HRが終わると、一夏は早速大牙と総輝の元へ行った。
一夏「よう、俺は織斑 一夏だ。男同士、よろしくな!」
一夏は人当たりの良さそうな笑顔で右手を差し出す。
大牙「おう!さっきも言ったが、俺は加賀美 大牙だ!こちらこそよろしく!!」
まずは大牙が握手に応じる。
総輝「…天道 総輝だ」
対して総輝は相変わらずの雰囲気を纏ったまま一夏の握手に応じる。
一夏「にしてもお前ら、すごい自己紹介だったな。よくみんなの前であんな堂々とできるなあ」
大牙「いや、俺も結構緊張してたぞ?お陰で早口になるわ大声になるわで、初回からちょっとやらかした感がある」
総輝「大声なのはいつものことだろう」
大牙「んだとぉ?!」
総輝「ほらそう言うところだ」
彼らがそんなやりとりをしていると、1人の女子生徒がやって来た。
???「一夏」
彼女は一夏の名を呼ぶ。
一夏「よう、箒」
彼女の名は《篠ノ之 箒》。一夏の幼馴染で、ISの生みの親である《篠ノ之 束》の妹である。
大牙「ああ、シノノノノさん。どうかしたか?」
箒「“篠ノ之”だ、“の”が一個多い。少しこいつを借りていいか?」
総輝「好きにしてくれ」
箒「感謝する。行くぞ、一夏」
一夏「わぁっ、ちょっと引っ張るなって!」
一夏は箒に無理やり引っ張られて外へ駆り出されていった。
大牙「“篠ノ之”……どっかで聞いたことあるような…」
大牙が顎に手を当てて何かを思い出すように思案する。
総輝「それはあれだろ…IS開発者の篠ノ之博士のことだろう?」
大牙「ああ、それだ!同じ名字ってことは、あいつはもしかして……」
総輝「十中八九、博士の血縁者だろうな。“篠ノ之”なんて名字、世界中を探してもそうないだろう」
そこまで話すとチャイムが鳴ったので、2人は次の授業の準備に取り掛かる。
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一夏「(……どうしよう……)」
現在、一夏は危機的状況に落ちていた。
そう、授業の内容が全く分からないのだ。
真耶「ーーーーここまでで分からない人はいますか?」
誰も手を上げない。この空気で手を挙げる勇気は一夏にはなかった。
すると真耶は一夏の方へ近づいて
真耶「織斑君は大丈夫ですか?」
それを聞いて安心したのか、一夏は意を決して
一夏「……あの、先生…」
真耶「はい、何でしょう?」
一夏は少し深呼吸し、
一夏「……ほとんど全部分かりません」
真耶「……え?」
その場にいた全員が耳を疑い、真耶は思わず聞き返した。
大牙は表情が固まり、総輝は溜息をついた。
すると、教室の端の方にもたれかかっていた千冬が険しい顔で一夏の元へ歩く。
千冬「…織斑、入学前に渡された参考書は読んだのか?」
一夏「参考書…?ああ、あの分厚いやつか……すみません、電話帳と間違えて捨てちゃいましt…ヴェイ!!」
一夏の頭に黒い出席簿が勢いよく振り下ろされ、スパァァンという軽快な音を立てた。
千冬「“必読”と書いてあっただろ馬鹿者!再発行してやるから一週間で覚えろ」
一夏「あ、あの量をですか?!」
千冬「や・れ」
一夏「……ハイ」
千冬の雰囲気に圧倒され、一夏はただ肯定の返事をするしかなかった。
真耶「あ、ちなみに加賀美君と天道君は大丈夫ですか?」
大牙「あ、はい。今のところは…」
総輝「問題ありません」
千冬「少しはこいつらを見習え」
一夏「……ハイ」
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授業が終わり、一夏は再び大牙と総輝の元へ来ていた。
一夏「あの本の内容、殆ど覚えたのか?!」
大牙「言ったろ?大体だよ」
総輝「俺は殆ど暗記している。それより、よければこれを使え」
そう言って、総輝は三冊のノートを取り出す。
一夏「これは?」
総輝「あの参考書の内容を全て覚える必要はない。要点だけまとめたものだ。これを覚えたらISに関する授業は大体ついていける」
そう言われて、早速一夏と大牙はノートを見始める。
