GOD SPEED STRATOS   作:ジャズ

13 / 18
今日ランキングを見たらこの小説が乗っててビビりました……初めて1ヶ月でまさかここまでくるとは……
ここまでこれたのも読者の皆様のおかげでございます。本当にありがとうございます!
さて、今回なのですが、前回「台本形式で読み辛い」というお声を頂いたので、今回はセリフの前にキャラ名を入れるのをやめてみました。もし、これで大丈夫そうであれば次回からこの形でいこうと思います。変則的で申し訳ないです!!
では、お待たせしました。本文スタートです!


第十一話 停止結界vs高速のビジョン

 

ある日、総輝が廊下を歩いているとーー

 

「そ、総輝さん!!!」

 

後ろから総輝を呼び止める声が響いた。

振り向くと、そこには顔を紅潮させたセシリアが立っていた。

 

「どうしたんだ?セシリア」

 

「あ、あのですね……その……」

 

セシリアはモジモジとしており、中々切り出そうとしない。

 

「…?どうしたんだ一体」

 

見かねた総輝が声をかけると、セシリアは「ええいっ!」と意を決したように叫んで

 

「こ、今度の学年別トーナメントで!わ、私が優勝したら、その……わ、わ、私と……つ、つつつ付き合ってくださいましっ!!!!!」

 

「……ん?」

 

突拍子も無い発言に、一瞬思考が停止した総輝だった。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

次の日、教室ではある噂で持ちきりだった。

 

「ねぇねぇ聞いた?例の噂!」

「うんうん、今度の学年別トーナメントで優勝したら、学園の男子と付き合えるって話!!!」

 

殆どの女子達が件の噂の事を口にしていた。

その中には、鈴や箒も混じっている。

 

「も、もし私が優勝したら…い、一夏と付き合えると言うのか!」

 

興奮気味に言う箒に、鈴が箒の肩に手を乗せて

 

「残念だけど、あんたじゃ無理よ。専用機持ちじゃないもの?」

 

と笑みを浮かべながら言う。

箒は「ぐぬぬ…」と悔しそうに歯ぎしりしている。

その直後、クラスの扉が開き、男子四人(一人は女子)が入ってくる。

 

「よう、みんな」

 

爽やかな笑顔で挨拶をする一夏。

 

「みんな、おはよう」

 

天使のような笑みで挨拶するシャルル(シャルロット)。

 

「おはよう!!!」

 

クラス中に響く大きな声で挨拶するのは大牙。

 

「よう」

 

短く一言、いつもと変わらない雰囲気で挨拶する総輝。

 

彼らの姿を見た途端、クラスの女子達は慌ててその場から飛びのき、先につき始める。

 

「あ、あたし!そろそろクラスに戻るわ!!!」

 

そう言って、鈴も慌ててクラスから出て行く。

 

「わ、私も席に戻りますわ!」

 

セシリアも余所余所しい感じで席に戻り座った。

 

「何なんだ?」

 

「さあ……」

 

訳がわからず、首を傾げる一夏とシャルロットだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

〜放課後〜

 

誰もいないアリーナに、ISスーツを着た鈴は一人歩いていた。ここに着た理由は、学年別トーナメントに向けて特訓をする為だ。優勝すれば男子と付き合える……その噂が鈴のモチベーションを上げていた。

 

「あら?意外ですわね。てっきり私が一番乗りだと思っておりましたのに」

 

後ろから響いた声を聞き、鈴は振り返る。

そこには、ISスーツ姿で歩いてくるセシリアがいた。

 

「あたしはこれから学年別トーナメントに向けて特訓をするんだけど?」

 

「私も全くおなじですわ」

 

直後、二人の間に火花が飛び散る。

 

「…この際、どちらが上かはっきりさせるってのも悪く無いわね?」

 

「よろしくってよ。どちらが強くて優雅であるか決着をつけて差し上げますわ」

 

そして二人は、それぞれのISを展開し臨戦態勢に入る。

その直後、二人の間をなにかがすり抜け、轟音と共に土煙が舞い上がる。

なにが起きたのか、二人は慌ててあたりを見渡すと、黒い何かが視界に入る。

 

「あれは……!」

 

そこにいたのは、ドイツ製IS、《シュヴァルツェア・レーゲン》を展開し、不敵な笑みでセシリア達を見る少女、“ラウラ・ボーデヴィッヒ》だった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ーーイライラする!!

