GOD SPEED STRATOS   作:ジャズ

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第十五話 亡国の襲来

ーー臨海学校2日目ーー

 

夏の太陽の日差しが朝から照りつける中、起床時間となり目をこすりながら生徒たちは部屋からぞろぞろと出てくる。

織斑一夏もその中の一人であったが、ふと廊下に佇む人物に目がいく。

 

一夏「おはよう箒。どうしたんだ?」

 

箒は何も答えずただじっと廊下の外の庭を見ている。

不思議に思った一夏がその視線の方向を見ると、庭の地面に何かが刺さっているのが見えた。

そこにあったのは、地面から生えているうさ耳と《引っ張ってね❤︎》というメッセージの書かれた看板が立っていた。

 

一夏「なあ、これって……」

 

箒「……知らん。私は何も見ていない。

一夏も早く来い。朝食に遅れるぞ」

 

箒はそう言い残しそそくさとその場を後にした。

一夏はその場に一人取り残され、ただじっと例のものを見ていた。

すると、今度は総輝と大牙がやって来た。

 

総輝「よう」

 

大牙「おっす、一夏!どうしたんだ?」

 

一夏「ああ、総輝に大牙。ちょっとな……」

 

一夏が総輝と大牙の方を見た後、再び庭に視線を移し、二人もそれにつられて庭を見、絶句した。

 

大牙「…………なんだこれ」

 

総輝「俺たち宛か?」

 

一夏「俺たちと言うより、俺宛だろうな……」

 

一夏がため息をつきながら呟く。

 

大牙「一夏宛って……心当たりでもあんのか?」

 

一夏「まあな。多分俺の知り合いなんだが……」

 

総輝「……まあいい。それより、早くしないと時間がくるぞ」

 

一夏「……そうだな。とりあえずこれは放っておくか」

 

そう言って、3人が歩き出したその直後。

 

“ちょおぉぉっと待ったああぁぁーーー!!!”

 

何処からか陽気な女性の声が響き、同時になにかが上空から飛んでくるのが見えた。

 

大牙「なんだあれ?ニンジン?」

 

そう、ニンジンが……否、ニンジン型のロケットがこちらに向かって飛んできているのだ。

そして、それは庭に勢いよく落下し、大きな土煙を上げる。

煙が晴れると、ロケットが展開して中から1人の女性が飛び出した。お伽話に出てきそうな悪趣味なエプロンを身につけ、地面に刺さっていたものとよく似たうさ耳のカチューシャをつけた女性。

そう、誰もがよく知る《篠ノ之 束》その人である。

束は頬を膨らませながら

 

束「もぉ〜、ひどいよいっくん!この束さんの愛のメッセージを無視するなんてさぁ〜!!」

 

一夏の両肩を掴んで叫ぶ。

 

一夏「あー……どうもお久しぶです、束さん」

 

束「うんうん♪本当に久しいね、いっくん!

ところで、箒ちゃんはどこかな?」

 

一夏「あー、箒ならえっと……」

 

一夏が答えようとした瞬間、束は懐からうさ耳型の機械を取り出し

 

束「まあ、箒ちゃんの居場所ならこの《箒ちゃん探知機》で分かるんだけどね!」

 

大牙「(それなら何で聞いたんだよ)」

 

思わずそんなツッコミが出た大牙だったが、何故かそれを言ってはいけないような気がしたので何とか押し留めた。

 

束「それじゃあね、いっくん!また後でね〜!!

それから…………そうくんにがっくんも、また後で話そうね〜!!」

 

と、束は手を振りながら何処かへと走り去っていった。

 

総輝「……“そうくん”に“がっくん”って何だ?」

 

一夏「あぁ〜……」

 

総輝の問いに一夏は気まずそうに頬を掻き

 

一夏「多分束さんが付けた総輝と大牙のあだ名だよ。

お前ら束さんに目を付けられたんだ、残念ながら」

 

大牙「“目を付けられた”?何で?ってか“残念ながら”ってどう言うことだよ?」

 

一夏「その答えは、多分束さんに会った時に分かるよ。

とりあえず、早く飯に行こうぜ?朝っぱらから千冬姉のアイアンクローなんて食らったらたまったもんじゃない」

 

