僕はあなたを愛して 僕は愛に溺れ錆びていく   作:迷子の鴉

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モノクマです
突然だけど『普通』ってなんだろうね?
一般人の多くが感じたり、動いたりすることが普通なのかな?
普通が一番いいって誰かが言ってたけどさ
異常と称される人たちは
生きてる価値ないってことかな

異常な人をみんな怖がるじゃん
自分と違う人をみんなはいつも恐れていますね

じゃあー苗木君はいつも怯えているのかもね


五話 動機と交換と死体

『ピンポーン、パンポーン』

 

 チャイムが校舎に鳴り響く。内部の全員に響き渡るように、それは個室にいた二人も例外ではない。

 

『えーえー校内放送です。オマエラ、全員視聴覚室にお越しください。遅刻は、ゆるしまへんでぇー!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……意味が、分からない。

 

 なぜこのタイミングで ボクの幸運のおかげか。

 

 突然の出来事で頭がキュルキュルねじり曲がって、そうじゃないそうじゃないと今この時点で考えるべきことを脳内議題に持っていく。

 

 おかしいだろう。視聴覚室の集合はボクたちに殺人の動機を与えるためのものだ。アイツはあのとき直接ボクたちを呼び付け、CDを渡した。

 

 違う! それじゃない。頭をフルスロットルでマッハで言葉を組合す。

 

 

 

(早すぎる……! 動機の提供は二日目以降のはずだぞ!)

 ボクが入学式に遅れたから? 違う。モノクマに攻撃を加えたから? その後は前回と同じだった。

 

(おかしいと思っていた。目覚めた時から何かが引っかかると思っていたここは)

 

 

 

 

 

 

 ボクの記憶とは違う()()だ。

 

 

 

 

 

 

 

 ベッドを降りて、ふらつく足にムチを打つように拳を握り殴りつけ、ドアに向かう。

 

 

「苗木君」

 後ろから、霧切さんが制止であろう声を出す。

「ごめん……後で、ちゃんと説明する。今は、行かないと」

 時間稼ぎにもならないだろうと諦めきった冷たさが胸を覆う。それでも今はこの場を抜けねば、組み立てた言い訳でも思いつかないと彼女を誤魔化せない。

 

 ふらつきながら倒れ込むようにドアに手をかけて、寄宿舎の廊下に出る。

 変わらない視界に映る照明の色。否が応でもこのコロシアイに勝たねばまた失う。

 

 それだけは嫌だ。誓ったんだ。必ず救うと誓った。どれだけ狂おうが嫌われようがこれだけは譲れない。

 もうボクが()()()()()()やらなきゃならないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 間違えるのは もういやだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霧切さんの為に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かっこよく 死にたい(  わる 生き  )

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この先に進む覚悟を新たに整え、壁によりかかりながらでも進む。

 

 はたからみたら、歪んだ覚悟、希望。

 それでも苗木は進まねばならなかった。自分の願いを叶えるためには進むしかない。自分の体にそう言い聞かせ、歩いていく。

 

 

 突然肩が誰かに組まれる。

 

「そんな無茶な体で歩けるわけないでしょ。肩を貸してあげるから、一緒に行きましょう」

 霧切さんがボクを引きずるように肩を組んで歩いていく。

「いや、いいよ。霧切さんの迷惑に」

「この借りは、私の問に答えることよ」

「……はは、参ったな……うん」

 

 いつからの癖だったか? 困ったときに頬を掻く癖が出ている。困ったような、それでも嬉しいような曖昧な笑顔を浮かべて彼女の世話になった。

 

 


 

 

「あ、苗木君! 大丈夫ですか。あの後私ずっと探していたんですよ」

「ごめん舞園さん。個室で寝ていたんだ」

 霧切さんに手伝ってもらって、ようやく視聴覚室に着いた。そこでは、僕を心配していた舞園さんに他のみんなが揃っていた。

「チッ愚民が。何度俺の時間を無駄に搾取すれば気が済む」

「ごめん十神クン。遅くなって」

「苗木君、本当に大丈夫?」

「ありがとう不仁咲く……さん。自力で立てるくらいにはなんとか……?」

 そこでボクは不仁咲さん(今はまだ心の中でもさん付けしておいたほうがいいだろう)の言葉に疑問を抱く。

「ああ苗木君、食堂で寝ていたところを見つけて心配していたそうですよ」

「う、うんそうなんだ!」

 

