短い文ですが、基本的にはこの文量で行こうと思っています。
では、スタート!
総輝と大牙がISを動かしてから数ヶ月、今日はいよいよ学校の初日である。
通う学校はIS学園。彼らがISを起動させてから僅か数週間で話がまとまり、諸々の手続きを済ませて入学が決まった。その間、様々なマスコミの取材、企業からの勧誘、果ては世界中の研究所から誘拐されかけるような事態まで起こったが、総輝と大牙はそれらを全て撒き、全て断り、全て返り討ちにしたのはここだけの話。
玄関では、総輝がIS学園の制服を着て、いよいよ出発しようとしているところだった。
総司「もう行くのか」
総司が奥から総輝を見送るために出てくる。
総輝「ああ。学園まで少し遠いからな。あのバイクを使っても、少々時間がかかる」
総司「そうか。荷物はそれだけでいいのか?」
総輝「ああ。向こうは全寮制らしいからな。必要なものは全て送っておいた」
すると総司は、何かを思い出したように「少し待ってろ」と言い残し、部屋へと戻っていく。
そして、玄関に出てくると、彼は銀色のスーツケースを持って現れた。
それを見た総輝は目を見開く。
総輝「じいちゃん、これは……!」
そのスーツケースには、カブトムシを模したマークに《ZECT》という文字が入っており、フタを開けると銀色のベルトが入っていた。
総司「持っていけ。使い方は分かっているな」
総輝「ああ…でも、これは……」
総輝は少々戸惑っていた。
当然だ。これは総司がかつて《仮面ライダーカブト》に変身するためのアイテムだ。しかしそれは、選ばれたものにしか使うことはできない。総輝はこれを扱う自信が無かった。
総司「俺が持っていても、もうこれは使えないからな。お婆ちゃんは言っていた…“力というのは受け継がれていくものだ”…ってな。それに、お前は俺の孫だ。お前に出来ないことなど何一つない。お前は“天の道を往き、総てを輝かせる太陽”だ。自分の力を信じろ。お前ならきっと使いこなせる」
総輝「…分かった。使わせてもらう」
総輝はスーツケースを受け取ると、ドアを開けていよいよ玄関から出た。
そして、スーツケースやその他の荷物をバイクに収納し、エンジンをかける。
すると、遠くから青いバイクが走ってきて総輝のそばで停止する。
ヘルメットを挙げると、乗っていたのは大牙だった。
大牙「よう!もう準備は出来たのか?」
総輝「ああ…お前、そのバイク…」
総輝は大牙が乗っているバイクを見る。
バイクの車体は全体的に青で統一されていた。そしてその先端には、クワガタムシを思わせる牙のような造形が作ららていた。総輝が乗っているカブトエクステンダーと対をなすような形状だ。
大牙「え?ああ、《ガタックエクステンダー》さ!俺もじいちゃんからこれをもらったんだ!あと、銀色のベルトも」
総輝「そうか…」
そこまで聞くと、総輝は納得したように頷き、ヘルメットを被る。
総司「二人とも、気をつけてな」
総輝「ああ、行ってくる」
大牙「総司さん、行ってきます!!」
そして、二人は同時に走り出した。
大牙「なあ、どうせならクロックアップして行かね?」
総輝「バカか」
そんなやりとりをしつつ、彼らはIS学園へと向かった。
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ーーIS学園・一年一組教室ーー
クラスの女子たちの視線が、一斉にある方向へと向けられていた。
当然だ。何故ならその視線の先には、IS学園にいるはずのない男性の生徒がいるからだ。しかも三名も。
一番前の席に座っているのは、世界で初めてISを動かした男性の《織斑 一夏》が座っており、その後ろに《加賀美 大牙》、そして少し離れたところに《天道 総輝》が座っていた。
クラス中の視線が集まっているため、当然彼らの心境は穏やかではない。
一夏「(うわぁ…もし一人だけだったら……いや、考えないようにしよう)」
大牙「(そんなに珍しいものなのか…?まるで動物園のパンダになった気分だな)」
総輝「(晩飯何作ろう……)」
……否、総輝だけは視線を集めても動じるどころか晩飯のメニューを考えていた。
しばらくすると、部屋の扉が開きメガネをかけた童顔の女性が入ってきた。
???「はーいみなさーん!それではSHRを始めます!
