僕はあなたを愛して 僕は愛に溺れ錆びていく   作:迷子の鴉

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六話 発見と動揺と捜査

あらすじ

山田くん、アウトォ! (現実的)

 

 


「…どうなっ、て」

 まず、最初にこの部屋の現状から整理しよう。

 部屋はあのときと同じようにかなり凄惨、それとも酷いって言ったほうが後々あそこを語る際に便利かな。

 刀傷に散らかった置物などで荒れて荒れまくっているのにベッドはきれい。シーツはきれいにピンとはられている。

 

 山田クンがその上で血を流しながら上向きで寝てなければ、綺麗なシーツと躊躇いなく思えただろうに。

 

 死因は刺し傷による失血死だろうか。近くで見ないとよく分からないので次は死体を調べよう。

 

 

 

 何かにおう。

 鼻をつんざくキツめのにおい

 匂いか臭いか薄れてよく分からないのでこれは記憶しておこう。なにが手がかりになるか分からないのがこの生活だから。

 

 

 

 言弾ゲット! 「部屋のにおい」

 

 

 ベッドに置かれている山田クンに近づき、観察してみる。

 一目見てわかるのは、山田クンのお腹が出ていない。彼の持ち味の動けるデブを象徴するメタボバラが引っ込んでいる。

 穴でも空いてんのかと思う、引っ込んだ腹とそこにシャツに染み込んだ生々しい血がデブの腹のインパクトを替わりに演出している。

 

(メッタ刺しだな。シャツの上から何度も刃物で突かれたのか?)

 

 何か所か包丁のようなもので刺された跡が残った赤染めのシャツ。

 

 

 言弾ゲット! 「シャツの刺しあと」

 

 

「これ以上見ていても仕方ない、よね」

 興味が薄れ何も無かったのように部屋を去る苗木。

 

 そしてあることに気づく。

「……このドアの内側の傷、山田クンがつけたものかな?」

 去る際に気づいたドアの傷。爪で引っ掻いてつけたものだろうか、血も少し滲んでいる。

 

 

 言弾ゲット! 「ドアの内側の傷」

 

 

 あとは霧切さんと適当な人を呼んで、捜査開始だ。

 

 

 


 

 

 

「オシオキはオシオキ。簡単に言えば、処刑だよ!」

「ふーんどんな?」

「電気椅子でビリビリ!毒ガスでモクモク!灰にされてサラサラ!血を抜かれてシワシワ!そんな、デンジャラスでアグレッシブでエキサイティングなオシオキだよ!」

食堂でみんなと合流した後、霧切さんと適当に選んだ誰かを連れて部屋に向かった。三人の発見者が出たことで死体発見アナウンスが鳴り響く。

そのあとモノクマからの呼び出しでみんな体育館に集合して、学級裁判の説明を受けている途中である。

 

「一応聞くけど…お前が殺した。それは無いんだね」

「失礼だなぁボクは学園長だよ。生徒にそんな酷いことするわけないでしょが!」

「コロシアイを強制しているくせに」

モノクマの返しに無味乾燥の答えを述べる苗木。

「なんか苗木君、ほんとに苗木君?なんだか後ろにしっろい髪の毛の左目が赤いなんか人食べてそうなお兄さんが見えてきたよ」

「ネズミ、耳の中に捻りこもうか」

「ヒィィィィ、ネズミいやぁぁぁぁぁ!!で、でもね。僕は何もしてないよ!何もしてないからホントマジで!クマに誓って!」

 

これだけは本当の事だろうと苗木は肩をすくめる。

モノクマがウソをつくのは滅多にない。意味をはき違えてしまいそうな言葉遊びで混乱させるのがコイツのやり口なのだ。

 

「ま、そういうことで。はい!これ、モノクマファイルね」

おなじみのモノクマファイルを電子手帳に送信して、モノクマは去って行った。

 

 

江ノ島、残念姉は殺さず。

此処までくると黒幕にも記憶があるのかと疑ってしまう。まだそのような言動を見せてはいないが。

(ここまで来ると記憶はもう当てにならないな)

単純作業が最初の頃のハイスピード推理ショーに戻ってしまったと苗木はため息をつきたくなる無常に包まれていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

捜査開始!!

 

 

 

「被害者 山田一二三 超高校級の同人作家多分16歳。死因はふざけたことに不明。発見者は苗木誠、霧切響子、……+一人。死亡推定時刻は、深夜0時30分から1時30分」

「…」

「夜時間を破って出歩くなんて、イケない子だねヤマダ君。しかも、場所が僕の部屋って。不法侵入罪まっしぐらだよ」

「苗木君」

「はい」

「何故私の後についてくるのかしら」

「それは霧切さんと一緒に捜査したほうがボクの無実を晴らせるからだよ」

 モノクマの説明が終わり、僕たちは捜査を開始することとなった。当然、僕は自分の無実を晴らして霧切さんと愛を築き上げていきたいので積極的に捜査に乗り込む。

 全滅なんて御免だと苗木は自己中心のソートを建てる。

 

「私としては一人の方が気が楽なのだけど」

 霧切は苗木を見つめ、聞く限り邪魔だと言いたいような視線を送ってくる。

「いやいや、霧切さん。生きている中でまともそうな推理を披露してボクのヒーローになってくれる人は君の他に誰もいないよ」

「あなたのヒーローになるつもりはないわ。私は只」

「真実を突き止めるため、かな?合ってた?」

 苦笑しながら、苗木は霧切を見据える。

 ただ、目だけは少し違った雰囲気を滲ませて目の前の霧切を収めていた。

 

「大丈夫。君の迷惑にならないと思うから。むしろ、意外と役に立てると思うよ」

「役に立てる、ね。なら好きにすれば。邪魔は許さないわ」

 苗木のねちっこさ、頑固さに観念したか霧切は同行を許す。

 背を向けて調査の続きを開始する。

 

 

 

 

(大丈夫、大丈夫だから)

 自分にそう言い聞かせる。

 左腕を握りしめて震えを止める。

 こんなところを見られたら怪しまれるに決まってる。彼女に近づけなくなる。

(そんなことは嫌だ)

 近づく機会を失ったら、守れなくなる。

 あの日は刻々と近づいてくる。

 僕が君を失った日が来てしまう。

 

 予防線を張っておく必要がある。

 彼女が一人で死に行くようなことがないように。

 疑われないように。

 

 

 もう二度と失わない。だから、聞こえないように

 かすれた小声で君に誓う。

 

 

「一緒に生きよう…響子さん」

 




言弾一覧

「部屋のにおい」
苗木の部屋でかぎ取った匂い。バスルームの匂いに似たような感じ。


「シャツの刺しあと」
山田君はシャツの上から刺されたようだ。
心臓付近に二箇所。
腹部に三箇所。
その他多数。


「ドアの内側の傷」
爪で引っ掻いたような傷。舞薗との部屋交換時にはなかった。
血が滲んでいる。
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