Angel Beats! the after story   作:騎士見習い

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妹は世界の宝

さて、突然だが今ここで妹の話をしようではないか。

 

妹というのは、世間一般の兄にとっては邪険に扱われているのだろう。『妹うぜぇ~』、『妹、マジ邪魔』などなどなど……。

 

ここで一つ、こういう兄に一言言わせてもらおう…………

 

 

死んで妹に詫びろ!!!

 

 

 

妹とは至極であり至高の存在である。妹がいなければこの世界は成立しないといっても過言ではない。熱弁している俺も妹に癒されている。ありがとう妹!Thanks 妹!

 

 

とまぁ、熱弁を繰り広げたかというと昨日の遊佐こと遊佐衣ことクロ遊佐に半ば強制、脅され遊園地に連れていくことになってしまった。ふぇぇ~ほんとにこわかったよぉ~。

 

後々考えてみると、時間と集合場所だけ教えてもらったのだが肝心の日にちを教えてもらっていない時点で、俺は詰んでしまっている。ま、まさか毎日午前中は公園でスタンばってろという嫌がらせなの!?クロ遊佐恐ろしいぃ娘!

 

「あっ、そういえばお兄ちゃん。遊佐ちゃんからなんかお兄ちゃんに伝えてってLINEきたんだ」

 

初音にケータイの画面を見せられ、『明日、午前10時で夜露死苦Death♪』

と殺人予告よろしく殺意に塗れていた。これでドタキャンという最終奥義は使用不可となってしまった訳だ。

 

「お兄ちゃん明日、遊佐ちゃんと何かあるの?」

 

「ん、んまぁマネージャーの仕事だよ。ハハッ……」

 

そ~なんだぁ~と信じてくれる初音はマジかわゆす!!

 

「ねぇねぇお兄ちゃん!」

 

「なんだい我が妹よ」

 

ぐわんぐわん揺らされながら返答する。

 

「私ね……暇なの!」

 

「え?ひま、なのか!?クレ○ンしんちゃんの!?」

 

「た~い、たいやい~た~いって違うよ!!そっちじゃなくて退屈な方の暇だよ!」

 

自分で振っといてあれだが、想像を絶するほど可愛い。恥じらいながらもモノマネをする初音はヤバイ。

 

「椎名さんは仕事場で欠員が出たっていって走って帰っちゃったし。だからお兄ちゃんしか初音の楽しみがいないんだよ!」

 

昨日の晩、『良い休日であった。感謝するぞ二人とも』と言い残し、柔らかく微笑み月光が照らされる夜空を颯爽と駆け抜けていった。だが、それはそれ、これはこれだ。

 

「ふっ、甘いな初音。(トラップ)カードオープン!ちゃんと勉強してるか?一応受験生だろを発動!!」

 

「ぐぬぬ……それは禁止カードだよ!でも、お兄ちゃんがその気なら……。私のターン!ドロー!私は場の教科書、参考書を生贄に!E・ROBON貧乳を召喚!!」

 

なんとかノリで言ってるが実物を見るが初めてなのか、召喚する際に顔が赤く、E・ROBONを手にしていた手はプルプル震えていた。

そんなことより……。

 

「なんでそれを持っているんだぁぁぁ!!!初音ぇぇ!!!返しなさい!寄越しなさい!Pleaseぅぅーー!!!」

 

一瞬にして俺のライフは吹き飛んだ。

 

「椎名さんと掃除してて、偶然見つけちゃったんだ」

 

天井裏なんて掃除しないだろぉぉ……。絶対に意図的に掃除してたな貴様ら。

 

「まだまだぁ~!!後輩もの!天然もの!召喚!!」

 

「分かったから分かったから!!遊びます!遊ばせてください!」

 

「よろしい」

 

妹に性癖を知られるという恥辱。

 

「けど、何して暇を潰すんだ?この通りお兄ちゃんの家にはゲームとかないぞ」

 

悔しいが俺の部屋には暇を潰すようなものは一切ない。以前もかなでに指摘され凹んだ記憶がある。

 

「じゃあ折角だからショッピングゥ!」

 

親指を突き立て、元気いっぱいの初音でした。はい。

 

「仰せのとおりに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今時のJCのショッピングとは具体的にはなんだろうか?服、化粧品、雑貨屋、も、もしかして下着!?は、ハレンチです!

