GOD SPEED STRATOS   作:ジャズ

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お待たせしました、ジャズです!
今回はvs無人機回です。
タイトルにもありますがカブトの力、ご堪能ください!!


第八話 カブトの力

一夏と鈴を見送った後、総輝達は管制室のモニターで試合を見ていた。

 

試合が始まってしばらく経った時だった。

管制室の窓ガラスを何かがコンコンと叩く音がした。

音に気づいた総輝がその方向を見ると、窓の外にはカブトゼクターが飛んでいた。

 

それを見て何かを察した総輝は、誰にも気づかれる事なく外へと出た。ゼクターが資格者の元に自分から現れる時、それは即ち緊急事態が起こる前兆なのだから。

 

総輝が管制室を出た直後、室内にけたたましい警告音が鳴り響く。

 

大牙「な、何だ?!」

 

真耶「システム破損!何かが遮断シールドを貫通してきたみたいです!!」

 

モニターを操作していた真耶が険しい表情で事態を伝える。

 

千冬「試合中止!

織斑、凰、直ちに退避しろ!!」

 

千冬がマイクを使ってアリーナにいる二人に伝える。

モニターの映像を見ると、地面の爆炎の中から3機の黒いISが姿を現した。

一夏達は3対2という不利な状況に立たされている。

 

セシリア「先生!私にISの使用許可を!!」

 

セシリアが千冬に進言するが、千冬は首を横に振る。

 

千冬「……これを見ろ」

 

千冬がモニターの一部を指差す。

そこには、遮断シールドレベル4と表示されていた。

 

箒「緊急時のシャッターも扉も全てロックされてる……まさか、あのISの仕業?」

 

千冬「おそらくな。これでは、避難することも救援に向かうことも出来ない」

 

皆が固唾を呑んで見守る中、最悪の事態は起きた。

一夏が3機のISが放ったビームの本流に呑まれ、爆煙を上げて墜落したのだ。

 

箒「一夏あぁぁぁぁぁ!!!」

 

箒が撃墜された一夏を見て絶叫する。

アリーナの鈴もまた、激昂して3機のISに攻撃を仕掛けるが、奮戦虚しく撃墜される。

 

セシリア「そんな……鈴さんまで?!!」

 

箒「このままじゃ……二人ともやられる!!」

 

この場にいる全員が今にも飛び出しそうな勢いだったが、アリーナのシールドがロックされている以上、動く事はできない。

何か手はないのか、そう思案している時だった。

 

大牙「……あれ、総輝は?」

 

大牙の言葉にハッとして、皆は辺りを見渡す。

 

箒「おかしいな……さっきまでいたはずなのに」

 

千冬「……まさか!」

 

千冬が何かを察して叫んだ直後だった。

 

アリーナの一角が爆発し、その中から総輝が現れたのだ。

そして、右手にカブトゼクターを構え、腰のベルトに装填し《変身》、3機の黒いISと対峙する。

 

セシリア「総輝さん?!」

 

大牙「あいつ……いつの間に」

 

皆が驚く中、千冬はマイクを手に取り

 

千冬「…天道!どうやってそこに入ったのかは知らんが丁度いい。一夏と凰がやられ、救援も望めない今はお前が頼りだ!」

 

直後、アリーナの総輝から返答がくる。

 

総輝『勿論そのつもりです。ですが、状況が状況なので手加減出来ません。可能なら、敵ISの完全破壊の許可を…』

 

すると千冬は、ニヤリと笑い

 

千冬「…IS学園に無断で侵入、ハッキングによって生徒たちの逃げる手段を奪って危険に晒し、挙句大事な生徒一人と弟を手にかけようとしたんだ。遠慮はいらん………

叩き潰せ!」

 

それを聞いて心得たとばかりに、総輝ーーカブトはカブトクナイガンのアックスモードでISに切りかかる。

 