 ……舞園さんのエスパーと称される力はここでも発揮されているようだ。不仁咲さんが驚いている。

「おい、コラ! モノクマ! いるんだろ!」

 大輪田クンが怒鳴り声でモノクマを呼ぶ。

 

 ガタッガチャニュル

「ほいほ〜い呼んだ?」

「呼んだって何よ……! あんた、どこから出てきてるのよ!」

 

 視聴覚室の扉の横の壁の下部分が開き、モノクマがニュルと出てくる。 

 

 こいつの素材、何で出来ているんだろう。

 

「いやいや、ごめんねぇ。全員集まるまで、視聴覚室の鍵は閉じたままにしていたけど苗木君があまりにのろまでぐうぐう寝ていたからさ!」

「のろまは余計」

「もう、つれないなぁ」

 モノクマの挑発を流して、扉を開けるよう催促する。

 

 はい、どうぞどうぞと扉を開けて、モノクマが部屋に奥にあったダンボール箱をちっさい腕で抱えて持ってくる。

 

「えーと。この箱にオマエラの名前が書かれたDVDがありますね。自分の名前が書かれたDVDを持ってそれを鑑賞してください!」

「鑑賞ってこれに何が?」

 

 自分の肉親、大切な人。この中にあの時と同じ家族の姿が収められているだろう。

 モノクマが最初の動機として出した外へ出たいと思わせる悲惨な映像。映像を見せられたあとで殺人を犯して出ていっても外でちゃんと生きてるか分からないのに。外に関する記憶が失われているとはいえ、同じ人間同士で殺し合うなんてあいつ等はイカれてる。そこまで追い込んでコロシアイを起こすのがあいつのやりたいことだろうが。

 

 

 

 

 

(父さん、母さん。…………こまる)

 みんなは無事だろうか。あれからずっと行方が分からないままだった。まだ、僕にとって平穏と言えたあの暮らしは完全に消えたのか。

 

 

 最優先は霧切さんだ。が、それでも家族だ。気にならないわけはない。

 特にこまるが一番不安だ。父さんと母さんが側にいれば無事だろうが、あいつが一人でこの世界を生きていけるかはほぼ0だ。こんな狂った世界でTHE普通の妹が生きていくのは難しい。いや、不可能だろう。

 早くクズを殺して霧切さんと一緒に助けに行きたい。

 

 

 

 

「ちょっと苗木君!! 何、ぼうっと突っ立ってんのさ! 早く、DVD見なよ!」

「え。ああ」

 

 DVDを持ったまま、立っていたらしいボクはモノクマに催促され、机につく。

 

 前回と同じ舞園さんの隣だった。どうせなら、霧切さんの隣の方が良かったと不満になる。

 

「苗木君、私の隣そんなに嫌でしたか?」

「え、あ、いやそんなこと無いよ」

 隣の舞園さんに不安気に聞かれ、言葉を濁す。

「無理、しなくていいですよ。苗木君、何か変わりました?」

「ッ!」

 

 エスパーと称すだけあって流石思考を読み取るのが得意みたいだこの人。前もこんなふうに予測されたんだよなうん。

 

「何でも無いよ」

 嘘。

「本当ですか」

「大丈夫、ほら早く見て終わらせようよこのDVD」

 嘘だ。

「でも、こんな状況でDVDって、何かあると思いませんか」

「軽く見るだけでいいよ。どうせあいつのイタズラだろうこんなの」

 嘘つき。全部分かってるくせに。

 

 

 

 

 DVDを差し込み、ヘッドフォンを着け視聴準備を整え、映像が始まる。

 

 

(セリフは割愛する。知りたかったら、知ってると思うけどダンガンロンパ希望の学園と絶望の高校生のプレイを薦める)

 

 こまるが父さんが母さんが、

 ボクに暖かな声と応援をくれる。

 懐かしいと思いながら、次はメチャクチャになった家が出てるんだろうと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然、画面が真っ暗になる。

「? 何で急に」

 これもまた動機提示が早まったと同じようなものか。

 そう思って、立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 ブニッ

 

 

 手に何か柔らかいものが当たった。

 

 見れば、手のひらサイズの紙袋が置かれている。

 モノクマがみんなに配っている袋。

 