 

サクサク準備してサクサク電車に乗って都市部に着く。

 

照りつける太陽の光がそびえ立つビル群のガラスに反射し、ますます暑さが増している。それ+、夏休みだけあって、学生や家族連れが大量にいる。ポ○モンでいうポッポ並にエンカウントしまくっている。

 

そんな中、俺と初音はルンルンランラン♪と手を繋がず、腕を組んで歩いている。嬉しいけど、暑い!

 

「腕を組んでくれるのは嬉しいのだが、暑いです」

 

「初音とお兄ちゃんの愛の方が熱いから大丈ブイ」

 

暑さで壊れてるのだと信じよう。

 

「ショッピングって何を買いに行くんだ?」

 

「水着だよ」

 

「キャアァァ!!」

 

「いやいや何でお兄ちゃんが純真無垢な乙女みたいな悲鳴をあげるの!?」

 

「いや、こっちの方がいいかなって」

 

「よくないよ!」

 

「それは置いといてだ。年頃の女の子の水着を一緒に買うというのはお兄ちゃんとしては、ハードルが高すぎると思うのだが」

 

「ん~そうかな。水着ぐらい普通だと思うんだけど。それに初音は夏休み中に海に行きたいんだよ」

 

なぜに下着はダメで水着は大丈夫なのか分からないんだが、どっちも同じだろ?

違いを挙げるとしたら、防水性に優れてるかどうかの違いだと俺は考えている。

 

それはいいのだが……。

 

「海に行きたい?誰と?」

 

「誰って、お兄ちゃんでしょ、かなでさんに日向さんにユイさん、TKさんと椎名さん……あ!あと遊佐ちゃんと!」

 

ゆりと野田とは会ったことがないから人数に入っていないのはしょうがないとして、フルメンバーで行ったとしたら、海の藻屑と化すだろう(男が)。

 

「構わないが、ちゃんとみんなの予定を考えて誘うんだぞ」

 

「は~い。じゃ!水着を買いにしゅっぱ~つ!」

 

 

 

ここら辺で一番大きなショッピングモールに行くべく、現在地からトテトテと歩くこと五分。

 

「おお~!やっぱり都会だね!」

 

ぐるっと一周回れる円形のドーム型の吹き抜け構造で三階まであり開放的な空間が広がっている。洋服にスポーツ用品、スイーツに雑貨、ファストフードと何でも揃っているため、訪れている客は多かった。

 

 

その光景に初音は目を輝せ、上下左右に何度も何度も視線を行き来し興奮していた。

 

そういえば、一度も出掛けてなかったっけな。これも良い思い出になれば嬉しい限りだな。

 

「確か水着系の店は二階だからこっちだ」

腕を組みながらエスカレーターで二階に上がると、それらしき店が左側にあった。

 

「ほら、あそこにあるぞ……って初音?」

 

先程まで隣にいたはずの妹が突然消えてしまった。神隠し!?そんなオカルトありえません!ってことで辺りを見渡すと、水着の店にすでに着いており、マネキンが着ている水着を見ていた。

 

まだまだ子供だな、と幼さを感じさせる初音の元に向かう。

 

「黙って消えたら心配するだろ」

 

「ごめんなさい。つい興奮して気づいたらこうなってました」

 

犯行動機みたいな謝罪だったが、それほど楽しみだったんだな。

 

「ほれ、試着も自由みたいだし、お兄ちゃんは店前のベンチにいるから、気に入ったの見つけたら教えてくれ。今回は特別にプレゼントしてあげるから」

 

「え!?いいの?」

 

「いいともいいとも。正月に帰れなかったお詫びだ」

 

「ん~~!!!ありがとぉ~お兄ちゃん!大好き!」

 

最高のお礼とハグ。このためなら、たかが数千円安いもんだ。

 

店前で兄妹が熱い抱擁を交わしてるため周囲からは好奇の目で見られ始めてる。嬉し恥ずかしいとは正にこのことだろう。

 