真耶「織斑先生?!!何言ってるのですか?!幾ら彼でも、3機のISを相手取るなんて無謀過ぎます!今すぐ彼を下がらせてください!」

 

真耶が必死の表情で千冬に訴えるが、千冬は余裕の表情で返す。

 

千冬「心配いらん。忘れたのか、真耶?あいつは人々を救うヒーロー……《仮面ライダー》だぞ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

千冬『ーー叩き潰せ!』

 

それを聞いた総輝は、直ぐさま敵ISに攻撃を仕掛ける。

敵は不意打ちを食らって後退し、距離をとる。

その隙に、総輝は鈴の元へ駆け寄る。

 

鈴「あんた……そのISって……」

 

総輝「説明は後だ。今は一夏を連れて後退しろ。後は俺がやる」

 

鈴「そんな、あんた一人じゃ無理に決まってるじゃない!あたしも…まだ戦えるから……!」

 

鈴は立ち上がろうとするが、落下の衝撃で体を打ったのか、苦痛で顔を歪める。

 

総輝「そんな状態じゃそれこそ無理だろう?ここは俺を信じて下がってろ」

 

そう言って総輝は鈴を抱え、一夏も回収すると自分が出てきた穴へと二人を放り込んだ。

そして、再びアリーナへと戻りISと向かい合う。

 

ふと、総輝は何かに気づいた。

 

総輝「(おかしいな……何故俺と鈴が話している時攻撃してこなかった?)」

 

先程までの総輝達は、攻撃するなら絶好のチャンスだった。にも関わらず、目の前のIS達は自分に鈴と相談し、更には鈴と一夏を避難させる時間も与えた。

ついさっきは、一夏と鈴を殺そうとする程の勢いで攻めていたはずなのに、それを見逃したのは何故なのか。

 

ここで総輝の中にある仮説が浮かび上がる。

 

総輝「……一つ聞く。お前達は何の目的でここに来た?」

 

だが、目の前の三つのISは答える気配はない。

返答を待っていた総輝だったが、突如3機のうちの一つが発砲してきた。

総輝は持ち前の反射神経でそれを間一髪で躱す。

しかし、攻撃を躱す為に体を動かしたその先に、別のISが待ち構えており、その長い腕を思い切り振りかぶり、総輝を殴り倒そうとしていた。

それに対して総輝も、アックスモードのカブトクナイガンを後方へ大きく引き、そして一気に突き出す。

敵ISの拳と銀の斧が同時に衝突し、大きな火花を散らす。

衝撃で双方ともに後ろへ大きく吹き飛ぶ。

しかし、今度は総輝の背後に更に別のISが周り込んでおり、総輝はそれに気づかずそのISによって再び吹き飛ばされる。

体制を大きく崩した総輝を見て、これを好機と踏んだ3機のIS達は総輝を取り囲み、三方向から一斉にガトリングガンを斉射する。

三方向から攻撃を受けている為総輝はまともに避けることも動くこともできず、ただひたすらに攻撃を耐える。幸い、マスクドフォームの防御力は優秀で簡単には貫通しないが、次第にマスクドフォームの装甲がダメージによって削れていく。このままではいずれマスクドフォームの装甲は完全に破壊される。

 

すると総輝は意を決して立ち上がり、ガトリングガンの銃弾の雨の中、カブトゼクターの角を少し上げる。

直後、アラーム音ともチャージ音とも取れる音が鳴り響き、全身に青い電流が走って銀の装甲が少し浮き上がる。

 

総輝「《キャストオフ》!」

 

《CASTーOFF》

 

総輝はカブトゼクターの角を完全に後方へ持っていく。

電子音声が流れた直後に、浮き上がった銀の装甲が一斉に周囲へ吹き飛ぶ。

秒速2000メートルで飛ぶ鉄塊は、総輝を取り囲んでい3機のISの身体を直撃し、吹き飛ばす。一部はその鋼鉄の体に深々と刺さり、また一部はガトリングガンの砲身を破壊する。

