Angel Beats! the after story 作:騎士見習い
戦線初カップルとの出会い(新)
暑さがピークを迎える八月の中旬。
かなでたちと出会って二週間ほど経ったある日。俺のケータイが鳴りだした。
蒸すような暑さによって、ケータイの着信音にさえ殺意が芽生えほうになりながらも通話ボタンを押す。
「もしもし」
「かなでだけど、音無さん時間ありますか?よかったらこれからゆりちゃんと一緒にどこかに出かけようと思ってるのですが、よかったらどうですか?」
気づいた。かなではもしかしたら生きるオアシスなのだと。誘われたことへの嬉しさを体全体で表現したいのを我慢しつつ、coolに返す。
「いいぜ。じゃいつもの場所だな」
「待ってます」
「わかった。じゃあな、かなで」
「はい」
かなでと呼べることが嬉しい俺は少しにやけながら支度をはじめる。
これもすべてゆりのおかげだ。まさにゆり様様だ。なぜかというと今日以外に俺とかなでたちは数回遊んでいる。
ある日ゆりが、
『私たちはもう友達でしょ。だからこれからは下の名前で呼んでいいわよ』
と神発言をしてくれたおかげで今の状況になっている。
だが、ゆりいわゆる年上への敬意ということで俺は名字で呼ばれている。うむ、意味が分からん敬意だ。
支度が終わり俺は家をでた。
俺たちが言ういつもの場所というのは、かなでと出会った駅前から数分ほど歩いた裏路地にある、喫茶店のこと。
ゆりがいつも何をするか決める時に使っていると教えてくれたのだ。
最初は迷ったりしたが何回も行っているうちに今ではプライベートでも使っている。
喫茶店に着き、ドアを押し店の中に入る。ドアがカランカランと鈴の音を響かせながら俺は中を見回した。
造りは普通の喫茶店よりも少し大きいぐらいの少し落ち着くような雰囲気だ。イスとソファーが両端に分けられてカウンター席もある休憩するのにうってつけの場所だ。
かなでたちはいつもと同じように店の奥の席に座っていた。
「すまん。待ったか?」
「大丈夫です。私たちが早く来ただけなので音無さんは時間ピッタリですよ」
「ほんとあんたって几帳面よね」
「まぁな」
何気無いやりとりをしながら俺も席に座る。
「今日はなにをするんだ?」
「そうね〜ってあんたたちも考えるのよ!」
ゆりはちょっと怒ったがそれが面白かった俺とかなではクスクス笑った。
「笑うな」
少しふてくされたゆりをなだめつつ、俺たちは考えだした。
「カラオケはいった。ゲーセンも映画も行ったからな〜。まだ他にあるのか?」
勉強勉強の日々だった俺には考えられないほどのリア充っぷりに正直、何度か自分の顔面を殴って夢なのか判断してたのである。
「だからそれを考えるの」
そして少しの沈黙の後かなでが発言した。
「じゃあ〜また麻婆「「却下」」
息のあった俺とゆりの言葉でかなでは固まってしまった。
「えっ!なんでダメなの!?」
固まったのが解けたかなでは理由を聞いてくる。
「あんたね〜昨日も食べたでしょ。いい加減食べ過ぎなのよ、だからダメ」
「そんな〜。……もしかして音無さんもですか?」
目をうるうるさせながら見つめてくる。
反射的に庇いそうになる俺を察知したかのようにゆりは俺に向かって言った。
「音無くんダメよ。それで何回行ったのか分かってるの?少しは学びなさい。かなであなたもよ」
ビシッという効果音が付きそうな感じで言われてしまい、説教された俺とかなではしょんぼりした。
それからまた沈黙が続く。
時計の針が進んでるのに話し合いは一向に進まない中、一組のカップルが店に入ってきた。
俺たちのいる席が奥だから顔は見えないが微かに聞こえる話し声からすると年は俺とあんま変わんないぐらいだろう。
そう思っているとかなでが独り言のように呟いた。
「やっぱりカップルっていいな〜」
恋愛願望があることに小さくガッツポーズをする。ふぅ、かなでも女子高生してるんだな!!生まれ変わってよかったぜ!
「かなでは可愛いから学校でモテるだろ?」
もしも、ちょっかいを出すようなガキがいるなら即ぶっ殺ですよ。ハハッ♪
「そんなことないですよ」
「なに言ってるのよ。あんた男子に告白されたりラブレターちょくちょく貰ったりしてるじゃない」
「ヘェ〜やっぱりな」
殺るしかないのか。まずはそいつらの顔と名前を覚えて、それから住所特定……。
「あれってそういうことだったの!?」
まさかの爆弾発言。
「ちょ!?逆に何だと思ってたのよ!」
「ん〜〜友達としての好き、って思ってたから……」
これが全校の男子中高生の天敵である天然である。かなでの性格上誰にでも優しく接し、話してくれる結果。見事に砕け散るんだろうな。南無阿弥陀仏、安らかに眠れ男子よ──
「じゃあ、もしかしてその中に好みの男の子とかいたんじゃない?」
ズバッ!と聞くゆり先輩マジでカッコイイ!!
「ん〜いません」
「どうして?」
百合……なんてないよな?と予測不可能な事態に陥ることがないように震えながら願う。
「それはですね。えっ〜と年上の人が好きだから。特に音無さんぐらいがちょうどいいかな〜って」
それを聞けた俺は今すぐにでもプロポーズをしたかったが、そこは指輪も買ってないからググッと抑える。
「とまぁ、全部音無くんに聞かれてる訳だけど感想をどうぞ」
「ご馳走様でした!」
捕獲レベル想定不能並の食材だから俺には最高のフルコースだったよ。
「あ、いや、無し無し!!今のは無しぃ!!忘れてください音無さん!」
恥ずかしさで紅くなった顔で必死に言うが可愛い過ぎて悶えそうです。
「ふぅ〜ほんとにどうしよっか?」
空気は読むものじゃない吸うものだ、と言わんばかりの突然発言にかなでは諦めたかのように静かになる。
また振り出しに戻ったなと思いながらも考えるが、いい案が思いつかない。
だがこのままだと終わらないような気がするからダメもとで提案する。
「とりあえずぶらつこうぜ」
「うっ、やっぱりそれしかないか……」
ゆりも同じ結論になったのだろう。善は急げだ早速俺は席を立つ。
「そうと決まったら外に出ましょ」
「うん」
「ああ」
そして会計をしようとしたが、俺たちの後に店に来たカップルが先に会計をしていた。
近づくに連れて会話が聞こえてきた。
「先輩この後どうします?」
「そうだな〜適当にぶらつくか」
俺たちと同じ結果にいたったらしく、会計が終わったカップルがこちらを振り返った。
振り返った瞬間、俺はまたまた驚きで雷で撃たれたような衝撃が全身を巡る。
「お前たちだったのか……」
ちゃんと言葉にできたかすらわからなかったが、そんなことよりもあいつに出会えたことが嬉しかった。
俺は心の中で話しかけた。
久しぶりだな、日向、ユイ
ほんとに現役高校生のかなでちゃんとゆりっぺ
を書くのがこんなに楽しいなんて思いませんでした。
次もどうか温かい目で見守ってください。