総輝「それは勘弁願いたいな。急ぐか」

 

そして、3人は急ぎ足でその場を後にした。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

千冬「……よし、専用機持ちは全員揃ったな?」

 

その日、IS学園の専用機持ちであるセシリア・鈴・シャルロット・ラウラ・簪・箒・一夏が一堂に集められた。

理由は、それぞれが本国から追加武装が送られたため、各員がその武装をチェックするためだ。

ちなみにISという意味で専用機持ちではない総輝と大牙もこの場に呼ばれているが、彼らは専用機持ちたちの手伝いをする為に呼ばれている。

 

鈴「ちょっと待ってください。総輝と大牙は兎も角、箒は専用機が無いでしょう?」

 

鈴の言う通り、箒にも専用機が無い。

 

千冬「ああ、私から説明しよう。実はだな……」

 

と言いかけたところで、「やあぁぁっほおぉぉーーー!!!」という叫び声が響き、同時に箒と千冬の顔が渋る。

崖から先ほどの束が猛スピードで下り、そこから大ジャンプして千冬の方へと飛んでくる。

 

束「ちいぃーーちゃあぁーーーん!!!」

 

満面の笑みで千冬に抱きつこうとする束だったが、千冬が彼女の顔を鷲掴みしてそれを抑え込んだ。

 

束「やぁやぁ会いたかったよちーちゃん!さあハグハグしよう!愛を確かめあおうよ〜!」

 

千冬に押さえつけられながらも抱きつこうとする束。

そんな彼女に呆れたようなため息をつきながら

 

千冬「うるさいぞ束」

 

束「もぅ〜、つれないなぁ〜」

 

束は千冬のアイアンクローから離れると、後ろの岩陰に隠れる箒を覗き込む。

 

束「ハロー、箒ちゃん!」

 

箒「………どうも」

 

箒は観念したように立ち上がる。

 

束「ヤホー!久しぶりだね箒ちゃん!何年ぶりくらいかな?にしても大きくなったねぇ〜…………

特におっぱいが」

 

箒「ふん!!」

 

束の言葉に箒が思い切り回し蹴りを食らわせ、束は「へぶっ!!」と吹っ飛ばされる。

 

箒「……ぶっ飛ばしますよ?」

 

束「やってから言った!!箒ちゃんひどーい!!ねえ、ひどいよねいっくん?!」

 

一夏「あ……はあ……」

 

千冬「……束、自己紹介くらいしろ」

 

束「えー?めんどくさいなーもう」

 

と文句を言いつつ、束は自己紹介を始める。

 

束「ハロー!み〜んなのアイドル♪《篠ノ之 束》だよ〜!

終わり!」

 

と締めくくった。

 

鈴「“束”って……」

 

シャルロット「ISの開発者にして天才科学者の……」

 

束「ふっふっふ……今日は箒ちゃんの専用機を持ってきたんだ〜!」

 

セシリア「箒さんの……専用機を……」

 

束は得意げに胸を張る。

 

束「そのとぉ〜り!それじゃあ早速………と言いたいんだけど、その前に〜……」

 

束はくるりと振り向き、総輝と大牙の方を向く。

 

束「君たちが《仮面ライダー》……世界を守り抜いた“戦士”を受け継いだ者たち……か」

 

束はじっくりと総輝と大牙を見つめる。

 

束「…ふぅ〜ん。見た感じ、そこまで強そうな感じじゃないね〜。多分束さんやちーちゃんの足元にも及ばないだろうけど。

でも、天才の束さんにも分からないこともあるもんだね〜。こんな凡人が《仮面ライダー》に選ばれるなんて」

 

大牙「何でディスられてんだ俺たち?」

 

急に罵倒されあっけにとられる大牙。

が、総輝は違った。

 

総輝「………あんたは俺をかなり侮っているようだな。確かに、あんたみたいな人からすれば、周りの人間は皆凡人かそれ以下の人間に見えるんだろう。

だが俺は違う。俺が望みさえすれば、あいつはいつでもどこでもやって来る。何故なら……俺は《選ばれし男》だからだ」

 