アーマーを解除したカブトの真紅の装甲が露わになり、下顎を起点にカブトホーンが上に上がる。

 

《Change Beetle》

 

吹き飛ばされたIS達は少々のダメージを負いながらも、カブトを仕留めんとその禍々しい腕を伸ばして一斉に掴みかかる。

しかし、その腕がカブトに届くことはなかった。

カブトは腰の横に付けられたボタンを押す。

 

総輝「《クロックアップ》」

 

《Clock Up》

 

自分に届くはずだった三つの腕は直前で静止する。

その隙に、カブトはカブトクナイガンのクナイモードを構え、3機のISに斬りかかる。

 

この時点で、総輝はある程度の確証を得ていた。

今自分が対峙している三つのISーーそれらはすべて、無人機であると。

動きがどこか機械じみていたり、総輝達が会話している最中に何もしてこなかった事も、相手が人で無いのなら合点が行く。

高校生の割に博識な総輝でも、ISに触れた時間は圧倒的に短い。なので、ISに関しては素人同然だ。

しかしそれは、常識に囚われにくいという事でもある。ISは有人で無ければ動かないのが常識だが、ISに触れて間もない総輝だからこそ、そのような常識に囚われず相手が無人であるという結論に至ることが出来た。

最も、相手が有人機であろうと、既に千冬から破壊命令が下りていた為、容赦する気は総輝には無かったわけだが。

 

クロックアップによって相手が静止状態である事を生かし、総輝はまず一つ目のISに集中攻撃を与える。

カブトクナイガンのクナイモードで滅多斬りにし、その黒い装甲を切り裂いていく。

 

やがてその鋼鉄の体が切り裂かれたことによって分離していく。そしてその中から血は出てくることはなかった。これによって、敵ISが無人であるということが裏付けられた。

それを確認した総輝は、直ぐさま二つ目のISを破壊しに掛かる。先程と同じように、クナイモードの斬撃を叩き込んでいく。

そして、二つ目のISも切り刻んだところで、無情にもタイムアップの時間がくる。

 

《Clock Over》

 

その音声が流れると共に、全ての時間が元どおりに流れる。

同時に、切り刻まれた二つのISが大爆発を引き起こす。

 

カブトは、最後に残った1機のISと向かい合う。

最後のISはしばらく静止していたが、ガトリングガンの砲身が破壊されており接近戦しか出来ない為、直ぐに右腕でカブトに殴りかかる。

しかし、カブトに接近戦など無謀にも等しい。ましてや人のように動くわけではない無人機の攻撃では、一つ一つの動作が単調で読みやすく、また動作ごとに少し動きが止まる為隙も多い。

前進しながら左右の拳を交互に振りかぶるISだが、カブトはそれをバックステップをとって下がりながら双方の拳を上手くいなし、一瞬の隙に蹴りやパンチを打ち込む。

 

そして、ISの右パンチが来るがカブトは上半身を伏せることでかわし、すれ違いざまにISの右腰をクナイモードで斬りつける。

《ONE》

 

次に、今度はカブトが振り向いた勢いで左手のアッパーでISの顎を打ち上げる。

《TWO》

 

そして、敵ISが反撃とばかりに再び殴りかかるが、その攻撃を読んでいたカブトは上体を僅かに逸らす事であっさりかわし、そのまま右足の蹴りをISに打ち込む。衝撃でISは後方へ大きく吹き飛ばされる。

《THREE》

 

ここで、カブトゼクターの三つのスロットルを押し終えたカブトは、カブトゼクターの角を元に戻しタキオン粒子をチャージアップ、ISに背中を向ける。

敵ISはこれを好機と見たのか、スラスターを吹かして全速でカブトに急迫する。

 

 

ーーだが、無人機は知るはずもないだろう。

カブトが敵に背中を向けるのは、敵に攻撃のチャンスを与えるわけではない。カブトが背中を向ける時……それは、仮面ライダーカブト流の“死刑宣告”である事をーー

 

