僕はあなたを愛して 僕は愛に溺れ錆びていく   作:迷子の鴉

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お待たせしました。ゆっくり、ゆっくりと終幕へ向かっていきます。


十五話 混

 これまでのあらすじ。

 

 やっと物語の根に触れた。

 

 


 

「ぜぇぜぇ…此処まで来ればもう大丈夫かな」

 背は高校生のくせに160cm、髪は薄い茶色、頭頂部に左曲がりのアンテナ(本人曰くアホ毛らしい)。

 普通、と言えば普通の部類に当たるが(ガチガチ)アンテナのせいで普通という分類に分けていいか悩む。

 

 そんな普通だが普通とも言えにくい少年「苗木誠」はある者達から逃げ回っていた。

 

 

オラァァァァ!!どこ行った苗木誠ぉぉ‼‼」

「うわぁ…来た…」

 とりあえず学園創立者神座出流像の後ろへと隠れる。

「先ぱぁい…もう諦めましょうよ。こんだけ探しても見つからないんだから」

「うるせぇ!アイツ捕まえなかったらお前も連帯責任で罰するぞ‼」

「ウげぇぇ…」

「‥‥逆蔵さん。部下にも容赦ないな…」

 

 現在、苗木誠は希望ヶ峰学園の警備責任者「逆蔵十三」とその後輩(名前は聞いたことがない)の二人に追いかけられていた。

 

 だが苗木誠は超高校級の幸運という才能以外特に特筆する部分がない生徒だ。

 そんな彼が何故、警備員に追いかけられているか?

 警備員が駆り出されるほどの事件を起こしたか?

 庇うようだが彼は入学してから特に問題となるような事件は起こしていない。

 …巻き込まれたケースはいくらかあるが。

 逆蔵の気まぐれか?いやそれだけなら後輩を駆り出す必要はない。いかに暴君と恐れられる彼でも私情を仕事に挟んだりはしない。

 ‥‥仕事そのものなら別だが。

 

 

 

 ではなぜ追われているか。

 結論から言えば彼は巻き込まれたのである。

「あの野郎。学院長の部屋に野球ボールなんて投げ込みやがって…‼」

「78期生の桑田、葉隠、大和田と野球してんでしたっけ。桑田はともかく、大和田に葉隠って意外なメンツですね」

「ンなことはどうでもいい!苗木誠が野球の最中に学院長の部屋にボールをぶち込んだことが重要なんだよ!」

「桑田が投げたボールを苗木君が運良くバットに当ててそれが運悪く学院長の部屋に入り込んだ…これ俺らが動く必要あります?」

「あるんだよ!今もこそこそ逃げ回ってる苗木誠を捕まえて学院長に突き出す。それが今回の仕事だ」

「苗木誠、苗木誠ってさっきからフルネームで呼んで疲れないんすか」

「てめぇもう黙ってろ殴り飛ばされてぇか」

「先輩。もしかしてこれを機に苗木誠に対する鬱憤をちょっとでも晴らそうとか考えてないっすよね」

「‥‥‥…」

「うわ図星かよ。ほんとやること成すこと、失敗も全部押し付ける人だな。もう諦めて彼が自首すんの待ちましょうよ。意味ないじゃないですか、俺いることに」

「黙ってろ‼いくぞ!」

 

 

 結局彼の私情のせいで苗木は追いかけられていた。

 

 

「このままじゃ見つかる…早く学院長のもとに行かないと」

 学園の最高権力者の彼のところまで行けば逆蔵も諦めると推測する。

 逆蔵のところに自首なんてすれば何をされるか分からない。

 

 一応希望ヶ峰の生徒に当たる予備学科の生徒を躊躇いなく殴り飛ばした事例があるためにただの運で学園に入った自分のことをかなり疎ましく思っていると同級生の霧切から忠告されている。

 なので出来る限り、なるべく逆蔵に遭わないよう学院長室まで行きたいが彼の部下たちが巡回しているため困難だ。

 

「一体どうやって学院長室まで行けば…」

 

 ガタッ

 

その時不思議なことが起こった。

 

 苗木誠は今、左手を像の土台につけ右足を前に突き出した姿勢を取っていた。

 突如、左手を添えていた部分が凹み右足に触れていた地面が沈む。

 

 そして左足の地面が開きバランスを崩して後ろから倒れこむ。

 

 

 

 

 

「え?‥‥うわぁぁぁあぁあぁああああああああ!!!??」

 

 

 苗木が落ちた後、すぐさま空いた地面の穴は閉じ元に戻った。

 

 

 


 

「痛たぁ…」

腰を擦りながら足腰に力を入れて立ち上がる。

尻から着地したせいで腰も打ってしまったが、頭よりはマシだと納得させた。

 

「何処なんだ此処…?」

見渡せば無機質な材質で形成された廊下。何処に繋がっているのか分からないほど長い長い廊下に彼はいた。

「まいったなぁ…」

 どうしてこうなったのか。逆蔵から逃げる途中で像に隠されていた秘密通路的な物に引っ掛かりここに来てしまったが、あいにくそれらしき出口は見当たらない。

 仕方がないからとにかくこの場から動くことに決めた。あんな手順を踏まないとは入れないこの場に誰かが来るとは思えないのでとにかく歩くことにした。

 苗木誠は少しだけ人より前向きなのだ。

 

 

 そうしているうちに彼はようやく出入り口のような扉を発見した。

「エーと、どうしよう?」

 出入り口のようなものに取っ手、ドアノブらしきものは無かった。

 

しかし、

 ピコン!

〈苗木誠様、認証しました。扉が開くまでお待ちください〉

「へ?」

 ガチャン!がちゃん‼

 扉の奥で何かが起動し動き回る音がする。しばらくすると音が止み、扉が開く。

 

「え?」「え?」

 

扉を開けた先、薄暗い部屋の中で目の前に高身長の美男子がいた。

「…誰」

「えと…苗木誠と申します」

 丁寧に返した。

「苗木、誠…?許可なく僕の秘密部屋に入れるのなんて()()()か仁さんくらいなんだけど…」

しばしば思考にふけ言っていた彼だが。

「ああ~君‥‥今年の幸運枠の?へぇ噂は入ってきてたけど、君がねぇ」

舐めまわすように見てくる視線ぬ苗木はうすら寒い気味悪さを感じた。

「うん。悪く言えば平凡そのものだね。まぁ、癖がありすぎても困るけど。()()()と比べたらまだいい方か」

「あ、アイツ?」

「いや気にしないで。君には関係ない。というか一生関係ない話だから」

 にこやかにこれ以上踏み込むなと警告された気がしたのは気のせいか。

「僕は『神崎巧(かんざき たくみ)』。タクミでもたっくんとも呼んでいいよ」

 そういうと巧君はゆっくりと椅子から立ち上がり僕に近づいてくる。

「早速なんだけど…」

「え。う、うん」

 

 

「君、ヒーローってどう思う?」

「‥‥へ?ヒ、ヒーロー…?」

 

「この世界にはヒーロー…具体的にみんなに光をもたらす英雄が必要と僕は考えているんだよ」

 

「ああ、光って希望のことじゃないよ。少なくともこの学園の奴らが考えているようなものじゃない」

 

「この国の…世界の全てに存在する人類を救い」

 

 

 

 

 

進化させる英雄が必要なんだと

 




遅くても二、三年以内には終わると思います。

平行世界。信じますか?信じませんか?

  • 信じます
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