束の瞳をじっと見据え、きっぱりとそう告げた。

それを聞き束はすうっと目を細め、

 

束「《選ばれし男》、ねぇ……まあ、何でもいいよ。君は正義の味方気取りのつもりだろうけど、束さんの邪魔をするなら…………私は本気でキミを潰すよ?」

 

総輝の元へ歩み寄り、声質は変わらずもどこか威圧感を含めた声でそう言った。

対して総輝も臆することなく束を見つめ、

 

総輝「“正義の味方気取り”か……まだ勘違いしているようだな。

覚えておけ。おじいちゃんが言っていた、《正義とは俺自身》。つまり………俺が正義だ」

 

総輝も負けじと低めの声でそう言った。

束と総輝の間にはピリピリとした緊張感が張り詰め、下手をすればここで闘争しかねない状況だった。

シャルロット達専用機持ちはアタフタとし、ここまで静観していた千冬も流石に見過ごせず苦言を呈そうと口を開く。

 

束「……プッ、あははははははははっ!!!」

 

が、千冬が何かを発する前に、束が高笑いしだした。

 

総輝「……何が可笑しい?」

 

束「あはははっ!いや〜、君は本当に面白い子だなぁ〜って。この束さんに面と向かってそんな事言えるの、世界広しといえどちーちゃんか君くらいだからね!」

 

束はまた飄々とした笑顔に戻りそう告げる。

総輝は未だに束を睨み続けている。

 

束「そんな怖い顔しないでよ傷つくなぁ〜!ちょっと君を試しただけなんだってば。

うんうん。でも私の見立て通り、面白い子だね!流石は《仮面ライダーカブト》。ますます気に入っちゃったよ〜!」

 

そして束は総輝の頭を撫で

 

束「という訳だから、改めてよろしくねそうくん!

あ、《天道 総輝》だから“そうくん”ね!いい?いいよね?いいに決まってるよね!拒否権はない!」

 

総輝「一方的だな。あと頭を撫でるな」

 

総輝はため息をつきながら束の手を払い除ける。

 

束「ふぇ〜ひどいよそうくん!こんな美人な束さんのナデナデを拒否するの〜?!」

 

総輝「要らん」

 

束「ぐっはぁ!!」

 

総輝に一言で両断され、涙目で胸を押さえながらうずくまる束。

が、直ぐに立ち上がり

 

束「まあでもそれがそうくんらしいね!

あ、あと君もよろしくね!《仮面ライダーガタック》のがっくん!」

 

ふと思い出したように大牙の方を向きいつもの笑顔でそう告げる。

大牙はというとあっけにとられ「あ?はあ……」などと言っている。

 

束「さて!それじゃ本題に戻ろうか。

じゃあみんな、空をご覧あれ〜!!」

 

束の言葉に皆が空に視線を移す。

すると上空から銀色の正八面体の物体が落下し、その直後銀色のプレートが解除され中から真紅のISが現れた。

 

束「これぞ、束さんお手製の箒ちゃん専用機。その名も《紅椿》!!全スペックが現行のISを上回る性能を持ってる、第四世代型ISだよ!!」

 

束の《第四世代型》という言葉に皆が目を見開いた。

 

ラウラ「《第四世代》……?」

 

セシリア「各国で、今ようやく第三世代の試験機が出来た段階ですわよ?」

 

簪「なのに、もう……?」

 

専用機持ち達は皆愕然とした表情で呟く。

 

総輝「……まあ、ISの生みの親ならそんな事容易だろう?」

 

束「そうそう!何たって束さんはてぇんさいだから!

