みんなはケータイ画面に保護シール貼る派?貼らない派?
あ、それとも叩き割ってから保護シール貼る派?
うぷぷ、まぁこんな話僕のキュートなまん丸手じゃ意味ないけどさ
ちなみに僕は!保護シールビリビリにして、ジグソーパズルっぽく貼っていく派だよ!
ブヒャヒャヒャ!!!絶望的に面倒くさいよね!!
霧切さんに起こされ(起きてたけど)、ボクは彼女と一緒に体育館に向かう。
集合時間の8時になってもボクがいなかったので、その20分後にあの駄作デザイン熊が校内放送でみんなで探せと呼びかけたと聞いた。
自分で来いよ熊ロボット。ボクをあそこに置いたのお前だろ無駄乳変態。
……こうして霧切さんと並んで歩けることには喜びを感じるが。
「……」
「…………」
ヤバい気まずい。さっきからなにも語らずに歩いているせいかボクと霧切さんの間に壁みたいなのができている。
序盤は霧切さんと関係を築きあげたいが、初めの頃の彼女はとにかく他人を近づけさせない空気を醸し出していた。
その理由は彼女が探偵として培った人を無闇に信用しないスタンスか記憶を失っている事での警戒心だろうが、現在霧切さんは探偵としての記憶を失っているため余計にたちが悪い。
(いや、とにかく何か話をしよう)
あの腐れ絶望発酵女に勝つためにはどうしても霧切さんが自分の超高校級の才能を思い出すのが鍵になる。
彼女がボクの先頭に立つくらいではないと、かなり苛立つが蝦夷の島進攻には勝てない。
そこで他愛もない世間話を持ちかける。
「ねぇ、霧切ひゃん」
やべぇ噛んだ。思い切り噛んだ。
彼女のような美しく凛とした。それでいて時折魅せる女の子らしさがまた彼女の美を高める。
それほど美しい霧切さんと久しぶりに話せるから、テンションが昂ぶって噛んだ。
恥ずかしい。顔、真っ赤になってるかも。
「何かしら、苗木君」
あ、良かった気にしてない。それはそれでちょっと(もやっ)てするけど。
「えっと、ここにいるのはみんな希望ケ峰学園に入学する人達、なんだよね」
「そうね」
よし、第一関門『返事をしてくれる』突破。
次は第二『情報交換する』だ。
「あの、ボクの超高校級の才能『幸運』みたいでさ、何でもこの学園で毎年恒例の抽選で選ばれたみたいで」
「そうでしょうね」
「え、ああ、知ってたんだね」
「この学園が毎年『幸運』枠で一人の人間を選んでいるのは知っているから」
あれ? 幸運枠って世間に公表していたっけ?
……記憶が混濁しているのか? 何だか結構あやふやになっている気がする。認知症になる年じゃないんだけどな?
「えっと、それで他のみんなの才能はどんなものかなぁって。霧切さんは知ってる?」
「……確か、御曹司、スイマー、アイドル、格闘家、ギャンブラーに暴走族にプログラマー。後は文学少女だったかしら」
「へぇ、結構色んな才能の人たちがいるんだね」
葉隠くん、石丸くん、山田くんに桑田くん、江……野電さんをハブったことは追求するべきか。
いや、顔を見合わせてないボクがそのことを言うのは怪しまれるのはやめておこう。
「そうだ、霧切さんの才能は何なの?」
「……当ててみたら」
「せっかくだから霧切さんの才能も知りた……え?」
今なんと? 当ててみたら? あの霧切さんが?
ちょっまっ、待って。え? 彼女このときから冗談言う人だったけ? 当ててみてって……そういう遊びめいたこと言わない人だと思うけど。
「えっと、超高校の……警官?」
「違うわ」
「じゃあ、エージェント!」
「違う」
いきなり彼女が探偵と言うのは危険と感じたか、苗木はとりあえず探偵を連想させるような言葉を出していく。
「FBI、CIA、CCG!」
「どれも違う。最後の方は現実にある捜査機関じゃないでしょ」
うぐっ。ならやはりここで言うべきか。早すぎる展開だが、何事も早いに越したことはない。
「じゃあ、探偵!!」
「そうね、それでいいわ」
「なんて、え?」
落ち着いて状況を整理しよう。
現在の3つの疑問点!
