチですよ。

 

 

みゆきちもみゆきちで、お風呂に何時間も入ったりするし、ドライヤーも何種類も使い分けてるから光熱費が洒落になりません。

 

愚痴ばっかりですね。すいません。しょうがないですよね、年明けなんですから。

 

おっとっと。話が脱線してましたね。つまり、今日はみんなで去年のお疲れ様会兼今年もがんばろう会のために来たのです。

岩沢さんは曲のネーミングセンスは良いのに何でこういう時のネーミングセンスは残念なんだろう?

 

 

この店とはそこそこの付き合いなので、個室を予約なしでも使わせてくれるんです。

 

「とりあえず生四つで」

 

さすがひさ子先輩。みんなの分を頼むなんて尊敬しますよ。

 

「みゆきちは生よりもサワー派で〜す」

 

「何言ってんだ?今頼んだのわ、あたしの分だぞ」

 

たぶん、ひさ子先輩の血液はアルコールでできてるんですきっと。

 

「枝豆と冷奴と焼酎水割りで」

 

岩沢先輩は焼酎派と渋い。ひさ子先輩はオールマイティ。そして私はオレンジジュース派です☆

 

「店員さ〜ん、みゆきちはぶどうサワーと鳥なんこつをくださいな」

 

「私はオレンジジュースと焼き鳥の皮ください」

 

我ながらシュールな組み合わせだと思いますよ。

 

そこからは普通に食べたり飲んだりを楽しんでいましたが、地獄これからなんです!

 

できあがってしまった岩沢先輩による、年末の大反省会が始まるのです。

 

「ヒック、貴様らお待ちかねの反省会だぞコノヤロー!」

 

「はぁ……。始まったか」

 

心底嫌そうな顔をするひさ子先輩。今のところ生八つ、チューハイ三つ、焼酎二つ、ワイン二つと化け物みたいな量を飲みまくっている、アルコールキチになってます。

 

「まったく待ってませんでしたが待ってました!」

 

「大変な夜になりそうだな〜」

 

岩沢先輩はクイッと焼酎を飲み、グラスを力強く置く。

 

「紅白歌合戦。ひぃさぁ子ぉお前からして何点だったぁ?」

 

「さすがに初めてって訳じゃなかったから、そこそこ良かったんじゃないかな。まぁ、八十五点ってとこかな」

 

「それ本気で言ってるんか?そうだったら、お前の馬の尻尾引きちぎるぞ!」

 

「そこは素直にポニーテールって言えよな、まったく」

 

「うっさいわボケぇ!次は関根、何点だ?」

 

私にまわってきちゃいましたか。怒らせないように努力しよう。

 

「えっ〜と。七十五点ですかね」

 

焼酎ではなく水を口に運ぶ岩沢先輩。そして、体を後ろに反らして勢いよく、私の顔面に水を吹きかけてきた。

 

「『人の噂も七十五日』か!?バカ野郎!上手くもおもろくないわ!」

 

そんなつもりまったくないんですけど………。

とりあえずハンカチで濡れた顔を拭く。焼酎じゃなくてよかった。

 

「ったく、使えねぇな。最後に、期待も信頼もしていない入江!何点だ?」

 

「みゆきちのぉ〜点数は!ジャジャん!百点満点でぇ〜す!」

 

あっ、それは一番ダメな答えだ……。

 

「お前、次からドラムをきりたんぽで叩け。ついでに今日からあだ名はみゆきち改め。うざ、キチと名乗れ」

 

秋田県の名産品をそんなことに使うのはNGですからね。わざわざ、あだ名を区切るところに猛烈な嫌味を感じます。

 

「きりたんぽで叩いたら粳米(うるちまい)が飛び散っちゃいますよ」

 

何で粳米なんて知ってるんだろ?

 

「ほんまどうしようもないお前らに、点数教えたるわ。耳の穴かっぽじってよ〜く聞くんやで」

 

ゴクリと固唾をのむ。ひさ子先輩はゴクリと白ワインを飲んでいた。みゆきちはツルッと心太(ところてん)を啜っていた。

 

「三十九点や!サンキューとか言ったやつは、はっ倒す!特にひさ子!お前は四十苻二翻ザンクなんて考えるなよ!」

 

いくらひさ子先輩でも、こんな時まで麻雀のことなんて考えるわけないと思うけど。

 

「すまん、考えてた。詳しく言うなら八十苻一翻だ」

 

ううっ。私は誰を信じたらいいの?