 

 

総輝「ライダー…キック」

 

総輝は必殺技の名を静かに唱え、カブトゼクターの角を再び後方へ展開する。

 

《RIDERーKICK》

 

カブトゼクターから青い電流が走り、カブトの角へ到達してそこで増長する。

やがてそれは再び下へと流れ、右足へと収束する。

同時に、敵ISがカブトへとその右手を突き出す。

しかしその拳が届く前に、カブトは左足を軸に体を反時計回りに回転させ、青い電流で輝く右足を敵ISの頭部へと叩き込む。

 

総輝「はあっ!!!」

 

勢いよくぶつけられた右足は見事に敵ISの頭部に命中し、その衝撃でISは再び後方へ大きく吹き飛ばされる。そして地面に仰向けとなって倒れ込み、その体には青い電流が流れ、その鋼鉄の体は大爆発を引き起こす。

 

その後、敵ISが全て排除され、安全状態となったアリーナの全ての隔壁が解放され、全生徒が再び光を見る。

一体何が起きたのか、全員がアリーナの方へと視線を向ける。

 

彼らが見たのは、アリーナから上がる三つの爆煙。

そしてアリーナの中央に、赤い装甲が日の光に照らされ眩く輝き、堂々とした佇まいで空をーー否、天を指差して立ち続ける《仮面ライダーカブト》の姿だった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

〜束のラボ〜

 

束「…あ〜あ…負けちゃったかぁ〜……」

 

IS学園のモニターをハッキングし、先程まで行われた自分の作った3機の無人機と仮面ライダーカブトの戦いを見ていた束は、椅子の背もたれにゆったり持たれながら呟いた。

 

彼女は仮面ライダーを倒すために新たにコアを開発して無人機を送り込んだのだが、不思議と悔しさは湧いてこなかった。

その代わり湧いてきたのは、“仮面ライダーの力を知りたい”という純粋な好奇心だった。あの圧倒的な力を解析、あるいは手にする事が出来れば、ISはさらなるステージへ到達する事が出来るかもしれない。束の中に湧いたのは、技術者、科学者としての新たな興味だった。

ふと、束は別のモニターに目を移す。そこには、二人の男子生徒の画像があった。

束はそれを見てニヤッ、と笑い

 

束「束さん、君たちに興味持っちゃったなぁ〜。この責任は、取ってもらうよ♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……加賀美君、天道君?」

 

身内や千冬、そして一夏以外に束が興味を持った瞬間だった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

〜IS学園〜

 

その夜、IS学園では今日襲来した3機のISの解析が行われていた……

 

真耶「やっぱり、この3機は無人機だったみたいです。コアも未登録のものでした」

 

千冬「……そうか」

 

解析を行っていた真耶からの報告に、千冬は顔色を一つ変えずに返す。

 

千冬「無人機の状態は?」

 

真耶「……思った以上にダメージが大きいですね。

特に酷いのは最後に攻撃を受けた一機……《ライダーキック》を受けた個体は、本体が既に原型を留めておらず、コアにまでダメージが及んでいました。

残りの2機も本体が修復不可能なくらいまで破壊されていました。

もしこれに人が乗っていたらと思うと……襲撃者といえど、危うく天道君が人殺しになるところでした」

 

真耶がため息をつきつつ呟くように言う。

 

千冬「(束……もしこれがお前のやった事なら、お前は何の為にこれを作った?お前は一体、何がしたい?)」

 

千冬の疑問は、誰にも届くことはなかった。

 

 

 




お読みいただきありがとうございます。
主人公の無双シーンって、見てるのもそうですが書いててもすごく楽しいしスカッとしますよね!今回書いててすごく楽しかったです!こんな無双が許されのも、カブトならではですよね〜
では、また次回もよろしくお願いします!!
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