さっ、箒ちゃん!今ここでフォーマットとフィッティングを済ませようか!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

無数のコートで繋がれた紅椿に箒が登場し、束がキーボードを目にも止まらぬ速さで打ち込んでいく。

 

束「箒ちゃんのデータはもう紅椿に入れてあるから、後は最新データに更新するだけだね!」

 

そして、数分でフォーマットとフィッティングが完了する。

 

束「設定完了!早いね〜、さっすが私!」

 

自信満々の表情で胸を張る束。

 

束「さあ箒ちゃん!試運転も兼ねて飛んでみてよ!箒ちゃんのイメージ通りに動くはずだよ!!」

 

箒「分かりました。行きます!」

 

そして、箒は勢いよく飛び出した。

 

鈴「は、速い……」

 

シャルロット「これが、第四世代型の加速なの……?」

 

鈴とシャルロットが愕然とした表情で呟く。

 

大牙「そうか?クロックアップよりは遅ぇだろ」

 

一夏「それと比べたらダメだろ!」

 

大牙の呟きに思わず一夏が突っ込んだ。

 

束「ど〜お?思った以上によく動くでしょ?」

 

箒『ええ、まあ……』

 

通信で箒が戸惑いつつ答える。

 

束「それじゃあ刀を出してみて!右のが《雨月(アメツキ)》で左のが《空裂(カラワレ)》ね〜!」

 

言われた通りに、箒は左右の手に刀を展開する。

 

箒「行くぞ……雨月!!」

 

気合を込めて右手の雨月を振るう。

すると、斬撃が赤い光を帯びて飛ぶ斬撃と化し彼方へと飛んで行った。

 

その後も紅椿の様々なテストが行われたが、それらは全て完璧と言っていいほどの成果を上げ、紅椿の持つ高い性能が披露された。

 

束「どう?すごいでしょ?最っ高でしょ!!てぇんさいでしょ?!!」

 

束は紅椿の見せた性能にかなりご満悦らしく、さながら世界を救った天才物理学者と同じような言葉を並べ始めた。

皆が紅椿の性能にあっけにとられていると、真耶が息を切らして走ってきた。

 

真耶「織斑先生、大変ですっ!!」

 

真耶が端末を千冬に渡す。

端末の内容を見た千冬は表情を一層強張らせた。

 

千冬「……テスト稼働は中止だ!!お前達に、やって貰いたいことがある」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

和風のテイストだった旅館の一室は、一変して軍の作戦勝ちのような様相を見せた。周囲には電子モニターやキーボード、更には大型パネルが並べられている。

集められた専用機持ち一同は、一体何が何だかわからず戸惑っている。

そんな彼らに対し、千冬はゆっくりと話し始めた。

 

千冬「……今から約二時間前、強奪されたアメリカとイスラエル共同開発の第三世代型IS、《銀の福音》通称“福音”が暴走状態で発見された。

情報によれば、無人のISという事だ。衛星による追跡の結果、福音はここから二キロ先の海域を通過することがわかった。学園上層部からの通達により、我々がこの事態に対処することになった」

 

千冬の説明に、皆の顔が緊張で引き締まった。

 

千冬「教員達は学園の訓練機を使用し、海域の監視及び封鎖を行う。

よって本作戦の要は、お前達専用機持ちに担当してもらう」

 

が、千冬の言葉に待ったをかける人物がいた。

 

一夏「ちょっと待ってくれ千冬ね……織斑先生!軍用ISを学園の生徒が対処するのか?!」

 

千冬「……そうだ。確かにお前の言う通り、学園の教員の方が福音を止められる確率も上がるだろう。

だが幾ら戦闘経験の豊富なIS乗りでも、訓練機で軍用ISを止めるのは不可能だ。性能に差がありすぎる」

 

総輝「それならば多少実力が劣っていようと、性能面で対処できる確率の高い専用機達でやろうと……そう言う事ですね?」

 

千冬「その通りだ。無論、君達の命に関わる重大な危険性がある事も重々承知している。もし今、この作戦から降りたいものがいるならば構わない、手を上げてくれ」

 

一瞬の静寂が部屋を包んだが、誰もそこから出るものは居なかった。皆の表情には恐怖心など無く、寧ろ覚悟を決めた表情をしていた。

 

千冬「……では、これより作戦会議を始める。意見のあるものは挙手してくれ」

 

するとセシリアが手を挙げた。

 

セシリア「目標の詳細データの開示を要求します」

 

千冬「いいだろう。だが決して口外するな。情報が漏洩した場合、諸君らには査問委員会による裁判と最低二年の監視が付けられる。天道、加賀美も同様だ」

 