 

ラウラ・ボーデヴィッヒは湧き上がる怒りを抑えることができなかった。

原因はあの男、《織斑 一夏》だ。あの男は、自分の恩師である《織斑 千冬》の実の弟なのだが、彼がいたせいで千冬は第2回モンドグロッソで世界大会2連覇という栄冠を手放すことになった。

つまり、一夏は千冬に汚点をつけた張本人。故に自分は許せなかった。何故あのような男が千冬の弟で、しかも自分と同じ立場でISを学んでいるのか。

だから自分は、一夏を倒すーー倒さなければならないと感じていた。しかし彼は、自分には見向きもしない。勝負を何度申し込んでも、相手にすらされない。目の前に敵がいるのに、それと戦えないのがどれだけ屈辱的なことか。

 

そうして歩いていると、第三アリーナに到着した。理由は、特訓をする為だ……織斑 一夏を叩き潰すために。

だが、どうやら先客が二人いるようだった。しかもよく見ると、どちらも自分が知っている人物達。

 

「中国代表候補生の《凰鈴音》、イギリス代表候補生《セシリア・オルコット》……」

 

ラウラは彼女達の名を呟く。

すると、ラウラの中にあるアイデアが浮かび上がった。

 

あの二人は織斑 一夏のよく知る人物…ならば、あの二人を痛めつければ、必ず奴は現れる。そうすれば、否応でも私と戦うことになるだろうーーと。

 

そこまで考えたラウラは、思わずニヤリと笑みを浮かべると、すぐさま自身のISを展開し、そして発砲した。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「あんたねぇ……この前から一体何のつもりなのよ?!出会い頭にレールガンぶっ放して!!」

 

鈴が叫ぶが、ラウラは意に介さない。

 

「中国の《甲龍》に、イギリスの《ブルー・ティアーズ》か……フン、データで見たときのほうが強そうに見えたな」

 

ラウラは静かにそう言う。

 

「…なに?やるの?わざわざドイツくんだりからやってきてボコられたいだなんて、大したマゾっぷりね!

それとも、ジャガイモ農場じゃそういうのが流行ってるの?」

 

「あらあら鈴さん、このお方は共通言語をお持ちでないようですから、あまり虐めるのは可哀想ですわよ?」

 

鈴とセシリアがそれとなく挑発するが、ラウラは全く動じていない。

 

「…貴様達のような奴らが、私と同じ専用機持ちとはな。数しか取り柄のない国と、古いだけが売りの国は、よほど人材不足と見える」

 

反対に、ラウラの挑発に鈴とセシリアは乗ってしまった。

 

「この人、スクラップがお望みみたいね!!」

 

「そのようですわね」

 

二人は最終安全装置を解除し、完全に臨戦態勢に入る。

 

「二人がかりで来たらどうだ?くだらん種馬を追いかける雌豚に、負けるような私ではない」

 

ラウラのその言葉で二人の中の何かが弾けた。

“種馬”……それが意中の相手を指すということを、二人は察してしまった。愛する者をそのような言葉で卑下された事に、かつてない怒りが沸き起こった。

 

「その“種馬”は、一体誰のこと指してんのよおぉぉぉ!!!!」

 

「貴女だけは許しませんわあぁぁぁ!!!!」

 

そして、二人は同時にラウラに飛びかかった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

その頃、大牙は簪の専用機を組み立てる作業がひと段落ついたので、自室へ向けて歩いていた。

 

「大牙が手伝ってくれるお陰で、作業が今までより早く進んでる気がするよ」

 

「そうか?それなら良かったぜ。まあ、手伝うって約束だしな」

 

「えへへ……////」

 

大牙の言葉で顔を赤くする簪。

 

「(もし、学年別トーナメントまでに完成できたら、私が優勝して、それで……大牙と………!)」

 

簪がそんな思考に陥っている時だった。

 

「第三アリーナで専用機持ち同士が模擬戦やってるらしいよ!」

 

