Angel Beats! the after story   作:騎士見習い

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夢の続き

ゆりたちも満足したようで急に帰り支度をし、朝イチには帰ることとなった。

騒がしい日々が突然、静かになると寂しい気持ちになるものだ。そんなのは自分に似合わないことだと思いながら、規則正しい木の目を寝ながら見る。

 

「ダメだ、寝れん」

 

 

がばっと毛布を退かす。この数日の興奮が冷めてないのかな、と考えながら、頭を冷やすためにそっと部屋を出て、外へと向かう。

 

 

 

俺達が宿泊している旅館以外の建物はまったくなく、滅多に見られない星空を見上げながら、海岸の方へ歩き出す。

暑くはなく、むしろ心地いい気温と時折、吹き抜けるそよ風。

 

「死後の世界に、似てるかもな」

 

「何に、似てるんですか?」

 

 

突然の声に肩をびくつかせ、声の主を確かめるように後ろを振り返る。

月の光で煌びやかに光沢を発する髪がそよ風で巻き上がる。それを手で抑えながらこちらを見る彼女。

 

「眠れなかったのか?かなで」

 

「はい。こんな楽しかった時が終わると思うと、なんだが、寝れなくって。そういう音無さんもですよね」

 

「また一つ楽しみがなくなったと思うと、な」

 

クスッと小さく笑うかなで。

 

「どこに行こうとしてたんですか?」

 

「海岸に行こうとしてたんだ。頭を冷すついでに夜の海も堪能するつもり。どうだ、かなでも一緒に」

 

「もちろんです」

 

 

二人肩を並べ合い歩く。こうしていると、あの頃のような関係に戻ってきたような気がした。砂浜に着くと波の音がはっきりと聞こえるようになった。

月の光が反射し水面にはもう一つの小さな月ができている。

 

「来てよかったですね」

 

「ほんとにな」

 

互いに沈黙し景色を見続けているとかなでが沈黙を破る。

 

「死後の世界ってどういうことですか?」

 

 

心臓が飛び出るかと思った。予想をしていなかった質問に見開いた目でかなでを見る。

 

「聞こえていたのか?」

 

「本当は流すつもりだったんですけど、気になってつい。音無さん、死後の世界ってなんですか?」

 

再度振られる質問に数時間ともいえる時間が体感で時を刻み始める。

話すべきなのかそうでないのか、葛藤の渦に思考が焼き切れそうになるが、口を開こうとした瞬間、

 

「やっぱいいです。無理に答えなくていいんです」

 

 

「いや!……でも、俺は……」

 

「夢を、見るんです」

 

俺の言葉を遮るように話題が飛ぶ。かなでの目線は水平線の向こう側に向けられている。

 

「毎日って訳じゃないんですけど、音無さんと会ってから頻繁に見るようになったんです。その夢には一人の少女と少女と敵対する人達が出てくるんです。顔は分かんないですけどね」

 

 

すぐに分かった。一人の少女はかなで、敵対する人達は戦線。きっと、失った記憶の断片が夢という形で戻りつつあるのかもしれない。

 

「まるで壮大な映画でも見てるかのようなスケールでした。

そしてある日、彼女は一人の少年と出会いました。彼は他の人と違いました。友好を示し、彼女もまた心を開いていきました」

 

かなでの夢の話を聞きながら、俺もあの頃の思い出が次々と鮮明に出てくる。

 

 

「彼女も彼を知り、彼もまた彼女を知っていく。素敵な時間だな、って思いました。あ!あと、夢に出てきた激辛麻婆豆腐がとっても!美味しそうでしたよ!」

 

シリアスな雰囲気から一転、かなでらしい発言に声に出して笑ってしまう。

 

「そうなのか、俺も見てみたいなその麻婆豆腐を」

 

「見せてあげたいですよ。もう考えただけでお腹が減ってきちゃいましたよ」

 

両手でお腹を抑える可愛い仕草。

 

「それで?その二人はどうなったんだ?」

 

「それからは敵対してた人達とも仲良くなって、それまで以上に楽しい時間が過ぎていったんですけど、二人は離ればなれになって続きは分からないんです」

 

「分からない?」

 

「真っ白く靄がかかって気づいたら目を覚ましてるんです」

 

「そうなのか。けど、その少女ってかなでに似てないか?激辛麻婆豆腐を食べるってことは大好きなんだろ?」

 

少し首をかしげ、疑問的だったが何かが納得したかのように

 

「なら!少年は音無さん似てますよ。優しくって、頼りになって、激辛麻婆豆腐を食べるんですから」

 

熱弁しながら顔を寄せてくる。互いの息遣いが聞こえるぐらいの距離まで近づいていた。

かなではかぁ~と顔を赤く染め、残像が見えるほどの速さで遠ざかる。

 

「す、すすいません。つい。でも、その二人がもしも私と音無さんだったら、いいな。なんちゃって」

 

「なら、この際、その二人の続きを俺たちで創らないか?」

 

「続き、ですか?」

 

「うん。あの二人が俺たちに似てるなら、夢の続きが創れるんじゃないか?離ればなれになっても……」

 

「また、出逢ってるに決まってますね!私も音無さんも根性ありますから!」

 

 

俺の言葉の意味を理解しているのか微妙なところだが、まぁ、理解してないか。

 

 

「つまり、私と音無さんも二人みたいな素敵な、素敵な?じ、か、ん。ッッッ!!!」

 

 

ぼふん、と効果音が付きそうなほど顔を真っ赤にし座り込み顔を覆い悶え始めた。

 

 

「つ、つつまり!私と、おおお音無さんがそ、そういうか、かか、関係!?うぅぅ~!音無さんはそれでいいんですか?」

 

「俺はそうしたい」

 

顔を俯かせながら立つかなで。

 

「じゃ、じゃあ、ゆ、結弦。これからは夢の二人に近づけるようにがんばろ」

 

ああ、と笑顔で返事をする。

 

「んじゃ、帰ろっか。かなで」

 

「うん、結弦」

 

 

まだ付き合ってるかは微妙なラインだがそれでも、俺たちはようやくあの頃に着実に追いつこうとしてる。

 

彼女にとっては夢の続き、彼にとっては現実の続き。この日を境にようやく時は進み始めた。

 

 

 

 

 

 




どうも騎士見習いです。

海回終了!アンケートに答えてくださった、たくさんの、方々!ありがとうございました。ようやく、本編もラストに近づいてきてます!

待っててね!柔道家!筋肉マン!中二!オヤジ!

では!次回もよろしくお願いいたします!(意見、感想、評価待ってます)

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