総輝「了解です」

 

そして、画面に福音のデータが開示された。

それを見た皆の表情が一層強張る。

 

大牙「……なんだこの無茶苦茶な機体は?」

 

簪「広域殲滅を目的とした特殊射撃型……」

 

セシリア「私と同じオールレンジ攻撃が可能なようですわね」

 

鈴「それでいて高い高速機動性……厄介だわ」

 

シャルロット「この特殊武装が曲者って感じだね……連続しての防御は難しいと思う」

 

ラウラ「仮に射撃を躱して懐に潜り込めたとしても、格闘性能が未知数だ……偵察は行えないのですか?」

 

ラウラの問いに千冬は首を横に振った。

 

千冬「残念ながら不可能だ。この機体は現在も、超音速飛行を続けている。つまり……」

 

真耶「接触のチャンスは一回きり、と言う事ですね…」

 

箒「つまり、その一回で確実に仕留められる攻撃力を持った機体が、この作戦の鍵となるわけですね……」

 

そこで皆の視線が一夏に集まる。

 

一夏「……なるほど。白式の《零落白夜》か」

 

千冬「そう言う事だ。お前の機体なら、接近さえできれば軍用機であろうと一回で沈黙させられる」

 

一夏はしばし目を閉じ後、ゆっくりと頷き

 

一夏「……分かった。こうなったら、もう腹をくくるしかないよな。必ず成功させるよ」

 

鈴「よし、その意気よ一夏!」

 

鈴が笑顔で一夏の背中をバンと叩く。

 

セシリア「ただ、問題は……」

 

シャルロット「どうやってそこまで一夏を運ぶか、だね……」

 

一夏「そうだな。ただでさえエネルギー効率が悪い白式だ。福音とやる時は、できる限りエネルギーを残しておきたい」

 

簪「移動するだけで無駄なエネルギーを使うのは、ちょっと怖いよね……」

 

すると突如、天井の一角が開けられた。

 

束「ちょぉっと待ったぁ!!」

 

現れたのは《篠ノ之 束》だ。

 

一夏「た、束さん?!」

 

総輝「……また現れたか……」

 

総輝がもううんざりと言わんばかりにため息をつく。

 

束「聞いて聞いて!この作戦にはね、箒ちゃんの紅椿が最適なんだよ〜!!」

 

束の言葉に、皆が目を見開いた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

その後、再び外に集められた一同は、全員ISを纏った状態で待機していた。

そして束の説明曰く、紅椿が第四世代型と言われる所以は《展開装甲》呼ばれる機構を持つことにあり、一夏の白式の専用武装である《雪片弐型》を元に開発されたと言う。

よって、本作戦は一夏・箒メインで進められ、その他の専用機持ちは彼らのサポートという形で作戦内容が決定されて、現在は各員がそれぞれのISの最終チェックを進めている。

 

束「それにしても海で暴走なんて、10年前の《白騎士事件》を思い出すね〜」

 

千冬「……」

 

《白騎士事件》ーー今やその事件を知らない者はいないと断言できるほど、それは歴史の転換点だった。世界にISの有用性が示された日であり、同時に世界のバランスが一変した出来事でもある。

 

束「……でも、今こんな話ししても誰も信じないだろうな〜………あの時、()()()()()()()()()()()()I()S()()()()なんて」

 

一同「なっ……?!!」

 

束の衝撃的な言葉に皆が耳を疑った。

 

一夏「ち、千冬姉……それってどういう……」

 

千冬が口を開こうとしたその時だった。

ドゴオオォォォォン!!!』という轟音が鳴り響いたのだ。

 

千冬「なんだ、何事だ?!!」

 

すると、旅館の方から教員が息を切らして走ってきた。

 

「織斑先生、大変です!旅館が……謎のISに襲撃されています!!!」

 

千冬「何だと?!」

 

千冬は驚愕のあまり目を見開いた。

 

鈴「まさか、福音がもう来たの?!」

 

真耶「いえ、そんなはずはありません!福音は今も海洋を飛んでいる筈です!」

 

シャルロット「それじゃあ一体……?!!」

 

すると、千冬が指示を出した。

 