生徒達の慌ただしい声が響く。

それと共に、多くの生徒が走って第三アリーナの方へ向かって行く。

 

「僕たちも見に行こうよ!」

 

シャルロットの提案に皆頷き、第三アリーナへ向かう。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

第三アリーナで総輝達が目にしたのは、セシリアと鈴のコンビを相手にたった一人で圧倒するラウラだった。

 

「ラウラ?!」

 

大牙が思わず叫ぶ。

 

鈴が龍咆を放つが、それはラウラに着弾する前に何かに阻まれる。

 

「あれは……?」

 

「AICだよ。《アクティブ・イナーシャル・キャンセラー》。停止結界とも呼ばれる」

 

総輝の問いにシャルロットが答える。

その後も、ラウラは巧みにAICを使用して攻撃を無効化、反撃で右肩のレールガン、そしてワイヤーブレードを使ってセシリアと鈴を圧倒する。

 

「こんなの…模擬戦なの……?」

 

簪が声を震わせながら呟く。

確かに、今のラウラの戦闘スタイルは模擬戦と言うより、最早一方的な暴力に等しかった。

ワイヤーブレードで二人を拘束し、飛び蹴りや拳を無慈悲に打ち込んでいく。

そんな光景を、大牙は無意識に拳を握りしめて見ていた。

 

「(こんなの……ねえだろ…ただあいつらを痛めつけてるだけじゃねえか!!)」

 

そして大牙は走り出した。

 

「ちょっと、大牙?!」

 

簪が後を追いかける。それに続いて、シャルロットと総輝も後を追う。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

戦闘が始まり、まず仕掛けたのは鈴からだった。

両肩の龍咆を一斉に斉射する。対してラウラは回避行動もせずにただ右手を前に出している。

 

そして着弾の瞬間、龍咆の弾丸は見えないバリアに阻まれたように動きを止め、爆散する。

 

「無駄だ。如何なる攻撃も、この《停止結界》の前では無意味だ」

 

ラウラは不敵な笑みでそう言うと、ワイヤーを射出し鈴の足をとらえる。

その直後、セシリアから二発のミサイルが発射され、ラウラはそれを回避するがその先には4機のビットが待機していた。

とっさにAICを使用してそれらを止めるが、セシリアはこの瞬間を狙っていた。

 

「動きが止まりましたわね!」

 

そう言って、《スターライトmkⅢ》を構える。

 

 

「……貴様もな」

 

ラウラは右肩のレールガンを展開し、すぐ様発射する。セシリアの銃とラウラのレールガンが同時に火を吹き、お互いの弾丸を相殺する。

その直後、ラウラがワイヤーで捉えた鈴をセシリアに投げつける。

セシリアと鈴はその衝撃で地面に落下する。

 

「こうなったらっ!!」

 

鈴は龍咆を発射しようとするが、

 

「…この状況で衝撃砲を使うのは愚策だぞ」

 

ラウラは右肩のレールガンで龍咆を破壊する。

しかし、ラウラがレールガンを撃ったその直後を狙い、セシリアがミサイルで攻撃、見事に命中させる。

その隙に、二人は後退し距離をとる。

 

「…あんな至近距離でミサイルぶっ放すなんて、あんたも中々無茶苦茶ね」

 

「苦情なら後でお聞きしますわ。でも、これなら流石にあの機体も……」

 

だが、煙が晴れると無傷のラウラがそこに居た。

 

「…終わりか?ならば今度はこちらの番だ」

 

するとラウラは、再びワイヤーを射出すると、それを鈴とセシリアの首に巻きつけ引き寄せる。

そして、ある程度引き寄せたところで、二人に殴る、蹴ると言った攻撃を加え始めた。

その攻撃で、二人の機体の装甲が徐々に破壊されていく。

 

シールドエネルギーがみるみる減少していき、やがて二人の目の前に《生命維持域超過》という警告のメッセージが表示される。このままではセシリアと鈴の命に関わる事態になる。

が、ラウラはそんな事にはお構いなしに暴行を続ける。やがて、なす術なく自分にやられる二人を見て、ラウラは優越感を感じ笑みを浮かべていた。

 

その時だった。

 

ラウラアァァァァァァァァァ!!!!