一夏「おお…すげぇわかりやすいなこれ」
大牙「流石だな総輝」
総輝「当然だ。俺を誰だと思っている?………“俺様”だぞ?」
総輝は得意げな顔で言う。
一夏と大牙は苦笑いを浮かべている。
一夏「お、おう……流石は天の道を往く男だな」
大牙「一夏、こいつはいつもこんな調子だからな。早く慣れろよ?」
一夏「……善処する」
すると、彼らの後ろから女子生徒が話しかける。
???「ちょっとよろしくって?」
一夏「んー?」
大牙「あぁ?」
総輝「……」
そこにいたのは、縦ロールの金髪のいかにも貴族の子、という感じの少女だった。
彼らの反応を見て女子生徒は信じられない、と言う表情で
???「まあ!何ですの、そのお返事は?!この私に話しかけられるだけでも光栄なことなのだから、それ相応の態度というものがあるんじゃないかしら?」
大牙「(何言ってんだこいつ)」
総輝「(……面倒な奴が来たな)」
一夏「悪いな、俺たち君が誰だか知らないし」
すると少女はすごい剣幕で彼らに迫る。
???「なっ…私を知らない?!この《セシリア・オルコット》を?!イギリス代表候補生にして、入学試験主席のこの私を?!」
セシリアという少女は顔を赤くして机をバンバンと叩きながら叫ぶように述べる。
一夏「あ、質問いいか?……“代表候補生”って何?」
一夏の言葉に周囲で聞き耳を立てていた女子たちは一斉に転び、セシリアはわなわなと体を震わせている。
セシリア「信じられませんわ……日本の男性という名は、皆知識が乏しいものなんですの……?」
すると総輝が代わりに答える。
総輝「こいつと一緒にしないでもらいたいな。一夏、代表候補生というのは、IS国家代表として選出されるやつらのことだ」
一夏「……つまり?」
総輝「まあ、オリンピック代表候補選手みたいなものだ」
一夏「ああ、なるほど!」
一夏が納得したように頷く。
セシリア「そう!私は選ばれた人間、つまり“エリート”なのですわ!本来なら、私のような人間と同じクラスになるだけでも奇跡……!その現実をもう少し理解していただける?」
大牙「へえ」
総輝「ほう」
一夏「そっか、それはラッキーだ」
彼らの淡白な反応にセシリアの目は鋭く光る。
セシリア「…貴方達、私をバカにしているんですの?」
大牙「まさか」
セシリア「…まあでも、私はエリートですから?泣いて頼まれたら、教えて差し上げてもよくってよ?何せ私、入試で唯一教官を倒したエリートですから!」
一夏「あれ?俺も倒したぞ?教官」
するとセシリアは今まで以上の剣幕で一夏に詰め寄る。
セシリア「は、はあ?!」
すると続けて大牙も
大牙「ん?一夏も倒したのか?俺も倒したけど」
総輝「…俺も勿論倒した」
セシリア「…ど、どうやって倒しましたの…?」
一夏「なんか向こうから突っ込んできたから避けたらそのまま壁につっこんで動かなくなった」
大牙「殴り続けてたらシールドエネルギーがいつのまにかなくなってた」
総輝「攻撃をかわしてそこに回し蹴りを食らわせた」
すると丁度タイミングよく授業開始のチャイムが鳴った。
セシリア「っ!続きはまた後で聞きますから!!」
そう吐き捨てるように一言いってからセシリアは先へと戻っていった。
総輝「(やれやれ……面倒な奴に目をつけられてしまったな)」
総輝は溜息をつきながら授業の準備をした。
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授業に入ろうかというタイミングで、千冬が何かを思い出したように切り出す。
千冬「…そうだ、再来週行われるクラス対抗戦に出るものを決めていなかったな。クラス代表とは、対抗戦だけでなく生徒会や委員方に出席する…まあクラス委員みたいなものだ。自薦他薦は問わん。だれかいないか?」
すると、クラスの女子達が手を挙げて希望を次々に口にする。
「はいはい!織斑君がいいと思います!」
「あ、私も!!」
「ううん、ここは加賀美君でしょ!」