千冬「作戦は中止だ!!全員旅館の方へ向かうぞ!!」

 

ラウラ「ですが教官!福音は……」

 

千冬「生徒の安全が最優先だ!」

 

すると、総輝と大牙が千冬の元へ歩く。

 

総輝「織斑先生、ここは俺たちに任せてください」

 

千冬「天道、加賀美……?」

 

大牙「一夏達は福音の対処に専念させてください。旅館のISは俺たちで何とかしてみせます!」

 

千冬はしばし思案していたが、

 

千冬「……無理はするなよ?」

 

大牙「はい!!」

 

総輝「了解です」

 

そして、総輝と大牙は旅館の方へ駆け出した。

 

真耶「織斑先生、彼らだけでは……」

 

千冬「落ち着け、真耶。向こうには教員もいるし、いざとなれば私も出る。それに、ここで福音を止めなければいずれここも壊滅的な被害を受ける。今は福音が最優先だ」

 

真耶「でも、生徒達の身に危険が迫っているんですよ?!!」

 

納得できない真耶は叫びながら千冬に詰めよる。

すると、一夏が優しい笑みを浮かべながら

 

一夏「山田先生、大丈夫ですよ」

 

真耶「織斑君……?」

 

一夏「忘れましたか?あいつらは、人々を守るヒーロー、《仮面ライダー》何ですよ。あいつらなきっとみんなを守ってくれる。でも福音を止めなきゃここもやられるんです。だから俺たちも、福音を止めてみんなを守るんです」

 

凛とした表情でそう告げた。

そして、一夏は皆の方を振り返り、

 

一夏「みんな、準備は出来たか(Are you ready?)?」

 

鈴「いつでも行けるわ!」

 

セシリア「私もですわ」

 

シャルロット「僕も行けるよ!!」

 

簪「わ、私も……!」

 

ラウラ「無論、私も行けるぞ」

 

皆が威勢良く返す。

すると箒が不敵な笑みを浮かべながら一夏に歩み寄り、

 

箒「…お前はどうだ?一夏」

 

それに対して一夏も不敵な笑みで返す。

 

一夏「……出来てるよ」

 

そして一夏は千冬の方を向き

 

一夏「織斑先生、出撃許可を」

 

千冬はふっ、と軽く笑うと、

 

千冬「……よし、では作戦開始!!!」

 

一同「了解!!!」

 

そして、一夏達は大空へと飛んで行った。

そんな彼らを見送った後、束は千冬の元へ近づき、ポツリと呟く。

 

束「……ちーちゃん。いっくん、変わったね。何だか……凄くカッコよくなった……別人みたい」

 

彼女の呟きに対し千冬も若干寂しさの混じった笑顔で

 

千冬「ああ、そうだな……昔は私があいつを守らなければならないという使命感を持っていたが、それが逆転する日も、案外近いかもしれん。もしかしたら、あいつらに出会ったからなのかもな……」

 

そして千冬は再び表情を戻し

 

千冬「さて、我々も旅館の方へ急ごうか。被害状況を確認し、生徒の安全を確保しなければ」

 

真耶「はい!行きましょう!!」

 

束「束さんも手伝うよ〜!!」

 

そして3人は、駆け足で旅館の方へ向かった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

一足先に旅館へと戻った総輝と大牙。

だが彼らが先程まで過ごしていた立派な旅館は既に半壊状態となっており、2人は絶句してしまった。

 

大牙「ひでぇ……誰がこんな真似を!!」

 

総輝「例のISというのは何処だ……」

 

するとその直後、彼らの後ろに何かが着陸する。

 

オータム「よぉ、遅かったなぁ〜…《仮面ライダー》」

 

男勝りな女性の声が響き、後ろを振り返るとそこには蜘蛛型のISと紫の蝶型のISがあった。

 

大牙「テメェらか!!旅館をこんなめちゃくちゃにしたのは!!」

 

総輝「……一体何が目的だ?」

 

総輝の問いに蝶型のIS……《サイレント・ゼフィルス》のパイロットであるマドカが答えた。

 