 紙袋は封がきちんとされているようで、丁寧にマスキングテープで閉じられ開ければ中のものが出てくるだろう。

 だがあいつの事だからどうせろくでもない何かだろう。一応開ける前に袋の上から手触りで調べる。

 

 

 

 ブニッブニュ

 

 

 柔らかく、冷たい。何故か冷や汗が落ち、手が少し震えだす。落ち着け。落ち着け。まず、ゆっくりとマスキングテープを剥がす。

 ピリピリと紙袋から剥がれ、表面をえぐり取ったマスキングテープを床に捨てる。

 

 そして、中身に目を通す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「きゃぁぁァァァァ!!」

「な、何じゃぁぁぁこりゃァァァ!!」

 

 叫び声があちこちで響く。紙袋をそっと机に置く。

 

 

 

 耳。

 

 

 紙袋の中にあった柔らかなものは人間の剥き出しの感覚器官の一つだった。

 

 

 隣を見れば舞園さんが首筋まで真っ青になりながら震えだしている。 

 

「や、いや……いやァァァァァァああ!!!!」

 

 突如立ち上がり、ボクを突き飛ばして「グエッ!」視聴覚室を出ていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「おい苗木、霧切に突きつけてやれ。こいつが犯人という証拠をな」イライラする声。

 いつまでたっても上から目線の可哀想なハリボテ王様。

 あ、これ夢だなと突拍子に思いつく。

 悪夢。悪夢。悪夢。

 スロットが回って、決断が浮き出る

「今の霧切さんの言葉には・・・ウソがあるよ」

 やめろ、自信満々に言うな。

 おまえはそれで間違えたんだ。

 永遠に許されない罪を背負うことになったんだ。

(霧切さんは明らかにウソをついている)

 そうしなきゃ黒幕に近づけ無かったんだ。

「それはちがうよ!」

 おまえがちがうんだよ。

 おまえ、おまえ、おまえのせいだ。

 なにもかもおまえのせいだ

 

 

 

 しぜ、じね、しね、死ね。

 苗木死ね

 あの時死ねばよかった。

 そうすれば、全部終わった。

 霧切さんさえいれば、何度でも世界は終わらない。

 死ね、

 消えちまえ。お前が死ねばよかった。もう少しで楽に慣れた。

 何が引きずるだ

 引きずりまわして、肉がグチュグチュの剥き出しじゃないか。

 

 

 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね

 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね

 

 

 

 

 

 速く、消えろ

 

 

 

 

 

 

 

 

「おまえなんて・・・いらない」

 夢から覚めて、ベッドの上で横に転がり僕は愚痴を吐く。

 嫌な夢だった。これからもまたあんな悪夢を見る機会が増えていくのだろうか。

 そう考えると頭痛の種が次々に出来てきているこの状況に嫌悪感を感じる。

 

「予定通りなら明日、舞薗さんが殺される。最悪は・・・」

 今日、殺人がすでに起きていて舞薗さんが殺されているか桑田君が殺されているか。

 このどちらかに絞られるだろう。

 

 昨日、舞薗さんが僕の部屋との交換を申し出てきた。

 僕の紙袋に入っていた耳があのビデオに写っていた家族の誰かのものなら、舞薗さんの紙袋にも似たようなものが入っていたのだろう。

 彼女が殺人を速めてでも実行しようとする『何か』が

 

 断ろうと思ったが、あまり前の『苗木』と違う行為をすると怪しまれるので、仕方なく交換を受け入れた。

 証拠を集めて、矛盾を打ち抜く裁判はただの作業だ。

 後悔も罪悪感もボクにはない。

 

「そろそろ……行ってみるか」

 どこに行くか? もちろん僕の部屋だ。

 実際は部屋の交換をしたことでボクの部屋は舞薗さんの死体の匂いでむせる様になっているだろうが。

 

 舞薗さんがいなくてもボクの部屋で何かあったと思うが。

 

 

 ドアを開けて、廊下に出て隣のボクの部屋に行く。

(ネームプレートは……舞園さんのものだ)

 やはり殺人は起きたのだろう。ドアノブを掴み、部屋の中に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 山田くんが死んでいた

 

 

 




残り人数
14人

カウントダウンまで

後?日?時間




全てを滅ぼし、

一人を救え














CHPTER1 イ『』タイ
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