「あ、あのね。初音、お兄ちゃんにも水着選んで欲しいの。ダメ……かな?」

 

「ダメじゃないダメじゃない。むしろOK!ウェルカム!」

 

「やった!早速見てね」

 

ハイテンションで了承したのはいいが、たとえ妹と一緒にいても場のアウェイ感が凄まじい。

 

俺の気持ちを知らずに何着も手にして試着室へと入っていった。

試着室の前で立つこと数分。

 

「じゃじゃ~ん!どう?」

 

現れた水着はワンピースタイプのの青の水着だった。何故か小物で麦わら帽子着用。

 

ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)みたいに心がときめくよ」

 

「ほうほう。では次はこれ!」

 

二着目は黒のビキニと誘惑的で下に巻かれた長めの白いパレオが透けているため、黒のレースの三角ビキニがますますエロく見える。

 

「これは大変素晴らしいが!こんな姿を他の男共には見せるのはダメ!これ以外にしなさい」

 

「ちぇ、じゃあこれは?」

 

続いて現れた三着目はパツパツのピチピチで紺色の水着。世間一般でいうスク水だった。しかも旧スクである。

 

説明しよう。旧スクとは上半身と下半身が別れているという、伝説の水着である。

 

捨てがたい気持ちを抑えつつ手でバツマークを作る。

 

「これもダメなの。それなら、お兄ちゃんが選んでよ!」

 

「いやいやそんな急に言われても選べるに決まってるだろ」

 

店の中に入った瞬間に俺の第六感にビビッときた水着があり、それを軽く引いてる初音に渡す。

 

自分が選んだものだけあって、待ち遠しい。

 

「いくよ」

 

試着室のカーテンが開き中からは初音ではなく人魚姫が出てきた。

 

「もしかして、似合って……ない……とか?」

 

あまりの光景に言葉を失っていたため、コメントができず初音を心配させてしまった。

 

「そんなことはない。とても似合ってるし人魚姫みたいだよ」

 

俺がチョイスした水着は、水色のビキニで胸元の上にはほんの少しのフリルが付いており、同じく水色のパレオスカートを着ている。

大人過ぎず、かと言って幼な過ぎない絶妙なラインの年相応の可愛らしさがあった。

 

「それは言い過ぎだよ。でも、これ可愛いしお兄ちゃんが選んでくれたからこれにする!」

 

どうやら、海水浴の楽しみが一つ増えてしまったようだ。さて、初音をナンパしようとする輩を一人一人狩る仕事も増えてしまったようだ。

 

 

 

会計をしたのだが、ビキニとパレオスカートはセットだと思い込んでいた俺は無事に爆死しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだかんだで駅から降り家の帰路に着く頃には夕方だった。

会話がなく手を繋いで帰る。そんな一時が心地良さを感じさせる。

 

途中、ふと思い出す。前の自分を……。

 

記憶を戻し転生していないはずの初音が、実の妹として存在していることに苦悩した。偽物なのか本物なのか、会ったとしてどうやって接していいか。ひたすら考えている日が何日も続いていたことがあった。

 

だけど、直接会って、話して、触れて、日々を過ごしいると、そんなことがどうでもよくなってしまった。隣にいるのは音無 初音。それ以上でもそれ以下でもない。

 

手に少しだけ力を入れ、誓う。これからもっと楽しかったり辛かったりする思い出を残していこうと。

 

 

おっとそういえばさっき、それ以上でもそれ以下でもないって言ったけな。

 

 

いい忘れたことが一つあるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の妹は宇宙一可愛い!!

 

 

 

 

 




燃え尽き症候群を半分ぐらい脱した騎士見習いです。

この度は色々な方々のおすすめラノベや二次小説を紹介していただきありがとうございます。

調子も戻ってきたところです。

今回は初音回です!
ああもう、まじかわゆす!こんな妹を超ほしい!

次回ですが、クロ遊佐との遊園地ってことで生きて帰ってきて音無くんということで。

では、あらためまして読んでくださってありがとうございます。これからは燃え尽きない程度に燃えていきますので応援よろしくお願いします。

いつまでも見習いの騎士見習いでした!

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