 

叫び声とともに、ラウラの顔面に何かが直撃する。

衝撃でラウラは後ろへ少し吹き飛ぶ。

 

体制を整えて顔を上げると、そこには鋭い目つきでラウラを睨みつける大牙が立っていた。大牙がラウラの顔面に渾身の飛び蹴りを放ったのだ。

 

「てめぇいい加減にしろよ!!あんな戦い方があるか!!!一方的に痛めつけて、こいつらに何かあったらどうすんだ!!!!」

 

大牙がそう叫ぶが、ラウラは「ふん」と息を吐き出すと、

 

「何か問題があるか?私はただこいつらと戦っていただけだ。ただこいつらがザコだった…それだけのことだ。

ジャマだ、さっさとどけ。でなければお前から殺すぞ」

 

そう言ってラウラは、レールガンを大牙に向ける。

それを見て大牙は怒りを押し殺して、低い声で告げる。

 

「性根まで腐り切ってやがるなてめぇ…わかったよ。ならもう容赦はしねぇ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

てめぇだけは絶対にゆ゛る゛さ゛ん゛っ゛っ゛!!!

 

そう叫ぶと、大牙は右手を高く掲げる。

すると、遠くから何かが飛翔する音が響き渡る。ラウラはそれに気づくとあたりを見渡す。

すると直後、ラウラの周りを何かが直撃し、そして大牙の方へ飛んでいく。

 

Hirschkäfer(クワガタムシ)……?」

 

ラウラがそう呟いた直後、大牙の右手にクワガタムシ……《ガタックゼクター》が収まる。

 

「《変身》!!」

 

その掛け声と共に、大牙はガタックゼクターを腰の銀のベルトに差し込む。

 

《HENSHIN》

 

やや高めのエコーがかかった音声が流れ、大牙の体を六角形のパネルが覆っていき、やがて大牙は全身を青と銀の装甲でできたスーツに変身が完了する。

 

「何かと思えば、全身装甲の時代遅れのiISか……呆れたものだな。そんなものでこの私と戦うつもりか?」

 

ラウラはため息をつきながら、侮蔑の視線でそう言う。

すると、「大牙!!」と呼ぶ声が後ろから響く。

大牙が振り返ると、後ろには簪とシャルロット、そして総輝の三人がいた。

 

「…みんなは鈴とセシリアを下がらせてくれ」

 

大牙は彼らにそう告げる。

 

「大牙……わかった」

 

簪が心配そうな視線で大牙を見ていたが、やがて決意したように頷き、ISを解除して気を失って倒れている鈴とセシリアの方に駆け寄る。シャルロットも同じように駆け寄り、簪が鈴を、シャルロットがセシリアを背負って下がっていく。

残った総輝は、じっと大牙を見つめていた。

 

「……大牙…」

 

総輝は表情を変えずに静かに友の名を呼ぶ。

大牙はそれに対し、静かに頷いた。

 

「ここは俺にやらせてくれ」

 

大牙がそう言うと、総輝は少しの間黙っていたが、やがてふっ、と軽く笑うと、

 

「…いいだろう。やり過ぎるなよ」

 

そう言って、くるりと回って下がっていった。

それを見届けた大牙も再びラウラと向き直る。

 

「…相談は終わったか?ならば行くぞ」

 

その言葉を皮切りに、まず大牙が突っ込んだ。

だがやはりAICは突破できず、ラウラの前で金縛りにあったように動かなくなる。

 

「くそっ……!」

 

「さっきから何度も見ていただろう?この停止結界の前では、如何なる物も有象無象の一つでしかない」

 

そして、ラウラはレールガンを至近距離の大牙に向けて発砲し、大爆発とともに大牙は大きく後方へ吹き飛ばされる。

 

「ぐああぁぁぁぁっ!!」

 

「…やはり敵ではないな。第1世代のIS如きで、この私とシュヴァルツェア・レーゲンの前に立ちはだかろうとは。まして貴様のそのIS……どうやら飛べないらしいな?ならば尚更だ。飛べないISなど、虫ケラ同然だ」

 

吐き捨てるようにラウラはそう言う。

が、大牙は立ち上がると

 