1つ! ボクが霧切さんとまた会えた!
2つ! 霧切さんがボクに自分の才能を当ててみてと提案!
3つ! 探偵と言ったらそれでいいと返された!
意味が分からない
予想外のことが多すぎて僕の頭はフリーズしかけている。ボクの頭が常人より処理能力が低いならまだいいと冗談でもないことが浮かび上がる。
これも全部モノクマって奴の仕業なんだ。そうに違いない。
「えっと、何で」
「何が」
「いや、ボクが探偵って言ったらそれでいいって」
「私には記憶が無いの」
「……!?」
おかしい。彼女はこの時点でボクに自分が記憶喪失だと伝えたことは無い。
何か違和感を感じる。何がとはわからないが。これを刑事の感というのだろうか。
「この学園で目覚めてから、私には自分の才能についての記憶が無いの。名前は覚えていても、肝心の、これまで生きてきた16年の記憶が無い」
「記憶喪失、なの」
「ええ、恐らく」
記憶喪失は自覚している。なら、やはり無いのは学園生活と才能にお父さん、希望ヶ峰学園学園長のことだろう。
ここは前と同じか。ならやはり違うのは彼女の人に対するコミュニケーションの変化だろうか。
「あなたが『探偵』って答えたとき、何故かその言葉を肯定するような気持ちになれたの。不思議ねたった漢字2文字の言葉を肯定するなんて」
もしかして彼女、記憶が上手く消されてないんじゃないか? (すごい悲しいけど)会ったばかりのボクに対してかなり親密にしてくれる。記憶を失う前は、いや本当の入学式で出会った時は前と同じように人を寄せ付けない空気を纏っていたから、はじめの頃は同じクラスのクラスメイトという認識だった。
その心配もボクが元から備えているお人好しの甲斐あって、彼女もみんなの輪に溶け込めるようになった。
結構長くかかったな。色々手伝いをする様になってから、自然と仲良くなったけど。
「ここがホール。この先に彼らがいるわ」
話し込んでいる内に体育館前ホールに着いた。
「ありがとう。でも、ちょっと先に行っていてくれないかな?」
「なぜ」
「ちょっと、やっておきたいことがあるから」
「……そう、それじゃあ早く来て。みんな、待ちくたびれているから」
霧切はそう言うと苗木より先にホールに向かう。
残された彼は、
「…………えっと、トロフィーか模擬刀ってどこだったけ?」
「早かったわね」
「うん、考えたらこれホールか体育館しかないなって」
数分遅れて体育館に入った苗木。
「あのもしかして苗木君? 苗木誠君ですか?」
「まことが真実のまことじゃなくて、誠実のまことなら僕ですが舞園さん」
「良かった〜! やっぱり苗木君だったんですね!」
こちらも同じようにあのときと同じ会話をしていく。
「……えっと、その手に持っているのは?」
「気にしないで。後でちょっと必要になるだけだから」
右手に持っている模擬刀を不思議そうに眺める舞薗を適当にあしらって、正面の体育館ステージに向く苗木。
「君! 入学初日から遅刻と」
(石丸KY夏君だ)
閑話休題
「オーイ、全員集まった~!? それじゃあ、そろそろ始めよっか!!」
苗木にとって懐かしいクマの声が体育館に響く。
一報の苗木はステージにじりじり近づいて距離を確かめる。
「よっと!」「ウェイ!」
モノクマが演台に現れたと同時に槍投げの要領で模擬刀を投げつける。
そのとき、不思議なことが起こった!
苗木が投げた模擬刀がきれいな垂直線を描いてモノクマの腹に突き刺さる!
そして彼の持ち前の幸運のおかげか、モノクマが勢いに押され爆発の勢いが誰にも及ばない距離まで吹き飛び爆発を起こした!
「ウワァァァァァァァァァァ!!」
ドッカァァァ──ン!!
誰もが目の前の(噛ませ十神、美しき霧切さんももちろん)爆破と苗木に唖然とする中、
「汚い花火」
(舞薗さんは見殺しにしよう)
彼は、今後の予定を静かに組み立てていた。
忘れてた?
どれだけの犠牲を重ねても
って言ったよね?