 

「気にするなひさ子。この点数の原因を教えてやる。紅白歌合戦の始まってすぐのことや。思い出してみ?」

 

 

 

 

『NHK紅白歌合戦。紅組には大人気ガールズロックバンド。Girls Dead Monsterがいます!』

 

『『『みなさんこんにちわ!』』』

 

『みゆきちファンのみんな〜!み☆ゆ☆き☆ち☆だお!』

 

『『『……………………』』』

 

『………………えっと。関根さんはなぜ紅組なのに、青い服装なのですか?』

 

『可愛いからに決まってますよ。てへェ♡』

 

『…………………続いて白組には』

 

 

 

 

 

嫌な記憶は忘れやすいんだね。酷かった。あれは。

 

「第三の青組作ってんじゃねぇ!お前のせいで紅青白歌合戦になってたんだよ!読みづらいわ!歴史をぶち壊すなや!どこの革命家なんや!あぁ!?」

 

「可愛いみゆきちに免じて許してちょ」

 

火にハイオクを注ぐなんて。

 

「ほんまにどついたるわ。我慢できへん。ジョッキ貸してくれへんか?」

 

「落ち着きましょうよ岩沢先輩!ここで傷害事件なんて起こしたら、大変ですって!」

 

ジョッキを使ったらみゆきちが死んじゃうよ。

 

私の宥めが功を奏したのか、落ち着きを取り戻した岩沢先輩。

 

「まだあるんや。歌う直前にな」

 

頭が痛くなってきたよ。

 

 

 

 

 

『お待たせしました!ガルデモのみなさんです』

 

『今年最後の演奏!全力でするんで、応援よろしく!』

 

『みゆきちのドラム捌き見せても、いいかな?』

 

『………………』×大勢

 

『い、い、か、な??』

 

『………いいとも〜』×大勢

 

 

 

 

 

 

 

「なんでそれをぶっこんできた!?お前はタモリさんに恨みでもあるんか!!なんで観客も巻き込むねん!司会もえっ!?えっ!?どうすんの?みたいな顔してたんやで!」

 

「でも、結果盛り上がったじゃないですか」

 

「あれはひさ子が、馬の尻尾をデスメタルバンドみたいに揺らしてたからや!」

 

テンションが上がっただけかと思ってたけど、そんな深い理由があったなんて。それと、まだ馬の尻尾って言ってるんですね。

 

「あれは、正直ポニーテールが彼方に飛ぶかと思ったな」

 

ポニーテールを摩りながら感想を述べるひさ子先輩。同情します。

「だからあんなに馬鹿みたいに頭降ってたんですね。納得納得」

 

「おい、岩沢。新メンバーの募集しといてくれ」

 

「合点承知之助!」

 

殺る気満々の返事の岩沢先輩。

あのひさ子先輩をも怒らせるなんて、みゆきち恐ろしい子!

 

「待ってください!さすがに年明け早々にメンバーが変わってたらヤバイですって!深呼吸深呼吸!」

 

スーハーと息を吸ったり吐いたりする二人。さ、酒臭い。

 

「悪いな関根。迷惑をかけた」

 

一応落ち着いたらしく、水を煽るひさ子先輩。逆に岩沢先輩は怒りでゆでだこみたいに顔が真っ赤に変色してる始末。

 

「最後に!別番組の新年の挨拶をする時にやらかしたやろ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

『ガルデモのみなさんから!視聴者のみなさんに新年の挨拶をお願いいたします!!』

 

『わかりました!せ〜『新年あけましておめでとう〜〜!!これからもみゆきちの応援よろしくね〜〜♡』

 

『『『………………………』』』

 

『あ、ありがとうございます入江さん。次はみんなでお願いいたします』

 

 

 

 

 

「ひ!と!の!話、聞けや!!わいの掛け声無視すんなや!!そして被せてくんなや!!耳栓しとんのか?年がら年中耳栓してんのか〜??コラァ!!そして、お!ま!え!は疫病神か!?」

 

長い罵倒の言葉で軽い酸欠に陥っている岩沢先輩。

 

「罵倒を続行するで!お前は…………」

 

あれ?突然機能停止状態になってる。どうしたんだろ?