「だよね!熱血系の加賀美君なら優勝間違いなしでしょ!!」
「貴方達、わかってないわね……ここはやっぱり、“天の道を往く男”、天道君一択でしょ!!」
「ああ〜っ!!それ私が言いたかったのに!!」
それを聞いた三人は驚いたりやっぱりかと諦めた表情になったり当然とばかりに笑みを浮かべていた。
千冬「他にはいないか?無ければこいつらの中から選ぶことになるぞ」
すると、後ろに座っていたセシリアが机をバンバンと叩きながら叫ぶ。
セシリア「納得がいきませんわ!!」
彼女のヒステリックな叫びにクラス中の視線が集まる。
セシリアはそれを気に留めず
セシリア「そのような選出は認められませんわ!!大体、男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!私に、このセシリア・オルコットに、そのような屈辱を一年間味わえとおっしゃいますの?!」
セシリアはますますヒートアップしていき、その口調もやや過激なものになっていく。
セシリア「実力でいけば、私がクラス代表になるのは当然!それを物珍しいからといって極東の猿にされては困ります!私ははるばるこの島国までISの鍛錬に来たのであってサーカスを見にきたのではありませんわ!!」
その言葉にさすがの総輝もピクリと眉を動かし、大牙も不快そうな表情になる。
セシリア「そもそも、私にとってはこのような後進的な国で暮らすのは耐え難い苦痛で…」
一夏「…イギリスだって大してお国自慢ないだろ。世界一^不味い料理で何年覇者だよ?」
セシリア「なっ?!」
セシリアに反論したのは一夏だった。
セシリア「貴方……私の国をバカにしますの?!」
一夏「先にバカにしてきたのはそっちだろ?!」
そして、セシリアと一夏の口論が始まり、流石に看過出来なくなった千冬が彼らを止めるために口を開いた時だった。
総輝「…お祖父ちゃんが言っていた……」
総輝がそう言いながらゆっくり立ち上がり、セシリアと一夏も口論をやめ彼を見る。そして総輝はセシリアと一夏を見つめ、
総輝「“未熟な果物はすっぱい。未熟者ほど喧嘩をする”ってな」
セシリア「なっ…貴方、私が未熟者だと言いたいんですの?!」
すると今度は大牙が割って入った。
大牙「だってそうだろ。お前は今自分が言ったことの意味わかってるか?この国が後進的だとか、極東の猿だとか言ってたけど、その理論だと今俺たちの担任である織斑先生とお前が乗ってるISを開発した篠ノ之博士も後進的な国の猿ってことになるぞ?」
それを聞いてセシリアは最初は訝しんだ表情だったが、冷静さを取り戻してついにその意味が理解できたのか、徐々に顔が青ざめていきやがて何も言えなくなり俯いた。
総輝「それと、お前もだ一夏」
一夏「え?お、俺?!」
総輝「お祖父ちゃんが言っていた…“男はクールであるべき。沸騰したお湯は蒸発するだけだ”ってな。一々あんな挑発に乗るな。無用な争いを生むだけだ」
総輝にそう言われ、一夏も黙り込んだ。
静かになった教室を見渡し、千冬は今度こそ口を開く。
千冬「…では、候補は織斑・オルコット・天道・加賀美の4人でいいな?一週間後の月曜、第三アリーナでクラス代表決定戦を行う。4人は各自で準備しておくように。では、授業を再開する」
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〜放課後〜
男子三人が集まっていると、真耶と千冬が彼らに近づいていった。
大牙「どうしたんですか、山田先生?」
真耶「みんなに、寮の鍵を渡しておこうと思いまして」
一夏「え?自宅から通うって聞きましたけど」
一夏の疑問に千冬が答えた。
千冬「今のお前たちは世界で数少ない男性操縦者だからな。自宅から通うのでは、何が起こるかわからない。だからここIS学園で保護も兼ねて寮で暮らしてもらう」
一夏「そうか…あ、でも荷物は…」
千冬「荷物は最低限の物は送っておいた。感謝しろ」
一夏「は、はい……」
一夏は引きつった表情で答えた。