マドカ「目的はただ一つ……貴様らだ。《天道 総輝》、《加賀美 大牙》」

 

大牙「俺たちだと?」

 

オータム「テメェら《仮面ライダー》は、オレ達《亡国企業》にとってすげぇジャマなんだよ……恨みはないが、ここで死ね」

 

総輝「俺たちを誘き寄せるためだけに、こんなふざけた真似を……」

 

総輝が怒気を含んだ声で言った。

 

マドカ「安心しろ、死者は出していない。まあ、多少の怪我人はいるだろうがな」

 

大牙「ざっけんな!!テメェらのせいで、どんだけの生徒が怖い思いしたと思ったんだ!!貴様らだけは絶対にゆ゛る゛さ゛ん゛っ゛!!!」

 

オータム「……来いよ餓鬼ども。返り討ちにしてやるよ」

 

総輝「その言葉、そっくりお前達に返してやる」

 

総輝と大牙は右手を高く掲げる。

すると上空からカブトゼクターとガタックゼクターが飛来し、その手に収まった。

するとその直後、マドカがISを解除し生身の状態になる。

大牙は彼女の顔を見て驚愕した。

 

大牙「おまっ……その顔………織斑……先生だと?!!」

 

マドカは不気味な笑みを浮かべ

 

マドカ「私の名は、《織斑 マドカ》だ。いずれ《織斑 一夏》も、《織斑 千冬》も殺し、私が本物だという事を証明してやる」

 

すると総輝は頷きながら

 

総輝「ほう……だいたいわかった」

 

と呟く。

 

大牙「え?何だよ、何が分かったんだよ?!」

 

するとマドカは総輝の方を向き

 

マドカ「そして天道 総輝。貴様も、この場で私が消す。お前と同じ、“黒き太陽”の力でな……」

 

すると上空から黒いカブトゼクターが飛来し、彼女の右手に収まる。

 

大牙「なっ、ゼクターだと?!お前それをどこで……?!!」

 

マドカ「知る必要は無い。お前達はここで死ぬんだからな……」

 

そして、ダークカブトゼクターを腰のベルトへセットする。

 

マドカ「変身……」

 

《HENSHIN》

 

低い音声が鳴り、黒い六角形のパネルがマドカを覆っていく。そして、銀の走行に不気味に輝く黄色い複眼を持った《ダークカブト》に変身した。

 

更にマドカは、ゼクターの角を少し起き上がらせ、

 

マドカ「《キャストオフ》」

 

《CASTーOFF》

 

銀のアーマーを周囲に吹き飛ばし、黒いスマートな身体を露わにする。

胸部装甲には赤い機械的なラインが走り、そして頭のカブトホーンが上に上がる。

 

《Change Beetle》

 

総輝「…俺と同じだと……?くだらん。

おじいちゃんが言っていた……《この世で太陽は一つだけだ》。つまり……“太陽(カブト)”は俺一人だ」

 

 

そして、総輝はカブトゼクターを左肩の前に、大牙はガタックゼクターを右肩の横に持って行き、

 

「「変身!」」

 

《HENSHIN》

 

低い音声とエコーのかかった高い音声が同時に鳴り、二人の体をパネルが覆っていく。

マスクドフォームに変身した後、二人はすかさずゼクターの角を展開。

 

「「キャストオフ!」」

 

《CASTーOFF》

 

銀と青の走行が吹き飛び、赤と青のスマートな身体が現れる。

カブトの赤い角が上に展開し、その青い複眼に光が灯る。

 

《Change Beetle》

 

ガタックの青い角が左右から上がり、その赤い複眼が輝く。

 

《Change Stag Beetle》

 

カブト・ガタックそしてダークカブト・アラクネの二組はしばしにらみ合っていたが、やがて同時に飛び出し戦闘の火蓋が切って落とされた。

 




お読みいただきありがとうございます!
今回、久々に総輝が変身しました!いやぁ〜、それにしてもカブトとガタックの同時変身は良いですね!しかもギミックが似てるから余計にカッコ見える……!!

さて、次回は福音そしてダークカブトとアラクネとの戦闘回です。精一杯書かせていただきますので、どうぞお楽しみに!!!
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