岩沢先輩の顔の色が赤から青白く変色してる。も、もしかして、ち、違うよね。

 

「ウッ!」

 

口を手で塞いでいる。

嘘嘘!信じない!

 

「やめろ岩沢!こんなとこで!」

 

「勘弁してください岩沢先輩!」

 

「もうやだー!!」

 

岩沢先輩も恋する乙女なので詳しくは言えません。ただ、阿鼻叫喚の空間が生まれたと言います。

 

後片付けが大変で今、私以外、みんな気持ちよく寝てます。

 

「Zzzzz。はい、て………ないから」

 

「Zzzzz。のみたり……ない」

 

「Zzzzz。かわいい♥いり、えたん」

 

寝言はあれだけど、こうして黙っていると美人だったり可愛いかったりで勿体無いな〜。でも、そこが私の好きなバンドのメンバーだから。

 

「これからもお願いします。みんな」

 

結局みんな、起きず私が一人ずつ背負って家に帰りました。

 

 

~年始の反省会の報告書~

 

記入者 関根 しおり

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ〜終わった終わった。もう、鬼畜ですよひさ子先輩も」

 

これで何度目の報告書を書いたんだろう?まぁ、いいっか。

 

「お疲れさん関根。紅白でアドリブの演奏を入れた、反省として書かせた報告書はとても素晴らしい内容じゃないか。色んな意味で驚いた」

 

「ほんと、しおりんって人を怒らせる才能は素晴らしいなぁ〜」

 

南無三!!咄嗟に逃げようとしたら、右肩にひさ子先輩の手。左肩に入江たんの手がガッチリと固定されてる。

 

恐る恐る顔を見ると、ひさ子先輩のポニーテールが生き物のようにうねっている。入江たんの額には何本もの青筋が出ている。

 

「関根が私のことをどて煮好きのどて煮姉さんと思っているとはな。遂にはアルコールキチと来たもんだ。まいったよ」

 

右肩が鈍い音を響かせる。お、折れる。

 

「私はうざ、キチで〜、歴史を壊して〜タモリさんを困らせて〜、疫病神なんだ〜。ふぅ〜ん。………覚悟はできてるよね?し♡お♡り♡ん♡」

 

左肩からも鈍い音が〜!!両肩が折れる!!

 

「ギブギブ!すいませんすいません!!」

 

「こう言ってるけど、どうする岩沢?」

 

どうか!私にご慈悲を神様岩沢様!

 

「ん?ああ、そうだな。別にいいんじゃないか。そんなもん書きたいように書けばいいんだよ」

 

あ〜!私の目の前に女神が、女神が見える!

 

「い"っじょう!づい"でい"ぎまず!!」

 

涙と鼻水で顔がグチャグチャになってるけど気にしない!

 

「ほんとにいいのかよ?報告書じゃ、お前エセ関西弁にゲロまで吐いてるんだぞ」

 

「でも、あたし。焼酎も飲むから、そこは本当のこと書いてるんだし、プラマイゼロってことでいいんじゃないか」

 

「変わってるなお前」

 

 

 

その日の深夜二時。

 

「みんな起きろ!正月早々、良いフレーズが浮かんだから聴いてくれ!!」

 

 

その時………………私たちは同じことを思ったのだ。

 

 

 

 

 

 

岩沢先輩………………あなたは新年が明けても、相変わらず……………音楽キチだ…………。

 

 

 

 

 




年が明けてませんがあけましておめでとうございます。これからもよろしくお願いいたします。

そして、皆様のおかげでハーメルン様にて一周年迎えることができました!!とても、長く苦しい戦いでしたが読者の皆様のおかげで生きてこられました。感謝感謝です。

今回は2014年最後の投稿ということなので正月ネタにしときました!大人気の未明の話です。楽しんでくれたでしょうか?相変わらず、しおりんは怒らせるのがうまいですね。いたずらされたーーい!!

今後は本当に何にも考えてません!除夜の鐘を聞きながら考えたいと思います。

では、あらためまして1年間ありがとうございます。これからも完結に向けて全力投稿でいきますので応援よろしくお願いいたします!
感想・意見・評価どうかよろしくです!

では、2015年にお会いしましょう。
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