真耶「では鍵を渡しますね。寮には食堂があるので是非使ってください。部屋にはキッチンもあるので料理もできますよ。あと、大浴場があるのですが、織斑君たちはまだ使えないので部屋のシャワーを使ってください」
一夏「え?何でですか?」
一夏の疑問に真耶は顔を真っ赤にし、総輝と大牙は一歩引き、千冬は呆れた顔でため息をついた。
千冬「…お前は女子と一緒に風呂に入るつもりか?」
一夏「え?あ、いや、入りたくないです!」
真耶「そ、それはそれで問題が……」
大牙「お前ホモだったのか」
一夏「違う!!」
総輝「…お前とは同じ部屋になりたくないな」
一夏「違えって!頼むからそんな目で見ないでくれぇ〜!!」
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寮の部屋についた大牙と総輝はそのあまりの豪華さに思わず息を呑んだ。国立の学園の寮であるはずなのに、それはまるで高級ホテルの一室のような内装だった。
大牙「これは……すごいな…」
総輝「相当金がかかってるな。まあ、元は女子校だから、清潔感と上品さを求めたらこうなったのだろう」
大牙「あとはIS操縦者だから、その期待も込めてこんな豪華なんだろうな」
そして、それぞれが荷物を置いて部屋のあちこちを見て回る。
総輝「…キッチンも中々だな。あとは素材さえあればそこそこの料理もできる」
大牙「お前の料理かぁ…総司さん譲りのセンスがあれば女子たちもイチコロだろうな」
総輝「当然だ。お祖父ちゃんが言っていた…“本当に美味しい料理は食べた人の人生まで変える”ってな」
大牙「なら、人生まで変えるほどの料理、期待してるぜ?」
総輝「任せろ」
すると総輝は、大牙の足元にある銀色のアタッシュケースに目をつける。
総輝「…お前もそれを貰ったのか?」
大牙「ん?…ああ、これか。爺さんが持って行けってさ。因みに俺は、今度の代表選はこれで行こうと思ってる」
総輝「そうか……だが、《仮面ライダー》になるには《ゼクター》に認められないといけないんだろ?」
大牙「あ……」
大牙は忘れていたのか、口をぽかんと開けてフリーズする。
総輝「…俺も、お祖父ちゃんからそのベルトを貰ったんだが、まだゼクターには認めれたかどうかわからない……大牙、今夜試してみるか?俺たちが《仮面ライダー》になるに相応しいかどうか」
大牙「試すって……どうやって?」
総輝「なに、そんなに難しい事はしないさ」
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その夜、総輝と大牙は外に出て、人気のない場所に来ていた。
彼らの腰には銀色のベルトが巻かれている。
総輝「…さあ、応えてもらうぞ。俺たちが、ライダーになるに相応しいか……」
大牙「…さあ来い!《ガタックゼクター》!!」
二人は同時に、天に向かって手を伸ばす。
すると、「ブウゥゥゥゥン」という羽虫が飛ぶ音が近づき、暗闇の中から赤いカブトムシと青いクワガタムシが飛んでくる。
そう、《カブトゼクター》と《ガタックゼクター》だ。
カブトゼクターは総輝の周りを飛び回り、ガタックゼクターは大牙の頭上を周回する。
そしてそれらは同時に総輝と大牙の手に収まる。
大牙「俺を認めてくれるのか……ガタックゼクター…!」
総輝「やっぱりお祖父ちゃんの言った通りだ……俺が強く望みさえすれば、運命は絶えず俺に味方をする!」
そして、二人は顔を見合わせると強く頷き、総輝はカブトゼクターを左肩の前に構え、大牙はガタックゼクターをやや引き気味に構える。そしてそれらをベルトにセットしようとした時だった。
千冬「何をしている!!消灯時間は過ぎてるぞ!!」
総輝「……」
大牙「……」
このあと、彼らは反省文を五枚に渡って書かされた。
お読みいただきありがとうございます!
ついに、彼らが仮面ライダーの資格を手にしました!
次回はクラス代表決定戦です。
仮面ライダーの活躍、精一杯書かせていただきます!
では、また次回!