みなさん、入学おめでとうございます!私は、副担任の《山田 真耶》です」
大牙「(《山田 真耶》……やまだまや……逆から読んでも……やまだまや……)」
大牙がそんな思考をしてる間にも、彼女はどんどん話を進める。
真耶「では自己紹介に入りますので、名前順からお願いします」
そして、滞りなく自己紹介が進み、次は織斑一夏の番になる。
真耶「では、織斑君お願いします」
一夏「ひゃ、ひゃい!」
一夏は跳ねるように立ち上がり、
一夏「えっと…織斑 一夏です……」
他に何を言うのだろう…と、周囲の女子たちが期待の目で彼を見つめる。
一夏「……以上ですっ!!」
まさかの言葉にクラス中の女子がずっこけた。
キョトンとして立ち尽くしている一夏の頭に、勢いよく黒い物体がぶつけられる。
???「全く…自己紹介も満足にできんのか?」
一夏の頭を殴りつけたのは、黒スーツを着た凛々しい女性だった。それを見た一夏はギョッとした顔になって
一夏「ヴェ?! 千冬姉?!」
一夏の頭に再び黒い物体がぶつけられる。
黒い物体の正体は出席簿だった。
千冬「織斑先生だ!馬鹿者」
彼女の名は《織斑 千冬》。かつてISの世界大会である“モンドグロッソ”の初代チャンピオンであり、《ブリュンヒルデ》の名で知られる世界最強のIS操縦者である。また、一夏の実の姉でもある人物だ。
千冬は生徒たちの方を向いて
千冬「諸君、私がこのクラスの担任である《織斑 千冬》だ。君たち初心者を一人前のIS乗りにするのが私の仕事だ。ISのことで何かあれば私に質問しろ。直ぐに理解し行動しろ。返事は“はい”か“イエス”のみだ。分かったな?」
彼女がそこまで言うと、部屋が耳をつんざくような悲鳴に包まれた。
「キャアアアアァァァァァ!!!!!」
「千冬様よ!!」
「私、貴女に憧れてここまで来ました……北九州から!!」
千冬はこの事態にやれやれと首を振って
千冬「全く…何故私のクラスにはこんなに馬鹿が集まるんだ?仕組まれているのか…?」
しかし彼女の言葉は騒ぎをよりヒートアップさせた。
「千冬様ァァ!!もっと!もっと罵ってェ!!」
「そして時に優しく!!」
千冬「……山田先生、自己紹介を続けさせろ」
騒ぎが続く中で、千冬は自己紹介の続行を促した。
真耶「あ、はい。分かりました…では加賀美君、お願いします」
大牙「はい゛っ゛!!!!!!!」
大牙は過剰とも言える大きな返事をして勢いよく立ち上がる。彼の大きな声であれほど騒がしかった教室が一瞬で静まり返り、視線が一斉に大牙の方へ向けられる。
大牙「初めまして、《加賀美 大牙》と言います!!ISのことは全く分からないので、色々と教えてくださると嬉しいです!では、よろしくお願いします!!!!」
緊張しているのか、やや早口で喋ると、ストンと椅子に座りなおす。
直後、再び教室中が歓声の声でも覆われる。
「熱血系イケメンきたあぁぁぁぁぁ!!!」
「どこかのテニスプレイヤー並みの熱さ……嫌いじゃ無いわ!!!」
「熱い!熱すぎて、教室の温度が上がってる!!」
千冬「静かにしろ!まだ自己紹介派終わっていないぞ!!」
真耶「で、では…次の人お願いします」
そして、自己紹介は再び再開された。以降は特に詰まることなく着々と進められ、そしていよいよ三人目の男子の番がやって来た。
真耶「では次、天道くんお願いします」
すると総輝はゆっくりと立ち上がり、人差し指を天に向けて
総輝「お祖父ちゃんが言っていた……“世の中で覚えておかなければならない名前はただ一つ。《天の道を往き、総てを輝かせる太陽》”……」
そして総輝は天に向けていた人差し指を今度は窓の方に向ける。すると、空から雲に隠れていた太陽の光が漏れ出し、一筋の光となって総輝を照らす。
総輝「俺の名は《天道 総輝》。以上だ」
そう締めると総輝はゆっくりと座る。
直後、本日最大級とも言える黄色い悲鳴が教室を埋め尽くした。
「絶滅したと思ってた“俺様系イケメン”!!」
「ああ…なんて神々しい……」
「眩しい!眩しすぎて天道くんの顔が見れない〜!!!」
そして中には気絶している女子もいる。
真耶はと言うと、総輝のあまりにも堂々とした自己紹介に感激して盛大な拍手を送っており、千冬はもう何もいえずにただ片手で両目を覆っている。
千冬は察してしまったのだ。問題児ばかりが集まると先程自分は言ったが、今年のクラスはそのレベルでは無い。
世界でISを動かせる三人の少年達。しかしそれらは全て、規格外の問題児ばかりだった。一人は自身の愚弟、一人は超熱血男子、そして最後の一人は天上天下唯我独尊男子。
今年のクラスは大いに荒れる……それを予感した千冬は先に起こるであろう多くの問題に頭を悩ませずにはいられなかった。
ああ…早く彼らを変身させたい!
お読みいただきありがとうございました!
感想など待ってます!!