「……だろうな。たしかにこのフォームじゃテメェとは戦えねぇ………だったら!!!」

 

そういって、大牙は腰のガタックゼクターの角を少し開く。

チャージアップの音と共にオレンジの電流が上半身を流れ、分厚い装甲が徐々に浮き上がっていく。

 

「《キャストオフ》!!」

 

《CASTーOFF》

 

ガタックゼクターの角を完全に後方へ展開すると、再び電子音声が流れ、浮き上がった銀の装甲が一気に吹き飛ぶ。

 

「なっ………くっ!!」

 

装甲の一部がラウラの方へ飛んでいき、ラウラはそれを思わず両手で顔の前を覆って防ぐ。

次にラウラが見たのは、青いスマートな人形のモノだった。

顔の両脇から、クワガタムシの角が上がり、両目が真紅に輝く。

 

《Change Stag Beetle》

 

「……ふん、姿を変えたところで、この停止結界を破れると思っているのか?」

 

ここで、停止結界……《AIC》についておさらいしておこう。

AICとは、ISの推進機関であるPICを応用したもので、対象物を一定の範囲内で強制的に停止させることができるというものだ。発動には多大な集中力を要するが、これによって一対一の対決では無類の強さを誇る。

……ただし、それはあくまで()()()()の話。

 

「うるせえ。精々高速のビジョンを見逃すなよ……ついてこれるんならな!!!」

 

そう、高速移動が可能な仮面ライダーの前では、AICなど無用の長物と化す。

 

《CLOCK UP》

 

大牙が腰の横についたボタンを叩きつけるように押すと、電子音声が鳴りーーーーー消えた。

 

「何っ?!!」

 

ラウラは慌てて辺りを見回すが、ガタックの姿は捉えられない。

直後、ラウラの後頭部を何かが直撃した。頭を衝撃が走りすぐ様後ろを振り返るが、そこには何もいない。

すると今度は腹部を殴られる感触がラウラを襲う。

 

「うぐっ……!!」

 

呻き声を上げて倒れそうになるが、なんとか踏み止まる。

だがその直後、ラウラの下顎が殴られ、衝撃で舌を噛み切ってしまい口の中に血が滲む。

 

「かっ………!!」

 

あまりの痛みに顔を歪めるが、尚も猛攻は収まらない。

後頭部が、腹が、足が、顔が、背中が……ラウラの全身を、絶え間なく衝撃と激痛が襲う。

なす術もなく、一方的に攻撃を受け続ける……これでは、まるで先程までの鈴とセシリアの様だ。

 

ダメージが限界まで蓄積され、意識が朦朧としてきはじめた時、ラウラの瞳はついにガタックを捉える。

 

「ーーーーーーっ?!!!」

 

ラウラの瞳に映ったのは、右足にオレンジの電流を走らせ、必殺技の《ライダーキック》を放とうとしているガタックだった。

 

「うおおぉぉぉおおおりゃああああああ!!!!」

 

オレンジの閃光がラウラに直撃するその直前、黒い何かがガタックの右足とラウラの間に入り込んだ。

それは、回し蹴りでガタックを大きく後方へ吹き飛ばした。

 

「そこまで!!!」

 

割って入ったのは、千冬だった。

 

「教官?!」

 

ラウラが驚いていると、千冬がラウラと大牙を交互に見て

 

「模擬戦をやるのは構わんが、少々やりすぎでは無いか?生徒同士で傷つけ合うのは、教師として黙認しかねる。この決着は、学年別トーナメントでつけてもらおう。それでいいな?」

 

「……教官がそう仰るなら」

 

ラウラはISを解除して地面に着地した。

 

「俺もそれで構わないっす」

 

大牙はガタックゼクターを取り外し、変身を解除する。

 

「……では、トーナメント当日まで一切の私闘を禁ずる。解散!!」

 

 

 

 




お読みいただきありがとうございます!
形式を変えてみましたが……いかがだったでしょうか?先に述べましたが、もし、前の方が読みやすければ次回からは台本形式に戻します。もしこれで大丈夫そうであれば次回からこの形で行きます。
ご不満な点や不明な点があれば遠慮なくおっしゃってください!できるだけ改善して行きます!
その他、感想などもお待ちしてます!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。